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第三章
4.パスワード
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「リルちゃんをここに座らせて」
「はい」
一見リラックスチェアにも見える、黒い皮の椅子に、神崎はリルを座らせた。
「リル……?」
カリムの服をぎゅっと握ってなかなか放そうとしないリルは、小刻みに震えていた。
「リル、どうなっちゃうのかなぁ」
リルはカリムに問う。
「どうにもならないよ……元に戻るだけだ」
「元のリル……?」
「そうだよ」
この椅子で何か怖いことでもあったのか……カリムはそう思わざるを得なかった。
自分が実力者でもっと大きく強かったら、神崎を殴り倒してやるのにと、カリムは思う。
そんなカリムとは裏腹に、神崎はフンフーンと鼻歌を歌いながら、部屋の奥から ガラス状のリルの記憶メモリーを手に持って来た。
カリムは、神崎の手にした記憶メモリーを見て、リルの手をぐいっと引っ張り椅子から立たせた。
「リルは、この椅子に座るのが嫌みたいです」
衝動的にカリムが神崎の持っているメモリーを奪い取ると、研究室の出口に向かって走り出す。
無理な力で、メモリーを奪われた神崎は痛そうに手を押さえた。
「カリム君……どうしたんだ」
「十樹の研究は、十樹のものだ!」
ほら、リル早く、と手を引っ張り、神崎の研究室から出て行こうとする。
「待てっ!」
神崎が慌ててそれを追いかけ研究室を出た。
すると、外で待ち構えていた十樹と桂樹にぶつかった。
「お前達……!」
「うちの子供達が面倒かけたみたいで」
「どういうことだ? カリム君」
カリムは十樹と桂樹の後ろに隠れ、リルを神崎の視線から隠すように立っていた。
「どういう事というのは……それはこちらの台詞ですが」
十樹の手には、カリムから手渡されたリルのメモリーがしっかり握られている。
「メモリーは壊れていないようですね」
「カリム君、君との約束だ。そのディスクを渡して貰おう」
きっと口を噛み締めて、神崎はカリムを睨めつけていた。
「いいよ。カリム、ディスクを神崎に渡しなさい」
「えっ!? でも、十樹の研究が」
意外な言葉に、カリムが驚く。
「十樹がいいと言ってるんだ。渡せ」
桂樹はそう言うと、カリムの手にあったディスクを取り上げ、神埼に向かって放り投げた。
「ほらよっ」
桂樹の投げたディスクは綺麗な放物線を描いて、神崎の元に渡った。
「随分、理解があるじゃないか」
「こっちも随分、勉強させられたからな」
恐らく、十樹や桂樹の研究資料に対しての懸賞金を出していたのは、神崎家だろうと推測される。
このディスク一枚で諦めてくれるのなら、安いものだ。
「いいんですか? それは」
「十樹とオレがいいと言ってるんだ。カリムは気にするな」
桂樹はカリムの肩をぽん、と叩いて笑った。
「さぁ、帰ってリルちゃんの記憶を戻そう。そうしよう」
やけに明るく桂樹が三人を押して神崎に言った。
「そのディスクは暗号化されている。私と同程度の知識があれば、二十時間もあれば、パスワードは解けるだろう」
「何っ!?」
「解けない場合は、それまでだ。二度と私の研究に首を突っ込まないで頂きたい」
「失礼な物言いだね。君の造ったものぐらい簡単に解読してみせるさ」
神崎はそう毒づいて自らの研究室へ戻って行った。
「カリムは、また無茶をして……別に良かったんだよ」
「だって、あいつの言いなりになりたくなかったんだ……それで、あの、リルちゃんと元通りになりますか?」
カリムは隣を歩く十樹を見上げて心配そうに問う。
「大丈夫だよ。メモリーが本物ならね」
言いながら、神崎から奪ったメモリーをガラスケースに収める。
「良かった……ありがとうございます」
「その台詞は、リルちゃんが元に戻ってからにしようか――ところで桂樹」
「何だ」
「先刻から何をニヤニヤしてるんだ……気持ち悪いんだが」
☆
翌日、生体医学部の研究室で、神崎は早速、研究室の自らの部屋に備え付けられてあるコンピューターにディスクを入れて、暗証解読を始めた。
千四十五文字ものある数字を並び替え、単語をつくり入れ替え、意味のあるワードを構成していく。
普通のものなら、まず考えることもない、一見したらただの数字だ。
しかし、神崎はあらゆるパターンを考え、パズルのように解いていく。
「――なんだ、思ったより簡単じゃないか」
コンピューターから、ピッと音が鳴ったとき、パスワードを入力する画面が現れた。
数字の意味が分からない者は、ここからは進めない仕様だ。
「パスワード……K、A、T、U……『カツドン』」
――カツ丼?
