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メインヒロインの双子の姉(死亡予定)に転生しました。
死亡フラグは回避したようです。②
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「クラリス、今の話しは本当!?
双子の姉に婚約者って、そんな設定が有った?!」
「設定って何ですの?
う、嘘なんてつきませんわ!!
お姉さまの婚約者ですよ?本当に覚えてらっしゃらないの?!」
困惑した表情のクラリスは、不安げに父を見つめていた。
溢れ落ちそうな瑠璃色の瞳は宝石みたい。
ああ、クラリスは心配している顔も可愛いわ・・。
はっ、見とれている場合ではなかった!!
アメリア=エレクシードには亡くなる前に婚約者がいたんだっけ?そんな会話あったかしら。
本人の記憶を辿ろうとしても、鍵がかかった部分が多くて、自力では思い出せない箇所がある。
「2日も寝ていたから、記憶が混濁していて・・。」
「よっぽど強く頭を打ってしまったのだな。
自分の婚約者を思い出せないなんて。
アメリアは、何度も婚約者であるコンラッド殿とお会いしてきただろう?」
「そうですわ!コンラッド様は、お姉さまが倒れたと知らせを受けてすぐにこの部屋に駆けつけて下さいました。昨日も皇宮に足を運んで、お姉さまのお見舞いに何度も訪れて下さいましたのに・・。」
「コンラッド?・・コンラッド。・・様!??」
うっかり呼び捨ててしまった私は慌てて様を取って付けた。
どこかでその名前も目にした覚えがあるけど・・。
考え込んでいる私の様子に、父とクラリスは真っ青になって話し合いをし出していた。
「アメリア嬢には、すでに婚約者がいるのですね?そのお相手がコンラッド・・なのですか?」
伯爵は青ざめた顔で、慌ててエリアスに向かった頭を下げた。
「恐れながらエリアス様っ!!
アメリアは、アルグラード侯爵家の嫡男コンラッド様との婚約を結んでおります!
皇子からの光栄な申し出は名誉なことではありますが、大変恐縮ではございますが・・。お受けできかねます。申し訳ありません。」
父の真摯なその言葉にエリアスは息を飲んだ。
「確認しますが、コンラッドって・・。
あのコンラッド=アルグラードですか??
私も幼いころから仲良くさせていただいていますが・・。婚約者がいる話は一度も聞いたこともないんですが・・。」
一瞬、部屋に静けさが広がった。
トントン・・。
その時、再び部屋をノックする音が聞こえてきた。
呆然とした表情を浮かべたままのエリアスと伯爵は扉のノックの音に同時に振り返った。
ずっとコンラッドについて考え込んでいた私は、閃いたようにむくっと顔を上げた。
思い出した・・。
・・確か、夏妃ちゃんの一押しルートのハピエンが叶う攻略対象じゃない!!
「・・コンラッドって、皇剣5士のコンラッド=アルグラードですか!?」
私が急にベッドから立ち上がって叫んだその言葉に、みんなが驚いて固まった。
父とクラリス、エリアスの後ろにもっと驚いた表情を浮かべた少年が私を見上げて棒立ちしていた。
見覚えのある美少年と目があった私は、ひどく狼狽してしまった。
「皇剣5士?俺が?アメリア、一体何の話をしているの?」
あ・・。
コンラッド発見!
納得。
流石攻略対象ね・・。
涼しげな青色シャツに赤のタイ。
白線で縁取られた黒地のジャケットを身につけていた。
赤みがかった栗色に、サファイアのような碧眼の中性な少年が不思議そうに私を見ている。
長い睫毛で縁取られた丸みのある大きい瞳。
犬のような懐っこい笑みで首をかしげた。
アイドル系の容姿の美少年が私を見つめていた。
「コ・・、コンラッド様?!」
慌てたクラリスと、父はあわあわと困惑した表情を浮かべていた。
「コンラッド殿。アメリアは目を覚ましたんだが・・。どうも様子が可笑しくて。
記憶や、性格がいつもと違っていてね。恐らくは、一時的な物だとは思うのだが・・。」
「そうですか、目覚めて良かった・・!!
