34 / 94
第五章
2.選挙
しおりを挟む
同じく、帰って来ない研究室の主を苛々しながら待っている人物がいた。
「だ――――っ! 十樹は留守にするなら留守にすると言えっ!」
桂樹は一向に繋がらない携帯を、ソファに向かって投げつけた。
十樹から頼まれた選挙辞退を出来ないまま三日が過ぎ、明日はとうとう選挙活動の一環である十五分スピーチがある。
桂樹はごろんとソファに寝転ぶと、カレンダーを睨みつけた。
「――…どこに行っちまったんだ」
十樹が大学警察に連れて行かれたという事実を知らない桂樹は、他にどうしようもなく、不本意ながら神崎亨に連絡を取ることにした。
「あ――あ――、白石桂樹だ」
生体医学部に神崎を呼び出すと、桂樹は単刀直入に言った。
「うちの十樹、そっちにいないか?」
「こちらには来ていないが……」
「本当だな!?」
「白石十樹は、僕に恐れをなして、どこかへ雲隠れか?」
「十樹がそんな性格じゃないってことぐらい、神崎にも分かっている筈だ。明日は見てろよ。その口で笑えないようにしてやる」
桂樹はそう言って、受話器を置き、近くにあったノートに何やら走り書きを始めた。
☆
白石十樹は、大学警察で、ただ身柄を拘束されている訳ではなかった。
初日に事情説明を終えるとすぐに大学警察内にある施設で、犯人を特定するための科学捜査班に回されていた。
十樹は生体医学を大学入学時に学んでいた事から、足りない人員を補充するために、一時的に大学警察の一員となっていたのだ。
十樹は、身元不明の遺体を、既に千葉祥という名の人物であることを確認していたが、それを立証するためのデータをあらゆる所から探り出していたのである。
「白石さんが科学捜査班に来てくれたお陰で、随分早く事件が解決しそうです」
「それは良かった」
十樹は試験管を小刻みに揺らしながら、DNAデータを割り出し、一般病棟にある全カルテの血液データと照らし合わせていた。
研究室に比べ、あまり広いとは言えない部屋。閉鎖的環境ではあるが、十樹にとって幸いだったのは、この時、表の世界で起こることを知らなかったことであるかも知れない。
☆
翌日、白石十樹不在のまま、桂樹は身代わりとして選挙運動のスピーチで壇上に立つことになった。
もちろん、主催者側にそれを知る者はいない。
同じく壇上に立つ神崎以外は――。
「白石桂樹、こんな所で何をしている」
「し――っ! し――っ!」
二人を見分けることの出来る神崎は、スピーチの順番で並んでいる桂樹に向かい、単刀直入に訊いて来た。
それを桂樹は、まあまあ、と苛立っている神崎を宥めた。
「今日、ちょっと十樹はいないんだ。十樹に頼まれて仕方なく……」
「僕の気のせいかな。あの白石十樹が、お前にこんな事を頼む性格ではないと思うんだが……」
神崎は胡散臭そうに桂樹を見た。
本当なら十樹は、この候補者の列に並ぶことはなく、辞退していた筈なのだ。
桂樹が、この代理を引き受けているのには訳がある。
十樹が学長代理にならず、神崎が就任してしまえば、もしかしたらあの研究所を奪われ、ゴキブリは処分――。
桂樹はその時のことを思って、うっと涙ぐんだ。
「何を泣いている」
神崎は、もはや呆れた様子で桂樹を見る。
その時、主催者側から声がかかった。
「次、神崎先生お願いします」
桂樹に気を取られていた神崎は、軽く手を揚げてそれに応じた。
神崎が壇上に立つと、会場にいる何人かが拍手で迎えた。
「生体医学部の神崎亨です。この学長代理を選ぶ大事な席を、私のために用意して下さったことに、主催者側の皆様には感謝をまずお伝えします」
神崎が冷静にスピーチをしている中で、桂樹は「人、人、人」と緊張をほぐす為に掌に何度も書いて、神崎の話を全く聞いていなかった。
「そして、先日、私が公開した通り、衛星『四季』のコントロール下にある、我が幾何学大学をその抑圧から解放するための、軍事用クローン研究を推進させると共に、いつか平和な時が訪れるよう願ってやみません」
そんなスピーチが続く中で、その聴衆に紛れるカリムとリルがいた。
もしかしたら、村に帰れるかも知れない――。
その想いから研究所を抜け出し、桂樹の様子を見に来たのである。
「ね、ねえ、桂樹はまだかなぁ」
「リル、この次みたいだよ」
子供の好奇心も手伝って、二人はわくわくしていた。
神崎のスピーチは続いている。