『認証確認、次のパスワードを解いてください』
画面にそう表示され、また同じく千四十五文字の数列が並ぶ。
「なんだ、これで終わりじゃないのか」
千四十五文字もの暗証文字を解くのに、一時間を要した神崎は、ちっと舌打ちをした。
――そして、また一時間後、あるパスワードが浮かんできた。
「パスワード……『牛丼』」
『認証確認、次のパスワードを解いてください』
「……これは、本当に白石十樹の考えた暗号なのか?」
神崎は知性の感じられないパスワードに、疑わしい目つきでモニターを見つめた。
そして三つ目のパスワードが画面に現れた。
「パスワード……『親子丼』」
白石十樹は、自分をなめているんじゃないだろうか。
神崎は怒りに任せて、ばんっと机を叩いた。
「あ、あの……神崎先生、ご注文の品を持ってきましたが」
机をばんばん叩いていた神崎を心配そうに見ていた研究生が、トレイに「カツ丼」と「牛丼」と「親子丼」を持ち、神崎の机に並べた。
「………………僕は頼んでないよ」
「えっ? でもさっきからおっしゃって……お腹が空いておられるのでは……」
「…………」
どうも、パスワードを音声認識にしておいたせいで、アナウンスが隣の研究室に流れ、誤解が生まれたらしい。
神崎は頭が痛くなってきた。
「ありがとう、食べるよ」
「そうですか」
研究生が、ほっとした笑顔になって、一礼して部屋を出て行った。
それを見送って、神崎がアナウンスを切り、自室に鍵をかけたのは言うまでもない。
「くそっ」
こうして神崎は、カツ丼と牛丼と親子丼を一気に平らげる羽目になったのである。
☆
「天丼、イクラ丼、ウニ丼、カレー丼、海鮮丼……」
神崎は、数々の丼と名のつくパスワードを入力していた。もう十時間もデスクのモニターとにらみ合いをしている。
しかし――――。
白石十樹は二十時間で解けると言っていた。
一つのパスワードにつき一時間ということは、まだ十時間もこの数字と向き合うことになるのか?
神崎は前髪を掻き毟り、再びモニターに向かいあった。
☆
「リルちゃん、このソファに寝転んでくれるかな」
リルは、その言葉に素直に従ってソファに身体を倒すと、十樹はリルの頭にバンドのようなものをつけた。
部屋の奥からガチャガチャと音をたてて、モニターのついた医療器具を持ち出してくる。
「何するの?」
リルが十樹に不安気に訊く。
「リル……この人達は大丈夫だから」
カリムはリルの手を包みこむように握った。
するとリルは、十樹や桂樹が記憶再生のための機材を準備している間に眠ってしまった。
「リルらしいなあ」
不安を口にしながらも、あっさりと寝てしまうリルに、カリムは笑った。
「丁度良い、今のうちにリルちゃんの記憶を戻してしまおう」
十樹は記憶メモリーを機材の中に入れて、リルのつけているバンドの中央にある石に信号を送った。
そして、画面に出たエラーコードを一つ一つ消去していった。
「眠っているから、恐らく記憶が混乱することはないと思うが」
「リル……」
カリムは無事を祈りながら、リルの意識が戻るのを待った。
そして十五分後、その作業は終わった。
「カリム……もうリルちゃんを起こしていいよ」
カリムは首を振った。
「リルは、きっと色々あって疲れていると思います。自然に目が覚めるのを待ちます」
「まあ、それもいいだろう」
十樹はそう言うと、桂樹と共に機材を片付け始めた。
「なぁ十樹」
桂樹は、白衣のポケットを探りながら、十樹に語りかけた。
「何だ?」
「これ、十樹に返しておく」
桂樹は、一枚のディスクを十樹に渡した。それは先程、神崎に渡したはずのディスクだった。
「桂樹、お前……まさか」
ディスクを十樹に手渡すと、台詞を言い終えないうちに、桂樹は背を向けて自室へと戻ってしまった。
「はい」
一見リラックスチェアにも見える、黒い皮の椅子に、神崎はリルを座らせた。
「リル……?」
カリムの服をぎゅっと握ってなかなか放そうとしないリルは、小刻みに震えていた。
「リル、どうなっちゃうのかなぁ」
リルはカリムに問う。
「どうにもならないよ……元に戻るだけだ」
「元のリル……?」
「そうだよ」
この椅子で何か怖いことでもあったのか……カリムはそう思わざるを得なかった。
自分が実力者でもっと大きく強かったら、神崎を殴り倒してやるのにと、カリムは思う。
そんなカリムとは裏腹に、神崎はフンフーンと鼻歌を歌いながら、部屋の奥から ガラス状のリルの記憶メモリーを手に持って来た。
カリムは、神崎の手にした記憶メモリーを見て、リルの手をぐいっと引っ張り椅子から立たせた。
「リルは、この椅子に座るのが嫌みたいです」
衝動的にカリムが神崎の持っているメモリーを奪い取ると、研究室の出口に向かって走り出す。
無理な力で、メモリーを奪われた神崎は痛そうに手を押さえた。
「カリム君……どうしたんだ」
「十樹の研究は、十樹のものだ!」
ほら、リル早く、と手を引っ張り、神崎の研究室から出て行こうとする。
「待てっ!」
神崎が慌ててそれを追いかけ研究室を出た。
すると、外で待ち構えていた十樹と桂樹にぶつかった。
「お前達……!」
「うちの子供達が面倒かけたみたいで」
「どういうことだ? カリム君」
カリムは十樹と桂樹の後ろに隠れ、リルを神崎の視線から隠すように立っていた。
「どういう事というのは……それはこちらの台詞ですが」
十樹の手には、カリムから手渡されたリルのメモリーがしっかり握られている。
「メモリーは壊れていないようですね」
「カリム君、君との約束だ。そのディスクを渡して貰おう」
きっと口を噛み締めて、神崎はカリムを睨めつけていた。
「いいよ。カリム、ディスクを神崎に渡しなさい」
「えっ!? でも、十樹の研究が」
意外な言葉に、カリムが驚く。
「十樹がいいと言ってるんだ。渡せ」
桂樹はそう言うと、カリムの手にあったディスクを取り上げ、神埼に向かって放り投げた。
「ほらよっ」
桂樹の投げたディスクは綺麗な放物線を描いて、神崎の元に渡った。
「随分、理解があるじゃないか」
「こっちも随分、勉強させられたからな」
恐らく、十樹や桂樹の研究資料に対しての懸賞金を出していたのは、神崎家だろうと推測される。
このディスク一枚で諦めてくれるのなら、安いものだ。
「いいんですか? それは」
「十樹とオレがいいと言ってるんだ。カリムは気にするな」
桂樹はカリムの肩をぽん、と叩いて笑った。
「さぁ、帰ってリルちゃんの記憶を戻そう。そうしよう」
やけに明るく桂樹が三人を押して神崎に言った。
「そのディスクは暗号化されている。私と同程度の知識があれば、二十時間もあれば、パスワードは解けるだろう」
「何っ!?」
「解けない場合は、それまでだ。二度と私の研究に首を突っ込まないで頂きたい」
「失礼な物言いだね。君の造ったものぐらい簡単に解読してみせるさ」
神崎はそう毒づいて自らの研究室へ戻って行った。
「カリムは、また無茶をして……別に良かったんだよ」
「だって、あいつの言いなりになりたくなかったんだ……それで、あの、リルちゃんと元通りになりますか?」
カリムは隣を歩く十樹を見上げて心配そうに問う。
「大丈夫だよ。メモリーが本物ならね」
言いながら、神崎から奪ったメモリーをガラスケースに収める。
「良かった……ありがとうございます」
「その台詞は、リルちゃんが元に戻ってからにしようか――ところで桂樹」
「何だ」
「先刻から何をニヤニヤしてるんだ……気持ち悪いんだが」
☆
翌日、生体医学部の研究室で、神崎は早速、研究室の自らの部屋に備え付けられてあるコンピューターにディスクを入れて、暗証解読を始めた。
千四十五文字ものある数字を並び替え、単語をつくり入れ替え、意味のあるワードを構成していく。
普通のものなら、まず考えることもない、一見したらただの数字だ。
しかし、神崎はあらゆるパターンを考え、パズルのように解いていく。
「――なんだ、思ったより簡単じゃないか」
コンピューターから、ピッと音が鳴ったとき、パスワードを入力する画面が現れた。
数字の意味が分からない者は、ここからは進めない仕様だ。
「パスワード……K、A、T、U……『カツドン』」
――カツ丼?
『認証確認、次のパスワードを解いてください』
画面にそう表示され、また同じく千四十五文字の数列が並ぶ。
「なんだ、これで終わりじゃないのか」
千四十五文字もの暗証文字を解くのに、一時間を要した神崎は、ちっと舌打ちをした。
――そして、また一時間後、あるパスワードが浮かんできた。
「パスワード……『牛丼』」
『認証確認、次のパスワードを解いてください』
「……これは、本当に白石十樹の考えた暗号なのか?」
神崎は知性の感じられないパスワードに、疑わしい目つきでモニターを見つめた。
そして三つ目のパスワードが画面に現れた。
「パスワード……『親子丼』」
白石十樹は、自分をなめているんじゃないだろうか。
神崎は怒りに任せて、ばんっと机を叩いた。
「あ、あの……神崎先生、ご注文の品を持ってきましたが」
机をばんばん叩いていた神崎を心配そうに見ていた研究生が、トレイに「カツ丼」と「牛丼」と「親子丼」を持ち、神崎の机に並べた。
「………………僕は頼んでないよ」
「えっ? でもさっきからおっしゃって……お腹が空いておられるのでは……」
「…………」
どうも、パスワードを音声認識にしておいたせいで、アナウンスが隣の研究室に流れ、誤解が生まれたらしい。
神崎は頭が痛くなってきた。
「ありがとう、食べるよ」
「そうですか」
研究生が、ほっとした笑顔になって、一礼して部屋を出て行った。
それを見送って、神崎がアナウンスを切り、自室に鍵をかけたのは言うまでもない。
「くそっ」
こうして神崎は、カツ丼と牛丼と親子丼を一気に平らげる羽目になったのである。
☆
「天丼、イクラ丼、ウニ丼、カレー丼、海鮮丼……」
神崎は、数々の丼と名のつくパスワードを入力していた。もう十時間もデスクのモニターとにらみ合いをしている。
しかし――――。
白石十樹は二十時間で解けると言っていた。
一つのパスワードにつき一時間ということは、まだ十時間もこの数字と向き合うことになるのか?
神崎は前髪を掻き毟り、再びモニターに向かいあった。
☆
「リルちゃん、このソファに寝転んでくれるかな」
リルは、その言葉に素直に従ってソファに身体を倒すと、十樹はリルの頭にバンドのようなものをつけた。
部屋の奥からガチャガチャと音をたてて、モニターのついた医療器具を持ち出してくる。
「何するの?」
リルが十樹に不安気に訊く。
「リル……この人達は大丈夫だから」
カリムはリルの手を包みこむように握った。
するとリルは、十樹や桂樹が記憶再生のための機材を準備している間に眠ってしまった。
「リルらしいなあ」
不安を口にしながらも、あっさりと寝てしまうリルに、カリムは笑った。
「丁度良い、今のうちにリルちゃんの記憶を戻してしまおう」
十樹は記憶メモリーを機材の中に入れて、リルのつけているバンドの中央にある石に信号を送った。
そして、画面に出たエラーコードを一つ一つ消去していった。
「眠っているから、恐らく記憶が混乱することはないと思うが」
「リル……」
カリムは無事を祈りながら、リルの意識が戻るのを待った。
そして十五分後、その作業は終わった。
「カリム……もうリルちゃんを起こしていいよ」
カリムは首を振った。
「リルは、きっと色々あって疲れていると思います。自然に目が覚めるのを待ちます」
「まあ、それもいいだろう」
十樹はそう言うと、桂樹と共に機材を片付け始めた。
「なぁ十樹」
桂樹は、白衣のポケットを探りながら、十樹に語りかけた。
「何だ?」
「これ、十樹に返しておく」
桂樹は、一枚のディスクを十樹に渡した。それは先程、神崎に渡したはずのディスクだった。
「桂樹、お前……まさか」
ディスクを十樹に手渡すと、台詞を言い終えないうちに、桂樹は背を向けて自室へと戻ってしまった。
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