アメリアらしくないと言えばそうですが、それも彼女の一部ですよね?婚約者の性格はどんなものでも愛しいものです。僕は明るい彼女も、受け入れますよ。エレクシード伯爵。」
柔らかい笑みで空気を柔らげた。
ポカンとした私の前に、コンラッドはスタスタと歩いてきて微笑んだ。
「大丈夫ですか??エリアスの誕生日の宴に参加すると聞いた時から、このような事態になるのではないかと心配してました。
ずっと不調が続いていたのに、貴方はいつも無理するから・・。」
私の頭をポンボンと撫でて、頭の上に手を置いたまま、髪に口づけを落とした。
「うっひゃあ!!な、何ですか?!」
「心配かけた罰です。・・眠れませんでしたよ」
間近に迫って来たコンラッドの爽やかな笑顔と、甘い声でなぞられる気障な台詞に、アレルギーが出そうだった。
・・なんか、腕がかゆい。
なんか作られた優等生感、覚えがあるような・・。
サイコパス系の原石かしら?
「お、お気遣い有り難うございます。
あの、本当にもう大丈夫ですから・・。あはは、距離が近いですよ。」
「アメリアは、相変わらず照れ屋さんですね。そこもまた謙虚で愛らしいです。」
不安を感じて一瞬で後に下がった私は、自分とコンラッドとの間に距離を取って苦く笑った。
「・・わざとらしいな。
コンラッド、君はいつにも増して嘘臭いぞ。」
張り付いた笑顔を崩さないコンラッドは、エリアスの放った容赦ない言葉に一拍の間をあけてから、エリアスに視線を向けた。
「ああ、すぐに存在に気がつかなくて申し訳ありませんでした。・・エリアス、我が婚約者の介抱をしていただきまして有難うございました。」
「余興の際に、彼女が倒れていたのをシリウスが発見したのだ。客人に対して療養のために世話をするのは当然の行為だよ。アメリア嬢が、お前の婚約者だと先程まで知らなかったよ・・。」
エリアスは、ピクッと眉を動かしながら冷たく笑った。
「うちの主治医も、皇宮の医師に負けず劣らず腕の立つ者を揃えておりますので。
何を置いても僕はアメリアが心配なのです。
伯爵、目を覚ましたアメリアを我が邸にお連れするのをお許しいただけますか?」
「・・コンラッド、君は相変わらずのようだね?
いつから聞いてたの?
僕の話も先ほどから廊下で聞き耳を立てていたんじゃないのか??お前にまさか、アメリア嬢のような可憐な婚約者がいたとは・・。」
「失礼しました。あまり必要性を感じなかったので。ただでさえ、アメリアに目をつける皇族は多いのに、あんた達にまで気に入られたくなかったんでね。こんなことさえなければ、結婚式のその日まで秘密のままでいたかったですよ。」
爽やかな笑顔のはずなのに、目の奥が笑っていないコンラッドの表情に私はビクッと肩を揺らして固まる。
・・コンラッドは、病んデレキャラなの?
そんな描写は一つもなかったし!!
爽やかな剣士で、令嬢たちの憧れの的。
ファンクラブチックな取り巻き。
コンラッド様に慕われ隊があったけれど・・。
エメティアの攻略対象は腹黒ばかりなのかしら。
面倒くさいんだけど・・。
「やだなぁ、君と僕の仲じゃないか?
秘密にされるのは寂しいよ。君に1つ提案なんだが・・・。
アメリア嬢を、僕の婚約者に譲ってくれないか?
君を慕う数多の令嬢たちが、アメリア嬢の存在を知ったらさ、彼女の身の安全が危くなってしまうと思うよ。君を慕う者の中に・・。攻撃的なご令嬢は多いからね?」
白薔薇のような皇子と、向日葵のような美少年は心なしか火花を散らしているように見える。
「・・面白い事をおっしゃる。エリアスは皇子なんだから、隣国の王女とか、高位貴族とか花に群がる蝶たちがいつも周りにうじゃうじゃいるだろう?
何故急に、うちのアメリアに目を付けるんだよ。
とっても迷惑だ!!