「軍事用クローンを開発する為には、ブレインと、次に出る白石十樹先生の協力が必要不可欠であります。この事を皆様には、ご承知頂きたいと思います。では、白石先生どうぞ」
神崎は主催者側を無視して、拍手をしながら桂樹を壇上へと呼んだ。
しかし、神崎のスピーチを全く聞いていなかった桂樹は、相変わらず「人、人、人」と掌に書いては無駄な空気を飲み込んでいた。
結局、桂樹が神崎の呼びかけに気付いたのは、会場のざわめきと、主催者側から声をかけられた時だった。
桂樹は、「どうも、どうも」とぺこぺこ周りに頭を下げながら壇上に上がった。すると会場から大きな拍手が、桂樹に贈られた。
幾何学大学に入る学生の中には、宇宙創造を果たした白石十樹に憧れて入った者も多い。
夢やロマンを追いかけて来た若者達は、十樹の講義を楽しみにして、この幾何学大学での日々を楽しんでいるのだ。
「えー私が、宇宙科学部の白石十樹です」
桂樹は、神崎のスピーチを全く聞いていなかったため、結果、神崎は全く無視された形になった。
神崎は「兄といい弟といい、白石兄弟はどうかしてるな」と、主催者側には謎のコメントを残して聴衆に紛れた。
「私が、この大学に入学したのは十歳の時です。最初は生体医学部に所属しておりましたが、宇宙創造を果たして以来、新たに設立された宇宙科学部に――」
桂樹は、十樹の経歴を話すと、他に話す事がなくなってしまったため、残りの時間を埋めるために自分自身の事を話始めた。
「私は、人工宇宙を管理すると共に、多くのゴキブリを飼育しております。ゴキブリ化粧品の素晴らしさを、是非皆様に知って頂きたく、本日サンプルを用意しております。女性の皆様にはお楽しみ頂けると思います」
そう話すと、会場は異様な雰囲気に包まれた。
「私が学長代理に就任した際には、この幾何学大学に『ゴキブリ王国』を設立し、皆様のご期待に沿えるよう、努力したいと思います」
そう言い残して壇上を去ると、十樹を指示した神崎は周囲から好奇な眼で見られることになった。
「ねぇ、今の桂樹、どうだったの? 偉い人になれる?」
「……残念だけど、ちょっと無理そうだよ」
スピーチの内容が理解出来なかったリルは、カリムに訊いた。
カリムは、ため息をつくと「何で? 何で?」と訊いてくるリルに事情を説明していた。
☆
全てのスピーチが終わり、開票作業を行っていた上層部は、皆、頭を抱えていた。
学長代理として迎えたかったのは、白石十樹か神崎亨だったからである。
神崎亨は無難にスピーチを終えたが、神崎が推薦した白石十樹のスピーチに足を引っ張られる形になり、落選してしまったからだ。
「軍事用クローンは、この二人に一任しようかと思ったが……」
「どうするかね。結果、軍事用クローンに反対する者が当選している現実を」
「我々は、公正な立場で学長代理を決めなければならない……しかし」
その先は、言わずとも皆に伝わっていた。
今の幾何学大学では、そんな結果は関係なかったのである。
「我々の研究を遥かに凌駕する、あの男を学長代理に……」
「いや、彼は、この大学の意思に背き、あんな研究を……」
議論は終わることなく、深夜になっても続けられた。
「だ――――っ! 十樹は留守にするなら留守にすると言えっ!」
桂樹は一向に繋がらない携帯を、ソファに向かって投げつけた。
十樹から頼まれた選挙辞退を出来ないまま三日が過ぎ、明日はとうとう選挙活動の一環である十五分スピーチがある。
桂樹はごろんとソファに寝転ぶと、カレンダーを睨みつけた。
「――…どこに行っちまったんだ」
十樹が大学警察に連れて行かれたという事実を知らない桂樹は、他にどうしようもなく、不本意ながら神崎亨に連絡を取ることにした。
「あ――あ――、白石桂樹だ」
生体医学部に神崎を呼び出すと、桂樹は単刀直入に言った。
「うちの十樹、そっちにいないか?」
「こちらには来ていないが……」
「本当だな!?」
「白石十樹は、僕に恐れをなして、どこかへ雲隠れか?」
「十樹がそんな性格じゃないってことぐらい、神崎にも分かっている筈だ。明日は見てろよ。その口で笑えないようにしてやる」
桂樹はそう言って、受話器を置き、近くにあったノートに何やら走り書きを始めた。
☆
白石十樹は、大学警察で、ただ身柄を拘束されている訳ではなかった。
初日に事情説明を終えるとすぐに大学警察内にある施設で、犯人を特定するための科学捜査班に回されていた。
十樹は生体医学を大学入学時に学んでいた事から、足りない人員を補充するために、一時的に大学警察の一員となっていたのだ。
十樹は、身元不明の遺体を、既に千葉祥という名の人物であることを確認していたが、それを立証するためのデータをあらゆる所から探り出していたのである。
「白石さんが科学捜査班に来てくれたお陰で、随分早く事件が解決しそうです」
「それは良かった」
十樹は試験管を小刻みに揺らしながら、DNAデータを割り出し、一般病棟にある全カルテの血液データと照らし合わせていた。
研究室に比べ、あまり広いとは言えない部屋。閉鎖的環境ではあるが、十樹にとって幸いだったのは、この時、表の世界で起こることを知らなかったことであるかも知れない。
☆
翌日、白石十樹不在のまま、桂樹は身代わりとして選挙運動のスピーチで壇上に立つことになった。
もちろん、主催者側にそれを知る者はいない。
同じく壇上に立つ神崎以外は――。
「白石桂樹、こんな所で何をしている」
「し――っ! し――っ!」
二人を見分けることの出来る神崎は、スピーチの順番で並んでいる桂樹に向かい、単刀直入に訊いて来た。
それを桂樹は、まあまあ、と苛立っている神崎を宥めた。
「今日、ちょっと十樹はいないんだ。十樹に頼まれて仕方なく……」
「僕の気のせいかな。あの白石十樹が、お前にこんな事を頼む性格ではないと思うんだが……」
神崎は胡散臭そうに桂樹を見た。
本当なら十樹は、この候補者の列に並ぶことはなく、辞退していた筈なのだ。
桂樹が、この代理を引き受けているのには訳がある。
十樹が学長代理にならず、神崎が就任してしまえば、もしかしたらあの研究所を奪われ、ゴキブリは処分――。
桂樹はその時のことを思って、うっと涙ぐんだ。
「何を泣いている」
神崎は、もはや呆れた様子で桂樹を見る。
その時、主催者側から声がかかった。
「次、神崎先生お願いします」
桂樹に気を取られていた神崎は、軽く手を揚げてそれに応じた。
神崎が壇上に立つと、会場にいる何人かが拍手で迎えた。
「生体医学部の神崎亨です。この学長代理を選ぶ大事な席を、私のために用意して下さったことに、主催者側の皆様には感謝をまずお伝えします」
神崎が冷静にスピーチをしている中で、桂樹は「人、人、人」と緊張をほぐす為に掌に何度も書いて、神崎の話を全く聞いていなかった。
「そして、先日、私が公開した通り、衛星『四季』のコントロール下にある、我が幾何学大学をその抑圧から解放するための、軍事用クローン研究を推進させると共に、いつか平和な時が訪れるよう願ってやみません」
そんなスピーチが続く中で、その聴衆に紛れるカリムとリルがいた。
もしかしたら、村に帰れるかも知れない――。
その想いから研究所を抜け出し、桂樹の様子を見に来たのである。
「ね、ねえ、桂樹はまだかなぁ」
「リル、この次みたいだよ」
子供の好奇心も手伝って、二人はわくわくしていた。
神崎のスピーチは続いている。
「軍事用クローンを開発する為には、ブレインと、次に出る白石十樹先生の協力が必要不可欠であります。この事を皆様には、ご承知頂きたいと思います。では、白石先生どうぞ」
神崎は主催者側を無視して、拍手をしながら桂樹を壇上へと呼んだ。
しかし、神崎のスピーチを全く聞いていなかった桂樹は、相変わらず「人、人、人」と掌に書いては無駄な空気を飲み込んでいた。
結局、桂樹が神崎の呼びかけに気付いたのは、会場のざわめきと、主催者側から声をかけられた時だった。
桂樹は、「どうも、どうも」とぺこぺこ周りに頭を下げながら壇上に上がった。すると会場から大きな拍手が、桂樹に贈られた。
幾何学大学に入る学生の中には、宇宙創造を果たした白石十樹に憧れて入った者も多い。
夢やロマンを追いかけて来た若者達は、十樹の講義を楽しみにして、この幾何学大学での日々を楽しんでいるのだ。
「えー私が、宇宙科学部の白石十樹です」
桂樹は、神崎のスピーチを全く聞いていなかったため、結果、神崎は全く無視された形になった。
神崎は「兄といい弟といい、白石兄弟はどうかしてるな」と、主催者側には謎のコメントを残して聴衆に紛れた。
「私が、この大学に入学したのは十歳の時です。最初は生体医学部に所属しておりましたが、宇宙創造を果たして以来、新たに設立された宇宙科学部に――」
桂樹は、十樹の経歴を話すと、他に話す事がなくなってしまったため、残りの時間を埋めるために自分自身の事を話始めた。
「私は、人工宇宙を管理すると共に、多くのゴキブリを飼育しております。ゴキブリ化粧品の素晴らしさを、是非皆様に知って頂きたく、本日サンプルを用意しております。女性の皆様にはお楽しみ頂けると思います」
そう話すと、会場は異様な雰囲気に包まれた。
「私が学長代理に就任した際には、この幾何学大学に『ゴキブリ王国』を設立し、皆様のご期待に沿えるよう、努力したいと思います」
そう言い残して壇上を去ると、十樹を指示した神崎は周囲から好奇な眼で見られることになった。
「ねぇ、今の桂樹、どうだったの? 偉い人になれる?」
「……残念だけど、ちょっと無理そうだよ」
スピーチの内容が理解出来なかったリルは、カリムに訊いた。
カリムは、ため息をつくと「何で? 何で?」と訊いてくるリルに事情を説明していた。
☆
全てのスピーチが終わり、開票作業を行っていた上層部は、皆、頭を抱えていた。
学長代理として迎えたかったのは、白石十樹か神崎亨だったからである。
神崎亨は無難にスピーチを終えたが、神崎が推薦した白石十樹のスピーチに足を引っ張られる形になり、落選してしまったからだ。
「軍事用クローンは、この二人に一任しようかと思ったが……」
「どうするかね。結果、軍事用クローンに反対する者が当選している現実を」
「我々は、公正な立場で学長代理を決めなければならない……しかし」
その先は、言わずとも皆に伝わっていた。
今の幾何学大学では、そんな結果は関係なかったのである。
「我々の研究を遥かに凌駕する、あの男を学長代理に……」
「いや、彼は、この大学の意思に背き、あんな研究を……」
議論は終わることなく、深夜になっても続けられた。
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。

「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!
七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ?
俺はいったい、どうなっているんだ。
真実の愛を取り戻したいだけなのに。

【完結】仰る通り、貴方の子ではありません
ユユ
恋愛
辛い悪阻と難産を経て産まれたのは
私に似た待望の男児だった。
なのに認められず、
不貞の濡れ衣を着せられ、
追い出されてしまった。
実家からも勘当され
息子と2人で生きていくことにした。
* 作り話です
* 暇つぶしにどうぞ
* 4万文字未満
* 完結保証付き
* 少し大人表現あり

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

前世を思い出しました。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。
棚から現ナマ
恋愛
前世を思い出したフィオナは、今までの自分の所業に、恥ずかしすぎて身もだえてしまう。自分は痛い女だったのだ。いままでの黒歴史から目を背けたい。黒歴史を思い出したくない。黒歴史関係の人々と接触したくない。
これからは、まっとうに地味に生きていきたいの。
それなのに、王子様や公爵令嬢、王子の側近と今まで迷惑をかけてきた人たちが向こうからやって来る。何でぇ?ほっといて下さい。お願いします。恥ずかしすぎて、死んでしまいそうです。

いっとう愚かで、惨めで、哀れな末路を辿るはずだった令嬢の矜持
空月
ファンタジー
古くからの名家、貴き血を継ぐローゼンベルグ家――その末子、一人娘として生まれたカトレア・ローゼンベルグは、幼い頃からの婚約者に婚約破棄され、遠方の別荘へと療養の名目で送られた。
その道中に惨めに死ぬはずだった未来を、突然現れた『バグ』によって回避して、ただの『カトレア』として生きていく話。
※悪役令嬢で婚約破棄物ですが、ざまぁもスッキリもありません。
※以前投稿していた「いっとう愚かで惨めで哀れだった令嬢の果て」改稿版です。文章量が1.5倍くらいに増えています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる