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第10話 夕食
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あのあと俺たちはアリアさんとシャルロットさんの特訓を行った。
結果から言うとシャルロットさんはなんとか『アクアシュート』を習得したが、『アクアショット』は習得できなかった。
アリアさんはほとんど防御力が上がらなかった。
最後は三人がかり(シャルロットさんがアクアシュートを習得後)になって特訓したが防御力は上がらなかった。
どうやら本格的にアリアさんは防御魔法が苦手らしい。
その日は時間切れとなり、明日の朝九時から本選を開始するという知らせを受けたため、はやめに切り上げることにしたのだが、
「なんでまだお前がここにいるんだ、スティーブン」
「夕食をいただくために決まっているだろ」
スティーブンのみが俺の部屋に居座り続けていた。
「だからなんで俺がお前の夕食を用意しなきゃいけないんだ」
「今日の模擬戦の勝負もつかなかったのだし別に文句もないだろ。それにお前の作る食事はおいしいからな。これからは毎日頼むぞ」
「文句ありだ。毎日とか無理に決まっているだろう。食事ならそもそも学園が提供してるんだし。それに材料費もかかる。さっさと帰れ。なんだったらもう一度模擬戦をやってもいいんだぞ」
「ほう。その気なら俺も相手になるぞ」
結局俺たちは本日二度目となる模擬戦をすることになった。
幸い、闘技場は夜ということもあって空いていたためそのまますぐに模擬戦を開始した。
ちなみに審判は途中でたまたま出会い、面白がったシルビア会長がしてくれることになった。
ルールは昼間と同じでただし、時間は無制限となった。
「それじゃあいくわよ。試合開始」
「フラッシュ、サウンド」
俺は今回は初手に『フラッシュ』と『サウンド』を用いてスティーブンに向けて放った。
さっきの模擬戦同様、初手に『ストローキングブレス』を放とうとしていたスティーブンはラフォスよりも一歩出遅れ、もろにその効果を受けた。
俺はスティーブンがもろに受けたのを確認するとすぐに『身体強化』と『氷の太刀』を使用し、そのままスティーブンに攻撃をしかけた。
「くっ、サンクチュアリ」
「しまった」
しかしそこでスティーブンによって『サンクチュアリ』が発動され、俺は弾き飛ばされた。
流石に『サンクチュアリ』でも『フラッシュ』や『サウンド』の効果は消すことができずまだスティーブンは動くことができない。
「ならライトオーラ」
『サンクチュアリ』を破壊すると同時に魔力消費を抑えるために『氷の太刀』に『ライトオーラ』を纏わせて攻撃をしかけた。
光属性下級魔法『ライトオーラ』は光属性を纏わせた部分に付与し、強化する魔法である。
この魔法は肉体に使用すると肉体を強化し、武器に使用すると武器を強化する魔法である。
しかし、『身体強化』よりも強化という面で劣り、また属性自体を纏うため場合によっては自分の魔法でダメージを負うこともあるため、あまり学生などには好まれない魔法である。
攻撃をしかけたものの防御力が高すぎて削りきるどころか逆に武器である太刀が削られている。
太刀の魔法も属性を持っているため一応、氷と光の二属性による攻撃なのだがこのままでは埒があかない。
「なら、ライトニングブレス」
かなり範囲を狭めた圧縮版『ライトニングブレス』を放った。
流石に圧縮しただけあって『サンクチュアリ』は崩れ去っていた。
俺は一気に畳み掛けるためにスティーブンに近づき、斬りかかろうとしたが届かなかった。
「これはグラビティドームか」
「正解だ。そして、ストローキングブレス」
「ぐっ」
『グラビティドーム』によって身動きが取れなくなったところへ容赦なくスティーブンからの『ストローキングブレス』を食らったのだった。
重力属性中級魔法『グラビティドーム』は使用者を中心に球状の重力場を発生させる魔法である。
この魔法の特徴は使用者がドーム内の重力を軽くすることも重くすることも自由にできるという点である。
ただしこれは使用者自身にも重力が働くため、重力を重くする際は重力属性中級魔法『グラビティ・ミオシ』を同時に用いることが多い。
重力属性中級魔法『グラビティ・ミオシ』は自身にかかる重力を軽減する魔法である。
この魔法は対重力属性として用いることが多い重力属性の魔法である。
