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番外編
花模様(2)
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カリムには、リルとゼンに隠していた事があった。
それを告白しようと、あの花見に参加したのだが、逆にリルに衝撃的な告白をされてしまったのだ。
カリムは酔いつぶれて眠ってしまい、気付いたのは夕飯の頃だった。
「もう、カリム、お母さん心配したわよ」
「ごめん母さん、もうあんな真似しないよ」
カリムはガンガンとする頭を押さえて、家までゼンが運んできてくれた事を聞いた。
「ゼン君に感謝しなさい」
カリムの父親は、諭すように言った。
酒のせいで食欲は無いに等しかったが、ぽつぽつと夕飯を口に運ぶ。
――この出来事は、背中を押してくれるのだろうか
今のカリムにとっては、そう思うしかなかった。
「カリム……この間の話だが、母さんとも相談した結果、お前の好きな様にさせてやろうと思う」
それは、ゼンやリルは、まだ知らない事だ。
カリムは、その時になるまでの準備をこの一年間してきたつもりだった。
幾何学大学付属高校への編入する手続きを。
「ありがとう。父さん、母さん」
幾何学大学に度々訪れていたカリムは、小さなカーティス村で一生を過ごす事が出来ないと思った。
出来れば勉学に励み、十樹や桂樹の様な研究者として活躍したかった。
望む未来を実現させる為、カリムは週に何回かは幾何学大学で、桂樹に勉強を教えて貰い、この一年を頑張ってきたのだ。
それでも、あの世界でのカリムの成績は平均より少し上程度だ。
桂樹は言った。
「転校して、大学に入る為の勉強をし直せ」と。
幾何学大学に特待生として入れる学力がないのだ。
世界の違うカーティス村では、学ぶ事もまた違っているため、カリムは幾何学大学付属高校に転校する事を希望し、ようやくそれが叶いそうなのである。
――只一つ、心残りがあったのは、リルの事だけ……
もう今は、カリムと関係のない話になってしまったけれど。
リルにとって、一生カーティス村で過ごした方がいいに決まっている。
神隠しの森と幾何学大学は、変わらなく繋がっているが、カーティス村の住民は未だ幾何学大学の事を恐怖の森と呼んでいる。
記憶操作をされた者は尚更のことだ。
いつ封印されてもおかしくない二つの世界で、そんな住民達の架け橋になれば――とカリムは思うのだ。
そんな事を考えていると、リルから電話があった。
「もう会えないって言っただろ?」
そう言うと、リルは、「会えないけど、話をしちゃ駄目だとは言われなかったよ」と楽しそうに今日の出来事を語る。
――もうすぐ、この関係も終わりになる
☆
――三日後
ゼロとリルが付き合っているという事実は、もはや噂ではなく、村人全員が知る所となっていた。
当然の事ながら、その知らせはリルの母親の元へも届いていた。
「リル、ゼロくんと付き合ってるって本当?」
つい先日まで、神隠しの森へ行く原因となったトラブルメーカーのカリムとの仲を解消させようと、ぶつぶつ文句を言っていた母親は、リルの口から直接聞くまで、にわかには信じなかった。
「本当だよ、お母さん」
「カリム君……カリム君はどうなるの?」
「カリムが何の関係があるの?」
リルはきょとんとした顔で、母親に答える。
母親は「ええと……」と口を濁らせた。
「それで、ゼロ君ってどういう男の子なの?」
「学校一のナルシスト! って皆呼んでるよ」
「ナルシスト……?」
ゼロとしては、もっと別の部分をアピールしてもらいたい所だろう。
母親としては、トラブルメーカーとナルシスト、どちらを取ってみても頭を悩ませる問題だ。
「そんでねー、学年二番の成績の子だよ」
