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第三章
2.メモリー
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宇宙科学部の研究室で、二人が優雅にお茶を飲んでいる頃、ゼンは父親にお茶を勧められていた。
――まるで、本当に家に帰って来たみたいだ。かーちゃんさえここにいれば……
「なぁ、坊主。ここに何しに来たんだぁ?」
「オレは坊主じゃねえ! さっきから言ってるだろ? オレの名前はゼン・カインで、とーちゃんの息子だって」
ジム・カインは片肘をついて不真面目にゼンの話に耳を傾ける。
ゼンは飾ってあった写真を手に、父親に説明を始めた。
「ここに映ってんのは、オレが小さい頃の姿だ。その横にいるのは、オレのかーちゃんだ」
「何を言ってるのか、さっぱり分かんねぇな」
「オレ達、一緒に暮らしてたんだぜ。思い出せよ。とーちゃん!」
ジム・カインはいくら説明しても「自分はここで生まれ育った。
結婚もしてないし、子供もいない」とゼンに告げる。
それでも、ゼンは諦めなかった。
「きっと……一緒に暮らしてみれば分かるんだ」
「こらこら……ゼン君は本当の家に帰らないと、親御さんが心配するさ」
「いいんだよ。オレは……オレ達は、もう帰れないんだから」
「帰れない?」
ゼンがジムに「神隠しの森」の事を話そうとしたとき、村全体に響き渡るような、大きなオルゴールの音が聞こえた。それが合図だったかのように、ジムは家を出て行こうとする。
「とーちゃん、まだ話が……」
「配給の時間だ」
――配給?
「夕食を貰いに行く時間だ。一緒に行くか? 坊主」
「あぁ」
辺りはすっかり日が暮れて、月明かりだけが二人を照らしていた。
どうやら、昼間にリルがいた広場の中央で、配給とやらが行われているらしい。
何十人もの人間がぞろぞろと列をつくって歩いていた。
ジムとゼンもその列に並ぶと、ゼンがここにいることが酷く不自然に思えた。
周りは大人達ばかりで、子供が自分しかいないのだ。
――この人達は、神隠しの森へ行った人達か?
「はい、次の人――」
配給を行っているのは、大学警察と呼ばれる人達だそうだ。
紺色の服の胸元に、そのマークをつけている。
「おや? 君は新入りだね。神崎先生は女の子と言っていたが……何かの間違いかな? 君の分も用意があるからね。安心しなさい」
特別病棟と名のついているこの空間は、やけに優しかった。
ゼンとジムは広場で夕食を済ませると、ジムの家に帰り、床についた。
「坊主はここで寝てくれ」
ジムが用意した部屋は、ここに来る前に住んでいた家でのゼンの部屋だった。ベッドがきちんと備え付けられている。
ジムは無意識の中で、以前の家と同じように、家具や風呂等をそのまま復元しているのであった。
「じゃあ、また明日な。おやすみ、坊主」
「お、おやすみ」
ゼンは父親にそう言うと、何だか照れくさくなって布団を被った。
☆
「ところで、どうやって神崎の研究室に忍び込むんだ」
「神崎はいつも宿舎に行って仮眠を取っている。それを見逃す手はない」
十樹、桂樹、カリム、リルの四人は、入り組んだ道を通って、神崎の研究室の近くに着いた。
研究室の倉庫に入って、十樹一行は研究室から神崎が出て来るのを、ひたすら待っていた。
しかし、その中で只一人眠ってしまった人物がいる。――リルだ。
(いつも、もう眠ってる時間だもんな……)
カリムは苦笑いをして、倉庫で寝ているリルを見ると、再び神崎が出て来るのを待った。
「出てきませんね」
カリムがそう言ったときだった。
研究室の扉が開いたのは。
(――神崎だ)
用心深く暗証番号を打ち込んで、研究室から出て行く。
それでも、十樹と桂樹は暗証番号を覚えていた。
(O・Y・E・D・H……)
約十五桁にものぼる暗証番号を覚えて、神崎がいなくなったのを確認すると、十樹達はリルを背に背負い倉庫から出た。
「O・Y・E…」
覚えたばかりの暗証番号を打ち込むと、十樹達は神崎の研究室に忍び込んだ。
神崎の研究室は十樹達の研究室とは違い、病院と連携しているためか、医療器具等が揃っている。
人体模型も置いてあり、カリムはリルが目を覚ましたら悲鳴を上げそうだと思った。
「メモリーバンクがあったぞ」
暗闇の中で桂樹が言う。
メモリーバンクとは、一個人の記憶カードを収納するケースのことだ。
「本当か!?」
「あぁ、でもこれは」
桂樹はリルの記憶を呼び覚ますメモリーを探したが、どのメモリーにも番号が記してあるだけで、どれがリルのものなのか、見当もつかなかった。
――せっかくここまで来たのに
全員に絶望の二文字が浮かぶ。
「待てよ、日付が書いてあるぞ……ほら、ここに」
二人はメモリーバンクを探ってリルが消えた日付のあるメモリーを探したが、バンクの中にはなかった。
その時。
シュンと音をたてて、開かないはずの扉が開いた。
「やあ、こんばんは。不法侵入者さんたち」
あろうことか、神崎亨が帰って来たのである。
「げっ、神崎」
桂樹は腰をかがめてクッションを頭に乗せた。
神崎がにやりと笑う。
「君達が何を探しているのか、僕は知っているよ」
神崎は透き通った青いガラスのスティックを白衣のポケットから出し、スティックを手にしていた。メモリー(記憶)である。
神崎は、意地悪く空に放り投げて、ぱしっとメモリーを持ち直す。
「リルの記憶を消したのは、貴方ですか?」
カリムはそう問う。
「君もリルちゃんのようになれば、何も考えずに、あの病棟の中で暮らせたのに……愚かな子だ」
「――リルを元に戻してください」
「何か誤解があるようだな……これはリルちゃんが望んだ結果なんだよ?」
「嘘だ!」
叫んだその声で、ソファに寝かされたリルが「うーん」と寝返りをうった。
「嘘なものか。君と同じ質問をしたら、喜んで僕の提案に乗ってきたよ」
「――それは、リルがよく分かっていなかったからです。今は悔やんでいます。早くリルを元に戻してください」
カリムがそう言うと、神崎はつまらなさそうに言った。
「まぁ、いいだろう。ただし条件がある」
「――条件?」
「安心したまえ……君じゃなく白石兄弟にだ」
神崎は十樹と桂樹の二人を見た。
「まず、君達が研究しているデータを、全てこちらに渡して欲しい」
「な!? 神崎、オレの研究を狙ってるのか? ゴキブリ化粧品を転売する気か!?」
「ゴキブリじゃないほうだ!」
神崎と桂樹が言い争いをしているのを見て、カリムは何だか気が抜けてしまう。
「桂樹、君と話をしても仕方ない。僕は十樹に用がある」
「ちぇっ、十樹かよ」
「何が望みですか?」
「合同研究をしないか? そう、君のクローン実験の」
「そんな実験はしていません」
十樹が否定すると、神崎は舌を鳴らして言った。
「こっちには証拠があるんだ。君達が亜樹という名のクローンを育て上げたという記録が」
「それは、どうやって手に入れた情報ですか?」
神崎は答えられずにいた。神崎の父が患者の頭に盗聴器を埋め込んでいたことが周囲に知れたら、どんでもない騒ぎになるからだ。
「君に答える義務はないな。それに、不法侵入者じゃないか。何なら、今すぐ警察を呼んでもいいんだよ」
「捕まるのは、どちらでしょうね」
神崎は、くっと口を歪ませて十樹を見た。
この研究室内を大学警察に探られたら、神崎自身どうなるか分からないからである。
「リルの記憶メモリーを返して下さい」
「残念だ……」
交渉は決裂したのだ。
それを悟ると神崎は手に持ったメモリーを床に落とした。
カシャーンとガラスが砕ける音がし、メモリーが周囲に飛散した。
足元に残った欠片を、神崎は足で踏みつけた。
「――神崎っ!」
桂樹は神崎の胸ぐらを掴み、殴りかかった。それを十樹が間に入って、桂樹の行動を止めた。
「十樹! 邪魔すんなっ!」
「今お前が神崎を殴ったら、こちらが不利になる。それぐらい分かっているだろう!」
十樹は、はぁと息をつきながら、神崎を桂樹から引き離す。
桂樹が視線を移すと、砕け散ったメモリーを前に、カリムが床に膝をついて呆然としていた。
「リル……」
カリムは、砕けたリルのメモリーを一つ一つ拾い集めていた。欠片にリルの記憶が眠っているかのように思うカリムは、小さく弱い声でリルの名を呼んでいた。
その姿が、あまりにも痛々しくて、桂樹は見ていられなかった。
十樹は、眠っているリルを揺すって起こすと、「抱っこー」とまるで赤ん坊のように甘えてきた。背にリルを背負うと、カリムに「帰ろう」と肩を叩き、十樹と桂樹は部屋を出て行った。
「神崎……どうしてリルの記憶を消したんですか?」
カリムは力ない声で言う。
「どうして……」
二人ぼっちになった室内で、カリムは神崎を問いただした。
「実験体だからさ」
「そんな理由でっ!?」
「他にも特別な理由があってね」
神崎はリルに時間を奪われたことと、食事をたかられたことを和えて言わなかった。
自分でも大人気ないことをした自覚はあったからだ。
「カリム君にだけは言っておく」
「――……」
神崎は腰を下ろして、カリムの耳のそばで囁く。
それはカリムにとって救いの一言だった。
「ただし条件がある。君はあの研究室のクローンの情報を探って、僕にデータを持ってくるんだ。そうしたら――言わなくても分かるね?」
――まるで、本当に家に帰って来たみたいだ。かーちゃんさえここにいれば……
「なぁ、坊主。ここに何しに来たんだぁ?」
「オレは坊主じゃねえ! さっきから言ってるだろ? オレの名前はゼン・カインで、とーちゃんの息子だって」
ジム・カインは片肘をついて不真面目にゼンの話に耳を傾ける。
ゼンは飾ってあった写真を手に、父親に説明を始めた。
「ここに映ってんのは、オレが小さい頃の姿だ。その横にいるのは、オレのかーちゃんだ」
「何を言ってるのか、さっぱり分かんねぇな」
「オレ達、一緒に暮らしてたんだぜ。思い出せよ。とーちゃん!」
ジム・カインはいくら説明しても「自分はここで生まれ育った。
結婚もしてないし、子供もいない」とゼンに告げる。
それでも、ゼンは諦めなかった。
「きっと……一緒に暮らしてみれば分かるんだ」
「こらこら……ゼン君は本当の家に帰らないと、親御さんが心配するさ」
「いいんだよ。オレは……オレ達は、もう帰れないんだから」
「帰れない?」
ゼンがジムに「神隠しの森」の事を話そうとしたとき、村全体に響き渡るような、大きなオルゴールの音が聞こえた。それが合図だったかのように、ジムは家を出て行こうとする。
「とーちゃん、まだ話が……」
「配給の時間だ」
――配給?
「夕食を貰いに行く時間だ。一緒に行くか? 坊主」
「あぁ」
辺りはすっかり日が暮れて、月明かりだけが二人を照らしていた。
どうやら、昼間にリルがいた広場の中央で、配給とやらが行われているらしい。
何十人もの人間がぞろぞろと列をつくって歩いていた。
ジムとゼンもその列に並ぶと、ゼンがここにいることが酷く不自然に思えた。
周りは大人達ばかりで、子供が自分しかいないのだ。
――この人達は、神隠しの森へ行った人達か?
「はい、次の人――」
配給を行っているのは、大学警察と呼ばれる人達だそうだ。
紺色の服の胸元に、そのマークをつけている。
「おや? 君は新入りだね。神崎先生は女の子と言っていたが……何かの間違いかな? 君の分も用意があるからね。安心しなさい」
特別病棟と名のついているこの空間は、やけに優しかった。
ゼンとジムは広場で夕食を済ませると、ジムの家に帰り、床についた。
「坊主はここで寝てくれ」
ジムが用意した部屋は、ここに来る前に住んでいた家でのゼンの部屋だった。ベッドがきちんと備え付けられている。
ジムは無意識の中で、以前の家と同じように、家具や風呂等をそのまま復元しているのであった。
「じゃあ、また明日な。おやすみ、坊主」
「お、おやすみ」
ゼンは父親にそう言うと、何だか照れくさくなって布団を被った。
☆
「ところで、どうやって神崎の研究室に忍び込むんだ」
「神崎はいつも宿舎に行って仮眠を取っている。それを見逃す手はない」
十樹、桂樹、カリム、リルの四人は、入り組んだ道を通って、神崎の研究室の近くに着いた。
研究室の倉庫に入って、十樹一行は研究室から神崎が出て来るのを、ひたすら待っていた。
しかし、その中で只一人眠ってしまった人物がいる。――リルだ。
(いつも、もう眠ってる時間だもんな……)
カリムは苦笑いをして、倉庫で寝ているリルを見ると、再び神崎が出て来るのを待った。
「出てきませんね」
カリムがそう言ったときだった。
研究室の扉が開いたのは。
(――神崎だ)
用心深く暗証番号を打ち込んで、研究室から出て行く。
それでも、十樹と桂樹は暗証番号を覚えていた。
(O・Y・E・D・H……)
約十五桁にものぼる暗証番号を覚えて、神崎がいなくなったのを確認すると、十樹達はリルを背に背負い倉庫から出た。
「O・Y・E…」
覚えたばかりの暗証番号を打ち込むと、十樹達は神崎の研究室に忍び込んだ。
神崎の研究室は十樹達の研究室とは違い、病院と連携しているためか、医療器具等が揃っている。
人体模型も置いてあり、カリムはリルが目を覚ましたら悲鳴を上げそうだと思った。
「メモリーバンクがあったぞ」
暗闇の中で桂樹が言う。
メモリーバンクとは、一個人の記憶カードを収納するケースのことだ。
「本当か!?」
「あぁ、でもこれは」
桂樹はリルの記憶を呼び覚ますメモリーを探したが、どのメモリーにも番号が記してあるだけで、どれがリルのものなのか、見当もつかなかった。
――せっかくここまで来たのに
全員に絶望の二文字が浮かぶ。
「待てよ、日付が書いてあるぞ……ほら、ここに」
二人はメモリーバンクを探ってリルが消えた日付のあるメモリーを探したが、バンクの中にはなかった。
その時。
シュンと音をたてて、開かないはずの扉が開いた。
「やあ、こんばんは。不法侵入者さんたち」
あろうことか、神崎亨が帰って来たのである。
「げっ、神崎」
桂樹は腰をかがめてクッションを頭に乗せた。
神崎がにやりと笑う。
「君達が何を探しているのか、僕は知っているよ」
神崎は透き通った青いガラスのスティックを白衣のポケットから出し、スティックを手にしていた。メモリー(記憶)である。
神崎は、意地悪く空に放り投げて、ぱしっとメモリーを持ち直す。
「リルの記憶を消したのは、貴方ですか?」
カリムはそう問う。
「君もリルちゃんのようになれば、何も考えずに、あの病棟の中で暮らせたのに……愚かな子だ」
「――リルを元に戻してください」
「何か誤解があるようだな……これはリルちゃんが望んだ結果なんだよ?」
「嘘だ!」
叫んだその声で、ソファに寝かされたリルが「うーん」と寝返りをうった。
「嘘なものか。君と同じ質問をしたら、喜んで僕の提案に乗ってきたよ」
「――それは、リルがよく分かっていなかったからです。今は悔やんでいます。早くリルを元に戻してください」
カリムがそう言うと、神崎はつまらなさそうに言った。
「まぁ、いいだろう。ただし条件がある」
「――条件?」
「安心したまえ……君じゃなく白石兄弟にだ」
神崎は十樹と桂樹の二人を見た。
「まず、君達が研究しているデータを、全てこちらに渡して欲しい」
「な!? 神崎、オレの研究を狙ってるのか? ゴキブリ化粧品を転売する気か!?」
「ゴキブリじゃないほうだ!」
神崎と桂樹が言い争いをしているのを見て、カリムは何だか気が抜けてしまう。
「桂樹、君と話をしても仕方ない。僕は十樹に用がある」
「ちぇっ、十樹かよ」
「何が望みですか?」
「合同研究をしないか? そう、君のクローン実験の」
「そんな実験はしていません」
十樹が否定すると、神崎は舌を鳴らして言った。
「こっちには証拠があるんだ。君達が亜樹という名のクローンを育て上げたという記録が」
「それは、どうやって手に入れた情報ですか?」
神崎は答えられずにいた。神崎の父が患者の頭に盗聴器を埋め込んでいたことが周囲に知れたら、どんでもない騒ぎになるからだ。
「君に答える義務はないな。それに、不法侵入者じゃないか。何なら、今すぐ警察を呼んでもいいんだよ」
「捕まるのは、どちらでしょうね」
神崎は、くっと口を歪ませて十樹を見た。
この研究室内を大学警察に探られたら、神崎自身どうなるか分からないからである。
「リルの記憶メモリーを返して下さい」
「残念だ……」
交渉は決裂したのだ。
それを悟ると神崎は手に持ったメモリーを床に落とした。
カシャーンとガラスが砕ける音がし、メモリーが周囲に飛散した。
足元に残った欠片を、神崎は足で踏みつけた。
「――神崎っ!」
桂樹は神崎の胸ぐらを掴み、殴りかかった。それを十樹が間に入って、桂樹の行動を止めた。
「十樹! 邪魔すんなっ!」
「今お前が神崎を殴ったら、こちらが不利になる。それぐらい分かっているだろう!」
十樹は、はぁと息をつきながら、神崎を桂樹から引き離す。
桂樹が視線を移すと、砕け散ったメモリーを前に、カリムが床に膝をついて呆然としていた。
「リル……」
カリムは、砕けたリルのメモリーを一つ一つ拾い集めていた。欠片にリルの記憶が眠っているかのように思うカリムは、小さく弱い声でリルの名を呼んでいた。
その姿が、あまりにも痛々しくて、桂樹は見ていられなかった。
十樹は、眠っているリルを揺すって起こすと、「抱っこー」とまるで赤ん坊のように甘えてきた。背にリルを背負うと、カリムに「帰ろう」と肩を叩き、十樹と桂樹は部屋を出て行った。
「神崎……どうしてリルの記憶を消したんですか?」
カリムは力ない声で言う。
「どうして……」
二人ぼっちになった室内で、カリムは神崎を問いただした。
「実験体だからさ」
「そんな理由でっ!?」
「他にも特別な理由があってね」
神崎はリルに時間を奪われたことと、食事をたかられたことを和えて言わなかった。
自分でも大人気ないことをした自覚はあったからだ。
「カリム君にだけは言っておく」
「――……」
神崎は腰を下ろして、カリムの耳のそばで囁く。
それはカリムにとって救いの一言だった。
「ただし条件がある。君はあの研究室のクローンの情報を探って、僕にデータを持ってくるんだ。そうしたら――言わなくても分かるね?」
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