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第二章
7.小さき罪人
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「橘君、荷物チェックをさせてくれないか?」
「荷物……僕が今日持って来たのは花子だけですが……」
犬の花子を抱っこして、十樹に渡す。
十樹は花子につけられた首輪を入念にチェックをし、盗聴器が仕掛けられていないことを確認した。
そして、橘の白衣のポケットを探り、携帯の端末を取り上げた。
「ここにいる間、しばらくこれは私が預かっておく」
突然の十樹の変化に、桂樹は「それ見たことか」と言わんばかりに、飄々とした顔をして口笛を吹いていた。
「神崎と、何かあったんだろう?」
「亜樹の名前を知っていた。そして、子供達のことも」
「成程ね」
十樹は、橘に聞かれない様に桂樹に向かって小声で話した。
それを橘はきょとんとした顔で見ている。
「橘君、すまないが端末の記録をチェックさせて貰う」
「えっ!? 僕、何かしましたか?」
戸惑う橘に「正体がバレた」というような、危機感は感じられない。
「君は、神崎亨のことを知っているか?」
「ええ、存じていますが……」
ピーピーピー
大学警察からの通信音が鳴った。
すぐに携帯の解析が終わり、近頃橘が連絡を取ったとみられる番号がデータ化され、一枚の紙となって出て来た。
その記録には、神崎の研究室に繋がるような数列は見当たらない。
「君が、神崎を知ったのはいつだ?」
――橘は、ただのスパイではない。何か、もっと別の――
橘は、ええと……と話を続けた。
「僕は神崎亨というより、そのお父さんと知り合いなんです」
「お父さんと?」
十樹達も知っている人物だった。
神崎亨の父、神崎保。
幾何学大学病院の脳外科医だ。
十樹がこの研究室に入る以前、生体医学を学んでいた頃、講師としてきた大学の教授で、脳外科医としては優秀だが、その裏では不正に多額の資金を患者から受け取っている等の噂もあり、人間性に問題のある人物だ。
「僕が五歳の時、崖から落ちて頭に大怪我をしたんです。その時、助けて下さったのが、神崎教授でした。一命を取り留めた後も、色々世話を見て下さって……僕がこの大学に入れたのも神崎教授のおかげなんです」
橘は神崎保の大学病院内での悪評を、何も知らず感謝の言葉を口にした。
あの神崎教授が、たった一度手術した五歳の子供の、その後の人生まで世話するような人物とは思えない。
「この研究室には何故?」
「丁度、人員を募集しているからと、神崎教授が教えてくださったんです」
「結局、神崎絡みだな」
この人事に関しても、何かの思惑があるとしか思えない。
先程までの会話は、恐らく全て盗聴されているのだろう。
十樹は、研究室の鳴らない盗聴器センサーを見た。
☆
その夜、研究室にいるメンバー、リル以外の全員による懸命な盗聴器探しが行われた。
――精度のいい、最新の盗聴器の可能性がある。十樹はそう言った。
桂樹は大学警察から盗聴器の電波を察知する小型センサーを借り、それぞれに持たせて研究室内を探し回ったものの、センサーが反応することはなかった。
☆
薄暗い室内に、二人の影があった。
「軍事用クローンですか……」
幾何学大学の会議室の一隅で、神崎教授こと神崎保は、学長からの提案に少なからず驚いていた。
「神崎教授、君なら知っているだろう。この星をコントロールしている衛星『四季』との紛争が続いていることを」
衛星『四季』とは、一億人の人々と科学者を乗せて幾何学大学が打ち上げた、夢の気象衛星だ。
かつては、度重なる天変地異からこの地を守る為に打ち上げられた衛星であったが、今は独立した一つの国家とも言える力を持っている。
国は独立した『四季』に気象をコントロールされている事実に不満を抱き、軍事力を持って、衛星『四季』を再び国の支配下に置こうと躍起になっているのだ。
紛争が始まって、すでに五年が経つ。
「しかし、今の法律では人間のクローンを造ることは重大な倫理違反です。私がそんな事をすれば、倫理委員会が黙っていないでしょう。神崎グループ全体の立場が危うくなります」
学長は、こほんと咳をして言った。
「軍の人材が不足しているんだ。それに、君には少なからず我々が面倒をかけられている。君がしてきた数々の不正を見逃し続けるには限界があるのだよ」
「私は、学長の命令通りに事を遂行したまでです」
神崎保は眉をしかめ、学長の瞳を見た。
「確かに、我々にも落ち度はあるのかも知れんがな。実際に行ったのは君だ。別にいいんだよ。君のしてきた不正をマスコミに売り込んでも」
「――考えさせてください」
会議室を出て行こうとしたその時、学長が神崎保を呼び止めた。
「ああ、そういえば、君には息子がいたな。一連の出来事は、君の息子の責任にしてしまえばいい。聞くところによると君達は、例の二人のことを調べているそうじゃないか」
☆
宇宙科学部の研究室では、盗聴器発見に時間を費やし、ほぼ完全に徹夜をしてしまった。
リル以外は、朝になっても起きることが出来ず、アラームは室内に鳴り響いていた。
皆、睡魔に身を任せて布団を友としている。
リルは花子にエサをあげていた。
「皆起きないなぁ」
しばらく研究室の中をうろついて、第四研究室の亜樹が眠る部屋へ行った。
昨日と同じように眠っている亜樹に「おはよう」と挨拶をして、部屋に備え付けられてあるクローゼットの中を見た。
すると、ちょうど自分の背に合いそうな、桜の刺繍が施してある淡いピンクのワンピースを見つけた。
「わあ、可愛い! きっと亜樹ちゃんの着る服だぁ」
でも、十五歳のお姉ちゃんが着るにはちっちゃいよね、と呟くと、リルはパジャマのような十樹の配った服と見比べ、鏡の前で服を着替えた。
「こっちの方がいいなぁ」
鏡の前で、くるりと無邪気に一回転すると「そうだ!」と何か思いついたように、研究室のドアへ向かった。
「皆が寝てる間に、朝ご飯の用意をしちゃおう」
そう言うと、リルは研究室を出て食堂へ向かった。
☆
食堂の前に着くと、沢山の『白衣を着た人』が入って行く。
食堂に入るにはパスポートが必要で、リルはその入り口の扉の前でウロウロしていた。
そんな時――神崎が声をかけた。
「リルちゃん、どうしたんだい?」
「食堂に入りたいの。お腹すいたから」
あれ? おじさんに名前教えたっけ? と不思議な顔をして神崎を見た。
「お兄さんは偉い人だから、君達の事は何でも知ってるよ」
「え、本当!?」
「偉い人」という言葉を受けて、リルには神崎の背に後光が射しているように見えた。
「僕のパスを使って、食堂に入るといい。しっかりくっついてね」
優しい声で神崎は言う。
リルは頷いて、神崎の足元にぴたりとひっついた。
すると、食堂の扉が開き中へ入ることが出来た。
「ありがとう、おじさん。あ、あと、おじさんに訊きたいことがあるの」
「いいよ。何でも教えてあげよう」
リルのおじさん、という言葉にひっかかりを感じながら神崎は答えた。
リルは快く答える神崎に嬉しくなって、はしゃいだ。
そこから、神崎には到底意味不明なリルの説明が始まったのである。
まず、リルは大量の朝食を用意してテーブルについた。
勿論、眠っている研究室にいる十樹達のためだったのだが、神崎は「リルちゃん、沢山食べるね」と引き気味に言った。
「おにーさん、リルたち、ぴょんって降りて歩いてひっくり返ってここに来たの」
「――……」
「そしたら、ぶくぶくってなって、驚いて、皆も驚いたの」
「――へ、へえ」
「でね、ばびゅーんとなってね、ピーピー鳴って、橘が犬を連れてきたの」
「そう」
「それでね、どっかーんってなってねー」
「……」
☆
このリルという少女と話始めてから、神崎は「へえ」と「そう」としか返事をしていない。
話始めて十五分が経過したが、一方的に話すリルの話は終わらない。
――…一体、この子は何なんだ。
神崎は無駄な時間を過ごしているように思えて、握り拳をつくり、思った。
時間を返せ! と。
「荷物……僕が今日持って来たのは花子だけですが……」
犬の花子を抱っこして、十樹に渡す。
十樹は花子につけられた首輪を入念にチェックをし、盗聴器が仕掛けられていないことを確認した。
そして、橘の白衣のポケットを探り、携帯の端末を取り上げた。
「ここにいる間、しばらくこれは私が預かっておく」
突然の十樹の変化に、桂樹は「それ見たことか」と言わんばかりに、飄々とした顔をして口笛を吹いていた。
「神崎と、何かあったんだろう?」
「亜樹の名前を知っていた。そして、子供達のことも」
「成程ね」
十樹は、橘に聞かれない様に桂樹に向かって小声で話した。
それを橘はきょとんとした顔で見ている。
「橘君、すまないが端末の記録をチェックさせて貰う」
「えっ!? 僕、何かしましたか?」
戸惑う橘に「正体がバレた」というような、危機感は感じられない。
「君は、神崎亨のことを知っているか?」
「ええ、存じていますが……」
ピーピーピー
大学警察からの通信音が鳴った。
すぐに携帯の解析が終わり、近頃橘が連絡を取ったとみられる番号がデータ化され、一枚の紙となって出て来た。
その記録には、神崎の研究室に繋がるような数列は見当たらない。
「君が、神崎を知ったのはいつだ?」
――橘は、ただのスパイではない。何か、もっと別の――
橘は、ええと……と話を続けた。
「僕は神崎亨というより、そのお父さんと知り合いなんです」
「お父さんと?」
十樹達も知っている人物だった。
神崎亨の父、神崎保。
幾何学大学病院の脳外科医だ。
十樹がこの研究室に入る以前、生体医学を学んでいた頃、講師としてきた大学の教授で、脳外科医としては優秀だが、その裏では不正に多額の資金を患者から受け取っている等の噂もあり、人間性に問題のある人物だ。
「僕が五歳の時、崖から落ちて頭に大怪我をしたんです。その時、助けて下さったのが、神崎教授でした。一命を取り留めた後も、色々世話を見て下さって……僕がこの大学に入れたのも神崎教授のおかげなんです」
橘は神崎保の大学病院内での悪評を、何も知らず感謝の言葉を口にした。
あの神崎教授が、たった一度手術した五歳の子供の、その後の人生まで世話するような人物とは思えない。
「この研究室には何故?」
「丁度、人員を募集しているからと、神崎教授が教えてくださったんです」
「結局、神崎絡みだな」
この人事に関しても、何かの思惑があるとしか思えない。
先程までの会話は、恐らく全て盗聴されているのだろう。
十樹は、研究室の鳴らない盗聴器センサーを見た。
☆
その夜、研究室にいるメンバー、リル以外の全員による懸命な盗聴器探しが行われた。
――精度のいい、最新の盗聴器の可能性がある。十樹はそう言った。
桂樹は大学警察から盗聴器の電波を察知する小型センサーを借り、それぞれに持たせて研究室内を探し回ったものの、センサーが反応することはなかった。
☆
薄暗い室内に、二人の影があった。
「軍事用クローンですか……」
幾何学大学の会議室の一隅で、神崎教授こと神崎保は、学長からの提案に少なからず驚いていた。
「神崎教授、君なら知っているだろう。この星をコントロールしている衛星『四季』との紛争が続いていることを」
衛星『四季』とは、一億人の人々と科学者を乗せて幾何学大学が打ち上げた、夢の気象衛星だ。
かつては、度重なる天変地異からこの地を守る為に打ち上げられた衛星であったが、今は独立した一つの国家とも言える力を持っている。
国は独立した『四季』に気象をコントロールされている事実に不満を抱き、軍事力を持って、衛星『四季』を再び国の支配下に置こうと躍起になっているのだ。
紛争が始まって、すでに五年が経つ。