そして、中級以上の重力属性を使えるものの大半が覚える魔法でもある。
重力属性の魔法の中には『グラビティドーム』のように使用者自身にも重力の負荷を与えることのある魔法が多く存在する。
このような魔法の多くは重力属性の魔法操作に慣れていくことで自身や味方にかかる重力のみ軽減する技術を手に入れることできる。
しかし、大半の重力属性を扱うものはその技術を持っていないものが多く、そのためによく用いられるのが重力軽減魔法である。
重力軽減魔法は重力属性に分類されながら重力属性の多くの攻撃手段である、重力の圧力による攻撃を緩和する、対重力属性の魔法である。
そのような事情から大半の重力属性を扱うものがよく使うのが、中級魔法の『グラビティ・ミオシ』である。
この魔法は中級魔法と比較的覚えやすい魔法である程度の効果があることからよく用いられる魔法である。
俺はとっさに太刀を覆っていた『ライトオーラ』を全身に纏うことで防御力を上げたがそれでもかなり範囲を狭められた『ストローキングブレス』は防げず、太刀を折られ、ダメージもかなりおってしまった。
俺自身に『身体強化』と『ライトオーラ』による二重の強化をしていなかったらかなりやばかった。
「甘く見ていたようだな。まだまだいくぞ爆炎弾」
「海獣の守り」
まためんどくさい『爆炎弾』をスティーブンが放ってきたためそれを防ぎつつ回復するために『海獣の守り』で防御する。
「ライトヒール」
光属性中級魔法『ライトヒール』を使って回復を行った。
この魔法は『ホーリーヒール』に比べると回復力は落ちるが『アクアヒール』に比べると回復力が上の魔法である。
「雷の太刀、さらにサンダーランス」
「んなっ!?えげつないな、お前は。ならダークロック。アイスロック」
「ラフォス、お前いつのまに後ろにまわってんだ。だが、その二つの魔法もグラビティドームの中じゃ意味がないぜ」
確かにグラビティドームの中では多くの属性もスピードが遅くなり決まりにくくなる。
とはいえ、全ての属性がそうと言うわけではなく例外も存在する。
「フラッシュ・アップ」
「ちょっと待て、それは反則だろ」
それがこの魔法、光属性下級魔法『フラッシュ・アップ』である。
この魔法はほんの一瞬だけこの魔法の効果を受けたもののスピードを跳ね上げる魔法である。
その跳ね上げられたスピードは『身体強化』などの比ではなく、本当に目にも止まらぬ速さである。
しかし、一瞬だけということから肉弾戦では使用されることがほとんどない、というよりも使用できないものである。
ほとんどが魔法にかけるという使い方になる。
ところで、今のことからもわかると思うが重力属性は多くの属性の天敵と言われている属性である。
しかし、全属性の中でも同じ重力属性、光属性、呪属性の三つの属性はあまり影響を受けない。
同じ重力属性は『グラビティ・ミオシ』のように軽減魔法が存在するためであるが、光属性は全属性随一のスピードから重力の影響を受けてもほとんど変化が起きないため、呪属性はその特徴である他者を直接害する、聖属性とは真逆の力のため重力属性の影響を受けないことからこの三属性が重力属性に対する有効な属性である。
案の定、スティーブンは俺の魔法を避けることができずに拘束されている。
本来であればこのような場面で『サンクチュアリ』を使えれば問題なかったのだろうが、すでに四回の中級魔法と二回の上級魔法を使っていて残りの魔力量も余裕があまりないようである。
「もう終わりみたいだねスティーブン。ライトニングブレス」
「確かにそのようだな。だが最後までやられはせん。ホーリーウォール」
俺の放った『ライトニングブレス』に対して聖属性中級魔法『ホーリーウォール』を使って防ごうとしたようだ。
今回は『ライトニングブレス』の範囲を狭めているので威力は申し分ない。
その結果、やはり中級魔法では防げず、スティーブンにも魔法は直撃した。
しかし威力はかなり相殺されたため、魔道具を壊しきることはできなかった。
「今回はここまでのようだな。降参だ」
スティーブンの降参発言とともに試合は終了した。
「二人ともお疲れ様。それでどうして二人は模擬戦をしたわけ。いつものことだからまたくだらない理由だろうけど教えてくれない」
「シルビア。いつもくだらないということはないだろ。それに今回の理由はお前にも関係あるものだぞ」
「あら、珍しい。それはどんな理由なのスティーブン」