気軽に頼まれてもそんな簡単に譲るか。僕たちは、子どもの頃からの婚約なんだ。」
うちのって、私はあんたのじゃないんだけどな・・。
ものすごく文句を言いたいけど、ややこしくなりそうで言いづらい。
ここは黙秘しとこう・・。
「コ、コンラッド殿・・。あの、エリアス様も・・。落ち着いてください。正式な婚約を結んでおりますので、アメリアとコンラッド殿との簡単には白紙には戻せないのです。」
我が父は真っ青になって慌てている。
妹は、不安げにたれ目の大きな青い瞳を潤ませている。クラリスの儚さを見ているとついつい守ってあげたくなっちゃうよね。
まぁ、色々思うところはあるけど・・。
しかし、このゲーム・・。
エリアスといい、コンラッドといい・・。
「あっち系の攻略対象が多いわね。流石、成育歴にドロドロ設定で、みんな何かしら複雑なコンプレックスを抱えているし。
私が自分自身を守らないと駄目ね・・。
枠づけと、心身のバランスの良い距離感が大事だわ!!」
二人の横でボソッとつぶやくと、私は妹にこっそり耳打ちする。
「ねぇ・・。クラリス。貴方は、コンラッド様とエリアス様どちらが好み??」
「・・え?な、なにを仰るのお姉様!?
ど、どちらって・・。御二方はお姉さまを巡って喧嘩をされていますのよ?現状を分かっていらっしゃいますか!?」
「だって。やっていられないもの・・。
御二方とも腹黒いし。私の気持ちなんか置いてけぼりで勝手にお話しを進めてらっしゃるもの。
生憎、私は結婚には興味がないの。クラリスのロマンスなら興味はあってよ!!」
エリアスもコンラッドも。
どちらも「アメリア」を欲しがっているようには思えない・・。
何か意図があるように思えるのよね?
まだ、それが何かは分からないけれど・・。
「とにかく私は婚約を破棄して、クラリスのハピエンを押すわ!!」
「なんですか?ハピエンて」
「・・アメリア嬢、何て言ったの??今、クラリス嬢に婚約破棄って言わなかった??」
急に意見の押収を止めたエリアスは、驚いた顔でこちらを振り向いた。
地獄耳並みの聴覚の良さね・・。
「あ、あの・・。いやっ、そのコンラッド様も、エリアス様も私には釣りあってないし勿体無いというか・・。あまりにも偉大すぎるので、心からご遠慮したいなぁって・・思って?」
あ。
駄目だ・・。
墓穴しか掘ってない感。
エリアスはポカンとした表情を浮かべているし、コンラッドはこめかみに青筋が見えてる。
双子の姉に婚約者って、そんな設定が有った?!」
「設定って何ですの?
う、嘘なんてつきませんわ!!
お姉さまの婚約者ですよ?本当に覚えてらっしゃらないの?!」
困惑した表情のクラリスは、不安げに父を見つめていた。
溢れ落ちそうな瑠璃色の瞳は宝石みたい。
ああ、クラリスは心配している顔も可愛いわ・・。
はっ、見とれている場合ではなかった!!
アメリア=エレクシードには亡くなる前に婚約者がいたんだっけ?そんな会話あったかしら。
本人の記憶を辿ろうとしても、鍵がかかった部分が多くて、自力では思い出せない箇所がある。
「2日も寝ていたから、記憶が混濁していて・・。」
「よっぽど強く頭を打ってしまったのだな。
自分の婚約者を思い出せないなんて。
アメリアは、何度も婚約者であるコンラッド殿とお会いしてきただろう?」
「そうですわ!コンラッド様は、お姉さまが倒れたと知らせを受けてすぐにこの部屋に駆けつけて下さいました。昨日も皇宮に足を運んで、お姉さまのお見舞いに何度も訪れて下さいましたのに・・。」
「コンラッド?・・コンラッド。・・様!??」
うっかり呼び捨ててしまった私は慌てて様を取って付けた。
どこかでその名前も目にした覚えがあるけど・・。
考え込んでいる私の様子に、父とクラリスは真っ青になって話し合いをし出していた。
「アメリア嬢には、すでに婚約者がいるのですね?そのお相手がコンラッド・・なのですか?」
伯爵は青ざめた顔で、慌ててエリアスに向かった頭を下げた。
「恐れながらエリアス様っ!!
アメリアは、アルグラード侯爵家の嫡男コンラッド様との婚約を結んでおります!
皇子からの光栄な申し出は名誉なことではありますが、大変恐縮ではございますが・・。お受けできかねます。申し訳ありません。」
父の真摯なその言葉にエリアスは息を飲んだ。
「確認しますが、コンラッドって・・。
あのコンラッド=アルグラードですか??