いつも不動の一位を取っているのが、カリムだということは知っている。
それについて不満はないが、やはり神隠しの森の事件が未だカリムを認められない一因である。
リルの母親は、その時はっとした。
リルの口から、カリムは関係ないと聞きながら、カリムの事を気にしているという事に。
カリム君は、ゼロとリルが付き合い始めた事を、どう受け止めているのだろう。
リルの母親は、複雑な気分で夕食の用意をした。
☆
「えー、今日は皆にお知らせがあります」
高校一年生になったばかりの生徒達は、まだその環境になれず、皆、少なからず緊張した面持ちで担任の先生の話を聞いていた。
一学年で40人しかいない教室には、当然の事ながら、ゼロもリルもゼンもいる。
「カリム、出なさい」
「はい」
教師から、教卓の前に立つ様に言われて、カリムは席を立った。
「今度、幾何学大学付属高校へ、カリム君は編入する事になりました。皆とは、ここでお別れになります」
一同は、途端、ざわめいた。
この小さなカーティス村では、こんな形で他の学校へ編入するなんて事は、未だかつてなかった。
小・中・高・大と、生徒達はエスカレーター式で進級し、村で働き、ゆくゆくは誰かと結婚し、一生をカーティス村で過ごしていくのが当然だった為、皆、少なからず動揺していた。
リルやゼンは、カリムの突然の報告に驚いて、何も言えなかった。
「皆、お世話になりました。たまに、この村に帰って来るつもりでいますが、その時は、よろしくお願いします」
「カリム……!」
ガタタ…と椅子を鳴らして席を立ったゼンに、カリムは無言で笑みを返した。
「静かに! 後日、カリム君のお別れ会をしようと思います。それについて意見のある人は先生まで――以上」
☆
授業後、カリムの周りには人だかりが出来た。
皆、思い思いにカリムに質問を投げかけたり、別れを惜しんだり、反応はそれぞれだった。
「幾何学大学ってどこだよ」
「この村でいいじゃない。何でそんな訳分かんないトコ行くの?」
その輪の中に、ゼロもリルもゼンも入っては来なかった。
その事を気にしていた訳ではないが、教室はカリムにとって少し居心地の悪い場所になっていた。
「じゃ、オレ、今日はもう帰るから」
カリムは、そう言って、人だかりになっている机から離れ教室をでると、いつも一緒に帰っているゼンが無言でついて来た。
ある一定の距離をおいてついて来るゼンに、カリムは振り返って言った。
「何も相談しなくて、悪い、ゼン」
「本当になっ!」
両手を合わせて謝るカリムに、ゼンは言った。
「お前が幾何学大学に行ったって、オレはカリムに会いに行くからなっ!」
「ゼン……」
カリムにとってゼンは、一生の友人になるのだろう。
幾何学大学へと気持ちは向いているものの、やはり不安もあった。
そんな不安を打ち消してしまう様な、ゼンの一言にカリムは感謝した。
幾何学大学付属高校へ編入する手続きや住居の世話は、全て十樹と桂樹がやってくれている。
カリムは、ほとんど身一つで、向こうの世界で生活する事になっている。
それだけ環境が整っているという事だ。
「カリム、神隠しの森まで見送るよ」
「ああ、ありがとう」
☆
リルは放課後、ゼロと桜の木の下で待ち合わせをしていた。
遊びに行く約束をしていたのである。
しかし、楽しい予定が入っているはずなのに、リルの心はどこか寂しかった。
長く咲いた桜は、風が吹く度に、はらはらと花びらを降らせていた。
「ゼロはまだかなぁ」
リルはつまらなさそうに、ため息をついた。
――分かっている。ため息の原因も寂しい気持ちも。
カリムがいなくなるからだ。けれど……
自分はもう、大きな声を出して泣く様な子供じゃない。
リルは桜の木を見上げながら、はらはらと涙をこぼした。
そして十分後。
「ごめんよ。当番の掃除が長引いて……リル?」
ゼロは、走って待ち合わせの場所に来たのだが、そこにリルの姿はなく、桜の花びらだけが地面を彩っていた。
☆
それを告白しようと、あの花見に参加したのだが、逆にリルに衝撃的な告白をされてしまったのだ。
カリムは酔いつぶれて眠ってしまい、気付いたのは夕飯の頃だった。
「もう、カリム、お母さん心配したわよ」
「ごめん母さん、もうあんな真似しないよ」
カリムはガンガンとする頭を押さえて、家までゼンが運んできてくれた事を聞いた。
「ゼン君に感謝しなさい」
カリムの父親は、諭すように言った。
酒のせいで食欲は無いに等しかったが、ぽつぽつと夕飯を口に運ぶ。
――この出来事は、背中を押してくれるのだろうか
今のカリムにとっては、そう思うしかなかった。
「カリム……この間の話だが、母さんとも相談した結果、お前の好きな様にさせてやろうと思う」
それは、ゼンやリルは、まだ知らない事だ。
カリムは、その時になるまでの準備をこの一年間してきたつもりだった。
幾何学大学付属高校への編入する手続きを。
「ありがとう。父さん、母さん」
幾何学大学に度々訪れていたカリムは、小さなカーティス村で一生を過ごす事が出来ないと思った。
出来れば勉学に励み、十樹や桂樹の様な研究者として活躍したかった。
望む未来を実現させる為、カリムは週に何回かは幾何学大学で、桂樹に勉強を教えて貰い、この一年を頑張ってきたのだ。
それでも、あの世界でのカリムの成績は平均より少し上程度だ。
桂樹は言った。
「転校して、大学に入る為の勉強をし直せ」と。
幾何学大学に特待生として入れる学力がないのだ。
世界の違うカーティス村では、学ぶ事もまた違っているため、カリムは幾何学大学付属高校に転校する事を希望し、ようやくそれが叶いそうなのである。
――只一つ、心残りがあったのは、リルの事だけ……
もう今は、カリムと関係のない話になってしまったけれど。
リルにとって、一生カーティス村で過ごした方がいいに決まっている。
神隠しの森と幾何学大学は、変わらなく繋がっているが、カーティス村の住民は未だ幾何学大学の事を恐怖の森と呼んでいる。
記憶操作をされた者は尚更のことだ。
いつ封印されてもおかしくない二つの世界で、そんな住民達の架け橋になれば――とカリムは思うのだ。
そんな事を考えていると、リルから電話があった。
「もう会えないって言っただろ?」
そう言うと、リルは、「会えないけど、話をしちゃ駄目だとは言われなかったよ」と楽しそうに今日の出来事を語る。
――もうすぐ、この関係も終わりになる
☆
――三日後
ゼロとリルが付き合っているという事実は、もはや噂ではなく、村人全員が知る所となっていた。
当然の事ながら、その知らせはリルの母親の元へも届いていた。
「リル、ゼロくんと付き合ってるって本当?」
つい先日まで、神隠しの森へ行く原因となったトラブルメーカーのカリムとの仲を解消させようと、ぶつぶつ文句を言っていた母親は、リルの口から直接聞くまで、にわかには信じなかった。
「本当だよ、お母さん」
「カリム君……カリム君はどうなるの?」
「カリムが何の関係があるの?」
リルはきょとんとした顔で、母親に答える。
母親は「ええと……」と口を濁らせた。
「それで、ゼロ君ってどういう男の子なの?」
「学校一のナルシスト! って皆呼んでるよ」
「ナルシスト……?」
ゼロとしては、もっと別の部分をアピールしてもらいたい所だろう。
母親としては、トラブルメーカーとナルシスト、どちらを取ってみても頭を悩ませる問題だ。
「そんでねー、学年二番の成績の子だよ」
いつも不動の一位を取っているのが、カリムだということは知っている。
それについて不満はないが、やはり神隠しの森の事件が未だカリムを認められない一因である。
リルの母親は、その時はっとした。
リルの口から、カリムは関係ないと聞きながら、カリムの事を気にしているという事に。
カリム君は、ゼロとリルが付き合い始めた事を、どう受け止めているのだろう。
リルの母親は、複雑な気分で夕食の用意をした。
☆
「えー、今日は皆にお知らせがあります」
高校一年生になったばかりの生徒達は、まだその環境になれず、皆、少なからず緊張した面持ちで担任の先生の話を聞いていた。
一学年で40人しかいない教室には、当然の事ながら、ゼロもリルもゼンもいる。
「カリム、出なさい」
「はい」
教師から、教卓の前に立つ様に言われて、カリムは席を立った。
「今度、幾何学大学付属高校へ、カリム君は編入する事になりました。皆とは、ここでお別れになります」
一同は、途端、ざわめいた。
この小さなカーティス村では、こんな形で他の学校へ編入するなんて事は、未だかつてなかった。
小・中・高・大と、生徒達はエスカレーター式で進級し、村で働き、ゆくゆくは誰かと結婚し、一生をカーティス村で過ごしていくのが当然だった為、皆、少なからず動揺していた。
リルやゼンは、カリムの突然の報告に驚いて、何も言えなかった。
「皆、お世話になりました。たまに、この村に帰って来るつもりでいますが、その時は、よろしくお願いします」
「カリム……!」
ガタタ…と椅子を鳴らして席を立ったゼンに、カリムは無言で笑みを返した。
「静かに! 後日、カリム君のお別れ会をしようと思います。それについて意見のある人は先生まで――以上」
☆
授業後、カリムの周りには人だかりが出来た。
皆、思い思いにカリムに質問を投げかけたり、別れを惜しんだり、反応はそれぞれだった。
「幾何学大学ってどこだよ」
「この村でいいじゃない。何でそんな訳分かんないトコ行くの?」
その輪の中に、ゼロもリルもゼンも入っては来なかった。
その事を気にしていた訳ではないが、教室はカリムにとって少し居心地の悪い場所になっていた。
「じゃ、オレ、今日はもう帰るから」
カリムは、そう言って、人だかりになっている机から離れ教室をでると、いつも一緒に帰っているゼンが無言でついて来た。
ある一定の距離をおいてついて来るゼンに、カリムは振り返って言った。
「何も相談しなくて、悪い、ゼン」
「本当になっ!」
両手を合わせて謝るカリムに、ゼンは言った。
「お前が幾何学大学に行ったって、オレはカリムに会いに行くからなっ!」
「ゼン……」
カリムにとってゼンは、一生の友人になるのだろう。
幾何学大学へと気持ちは向いているものの、やはり不安もあった。
そんな不安を打ち消してしまう様な、ゼンの一言にカリムは感謝した。
幾何学大学付属高校へ編入する手続きや住居の世話は、全て十樹と桂樹がやってくれている。
カリムは、ほとんど身一つで、向こうの世界で生活する事になっている。
それだけ環境が整っているという事だ。
「カリム、神隠しの森まで見送るよ」
「ああ、ありがとう」
☆
リルは放課後、ゼロと桜の木の下で待ち合わせをしていた。
遊びに行く約束をしていたのである。
しかし、楽しい予定が入っているはずなのに、リルの心はどこか寂しかった。
長く咲いた桜は、風が吹く度に、はらはらと花びらを降らせていた。
「ゼロはまだかなぁ」
リルはつまらなさそうに、ため息をついた。
――分かっている。ため息の原因も寂しい気持ちも。
カリムがいなくなるからだ。けれど……
自分はもう、大きな声を出して泣く様な子供じゃない。
リルは桜の木を見上げながら、はらはらと涙をこぼした。
そして十分後。
「ごめんよ。当番の掃除が長引いて……リル?」
ゼロは、走って待ち合わせの場所に来たのだが、そこにリルの姿はなく、桜の花びらだけが地面を彩っていた。
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