「それはラフォスに夕食を作ってもらおうと思っていたんだ。シルビアにも関係ある話だろ」
「それは確かに関係ある話ね。そういうことなら善は急げ、速く料理を作ってもらいましょう」
「ちょっと待て、二人ともなんで勝手に話を進めているわけなの」
俺を置いてどんどん話が進んでいるようだがそうはいかない。
「俺はこの試合に勝ったからスティーブンに夕食を提供する話はなくなったんだよね」
「なんだその話か。確かにさっきの話はなくなった。だが今また別の話が上がったというだけだ」
「そうよ。今度は私も一緒に夕食をいただきたくことになるのかしら」
「なんで当事者無視して勝手に話を進めちゃうの二人は」
「いつものことだろ」
「いつものことでしょ」
「そうだけどさ~」
わりとこの流れはよくあることなんだけど、その度に俺はなんか損をしている気がするんだよね。
というか二人が揃って同じ事をしようとすると俺はほとんど止めることができないから困るんだよ。
そして大概俺に被害が飛んでくるし。
「それともさっきみたいに私達と模擬戦する?」
「そっちのほうが話が速そうだな。模擬戦するか?」
「いやしないから。絶対に俺に勝ち目ないし」
いくらなんでもそれは絶対に勝ち目がないので拒否する。
ただでさえ、魔力を消耗しているのにそこへ二対一しかもスティーブンとシルビア会長を同時に相手するなんて無理に決まっている。
今回は俺が負けを認めるしかないようだった。
「わかったよ。夕食を作ればいいんでしょ。今日だけだからね。ほら二人とも行くよ」
「わかってるじゃないかラフォス」
「ありがとうラフォス君」
俺の言葉に満足したようで二人は足取りを軽くして、俺はかなり足取りを重くて俺の寮の部屋に向かった。
「お帰りなさいませ。我が主。食材の下ごしらえを終えております」
「ありがとうスキア。これから料理するからシルビア会長とスティーブンを席に座らせておいてくれる?」
「わかりました」
スキアは俺の指示に素直に従って、二人を席に案内した。
俺はスキアが下ごしらえを済ませた食材を使い、料理を開始したのだった。
ちなみに食材は四人分あり、どうやらある程度予想していたようだった。
今回は明日もあるので簡単なものを作りすぐに食べさせて帰ってもらった。
もちろんスキアも一緒に食べた。
本人はかなり拒否していたが無理矢理座らせて食べさせたのだった。
結果から言うとシャルロットさんはなんとか『アクアシュート』を習得したが、『アクアショット』は習得できなかった。
アリアさんはほとんど防御力が上がらなかった。
最後は三人がかり(シャルロットさんがアクアシュートを習得後)になって特訓したが防御力は上がらなかった。
どうやら本格的にアリアさんは防御魔法が苦手らしい。
その日は時間切れとなり、明日の朝九時から本選を開始するという知らせを受けたため、はやめに切り上げることにしたのだが、
「なんでまだお前がここにいるんだ、スティーブン」
「夕食をいただくために決まっているだろ」
スティーブンのみが俺の部屋に居座り続けていた。
「だからなんで俺がお前の夕食を用意しなきゃいけないんだ」
「今日の模擬戦の勝負もつかなかったのだし別に文句もないだろ。それにお前の作る食事はおいしいからな。これからは毎日頼むぞ」
「文句ありだ。毎日とか無理に決まっているだろう。食事ならそもそも学園が提供してるんだし。それに材料費もかかる。さっさと帰れ。なんだったらもう一度模擬戦をやってもいいんだぞ」
「ほう。その気なら俺も相手になるぞ」
結局俺たちは本日二度目となる模擬戦をすることになった。
幸い、闘技場は夜ということもあって空いていたためそのまますぐに模擬戦を開始した。
ちなみに審判は途中でたまたま出会い、面白がったシルビア会長がしてくれることになった。
ルールは昼間と同じでただし、時間は無制限となった。
「それじゃあいくわよ。試合開始」
「フラッシュ、サウンド」
俺は今回は初手に『フラッシュ』と『サウンド』を用いてスティーブンに向けて放った。
さっきの模擬戦同様、初手に『ストローキングブレス』を放とうとしていたスティーブンはラフォスよりも一歩出遅れ、もろにその効果を受けた。
俺はスティーブンがもろに受けたのを確認するとすぐに『身体強化』と『氷の太刀』を使用し、そのままスティーブンに攻撃をしかけた。
「くっ、サンクチュアリ」
「しまった」
しかしそこでスティーブンによって『サンクチュアリ』が発動され、俺は弾き飛ばされた。
