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2章 魔法使いとストッカー

63 お久しぶりのロンテーヌ

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 荷解きをして、夕食まで休む事になったのだが、どうしても学校のことが気になってロダンを呼んだ。

「ロダン、私は学校に遅れて行くの?」

「ご主人様からですか? そうですね。今の予定では」

「何で?」

「明日にしましょう。私も久々の領地ですので、やる事がたくさんありまして。申し訳ございません」

「いいよ。じゃぁ、私はこれから自由時間?」

「城から出ないようにお願いします」

「ぶ~。わかった… はぁ~ヒマだし寝ようかな。その方がみんなにとってもいいよね?」

「おっ! 側近の状況がわかってきましたね。主人としてとても良い判断です。お嬢様をより快適に、より厳重に警備するにも、皆の下準備があってこそなのです。お嬢様の為でもありますからね」

「寝ることが?」

 笑顔満点のロダンはユーリを呼び私を寝かしつけた。

「お嬢様、私がお側にいますので安心してお休み下さい。夕食前には起こしますね」

 と、ユーリはベッドの側に椅子を置いて本を読み始めた。私も、ふっかふかのベッドに沈むといつの間にか寝てしまっていた。

 翌朝、テーヌ服、もとい運動服を着て外出する気満々の私にお兄様が呆れ顔で頭をなでる。

「ジェシー、早速か… 怪我だけはするなよ」

「お兄様! やっぱりわかります? ずっっっっとお預けのスルーボードで遊びまくるんです!」

「お前は… もうすぐ十七だぞ? 少しは女性らしく… 言うだけ無駄か。程々にな」

「わかってますよ。って、あれ? アンジェお姉様はどうしたんですか?」

「… 今日は体調不良だ」

 後ろのイーグルが小笑いしながら咳払いをした。みんなニマニマとお兄様を見ている。

 あー… そう言うことね。

「… お兄様も程々に」

「なっ! 生意気な!」

 と、顔がゆでだこ状態のお兄様は早足で執務室に向かっていった。はいはい、ご馳走様です。

「じゃぁケイト。今日はアークとリットとロッシーニ、ユーリと行ってくるね」

「お嬢様、お気をつけて。いざとなればお一人で転移すること!」

「了解です」

 今日のケイトは何だか優しいな。お小言が少ないような。ニコニコと私の身だしなみを再度確認している。

「よし、行こうか」

 玄関出てすぐのアプローチからスルーボードに乗る。私を囲んでみんなで出発だ。珍しく、アークが影から出て同じくスルーボードに乗っている。てか、運動? 体を動かしているアークにちょっと違和感が。

「アーク、結構運動神経はいい方なの?」

「どうでしょう。でも諜報活動をしていたので、そこそこはあるんじゃないでしょうか」

「あっ、そうだよ。ついつい忘れそうになる~、アークって凄腕の暗殺者だったんだ」

「暗殺… お嬢様、諜報でお願いします」

 ん? 珍しい。

「え? そこ気になる?」

「今は… 人を殺めていませんので…」

 少しだけもの悲しそうにうつむいたアーク。気になったけどあまり突っ込むのも悪いよね。今日は楽しい日にしたいし!

「わかった。ロッシーニ、今日はどこまで行っていいの?」

「広場周辺までですね」

「え~、村は? あのツルツルにした小道を滑ってみたいのに」

「ダメです」

 ぶー!!!

「まぁまぁ、お嬢、こうやって滑るだけでも楽しいだろ?」

「うん! すっごい楽しい! 風を切って気持ちいい!」

 そんなこんなで、あっという間に広場に着いた。
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