私も幼いころから仲良くさせていただいていますが・・。婚約者がいる話は一度も聞いたこともないんですが・・。」
一瞬、部屋に静けさが広がった。
トントン・・。
その時、再び部屋をノックする音が聞こえてきた。
呆然とした表情を浮かべたままのエリアスと伯爵は扉のノックの音に同時に振り返った。
ずっとコンラッドについて考え込んでいた私は、閃いたようにむくっと顔を上げた。
思い出した・・。
・・確か、夏妃ちゃんの一押しルートのハピエンが叶う攻略対象じゃない!!
「・・コンラッドって、皇剣5士のコンラッド=アルグラードですか!?」
私が急にベッドから立ち上がって叫んだその言葉に、みんなが驚いて固まった。
父とクラリス、エリアスの後ろにもっと驚いた表情を浮かべた少年が私を見上げて棒立ちしていた。
見覚えのある美少年と目があった私は、ひどく狼狽してしまった。
「皇剣5士?俺が?アメリア、一体何の話をしているの?」
あ・・。
コンラッド発見!
納得。
流石攻略対象ね・・。
涼しげな青色シャツに赤のタイ。
白線で縁取られた黒地のジャケットを身につけていた。
赤みがかった栗色に、サファイアのような碧眼の中性な少年が不思議そうに私を見ている。
長い睫毛で縁取られた丸みのある大きい瞳。
犬のような懐っこい笑みで首をかしげた。
アイドル系の容姿の美少年が私を見つめていた。
「コ・・、コンラッド様?!」
慌てたクラリスと、父はあわあわと困惑した表情を浮かべていた。
「コンラッド殿。アメリアは目を覚ましたんだが・・。どうも様子が可笑しくて。
記憶や、性格がいつもと違っていてね。恐らくは、一時的な物だとは思うのだが・・。」
「そうですか、目覚めて良かった・・!!
アメリアらしくないと言えばそうですが、それも彼女の一部ですよね?婚約者の性格はどんなものでも愛しいものです。僕は明るい彼女も、受け入れますよ。エレクシード伯爵。」
柔らかい笑みで空気を柔らげた。
ポカンとした私の前に、コンラッドはスタスタと歩いてきて微笑んだ。
「大丈夫ですか??エリアスの誕生日の宴に参加すると聞いた時から、このような事態になるのではないかと心配してました。
ずっと不調が続いていたのに、貴方はいつも無理するから・・。」
私の頭をポンボンと撫でて、頭の上に手を置いたまま、髪に口づけを落とした。
「うっひゃあ!!な、何ですか?!」
「心配かけた罰です。・・眠れませんでしたよ」
間近に迫って来たコンラッドの爽やかな笑顔と、甘い声でなぞられる気障な台詞に、アレルギーが出そうだった。
・・なんか、腕がかゆい。
なんか作られた優等生感、覚えがあるような・・。
サイコパス系の原石かしら?
「お、お気遣い有り難うございます。
あの、本当にもう大丈夫ですから・・。あはは、距離が近いですよ。」
「アメリアは、相変わらず照れ屋さんですね。そこもまた謙虚で愛らしいです。」
不安を感じて一瞬で後に下がった私は、自分とコンラッドとの間に距離を取って苦く笑った。
「・・わざとらしいな。
コンラッド、君はいつにも増して嘘臭いぞ。」
張り付いた笑顔を崩さないコンラッドは、エリアスの放った容赦ない言葉に一拍の間をあけてから、エリアスに視線を向けた。
「ああ、すぐに存在に気がつかなくて申し訳ありませんでした。・・エリアス、我が婚約者の介抱をしていただきまして有難うございました。」
「余興の際に、彼女が倒れていたのをシリウスが発見したのだ。客人に対して療養のために世話をするのは当然の行為だよ。アメリア嬢が、お前の婚約者だと先程まで知らなかったよ・・。」
エリアスは、ピクッと眉を動かしながら冷たく笑った。
「うちの主治医も、皇宮の医師に負けず劣らず腕の立つ者を揃えておりますので。
何を置いても僕はアメリアが心配なのです。
伯爵、目を覚ましたアメリアを我が邸にお連れするのをお許しいただけますか?」
「・・コンラッド、君は相変わらずのようだね?
いつから聞いてたの?
