7 / 11
メインヒロインの双子の姉(死亡予定)に転生しました。
死亡フラグは回避したようです。③
しおりを挟む
「釣り合わないって誰と、誰がかな・・?」
コンラッドの低い声が部屋に響いた。
これ、蛇に睨まれた蛙状態ってやつ!?
さっきの私の台詞は間違いなく失言だ・・。
どうしょう!?
・・自爆だ。
青筋が気のせいがさっきより目立っているコンラッドが、私に笑いかける。
再度距離を縮めたコンラッドは、私のプラチナの髪を一房取りその唇を当てた。
「ああ、そうか・・。アメリアは、エリアスの迷惑な申し出のせいで混乱している場を納めようと、柄でもなく冗談を言ってしまっただけでしょう?」
「いや、あの・・。
あはは・・。以外と、冗談でもないかなー・・なんて!
!」
コンラッドの青い瞳が一瞬鋭さを持った。
やばい・・。
うっかり殺意を向けられた気がする。
私の腕にはぶつぶつの鳥肌が立っていた。
「現実を見れば?アメリアはコンラッドとの婚約に悩みを抱えてたんじゃないかな・・。
結婚願望はないって、彼女の口からハッキリそう聞いたばかりだけど?」
「ふふふ・・。冗談だよね。
そんな恐ろしいことを考えない方がいいよ??
正式に婚約証書を交わした二人が婚約を破棄するなんて、よっぽどの事情がない限り出来ないんだよ。しかも破棄してしまったら、家名に傷がつくし、他の貴族との婚姻も結べなくなることも少なくない・・。」
ずいっと物理的な距離を詰めてきたコンラッドは、青い吸い込まれそうな瞳で私を見つめた。
「僕たちは、身分的にもそこまで離れていないし。
伯爵は優秀なお方だし、母君は星水晶宮と深い関わりを持つ神聖な血族出身の方だ。
それに、父親たちは昔からの友人同士なんだ。
初めて会った時から、アメリアのその白金の天使のような美しい髪と、零れ落ちそうな菫色の瞳が誰よりも美しいと思っているよ。それとも、君は僕に全く好意を持っていなかったのかい?」
どうなんだろう・・。
アメリアの記憶を辿っても、思い出せない。
「えっと・・。お答えに困る質問なので、黙秘で!!」
「もう!!何度言ってもくわかってなようだから、この際ハッキリさせとくよ。
ラルフや、エリアスなんかよりも真剣に、この世の誰よりも君を愛しいと思っているから!!」
「なんだろう・・。物凄い執着を感じるよ。君の言葉にさっきから違う意味でゾクゾクしてるよ。」
エリアスは、呆れた表情でコンラッドを見ていた。
なんだろう・・。
身震いと、寒気がしてきます。
美しい者って凶器ね。笑顔で絞殺されそうだわ。
ちなみに、今出てきたラルフって誰かしら??
これも今のタイミングで、質問を挟める雰囲気ではなさそうなのでまた今度聞こう!!
「・・すみません!1つ、質問いいですか!?」
私の言葉にみんなの注目が一点に集まった。
いやだなぁ・・。
みんな食いぎみで緊張する。
「じゃあ・・。家の汚名にならずに、どうやったら婚約破棄ってできるのかしら?」
「おいおい、アメリア。何を言っているの?さっきの話し聞いていた?
本当に頭を打って可笑しくなったの!?冗談でも笑えない」
「お、おお姉さま!?正気ですの??」
「お前、どうしたんだ!!今日は言葉が一つ一つ凶器だぞっ!!心臓が何度止まるかと・・。
あっ、今も止まったぞ!!」
「気のせいですよ。ピンピンして生きてらっしゃいますよ?お父様!」
頭を抱えたお父様と、驚いた表情のクラリスと、青筋が完璧に浮き出たコンラッド・・。
何かを考え込むような表情を見せているエリアス。
その質問に4者4様の表情の変化があった。
「なるほどね・・。家名を汚さない婚約破棄の仕方って難しいからね。でも、一つやり方はあるよ?」
「エリアス、辞めてくれないかな?うちの純粋な婚約者が間に受けてしまうだろう。」
「アメリア嬢は先程、貴方はエリアスを見て、皇剣5士のコンラッドかと尋ねたよね?」
「・・はい。間違っていたらすみません。」
「エレインガルド皇国とその皇族を守るための選ばれた剣士である皇剣5士に指名される実力を、彼は持っているんだよ。コンラッドは、力も剣の腕も飛びぬけて優秀だからな。」
「・・そうなんですか。凄いじゃないですか!」
「いずれ、コンラッドは皇剣5士に選ばれるかもしれない。エレインガルド魔術学院に入学して、シリウス達と肩を並べ、その託宣を受けるかもしれない。だけど、コンラッドは断ってしまうよね?」
「止めてください。僕を買いかぶりすぎですよ・・。皇剣5士は、尋常じゃないほど強い方々の更に頂点に君臨する最強のエリートですよ?
自分なぞ、5本の指に入ることは叶いません」
吐き捨てるように話すと、コンラッドはエリアスを一瞥した。
クラリスとお父様は黙ってエリアスの話に耳を傾けている。
やっぱり皇剣5士ってすごいんだ・・。
可笑しいな・・。
コンラッドは、確かエメティアの設定では16歳で皇剣5士に入っていたはず。
「指名されても受ける気がないのだろう?
皇剣5士に指名されて、指名を受けた者は婚約者と結んでいた婚約を白紙に戻した上で、入隊する条件があるからね。密かにアメリア嬢との婚約を、完遂したいと考えていたお前は、その条件を飲む気はないだろうからな・・。」
「はははっ・・。エリアスはよく解ってますね。
託宣を受けても、その条件だけは甘んじて受けることは出来ないですね。僕が、皇剣5士の名誉なご指名を頂いてもお断りさせていただきますよ。」
エリアスを見るコンラッドの瞳は、決意に滲んでいた。面白くなさそうにエリアスは呆れた顔をして笑った。
なるほど・・。
婚約者が死んでいたコンラッドは、エメティアでは皇剣5士に入っていた訳ね。
でも、ちょっと待て!!
何でそーなる!?
コンラッドって、五士に入れる実力があるのに拒んでしまうの?
「正気ですか?5士に選ばれても受けないなんて・・。一人の女性との婚約よりも、国益でしょう!?」
「アメリア、今のは聞き流せないかな?・・何だって?」
青筋が入った笑顔のコンラッドは声にも圧が。
「ちょっと、お姉さまってば!コンラッド様に何て事を仰るんですか??!」
クラリスは涙目でパクパクと口をあけながら眉根を寄せていた。
コンラッドも流石に真顔で私を見つめた。
私も、変わらない表情でコンラッドを見つめ返した。
「国の平和を守る重要な要職の託宣を婚約破棄が嫌だから蹴るなんて・・。理解出来ないもの!
選ばれるだけでも素晴らしく名誉なことなのに。皇剣5士に私が入れるなら入りたいくら・・い・・?」
ちょっと待ってよ?
もしも私が皇剣5士に入ったら、婚約も平和的に解消される!?
その上で、剣と魔法の世界を楽しんで、エメティアの世界にどっぷり浸る事が出来るんじゃ!?
クラリスのロマンスを傍観者として楽しめるし。
ここにいる腹黒婚約希望者様と心身ともに距離が取れるわ!!
「あの、私。前から皇剣5士に入りたいと思っていたの・・。国を守る5士に憧れていたんです!」
私は決意を込めて右手を大きく握りしめてガッツポーズをとった。
その言葉に部屋の中はシーンと静まり返った。
「君はか弱くて、華奢な女の子なんだ。
硝子の水差し以上に重い物なんか持ったことないじゃないか・・。君はそんなに、俺との婚約が嫌なの?」
泣きそうな顔で私の前で肩を掴んで見下ろしてくるコンラッドの目が見れない‥。
うう・・。罪悪感。
「コンラッド様、違うんです・・。
コンラッド様が嫌いなのではないくて。
先程も申しましたが、結婚自体が嫌なんです!!」
これは本音だもの。
何故なら、ゲームのルートを傍観者としてハピエンに導く工作があれこれ出来ないから。
ここは適当に話を合わせておくしかない!!
「私は生まれた時からずっーと家の中で寝たきりで・・。自由なんてなくて、ずっと国を守る為に活躍する皇剣5士にずっと憧れていました・・。
自由に動き、剣を交えて戦うのが夢なの。
コンラッド様のように、私も魔法が使えるようになりたかったんです!!(興味本位)」
真剣な表情で見上げた私の強い決心を込めた瞳に、コンラッドの瞳は揺れていた。
「で、でも。お姉さまはお身体が・・。
あの、また無理をして、お体を壊してしまっては心配です。魔法を使えなくても、コンラッド様の奥様として侯爵家を切り盛りしながらも、何不自由のない生活を幸せに送った方が宜しいのでは・・。」
クラリスが、不安そうな表情で私を見ていた。
「まぁ、確かに・・。アメリアは自由がなかったかもしれない。身体を心配するが故だったのだが。
アメリアの主張や、気もちはよく解るが・・。だが、しかし・・。
婚約破棄も現実的ではないだろう?皇剣5士など強靭な精神と肉体がなければなれないんだぞ。」
父はくぐもった声でそう吐き捨てると、口を引き結んで下を見ていた。
「成る程。今のお話を聞くと、アメリアは、魔法を使ったことも剣で戦ったこともないんだね?」
エリアスは何かを考えながら天井を見上げていた。
「はい!魔法もですが、剣は触ったこともないですが、剣術を学んでみたかったんです!!(自棄)」
しどろもどろに答える私に対してエリアスが、顔を上げると私を見て得意げに笑った。
「そっか。じゃあ、試してみてはどう??」
「余計な事を言うな。エリアス!!・・心底迷惑な話だ。」
「お姉さまが剣術??危険です・・。お姉さまに剣術は似合いませんし!!」
クラリスとコンラッドは、エリアスに異議を申していた・・。
・・・が、私は違う!!
勉強と運動は大好きだもの!!
アメリアの設定が分からない以上・・。
死亡フラグ回避のためにも魔法力を高めて、剣術を極めて強くなるのは悪くない選択だわ!!
傍観しながらハピエンを目指す為には、あの最悪な霧散エンドをどうやって回避したらいいのかを
客観的なポジションで考えながら、アメリアとして生きなければいけない訳よね。
想定外のコンラッドとの婚約も、皇剣5士に入れば自動的に解消できるなんて・・。
ま・さ・に、一石二鳥!!
華麗なヒロインと、攻略対象とのハピエンを夏妃ちゃんに見せてあげたいっ!!
外野は落ち着かない様子で口々に何かを言っているけれど。
出来ないなんて分からないじゃない・・!!
あんな高い塔からダイブしても、無傷で無事だったんだからイケる。
そんな予感がする。(根拠なし)
「試したい・・。私、やりたいです!!」
「機会さえ頂けるのであれば・・。挑戦させて下さい!」
私は菫色の大きな瞳を更に大きく見開いて答えた。
エリアスと、コンラッドはアメリアを見つめながらコクリと息を飲んだ。
その菫色の瞳には、強い光が輝いていた。
コンラッドの低い声が部屋に響いた。
これ、蛇に睨まれた蛙状態ってやつ!?
さっきの私の台詞は間違いなく失言だ・・。
どうしょう!?
・・自爆だ。
青筋が気のせいがさっきより目立っているコンラッドが、私に笑いかける。
再度距離を縮めたコンラッドは、私のプラチナの髪を一房取りその唇を当てた。
「ああ、そうか・・。アメリアは、エリアスの迷惑な申し出のせいで混乱している場を納めようと、柄でもなく冗談を言ってしまっただけでしょう?」
「いや、あの・・。
あはは・・。以外と、冗談でもないかなー・・なんて!
!」
コンラッドの青い瞳が一瞬鋭さを持った。
やばい・・。
うっかり殺意を向けられた気がする。
私の腕にはぶつぶつの鳥肌が立っていた。
「現実を見れば?アメリアはコンラッドとの婚約に悩みを抱えてたんじゃないかな・・。
結婚願望はないって、彼女の口からハッキリそう聞いたばかりだけど?」
「ふふふ・・。冗談だよね。
そんな恐ろしいことを考えない方がいいよ??
正式に婚約証書を交わした二人が婚約を破棄するなんて、よっぽどの事情がない限り出来ないんだよ。しかも破棄してしまったら、家名に傷がつくし、他の貴族との婚姻も結べなくなることも少なくない・・。」
ずいっと物理的な距離を詰めてきたコンラッドは、青い吸い込まれそうな瞳で私を見つめた。
「僕たちは、身分的にもそこまで離れていないし。
伯爵は優秀なお方だし、母君は星水晶宮と深い関わりを持つ神聖な血族出身の方だ。
それに、父親たちは昔からの友人同士なんだ。
初めて会った時から、アメリアのその白金の天使のような美しい髪と、零れ落ちそうな菫色の瞳が誰よりも美しいと思っているよ。それとも、君は僕に全く好意を持っていなかったのかい?」
どうなんだろう・・。
アメリアの記憶を辿っても、思い出せない。
「えっと・・。お答えに困る質問なので、黙秘で!!」
「もう!!何度言ってもくわかってなようだから、この際ハッキリさせとくよ。
ラルフや、エリアスなんかよりも真剣に、この世の誰よりも君を愛しいと思っているから!!」
「なんだろう・・。物凄い執着を感じるよ。君の言葉にさっきから違う意味でゾクゾクしてるよ。」
エリアスは、呆れた表情でコンラッドを見ていた。
なんだろう・・。
身震いと、寒気がしてきます。
美しい者って凶器ね。笑顔で絞殺されそうだわ。
ちなみに、今出てきたラルフって誰かしら??
