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番外編
十樹の受難(1)
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「ブレイン朝日――君がいくら小細工をしても、君がカンパニーの人材である事実は変わらない。すぐに帰ってきなさい」
幾何学大学の育児研究部を出た廊下の片隅で、ブレイン朝日は、無情なまでのカンパニーからの連絡を聞いた。手には携帯が握られている。
「しかし、私は、この幾何学大学で生まれたクローンの保護者であり、育てる義務と責任が生じました」
そう反論して、ホームにいる朝日の監督者にそう告げると、監督者は大きなため息をついた。
「君のクローンは、他の学生に任せておけばいい。身元不明の赤ん坊も多くいると聞いている」
「――ですが」
「分かっているか? 君は、このカンパニーで働くブレインの一人なんだ。勝手な行動は許されないことぐらい、君自身が分かっているだろう」
「ですが……っ!」
反論する声が、辺りの壁に反響した
その時、真夜中の育児研究部で、朝日のクローンがオギャアと泣いた。
☆
ブレイン朝日は、誰に相談することもなく、翌日、白石十樹に幾何学大学への残留を希望した。
「ようするに、朝日君が、この大学で育児に専念出来る様に、取り計らって欲しいと言うことだね?」
「はい」
元々、神崎亨のブレインとして呼ばれた身である為、ライバルと呼ばれる白石十樹に、仕事を依頼することは、いくら朝日でも抵抗があったが、これも仕方ない事だと自分に言い聞かせた。
「私は、この研究所で子供を育てる義務と責任があります。引き続き、クローン朝日の養育をさせてください」
そう語るブレイン朝日は、自らのプライドを捨て、熱心に十樹を説得した。
しかし。
「うん、君の言う事は尤もだと思う。ただ、朝日君自身が本来なら誰かに育てて貰うべき年齢だ。君の場合、それがカンパニーではないかと思うよ」
学長に就任したばかりの十樹は、書類の山に目を通しながら、朝日にそう告げる。
「白石十樹、貴方は、私と同じ年齢で、この幾何学大学へ入ったと聞いています。私は、ブレインとして貴方達より劣っているとは思えません」
「――必要なのは知識じゃない。経験の差だよ」
子を養育するには、まだ早すぎると言う十樹に、ブレイン朝日は諦めなかった。
「貴方は経験の差だと言いますが、――例えば白石桂樹、貴方の弟が、私より正しい育児をしていると言えますか!?」
朝日は、桂樹が赤ん坊に対し、胴に紐をくくりつけたゴキブリを、メリーゴーランド代わりにしている現実を十樹に訴えた。
偶然、学長室に来ていた桂樹は、びしっと朝日に指を指され、「何だ?」と訳を知らずにきょとんとして二人を見た。
「これは――これだ」
答えを返せない十樹に、朝日は笑みを浮かべた。
☆
「お前のせいで、朝日君を説得出来なかった」
「何だよ何だよ! 何でもオレのせいにすんなよっ!」
「事実だから仕方がない」
一通りの説明を聞いた桂樹は、十樹の言い様に不満を抱きながら、まるでダダをこねる子供の様にいった。
「別にブレイン朝日ちゃん一人、この大学に在籍させたっていいんじゃないのか?」
桂樹は、いつも柔軟な対応をする十樹が、どうしてこんなに頑なになるのか疑問に思った。
「いや、彼女をここに置いておくのは危険だ」
「何か、問題でもあるのか?」
「――……」
十樹は、両手を組んで、机に肘を立てて下を向き、深いため息をつきながら言った。
「実は、この所、ふと気付くと、いつも朝日君の視線を感じるんだ。余程、例のディスクの件で恨まれているとしか思えない」
十樹の言うあの件とは、神崎にクローンのデータを渡し、パスワードの解析により罠に嵌めた件の事である。
朝日が、その後も、十樹を調査しているかの様な、どこか朝日に監視下に置かれている様な錯覚に陥るのだ。
「――で、お前はそれで疲れてるんだな?」
「正直、早く出て行かないものかと思うよ」
桂樹は十樹の思いを聞いて、ある考えに到ったが、面白そうなので話がこじれるまで、真実を十樹に伝えるのを辞めた。
☆
翌日、十樹はベッドに備えつけられているアラームではなく、宇宙科学部のインターフォンで目を覚ました。
――こんな朝早くに、誰だ?
十樹はそう思ったが、十分後にはアラームが鳴る時間であり、目覚ましには丁度いい来訪者だ。
しかし、インターフォンのモニターに映っているのは、ブレイン朝日だった。
十樹は、はあ、とため息をつきながら、パジャマから白衣に着替え、研究室のドアを開けた。
「おはようございます。十樹先生」
「……おはよう」
朝早くから、しっかりとした物言いで、朝日は十樹に挨拶をした。
「今日のご予定は、朝八時より朝食を取り、九時に学内の見回り、九時十五分より、関係者各位による会議、十二時三十分より昼食を取り、十三時六分に……」
ブレイン朝日は、十樹の脳裏のみにあるはずの、一日のスケジュールを全て把握していた。まるで、十樹の秘書であるかのような振る舞いで、スケジュールをすらすらと並び立てた。
そのスケジュールには、十樹の昼寝時間やトイレの時間まで、びっしりと分刻みで予定が組まれており、十樹は、朝から頭の痛い思いをしていた。
「朝日くん、君に言われなくても、私のスケジュールは頭に入っているから」
十樹は寝起きで不機嫌そうに朝日に言った。
「スケジュールだけではありません。貴方は学長という身でありながら、SPの一人もつけていないのではありませんか」
「それが、君に何か関係があるとでも言うのかい?」
「大有りです」
☆
朝日は十樹を先導して、行く道を歩きながら案内をしている。
――一体、何を考えているのか。
十樹は、どこか納得のいかないまま、朝日にされるがまま、今日のスケジュールをこなす為、食堂へ行く。
「十樹先生、朝はコーヒーよりもオレンジジュースやミルクの方が身体に良いとされています」
十樹が、コーヒーメーカーからコップにコーヒーを注ごうとしていた時、朝日はオレンジジュースを十樹の為にチョイスして、窓際の席に座った。
そこは、十樹がいつも座っている席だった。
「ミルクブレッドにスクランブルエッグ、ベーコンは取り過ぎに注意して下さい。塩分が強いですから」
バイキング形式で選ぶ朝食は、全て朝日のチェックが入り、栄養過多の食べ物は、朝日によって省かれた。
「君は一体……何をしようとしているんだ?」
「十樹先生の栄養管理です。栄養士も側につけていないと聞きました」
到って真面目に朝日は答える。
十樹は不真面目にそれを受け取った。
「それなら君は、私がSPをつけ、更に栄養士を雇えばカンパニーに帰るのかい?」
「いいえ私には育てるべき私のクローンがいますので、放って行く訳にはいきません」
朝日は、何かと都合をつけて、幾何学大学に残る手段を考えている様だった。
十樹にふと不安がよぎる。
――もしかしたら、ブレイン朝日は、私のスケジュールを徹底的に管理して、この幾何学大学の内情を掴み、この大学を乗っ取るつもりでいるのではないか。
そうであるなら、その前にブレイン朝日を、この大学から追い出して、カンパニーに戻る様に仕組むしかないのではないか。
「十樹先生?」
朝食を取る手が止まっている事に朝日は気付き、十樹に話しかけると、はっとした様子で朝日を見て、再び朝食を口にした。
「学長という立場が、こんなに面倒な役職だとは思わなかったよ」
朝日の考えを聞き出すために、十樹は思ってもいない事を和えて口にする。
「でしたら、私が学長の仕事を片付けてみせます」
意気揚々として、その答える朝日に対し、十樹は自分の考えが間違いない事を確信した。
――やはり、大学を乗っ取るつもりだ。
これは朝日に対し、対抗措置をとらなければならない。
しかし……。
「目的地まで、残り百メートル先を右に曲がって下さい」
十樹の前には、すたすたと歩く朝日がおり、この朝日の目を逃れて、その為の準備をするのは無謀に思えた。
「間もなく目的地に到着します」
カーナビならぬ、人ナビ機能のついたブレイン朝日は、事務的にそう案内した。
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「しかし、私は、この幾何学大学で生まれたクローンの保護者であり、育てる義務と責任が生じました」
そう反論して、ホームにいる朝日の監督者にそう告げると、監督者は大きなため息をついた。
「君のクローンは、他の学生に任せておけばいい。身元不明の赤ん坊も多くいると聞いている」
「――ですが」
「分かっているか? 君は、このカンパニーで働くブレインの一人なんだ。勝手な行動は許されないことぐらい、君自身が分かっているだろう」
「ですが……っ!」
反論する声が、辺りの壁に反響した
その時、真夜中の育児研究部で、朝日のクローンがオギャアと泣いた。
☆
ブレイン朝日は、誰に相談することもなく、翌日、白石十樹に幾何学大学への残留を希望した。
「ようするに、朝日君が、この大学で育児に専念出来る様に、取り計らって欲しいと言うことだね?」
「はい」
元々、神崎亨のブレインとして呼ばれた身である為、ライバルと呼ばれる白石十樹に、仕事を依頼することは、いくら朝日でも抵抗があったが、これも仕方ない事だと自分に言い聞かせた。
「私は、この研究所で子供を育てる義務と責任があります。引き続き、クローン朝日の養育をさせてください」
そう語るブレイン朝日は、自らのプライドを捨て、熱心に十樹を説得した。
しかし。
「うん、君の言う事は尤もだと思う。ただ、朝日君自身が本来なら誰かに育てて貰うべき年齢だ。君の場合、それがカンパニーではないかと思うよ」
学長に就任したばかりの十樹は、書類の山に目を通しながら、朝日にそう告げる。
「白石十樹、貴方は、私と同じ年齢で、この幾何学大学へ入ったと聞いています。私は、ブレインとして貴方達より劣っているとは思えません」
「――必要なのは知識じゃない。経験の差だよ」
子を養育するには、まだ早すぎると言う十樹に、ブレイン朝日は諦めなかった。
「貴方は経験の差だと言いますが、――例えば白石桂樹、貴方の弟が、私より正しい育児をしていると言えますか!?」
朝日は、桂樹が赤ん坊に対し、胴に紐をくくりつけたゴキブリを、メリーゴーランド代わりにしている現実を十樹に訴えた。
偶然、学長室に来ていた桂樹は、びしっと朝日に指を指され、「何だ?」と訳を知らずにきょとんとして二人を見た。
「これは――これだ」
答えを返せない十樹に、朝日は笑みを浮かべた。
☆
「お前のせいで、朝日君を説得出来なかった」
「何だよ何だよ! 何でもオレのせいにすんなよっ!」
「事実だから仕方がない」
一通りの説明を聞いた桂樹は、十樹の言い様に不満を抱きながら、まるでダダをこねる子供の様にいった。
「別にブレイン朝日ちゃん一人、この大学に在籍させたっていいんじゃないのか?」
桂樹は、いつも柔軟な対応をする十樹が、どうしてこんなに頑なになるのか疑問に思った。
「いや、彼女をここに置いておくのは危険だ」
「何か、問題でもあるのか?」
「――……」
十樹は、両手を組んで、机に肘を立てて下を向き、深いため息をつきながら言った。
「実は、この所、ふと気付くと、いつも朝日君の視線を感じるんだ。余程、例のディスクの件で恨まれているとしか思えない」
十樹の言うあの件とは、神崎にクローンのデータを渡し、パスワードの解析により罠に嵌めた件の事である。
朝日が、その後も、十樹を調査しているかの様な、どこか朝日に監視下に置かれている様な錯覚に陥るのだ。
「――で、お前はそれで疲れてるんだな?」
「正直、早く出て行かないものかと思うよ」
桂樹は十樹の思いを聞いて、ある考えに到ったが、面白そうなので話がこじれるまで、真実を十樹に伝えるのを辞めた。
☆
翌日、十樹はベッドに備えつけられているアラームではなく、宇宙科学部のインターフォンで目を覚ました。
――こんな朝早くに、誰だ?
十樹はそう思ったが、十分後にはアラームが鳴る時間であり、目覚ましには丁度いい来訪者だ。
しかし、インターフォンのモニターに映っているのは、ブレイン朝日だった。
十樹は、はあ、とため息をつきながら、パジャマから白衣に着替え、研究室のドアを開けた。
「おはようございます。十樹先生」
「……おはよう」
朝早くから、しっかりとした物言いで、朝日は十樹に挨拶をした。
「今日のご予定は、朝八時より朝食を取り、九時に学内の見回り、九時十五分より、関係者各位による会議、十二時三十分より昼食を取り、十三時六分に……」
ブレイン朝日は、十樹の脳裏のみにあるはずの、一日のスケジュールを全て把握していた。まるで、十樹の秘書であるかのような振る舞いで、スケジュールをすらすらと並び立てた。
そのスケジュールには、十樹の昼寝時間やトイレの時間まで、びっしりと分刻みで予定が組まれており、十樹は、朝から頭の痛い思いをしていた。
「朝日くん、君に言われなくても、私のスケジュールは頭に入っているから」
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「それが、君に何か関係があるとでも言うのかい?」
「大有りです」
☆
朝日は十樹を先導して、行く道を歩きながら案内をしている。
――一体、何を考えているのか。
十樹は、どこか納得のいかないまま、朝日にされるがまま、今日のスケジュールをこなす為、食堂へ行く。
「十樹先生、朝はコーヒーよりもオレンジジュースやミルクの方が身体に良いとされています」
十樹が、コーヒーメーカーからコップにコーヒーを注ごうとしていた時、朝日はオレンジジュースを十樹の為にチョイスして、窓際の席に座った。
そこは、十樹がいつも座っている席だった。
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朝日は、何かと都合をつけて、幾何学大学に残る手段を考えている様だった。
十樹にふと不安がよぎる。
――もしかしたら、ブレイン朝日は、私のスケジュールを徹底的に管理して、この幾何学大学の内情を掴み、この大学を乗っ取るつもりでいるのではないか。
そうであるなら、その前にブレイン朝日を、この大学から追い出して、カンパニーに戻る様に仕組むしかないのではないか。
「十樹先生?」
朝食を取る手が止まっている事に朝日は気付き、十樹に話しかけると、はっとした様子で朝日を見て、再び朝食を口にした。
「学長という立場が、こんなに面倒な役職だとは思わなかったよ」
朝日の考えを聞き出すために、十樹は思ってもいない事を和えて口にする。
「でしたら、私が学長の仕事を片付けてみせます」
意気揚々として、その答える朝日に対し、十樹は自分の考えが間違いない事を確信した。
――やはり、大学を乗っ取るつもりだ。
これは朝日に対し、対抗措置をとらなければならない。
しかし……。
「目的地まで、残り百メートル先を右に曲がって下さい」
十樹の前には、すたすたと歩く朝日がおり、この朝日の目を逃れて、その為の準備をするのは無謀に思えた。
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