僕の話も先ほどから廊下で聞き耳を立てていたんじゃないのか??お前にまさか、アメリア嬢のような可憐な婚約者がいたとは・・。」
「失礼しました。あまり必要性を感じなかったので。ただでさえ、アメリアに目をつける皇族は多いのに、あんた達にまで気に入られたくなかったんでね。こんなことさえなければ、結婚式のその日まで秘密のままでいたかったですよ。」
爽やかな笑顔のはずなのに、目の奥が笑っていないコンラッドの表情に私はビクッと肩を揺らして固まる。
・・コンラッドは、病んデレキャラなの?
そんな描写は一つもなかったし!!
爽やかな剣士で、令嬢たちの憧れの的。
ファンクラブチックな取り巻き。
コンラッド様に慕われ隊があったけれど・・。
エメティアの攻略対象は腹黒ばかりなのかしら。
面倒くさいんだけど・・。
「やだなぁ、君と僕の仲じゃないか?
秘密にされるのは寂しいよ。君に1つ提案なんだが・・・。
アメリア嬢を、僕の婚約者に譲ってくれないか?
君を慕う数多の令嬢たちが、アメリア嬢の存在を知ったらさ、彼女の身の安全が危くなってしまうと思うよ。君を慕う者の中に・・。攻撃的なご令嬢は多いからね?」
白薔薇のような皇子と、向日葵のような美少年は心なしか火花を散らしているように見える。
「・・面白い事をおっしゃる。エリアスは皇子なんだから、隣国の王女とか、高位貴族とか花に群がる蝶たちがいつも周りにうじゃうじゃいるだろう?
何故急に、うちのアメリアに目を付けるんだよ。
とっても迷惑だ!!
気軽に頼まれてもそんな簡単に譲るか。僕たちは、子どもの頃からの婚約なんだ。」
うちのって、私はあんたのじゃないんだけどな・・。
ものすごく文句を言いたいけど、ややこしくなりそうで言いづらい。
ここは黙秘しとこう・・。
「コ、コンラッド殿・・。あの、エリアス様も・・。落ち着いてください。正式な婚約を結んでおりますので、アメリアとコンラッド殿との簡単には白紙には戻せないのです。」
我が父は真っ青になって慌てている。
妹は、不安げにたれ目の大きな青い瞳を潤ませている。クラリスの儚さを見ているとついつい守ってあげたくなっちゃうよね。
まぁ、色々思うところはあるけど・・。
しかし、このゲーム・・。
エリアスといい、コンラッドといい・・。
「あっち系の攻略対象が多いわね。流石、成育歴にドロドロ設定で、みんな何かしら複雑なコンプレックスを抱えているし。
私が自分自身を守らないと駄目ね・・。
枠づけと、心身のバランスの良い距離感が大事だわ!!」
二人の横でボソッとつぶやくと、私は妹にこっそり耳打ちする。
「ねぇ・・。クラリス。貴方は、コンラッド様とエリアス様どちらが好み??」
「・・え?な、なにを仰るのお姉様!?
ど、どちらって・・。御二方はお姉さまを巡って喧嘩をされていますのよ?現状を分かっていらっしゃいますか!?」
「だって。やっていられないもの・・。
御二方とも腹黒いし。私の気持ちなんか置いてけぼりで勝手にお話しを進めてらっしゃるもの。
生憎、私は結婚には興味がないの。クラリスのロマンスなら興味はあってよ!!」
エリアスもコンラッドも。
どちらも「アメリア」を欲しがっているようには思えない・・。
何か意図があるように思えるのよね?
まだ、それが何かは分からないけれど・・。
「とにかく私は婚約を破棄して、クラリスのハピエンを押すわ!!」
「なんですか?ハピエンて」
「・・アメリア嬢、何て言ったの??今、クラリス嬢に婚約破棄って言わなかった??」
急に意見の押収を止めたエリアスは、驚いた顔でこちらを振り向いた。
地獄耳並みの聴覚の良さね・・。
「あ、あの・・。いやっ、そのコンラッド様も、エリアス様も私には釣りあってないし勿体無いというか・・。あまりにも偉大すぎるので、心からご遠慮したいなぁって・・思って?」
あ。
駄目だ・・。
墓穴しか掘ってない感。
エリアスはポカンとした表情を浮かべているし、コンラッドはこめかみに青筋が見えてる。
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