これも今のタイミングで、質問を挟める雰囲気ではなさそうなのでまた今度聞こう!!
「・・すみません!1つ、質問いいですか!?」
私の言葉にみんなの注目が一点に集まった。
いやだなぁ・・。
みんな食いぎみで緊張する。
「じゃあ・・。家の汚名にならずに、どうやったら婚約破棄ってできるのかしら?」
「おいおい、アメリア。何を言っているの?さっきの話し聞いていた?
本当に頭を打って可笑しくなったの!?冗談でも笑えない」
「お、おお姉さま!?正気ですの??」
「お前、どうしたんだ!!今日は言葉が一つ一つ凶器だぞっ!!心臓が何度止まるかと・・。
あっ、今も止まったぞ!!」
「気のせいですよ。ピンピンして生きてらっしゃいますよ?お父様!」
頭を抱えたお父様と、驚いた表情のクラリスと、青筋が完璧に浮き出たコンラッド・・。
何かを考え込むような表情を見せているエリアス。
その質問に4者4様の表情の変化があった。
「なるほどね・・。家名を汚さない婚約破棄の仕方って難しいからね。でも、一つやり方はあるよ?」
「エリアス、辞めてくれないかな?うちの純粋な婚約者が間に受けてしまうだろう。」
「アメリア嬢は先程、貴方はエリアスを見て、皇剣5士のコンラッドかと尋ねたよね?」
「・・はい。間違っていたらすみません。」
「エレインガルド皇国とその皇族を守るための選ばれた剣士である皇剣5士に指名される実力を、彼は持っているんだよ。コンラッドは、力も剣の腕も飛びぬけて優秀だからな。」
「・・そうなんですか。凄いじゃないですか!」
「いずれ、コンラッドは皇剣5士に選ばれるかもしれない。エレインガルド魔術学院に入学して、シリウス達と肩を並べ、その託宣を受けるかもしれない。だけど、コンラッドは断ってしまうよね?」
「止めてください。僕を買いかぶりすぎですよ・・。皇剣5士は、尋常じゃないほど強い方々の更に頂点に君臨する最強のエリートですよ?
自分なぞ、5本の指に入ることは叶いません」
吐き捨てるように話すと、コンラッドはエリアスを一瞥した。
クラリスとお父様は黙ってエリアスの話に耳を傾けている。
やっぱり皇剣5士ってすごいんだ・・。
可笑しいな・・。
コンラッドは、確かエメティアの設定では16歳で皇剣5士に入っていたはず。
「指名されても受ける気がないのだろう?
皇剣5士に指名されて、指名を受けた者は婚約者と結んでいた婚約を白紙に戻した上で、入隊する条件があるからね。密かにアメリア嬢との婚約を、完遂したいと考えていたお前は、その条件を飲む気はないだろうからな・・。」
「はははっ・・。エリアスはよく解ってますね。
託宣を受けても、その条件だけは甘んじて受けることは出来ないですね。僕が、皇剣5士の名誉なご指名を頂いてもお断りさせていただきますよ。」
エリアスを見るコンラッドの瞳は、決意に滲んでいた。面白くなさそうにエリアスは呆れた顔をして笑った。
なるほど・・。
婚約者が死んでいたコンラッドは、エメティアでは皇剣5士に入っていた訳ね。
でも、ちょっと待て!!
何でそーなる!?
コンラッドって、五士に入れる実力があるのに拒んでしまうの?
「正気ですか?5士に選ばれても受けないなんて・・。一人の女性との婚約よりも、国益でしょう!?」
「アメリア、今のは聞き流せないかな?・・何だって?」
青筋が入った笑顔のコンラッドは声にも圧が。
「ちょっと、お姉さまってば!コンラッド様に何て事を仰るんですか??!」
クラリスは涙目でパクパクと口をあけながら眉根を寄せていた。
コンラッドも流石に真顔で私を見つめた。
私も、変わらない表情でコンラッドを見つめ返した。
「国の平和を守る重要な要職の託宣を婚約破棄が嫌だから蹴るなんて・・。理解出来ないもの!
選ばれるだけでも素晴らしく名誉なことなのに。皇剣5士に私が入れるなら入りたいくら・・い・・?」
ちょっと待ってよ?
もしも私が皇剣5士に入ったら、婚約も平和的に解消される!?
その上で、剣と魔法の世界を楽しんで、エメティアの世界にどっぷり浸る事が出来るんじゃ!?
クラリスのロマンスを傍観者として楽しめるし。
ここにいる腹黒婚約希望者様と心身ともに距離が取れるわ!!
「あの、私。前から皇剣5士に入りたいと思っていたの・・。国を守る5士に憧れていたんです!」
私は決意を込めて右手を大きく握りしめてガッツポーズをとった。
その言葉に部屋の中はシーンと静まり返った。
「君はか弱くて、華奢な女の子なんだ。
硝子の水差し以上に重い物なんか持ったことないじゃないか・・。君はそんなに、俺との婚約が嫌なの?」
泣きそうな顔で私の前で肩を掴んで見下ろしてくるコンラッドの目が見れない‥。
うう・・。罪悪感。
「コンラッド様、違うんです・・。
コンラッド様が嫌いなのではないくて。
先程も申しましたが、結婚自体が嫌なんです!!」
これは本音だもの。
何故なら、ゲームのルートを傍観者としてハピエンに導く工作があれこれ出来ないから。
ここは適当に話を合わせておくしかない!!
「私は生まれた時からずっーと家の中で寝たきりで・・。自由なんてなくて、ずっと国を守る為に活躍する皇剣5士にずっと憧れていました・・。
自由に動き、剣を交えて戦うのが夢なの。
コンラッド様のように、私も魔法が使えるようになりたかったんです!!(興味本位)」
真剣な表情で見上げた私の強い決心を込めた瞳に、コンラッドの瞳は揺れていた。
「で、でも。お姉さまはお身体が・・。
あの、また無理をして、お体を壊してしまっては心配です。魔法を使えなくても、コンラッド様の奥様として侯爵家を切り盛りしながらも、何不自由のない生活を幸せに送った方が宜しいのでは・・。」
クラリスが、不安そうな表情で私を見ていた。
「まぁ、確かに・・。アメリアは自由がなかったかもしれない。身体を心配するが故だったのだが。
アメリアの主張や、気もちはよく解るが・・。だが、しかし・・。
婚約破棄も現実的ではないだろう?皇剣5士など強靭な精神と肉体がなければなれないんだぞ。」
父はくぐもった声でそう吐き捨てると、口を引き結んで下を見ていた。
「成る程。今のお話を聞くと、アメリアは、魔法を使ったことも剣で戦ったこともないんだね?」
エリアスは何かを考えながら天井を見上げていた。
「はい!魔法もですが、剣は触ったこともないですが、剣術を学んでみたかったんです!!(自棄)」
しどろもどろに答える私に対してエリアスが、顔を上げると私を見て得意げに笑った。
「そっか。じゃあ、試してみてはどう??」
「余計な事を言うな。エリアス!!・・心底迷惑な話だ。」
「お姉さまが剣術??危険です・・。お姉さまに剣術は似合いませんし!!」
クラリスとコンラッドは、エリアスに異議を申していた・・。
・・・が、私は違う!!
勉強と運動は大好きだもの!!
アメリアの設定が分からない以上・・。
死亡フラグ回避のためにも魔法力を高めて、剣術を極めて強くなるのは悪くない選択だわ!!
傍観しながらハピエンを目指す為には、あの最悪な霧散エンドをどうやって回避したらいいのかを
客観的なポジションで考えながら、アメリアとして生きなければいけない訳よね。
想定外のコンラッドとの婚約も、皇剣5士に入れば自動的に解消できるなんて・・。
ま・さ・に、一石二鳥!!
華麗なヒロインと、攻略対象とのハピエンを夏妃ちゃんに見せてあげたいっ!!
外野は落ち着かない様子で口々に何かを言っているけれど。
出来ないなんて分からないじゃない・・!!
あんな高い塔からダイブしても、無傷で無事だったんだからイケる。
そんな予感がする。(根拠なし)
「試したい・・。私、やりたいです!!」
「機会さえ頂けるのであれば・・。挑戦させて下さい!」
私は菫色の大きな瞳を更に大きく見開いて答えた。
エリアスと、コンラッドはアメリアを見つめながらコクリと息を飲んだ。
その菫色の瞳には、強い光が輝いていた。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
悪役令嬢は処刑されました
菜花
ファンタジー
王家の命で王太子と婚約したペネロペ。しかしそれは不幸な婚約と言う他なく、最終的にペネロペは冤罪で処刑される。彼女の処刑後の話と、転生後の話。カクヨム様でも投稿しています。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
攻略対象の王子様は放置されました
白生荼汰
恋愛
……前回と違う。
お茶会で公爵令嬢の不在に、前回と前世を思い出した王子様。
今回の公爵令嬢は、どうも婚約を避けたい様子だ。
小説家になろうにも投稿してます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる