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第4話 12階聖
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生徒会室に俺が着くとそこにはすでに二人の新入生と生徒会長がすでにいた。
生徒会長が俺を見つけると
「ラフォス君、こっちへ来てください」
俺は会長に呼ばれたので近づくと今回集まったことに関する説明を始めた。
「じゃあ全員そろったので説明を始めます。さっき入学式でもあいさつしたけど私は生徒会長のシルビアです。まず今回ここに集まってもらったのは12階聖の説明をするためです。人数が少ないって思っている人もいるかもしれないから先に言っておくけれど他の一年生の12階聖の人も別の場所で説明を受けていますので心配する必要はありません。詳しい説明をする前にまずお互いに自己紹介から始めましょうか。自己紹介のときは名前と自分が第何聖かと得意な属性を教えて下さい。それではシャルロットさんからお願いします」
会長の呼び掛けに俺の右に立っている女子が反応して自己紹介を始めた。
「私は第十二聖のシャルロットです。得意な属性は水属性と風属性です。よろしくお願いします」
「シャルロットさん、ありがとう。じゃあ次はラフォス君」
シャルロットさんの自己紹介のあと会長は俺に自己紹介を促した。
「俺は第七聖のラフォスです。得意な属性は光属性と闇属性です。よろしくお願いします」
「ラフォス君ありがとう。じゃあ最後はアリアさん」
俺の自己紹介のあとに会長は俺の左に立っている女子に自己紹介を促した。
「私は第六聖のアリアです。得意な属性は重力属性と土属性です。よろしくお願いします」
全員の自己紹介が終わると会長は俺たち全員をみながら説明の続きを話始めた。
「皆知っていると思うけど、12階聖っていうのは学年の代表十二人を指しています。選ぶ基準は基本的には成績だけど実績を考慮する場合もあります。12階聖の順位やメンバーの変動は生徒会からの許可がおりた模擬戦の結果によってごくまれに起こります。そして、12階聖の特権だけど各施設の使用優先度が他の生徒より高くなります。ほかにも学食を一日につき1人三人前までは無料になります。あとは行事ごとに発生するものが多いからその度に教えるね。ここまで何か質問はありますか」
会長からの問いに俺が少し考えているとアリアさんが会長に質問した。
「実績とはどのようなものなんですか」
「いい質問だね。実績っていうのは普段の試験で評価されないものだね。例えば皆、冒険者ギルドがあるのは知っているかしら。一応説明すると冒険者ギルドは採集や討伐などの依頼を受けて依頼が成功したら報酬がもらえるの。それで冒険者ギルドに登録をするとランクが貰えるんだけどこのランクが高かったりすると評価に加点されたりします。まあ、12階聖を決めるのは学校側がだからどれくらいの加点になるかわからないけどね。アリアさん。こんなかんじだけど疑問は解決できたかしら」
「はい。ありがとうございます」
そのあと特に質問もでず、会長が続きを話始めた。
「それで今回12階聖が別れて説明を聞いている理由だけど、これは12階聖の生徒に四人一組に別れてもらってその四人で行動をよくしてもらうからよ。まあ単純に言えば12階聖内でお互いに切磋琢磨して貰うためにチームを作ってチームごとに競いあってもらっているのよ。そして年度末にチームの成績が発表されて一番良かったチームには賞品が渡されるから頑張ってね。と、まあこんなかんじだけど何か質問はありますか」
会長からの問いに俺は話の途中から気になっていたことを質問した。
「会長、まず今ここにいるのは三人なんですがもう一人はどうしたんですか」
「ああ~もう一人は第一聖のスティーブン君なんですよ。彼は今日は家庭の事情で休みだからいないのよ。だからスティーブン君が学校に来たら今度はスティーブン君も交えて集まってもらうことになると思うわ。ラフォス君、理由はわかってもらえたかしら」
「わかりました。ありがとうございます」
「じゃあ他に質問はありますか」
再び会長がきいてきたので俺はもう一つの質問をした。
「会長、12階聖のメンバーが変わった場合はチームのメンバーも変わるんですか」
「そのことなら心配いらないわよ。チームのメンバーは一度決まれば変わらないから。それと今12階聖にいない人が12階聖に新しく加わったらその人には第四のチームになってもらうようになります。チームのメンバーは生徒会で選ぶから問題ないしね。新しい12階聖のメンバーがその後も現れた場合も第四のチームに入ってもらうようになります。メンバーの調整は生徒会でやるから問題ないしね。他には何か質問はありますか」
会長の答えをきいて納得していた俺の隣でシャルロットさんが会長に質問した。
「チームで行動するって言いましたけど具体的にはどれくらいのことをするんですか」
「具体的にか~。そうだね。一週間に一度は集まってもらうことになります。あとは基本的には三ヶ月に一回チーム対抗戦っていうのがあって模擬戦をしてもらうことになるよ。あとは生徒会から指示がある度に動いてもらうことになります。それぐらいかな。あとは質問はありますか」
会長からの問いに今度は誰も質問をする者は居なかった。
「じゃあ今日はこれで解散になります。何かわからないことがあったら生徒会室で相談を受け付けているからいつでも質問をしにきてね。あとラフォス君少し話があるからのこってね」
会長の言葉を受けて俺以外の二人は簡単なあいさつをしたあとに帰っていった。
俺と会長の二人になると俺は会長に残された理由をきいた。
「それで会長、今回はどのような用件があるのでしょうか」
俺が話しかけると会長は不満そうな顔をしながら
「いつもみたいにシル姉って呼んでくれないの」
と、言ってきたのであった。
俺はその言葉に気づかれないようにため息をついてから会長に言った。
「会長、ここは学校ですよ。」
「いいでしょ。別に学校だって。だからいつもみたいに呼んでよ」
再び会長の言葉を聞き、目の前にいる幼なじみである会長のシルビアをみながら言った。
「他の生徒にしめしがつきませんよ。少しは会長という立場も考えてください」
俺の言葉に少し不満そうにしながらもしぶしぶ頷いた会長は
「わかったわよ。でも、学校ではしょうがないけどそれ以外なら今まで通りに呼んでもらうからね」
迫りながら俺に言い、俺はうなづくことしかできなかった。
「ところで俺と同じ班で今日いなかったスティーブンって言うのはもしかしてあのスティーブン様ですか」
俺は入学式のときから気になっていたことを会長にきいた。
「そうよ。今日欠席したスティーブン君は私たちの幼なじみのスティーブン君よ」
会長からの答えは俺の予想を裏切ることのない解答で、今日欠席した第一聖は俺と会長の幼なじみのスティーブン様であるということだった。
俺と会長の幼なじみであるスティーブン様とはこの国の第一王子である。
そもそも俺とスティーブン様の出会いは俺がトクソ家の跡取りとして、魔道具販売の手伝いをし始めた頃に王家へ商品を納めることがあった。
その時に俺も王城に着いていき、そこでスティーブン様と出会ったのである。
出会った日から俺が王城に行く度に俺とスティーブン様は会い、一緒に遊んだり魔法や武術の練習をした。
そしてしばらくしてからシル姉が王城に来るようになり3人でよく遊ぶようになったのであった。
それは俺が店の手伝いを本格的に始めるようになってからも頻度は減ったものの3人でよく集まっては遊んだりすることを繰り返していた。
そんな付き合いからスティーブン様やシル姉が買い物をする際にはトクソ商会をよく利用しているのである。(もちろん取り寄せであるが)
昔のことを思い出していると、
「あと、ラフォス君に一つお願いがあるんだけど」
会長が俺にお願いをしてきた。
俺は嫌な予感がしながらも、
「何ですか」
と、ききかえした。
会長は少しためらいながら言った。
「あのね、ラフォス君に生徒会の会計補佐をお願いしたいんだけど…」
「あの、会計補佐って何ですか」
あまり聞き慣れない言葉に俺は会長に聞き返すと、
「会計補佐って言うのは言葉の通り生徒会の会計を補佐する役割よ。具体的には会計の仕事を手伝ってもらい、会計と一緒に学校の予算の管理を行ってもらう役職よ」
「役職の内容はわかりましたが、何故俺にその話がくるんですか」
「それは私の推薦よ。生徒会の補佐は会計補佐以外の役職にも補佐は着くの。それで毎年、生徒会補佐を各学年から二人ずつ選んでいるのよ。まあ例年なら新入生の補佐はもう少ししてから決めるんだけど、今まで会計の補佐をしていたのが卒業した先輩だったから今は生徒会の会計だけで予算の管理などを行っているのだけれど、二人で処理するのはそろそろ限界になりそうなのよ。私たちも手伝おうとしたんだけどこの学校、王立だから会計の処理が馬鹿にならなくて私たちが手伝うと逆に時間がかかってしまって自分たちの仕事も処理できなくなるから私たちもなかなか手伝えなくてね。だから即戦力としてある程度会計処理の仕事になれている生徒を補佐に入れようってなったのよ。そのときに私がラフォス君を推薦したらラフォス君を入れようって話になったのよ。幸い一年生の補佐枠はまだ一つも埋まってなかったしね。ということなんだけど、ラフォス君お願いできないかしら」
会長の説明に驚きつつ、俺はどうするべきか迷っていた。
さっき渡された生徒手帳をみていたところ生徒会役員は部活や他の委員会に入ることができないとかかれていた。
生徒会補佐も同様に部活や他の委員会に入れないかもしれないと考えると幼なじみであり、生徒会長でもあるシルビアからの頼みであってもかなり迷うところであった。
俺が悩んでいると会長は思い出したかのようにさらに詳しい説明をしてきた。
「あと、生徒会補佐は部活や他の委員会に所属してもらってもかまわないわ。さらに生徒会補佐には生徒会役員と同じ権限が与えられる他に生徒会の話し合いにも参加できるわよ。あとは自分の補佐する役職の仕事がないときは週に一回生徒会室にきてもらえれば問題ないわ。まあ、行事のときなんかは手伝ってもらうこともあるけれどね。こんなかんじなんだけどラフォス君お願いできないかな。もう本当に会長の二人が大変そうなの」
再び会長補佐の役職をやらないかとお願いされた俺は条件を聞き、少し迷ったあとに返事をした。
「そういうことならお引き受けします。それではいつからお手伝いすればよろしいですか」
俺が引き受けると返事をすると会長は顔を輝かせて喜び、
「それじゃあ今日からお願いするわね。さあ行くわよ」
そう言うと俺の腕を掴んで生徒会室に引っ張って行こうとした。
俺は慌てて
「今日からですか」
会長にたずねると
「ダメだったかしら」
「手続きとかないんですか」
「そういえば有ったわね。じゃあこの用紙にサインしてくれる。そうしたら完了だから」
会長はいきなり取り出した用紙とペンを俺に押し付けてサインをするように促した。
俺は慌てて
「会長、この後クラスメイトと会う約束があるのですが」
会長に告げると、俺を振り向いた会長は少し大人しくなってから
「あらそうなの。それじゃあ仕方がないわね。それなら今日は無理だろうから明日の放課後にまた生徒会室に来てくれない。会計の二人も紹介したいから」
「わかりました。また明日うかがいます」
「じゃあまた明日ね」
手を降りながら俺を見送る会長に会釈をしながら俺は生徒会室前から離れてレイたちとの待ち合わせ場所である食堂へ向かった。
俺が食堂に着いた頃にはすでに三人ともいて、またレイとシリスが言い争いをしていてそれをユキさんが止めようとしていた。
俺が近づくと三人とも気づいたようで俺のほうに手をふったり名前を呼んだりしていた。
さらに近づくとレイが話しかけてきて、
「きいてくれ。ラフォス。こいつがまた俺のことを馬鹿にしてよ」
「ただ事実を言っただけでしょ。勘違いすんじゃないわよ」
「二人とも落ち着いてください」
さっきの状況に戻ってしまったようだった。
結局二人の言い争いは10分ほど続いて予定よりも時間をくっていたこともあり、それぞれに用事があるからと今日は帰ることとなった。
生徒会長が俺を見つけると
「ラフォス君、こっちへ来てください」
俺は会長に呼ばれたので近づくと今回集まったことに関する説明を始めた。
「じゃあ全員そろったので説明を始めます。さっき入学式でもあいさつしたけど私は生徒会長のシルビアです。まず今回ここに集まってもらったのは12階聖の説明をするためです。人数が少ないって思っている人もいるかもしれないから先に言っておくけれど他の一年生の12階聖の人も別の場所で説明を受けていますので心配する必要はありません。詳しい説明をする前にまずお互いに自己紹介から始めましょうか。自己紹介のときは名前と自分が第何聖かと得意な属性を教えて下さい。それではシャルロットさんからお願いします」
会長の呼び掛けに俺の右に立っている女子が反応して自己紹介を始めた。
「私は第十二聖のシャルロットです。得意な属性は水属性と風属性です。よろしくお願いします」
「シャルロットさん、ありがとう。じゃあ次はラフォス君」
シャルロットさんの自己紹介のあと会長は俺に自己紹介を促した。
「俺は第七聖のラフォスです。得意な属性は光属性と闇属性です。よろしくお願いします」
「ラフォス君ありがとう。じゃあ最後はアリアさん」
俺の自己紹介のあとに会長は俺の左に立っている女子に自己紹介を促した。
「私は第六聖のアリアです。得意な属性は重力属性と土属性です。よろしくお願いします」
全員の自己紹介が終わると会長は俺たち全員をみながら説明の続きを話始めた。
「皆知っていると思うけど、12階聖っていうのは学年の代表十二人を指しています。選ぶ基準は基本的には成績だけど実績を考慮する場合もあります。12階聖の順位やメンバーの変動は生徒会からの許可がおりた模擬戦の結果によってごくまれに起こります。そして、12階聖の特権だけど各施設の使用優先度が他の生徒より高くなります。ほかにも学食を一日につき1人三人前までは無料になります。あとは行事ごとに発生するものが多いからその度に教えるね。ここまで何か質問はありますか」
会長からの問いに俺が少し考えているとアリアさんが会長に質問した。
「実績とはどのようなものなんですか」
「いい質問だね。実績っていうのは普段の試験で評価されないものだね。例えば皆、冒険者ギルドがあるのは知っているかしら。一応説明すると冒険者ギルドは採集や討伐などの依頼を受けて依頼が成功したら報酬がもらえるの。それで冒険者ギルドに登録をするとランクが貰えるんだけどこのランクが高かったりすると評価に加点されたりします。まあ、12階聖を決めるのは学校側がだからどれくらいの加点になるかわからないけどね。アリアさん。こんなかんじだけど疑問は解決できたかしら」
「はい。ありがとうございます」
そのあと特に質問もでず、会長が続きを話始めた。
「それで今回12階聖が別れて説明を聞いている理由だけど、これは12階聖の生徒に四人一組に別れてもらってその四人で行動をよくしてもらうからよ。まあ単純に言えば12階聖内でお互いに切磋琢磨して貰うためにチームを作ってチームごとに競いあってもらっているのよ。そして年度末にチームの成績が発表されて一番良かったチームには賞品が渡されるから頑張ってね。と、まあこんなかんじだけど何か質問はありますか」
会長からの問いに俺は話の途中から気になっていたことを質問した。
「会長、まず今ここにいるのは三人なんですがもう一人はどうしたんですか」
「ああ~もう一人は第一聖のスティーブン君なんですよ。彼は今日は家庭の事情で休みだからいないのよ。だからスティーブン君が学校に来たら今度はスティーブン君も交えて集まってもらうことになると思うわ。ラフォス君、理由はわかってもらえたかしら」
「わかりました。ありがとうございます」
「じゃあ他に質問はありますか」
再び会長がきいてきたので俺はもう一つの質問をした。
「会長、12階聖のメンバーが変わった場合はチームのメンバーも変わるんですか」
「そのことなら心配いらないわよ。チームのメンバーは一度決まれば変わらないから。それと今12階聖にいない人が12階聖に新しく加わったらその人には第四のチームになってもらうようになります。チームのメンバーは生徒会で選ぶから問題ないしね。新しい12階聖のメンバーがその後も現れた場合も第四のチームに入ってもらうようになります。メンバーの調整は生徒会でやるから問題ないしね。他には何か質問はありますか」
会長の答えをきいて納得していた俺の隣でシャルロットさんが会長に質問した。
「チームで行動するって言いましたけど具体的にはどれくらいのことをするんですか」
「具体的にか~。そうだね。一週間に一度は集まってもらうことになります。あとは基本的には三ヶ月に一回チーム対抗戦っていうのがあって模擬戦をしてもらうことになるよ。あとは生徒会から指示がある度に動いてもらうことになります。それぐらいかな。あとは質問はありますか」
会長からの問いに今度は誰も質問をする者は居なかった。
「じゃあ今日はこれで解散になります。何かわからないことがあったら生徒会室で相談を受け付けているからいつでも質問をしにきてね。あとラフォス君少し話があるからのこってね」
会長の言葉を受けて俺以外の二人は簡単なあいさつをしたあとに帰っていった。
俺と会長の二人になると俺は会長に残された理由をきいた。
「それで会長、今回はどのような用件があるのでしょうか」
俺が話しかけると会長は不満そうな顔をしながら
「いつもみたいにシル姉って呼んでくれないの」
と、言ってきたのであった。
俺はその言葉に気づかれないようにため息をついてから会長に言った。
「会長、ここは学校ですよ。」
「いいでしょ。別に学校だって。だからいつもみたいに呼んでよ」
再び会長の言葉を聞き、目の前にいる幼なじみである会長のシルビアをみながら言った。
「他の生徒にしめしがつきませんよ。少しは会長という立場も考えてください」
俺の言葉に少し不満そうにしながらもしぶしぶ頷いた会長は
「わかったわよ。でも、学校ではしょうがないけどそれ以外なら今まで通りに呼んでもらうからね」
迫りながら俺に言い、俺はうなづくことしかできなかった。
「ところで俺と同じ班で今日いなかったスティーブンって言うのはもしかしてあのスティーブン様ですか」
俺は入学式のときから気になっていたことを会長にきいた。
「そうよ。今日欠席したスティーブン君は私たちの幼なじみのスティーブン君よ」
会長からの答えは俺の予想を裏切ることのない解答で、今日欠席した第一聖は俺と会長の幼なじみのスティーブン様であるということだった。
俺と会長の幼なじみであるスティーブン様とはこの国の第一王子である。
そもそも俺とスティーブン様の出会いは俺がトクソ家の跡取りとして、魔道具販売の手伝いをし始めた頃に王家へ商品を納めることがあった。
その時に俺も王城に着いていき、そこでスティーブン様と出会ったのである。
出会った日から俺が王城に行く度に俺とスティーブン様は会い、一緒に遊んだり魔法や武術の練習をした。
そしてしばらくしてからシル姉が王城に来るようになり3人でよく遊ぶようになったのであった。
それは俺が店の手伝いを本格的に始めるようになってからも頻度は減ったものの3人でよく集まっては遊んだりすることを繰り返していた。
そんな付き合いからスティーブン様やシル姉が買い物をする際にはトクソ商会をよく利用しているのである。(もちろん取り寄せであるが)
昔のことを思い出していると、
「あと、ラフォス君に一つお願いがあるんだけど」
会長が俺にお願いをしてきた。
俺は嫌な予感がしながらも、
「何ですか」
と、ききかえした。
会長は少しためらいながら言った。
「あのね、ラフォス君に生徒会の会計補佐をお願いしたいんだけど…」
「あの、会計補佐って何ですか」
あまり聞き慣れない言葉に俺は会長に聞き返すと、
「会計補佐って言うのは言葉の通り生徒会の会計を補佐する役割よ。具体的には会計の仕事を手伝ってもらい、会計と一緒に学校の予算の管理を行ってもらう役職よ」
「役職の内容はわかりましたが、何故俺にその話がくるんですか」
「それは私の推薦よ。生徒会の補佐は会計補佐以外の役職にも補佐は着くの。それで毎年、生徒会補佐を各学年から二人ずつ選んでいるのよ。まあ例年なら新入生の補佐はもう少ししてから決めるんだけど、今まで会計の補佐をしていたのが卒業した先輩だったから今は生徒会の会計だけで予算の管理などを行っているのだけれど、二人で処理するのはそろそろ限界になりそうなのよ。私たちも手伝おうとしたんだけどこの学校、王立だから会計の処理が馬鹿にならなくて私たちが手伝うと逆に時間がかかってしまって自分たちの仕事も処理できなくなるから私たちもなかなか手伝えなくてね。だから即戦力としてある程度会計処理の仕事になれている生徒を補佐に入れようってなったのよ。そのときに私がラフォス君を推薦したらラフォス君を入れようって話になったのよ。幸い一年生の補佐枠はまだ一つも埋まってなかったしね。ということなんだけど、ラフォス君お願いできないかしら」
会長の説明に驚きつつ、俺はどうするべきか迷っていた。
さっき渡された生徒手帳をみていたところ生徒会役員は部活や他の委員会に入ることができないとかかれていた。
生徒会補佐も同様に部活や他の委員会に入れないかもしれないと考えると幼なじみであり、生徒会長でもあるシルビアからの頼みであってもかなり迷うところであった。
俺が悩んでいると会長は思い出したかのようにさらに詳しい説明をしてきた。
「あと、生徒会補佐は部活や他の委員会に所属してもらってもかまわないわ。さらに生徒会補佐には生徒会役員と同じ権限が与えられる他に生徒会の話し合いにも参加できるわよ。あとは自分の補佐する役職の仕事がないときは週に一回生徒会室にきてもらえれば問題ないわ。まあ、行事のときなんかは手伝ってもらうこともあるけれどね。こんなかんじなんだけどラフォス君お願いできないかな。もう本当に会長の二人が大変そうなの」
再び会長補佐の役職をやらないかとお願いされた俺は条件を聞き、少し迷ったあとに返事をした。
「そういうことならお引き受けします。それではいつからお手伝いすればよろしいですか」
俺が引き受けると返事をすると会長は顔を輝かせて喜び、
「それじゃあ今日からお願いするわね。さあ行くわよ」
そう言うと俺の腕を掴んで生徒会室に引っ張って行こうとした。
俺は慌てて
「今日からですか」
会長にたずねると
「ダメだったかしら」
「手続きとかないんですか」
「そういえば有ったわね。じゃあこの用紙にサインしてくれる。そうしたら完了だから」
会長はいきなり取り出した用紙とペンを俺に押し付けてサインをするように促した。
俺は慌てて
「会長、この後クラスメイトと会う約束があるのですが」
会長に告げると、俺を振り向いた会長は少し大人しくなってから
「あらそうなの。それじゃあ仕方がないわね。それなら今日は無理だろうから明日の放課後にまた生徒会室に来てくれない。会計の二人も紹介したいから」
「わかりました。また明日うかがいます」
「じゃあまた明日ね」
手を降りながら俺を見送る会長に会釈をしながら俺は生徒会室前から離れてレイたちとの待ち合わせ場所である食堂へ向かった。
俺が食堂に着いた頃にはすでに三人ともいて、またレイとシリスが言い争いをしていてそれをユキさんが止めようとしていた。
俺が近づくと三人とも気づいたようで俺のほうに手をふったり名前を呼んだりしていた。
さらに近づくとレイが話しかけてきて、
「きいてくれ。ラフォス。こいつがまた俺のことを馬鹿にしてよ」
「ただ事実を言っただけでしょ。勘違いすんじゃないわよ」
「二人とも落ち着いてください」
さっきの状況に戻ってしまったようだった。
結局二人の言い争いは10分ほど続いて予定よりも時間をくっていたこともあり、それぞれに用事があるからと今日は帰ることとなった。
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