流石に『サンクチュアリ』でも『フラッシュ』や『サウンド』の効果は消すことができずまだスティーブンは動くことができない。
「ならライトオーラ」
『サンクチュアリ』を破壊すると同時に魔力消費を抑えるために『氷の太刀』に『ライトオーラ』を纏わせて攻撃をしかけた。
光属性下級魔法『ライトオーラ』は光属性を纏わせた部分に付与し、強化する魔法である。
この魔法は肉体に使用すると肉体を強化し、武器に使用すると武器を強化する魔法である。
しかし、『身体強化』よりも強化という面で劣り、また属性自体を纏うため場合によっては自分の魔法でダメージを負うこともあるため、あまり学生などには好まれない魔法である。
攻撃をしかけたものの防御力が高すぎて削りきるどころか逆に武器である太刀が削られている。
太刀の魔法も属性を持っているため一応、氷と光の二属性による攻撃なのだがこのままでは埒があかない。
「なら、ライトニングブレス」
かなり範囲を狭めた圧縮版『ライトニングブレス』を放った。
流石に圧縮しただけあって『サンクチュアリ』は崩れ去っていた。
俺は一気に畳み掛けるためにスティーブンに近づき、斬りかかろうとしたが届かなかった。
「これはグラビティドームか」
「正解だ。そして、ストローキングブレス」
「ぐっ」
『グラビティドーム』によって身動きが取れなくなったところへ容赦なくスティーブンからの『ストローキングブレス』を食らったのだった。
重力属性中級魔法『グラビティドーム』は使用者を中心に球状の重力場を発生させる魔法である。
この魔法の特徴は使用者がドーム内の重力を軽くすることも重くすることも自由にできるという点である。
ただしこれは使用者自身にも重力が働くため、重力を重くする際は重力属性中級魔法『グラビティ・ミオシ』を同時に用いることが多い。
重力属性中級魔法『グラビティ・ミオシ』は自身にかかる重力を軽減する魔法である。
この魔法は対重力属性として用いることが多い重力属性の魔法である。
そして、中級以上の重力属性を使えるものの大半が覚える魔法でもある。
重力属性の魔法の中には『グラビティドーム』のように使用者自身にも重力の負荷を与えることのある魔法が多く存在する。
このような魔法の多くは重力属性の魔法操作に慣れていくことで自身や味方にかかる重力のみ軽減する技術を手に入れることできる。
しかし、大半の重力属性を扱うものはその技術を持っていないものが多く、そのためによく用いられるのが重力軽減魔法である。
重力軽減魔法は重力属性に分類されながら重力属性の多くの攻撃手段である、重力の圧力による攻撃を緩和する、対重力属性の魔法である。
そのような事情から大半の重力属性を扱うものがよく使うのが、中級魔法の『グラビティ・ミオシ』である。
この魔法は中級魔法と比較的覚えやすい魔法である程度の効果があることからよく用いられる魔法である。
俺はとっさに太刀を覆っていた『ライトオーラ』を全身に纏うことで防御力を上げたがそれでもかなり範囲を狭められた『ストローキングブレス』は防げず、太刀を折られ、ダメージもかなりおってしまった。
俺自身に『身体強化』と『ライトオーラ』による二重の強化をしていなかったらかなりやばかった。
「甘く見ていたようだな。まだまだいくぞ爆炎弾」
「海獣の守り」
まためんどくさい『爆炎弾』をスティーブンが放ってきたためそれを防ぎつつ回復するために『海獣の守り』で防御する。
「ライトヒール」
光属性中級魔法『ライトヒール』を使って回復を行った。
この魔法は『ホーリーヒール』に比べると回復力は落ちるが『アクアヒール』に比べると回復力が上の魔法である。
「雷の太刀、さらにサンダーランス」
「んなっ!?えげつないな、お前は。ならダークロック。アイスロック」
「ラフォス、お前いつのまに後ろにまわってんだ。だが、その二つの魔法もグラビティドームの中じゃ意味がないぜ」
確かにグラビティドームの中では多くの属性もスピードが遅くなり決まりにくくなる。
とはいえ、全ての属性がそうと言うわけではなく例外も存在する。
「フラッシュ・アップ」
「ちょっと待て、それは反則だろ」
それがこの魔法、光属性下級魔法『フラッシュ・アップ』である。
この魔法はほんの一瞬だけこの魔法の効果を受けたもののスピードを跳ね上げる魔法である。
その跳ね上げられたスピードは『身体強化』などの比ではなく、本当に目にも止まらぬ速さである。
しかし、一瞬だけということから肉弾戦では使用されることがほとんどない、というよりも使用できないものである。
ほとんどが魔法にかけるという使い方になる。
ところで、今のことからもわかると思うが重力属性は多くの属性の天敵と言われている属性である。
しかし、全属性の中でも同じ重力属性、光属性、呪属性の三つの属性はあまり影響を受けない。
同じ重力属性は『グラビティ・ミオシ』のように軽減魔法が存在するためであるが、光属性は全属性随一のスピードから重力の影響を受けてもほとんど変化が起きないため、呪属性はその特徴である他者を直接害する、聖属性とは真逆の力のため重力属性の影響を受けないことからこの三属性が重力属性に対する有効な属性である。
案の定、スティーブンは俺の魔法を避けることができずに拘束されている。
本来であればこのような場面で『サンクチュアリ』を使えれば問題なかったのだろうが、すでに四回の中級魔法と二回の上級魔法を使っていて残りの魔力量も余裕があまりないようである。
「もう終わりみたいだねスティーブン。ライトニングブレス」
「確かにそのようだな。だが最後までやられはせん。ホーリーウォール」
俺の放った『ライトニングブレス』に対して聖属性中級魔法『ホーリーウォール』を使って防ごうとしたようだ。
今回は『ライトニングブレス』の範囲を狭めているので威力は申し分ない。
その結果、やはり中級魔法では防げず、スティーブンにも魔法は直撃した。
しかし威力はかなり相殺されたため、魔道具を壊しきることはできなかった。
「今回はここまでのようだな。降参だ」
スティーブンの降参発言とともに試合は終了した。
「二人ともお疲れ様。それでどうして二人は模擬戦をしたわけ。いつものことだからまたくだらない理由だろうけど教えてくれない」
「シルビア。いつもくだらないということはないだろ。それに今回の理由はお前にも関係あるものだぞ」
「あら、珍しい。それはどんな理由なのスティーブン」
「それはラフォスに夕食を作ってもらおうと思っていたんだ。シルビアにも関係ある話だろ」
「それは確かに関係ある話ね。そういうことなら善は急げ、速く料理を作ってもらいましょう」
「ちょっと待て、二人ともなんで勝手に話を進めているわけなの」
俺を置いてどんどん話が進んでいるようだがそうはいかない。
「俺はこの試合に勝ったからスティーブンに夕食を提供する話はなくなったんだよね」
「なんだその話か。確かにさっきの話はなくなった。だが今また別の話が上がったというだけだ」
「そうよ。今度は私も一緒に夕食をいただきたくことになるのかしら」
「なんで当事者無視して勝手に話を進めちゃうの二人は」
「いつものことだろ」
「いつものことでしょ」
「そうだけどさ~」
わりとこの流れはよくあることなんだけど、その度に俺はなんか損をしている気がするんだよね。
というか二人が揃って同じ事をしようとすると俺はほとんど止めることができないから困るんだよ。
そして大概俺に被害が飛んでくるし。
「それともさっきみたいに私達と模擬戦する?」
「そっちのほうが話が速そうだな。模擬戦するか?」
「いやしないから。絶対に俺に勝ち目ないし」
いくらなんでもそれは絶対に勝ち目がないので拒否する。
ただでさえ、魔力を消耗しているのにそこへ二対一しかもスティーブンとシルビア会長を同時に相手するなんて無理に決まっている。
今回は俺が負けを認めるしかないようだった。
「わかったよ。夕食を作ればいいんでしょ。今日だけだからね。ほら二人とも行くよ」
「わかってるじゃないかラフォス」
「ありがとうラフォス君」
俺の言葉に満足したようで二人は足取りを軽くして、俺はかなり足取りを重くて俺の寮の部屋に向かった。
「お帰りなさいませ。我が主。食材の下ごしらえを終えております」
「ありがとうスキア。これから料理するからシルビア会長とスティーブンを席に座らせておいてくれる?」
「わかりました」
スキアは俺の指示に素直に従って、二人を席に案内した。
俺はスキアが下ごしらえを済ませた食材を使い、料理を開始したのだった。
ちなみに食材は四人分あり、どうやらある程度予想していたようだった。
今回は明日もあるので簡単なものを作りすぐに食べさせて帰ってもらった。
もちろんスキアも一緒に食べた。
本人はかなり拒否していたが無理矢理座らせて食べさせたのだった。
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