「しかし、今の法律では人間のクローンを造ることは重大な倫理違反です。私がそんな事をすれば、倫理委員会が黙っていないでしょう。神崎グループ全体の立場が危うくなります」
学長は、こほんと咳をして言った。
「軍の人材が不足しているんだ。それに、君には少なからず我々が面倒をかけられている。君がしてきた数々の不正を見逃し続けるには限界があるのだよ」
「私は、学長の命令通りに事を遂行したまでです」
神崎保は眉をしかめ、学長の瞳を見た。
「確かに、我々にも落ち度はあるのかも知れんがな。実際に行ったのは君だ。別にいいんだよ。君のしてきた不正をマスコミに売り込んでも」
「――考えさせてください」
会議室を出て行こうとしたその時、学長が神崎保を呼び止めた。
「ああ、そういえば、君には息子がいたな。一連の出来事は、君の息子の責任にしてしまえばいい。聞くところによると君達は、例の二人のことを調べているそうじゃないか」
☆
宇宙科学部の研究室では、盗聴器発見に時間を費やし、ほぼ完全に徹夜をしてしまった。
リル以外は、朝になっても起きることが出来ず、アラームは室内に鳴り響いていた。
皆、睡魔に身を任せて布団を友としている。
リルは花子にエサをあげていた。
「皆起きないなぁ」
しばらく研究室の中をうろついて、第四研究室の亜樹が眠る部屋へ行った。
昨日と同じように眠っている亜樹に「おはよう」と挨拶をして、部屋に備え付けられてあるクローゼットの中を見た。
すると、ちょうど自分の背に合いそうな、桜の刺繍が施してある淡いピンクのワンピースを見つけた。
「わあ、可愛い! きっと亜樹ちゃんの着る服だぁ」
でも、十五歳のお姉ちゃんが着るにはちっちゃいよね、と呟くと、リルはパジャマのような十樹の配った服と見比べ、鏡の前で服を着替えた。
「こっちの方がいいなぁ」
鏡の前で、くるりと無邪気に一回転すると「そうだ!」と何か思いついたように、研究室のドアへ向かった。
「皆が寝てる間に、朝ご飯の用意をしちゃおう」
そう言うと、リルは研究室を出て食堂へ向かった。
☆
食堂の前に着くと、沢山の『白衣を着た人』が入って行く。
食堂に入るにはパスポートが必要で、リルはその入り口の扉の前でウロウロしていた。
そんな時――神崎が声をかけた。
「リルちゃん、どうしたんだい?」
「食堂に入りたいの。お腹すいたから」
あれ? おじさんに名前教えたっけ? と不思議な顔をして神崎を見た。
「お兄さんは偉い人だから、君達の事は何でも知ってるよ」
「え、本当!?」
「偉い人」という言葉を受けて、リルには神崎の背に後光が射しているように見えた。
「僕のパスを使って、食堂に入るといい。しっかりくっついてね」
優しい声で神崎は言う。
リルは頷いて、神崎の足元にぴたりとひっついた。
すると、食堂の扉が開き中へ入ることが出来た。
「ありがとう、おじさん。あ、あと、おじさんに訊きたいことがあるの」
「いいよ。何でも教えてあげよう」
リルのおじさん、という言葉にひっかかりを感じながら神崎は答えた。
リルは快く答える神崎に嬉しくなって、はしゃいだ。
そこから、神崎には到底意味不明なリルの説明が始まったのである。
まず、リルは大量の朝食を用意してテーブルについた。
勿論、眠っている研究室にいる十樹達のためだったのだが、神崎は「リルちゃん、沢山食べるね」と引き気味に言った。
「おにーさん、リルたち、ぴょんって降りて歩いてひっくり返ってここに来たの」
「――……」
「そしたら、ぶくぶくってなって、驚いて、皆も驚いたの」
「――へ、へえ」
「でね、ばびゅーんとなってね、ピーピー鳴って、橘が犬を連れてきたの」
「そう」
「それでね、どっかーんってなってねー」
「……」
☆
このリルという少女と話始めてから、神崎は「へえ」と「そう」としか返事をしていない。
話始めて十五分が経過したが、一方的に話すリルの話は終わらない。
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