前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!

Akila

文字の大きさ
上 下
127 / 135
2章 魔法使いとストッカー

62 ちょっと領地へ

しおりを挟む
「ジェシー、婚約式以来ね。あったみたいだけど、本当に体調は大丈夫なのかしら?」

 笑顔満点のアンジェお姉様が私に優しく話しかけてくれる。余程、ロンテーヌ領に行けるのがうれしいのか、馬車の中でアンジェお姉様は、キャッキャとお兄様を余所にはしゃいでいる。

「ありがとうございます。体調は大丈夫。でも、お姉様はいいんですか? 王都の方が何かと華やかですよ?」

「いいの。私はオシャレとか社交に重きを置いていないから。カイ様もそれでいいとおっしゃってくれておりますし。それより、カイ様の故郷を早く見てみたいのです」

 と、顔を赤らめたお姉様をデレデレと見つめるお兄様…。うぇ~、身内のイチャイチャって、結構キビシイな、寒気が…。

「それはそれは、ごちそうさまです。あっ! お姉様。いつか差し上げたスカーフはお持ちになりましたか?」

「えぇ、そう言付かったから。特別な何かがあるの?」

「ふふふ、それは着いてからのお楽しみですよ」

「ふふふ、そうなの? あ~、私、本当に幸せだわ。隣にはカイ様、そして目の前にはカワイイ妹。もうこれ以上の幸せってないんじゃないかしら?」

「ですって、お兄様。これからはもっとたくさんありますよ? ねぇ、お兄様?」

「ん?」

 と、お兄様はお姉様を見つめるのに忙しかったのか、話を全然聞いていない。

「もう、お兄様。お姉様が『今以上の幸せはあるのかしら?』っておっしゃってるわよ。あるじゃない、もっと幸せが!」

「ん~、何だ? 俺も思いつかないなぁ。こんなに心満ちた日々は久しぶりで俺も今絶頂だな」

 お兄様とお姉様はイチャイチャと指を絡ませ、ニタニタしている。はいはいはい、仲良しでいいですね~。

「お二人共… イチャイチャは二人の時にでもして下さい。居心地が… その調子ならお子様も早そうですね?」

「な!」
「きゃっ! ジェシーったら!」

 言わなきゃよかった。真っ赤なお兄様とお姉様は、私が目の前にいるのにさっき以上に盛り上がっている。

 はぁぁぁ、と窓の外を見て気分を紛らわすか… 砂糖たっぷりのラブラブ劇場を直視できない。

 王都門を後にして一時間ほど過ぎた頃、木々が立つ小さな林に馬車が停車した。コンコンコン。

「ご主人様、準備はよろしいでしょうか?」

「あぁ、入っていいぞ」

 ランドが一礼して入ってくる。私の横に座ると、お姉様に自分の特化を話し出した。

「奥様、これより私の特化で領地へお連れします。絶対におどろいて手を離さないようにお願いします」

「わかったわ。あなたの事は事前に聞いておりますし、契約も済ませております。よろしくね」

 『うん』と頷きお兄様に合図したランドと私たちは手を繋ぎ、一瞬でロンテーヌ領に飛んだ。


 同じような馬車の中に転移したので、あまり変化はないが確かに我が愛する領だ。窓から見える城がもう懐かしい。

「あ、あの~。本当に移動しましたの? 何だか…」

「あはは、もう領だよ。でも少し待ってくれるか? 諸々を転移させるのに時間がかかる。もう少しここで待機だ」

「わかりました。ジェシー、いっぱい遊びましょうね?」

「えぇ! でも、私はすぐに学校が始まっちゃいますけど…」

 なぜか『え?』っとびっくりしたお姉様はお兄様を見る。お兄様は少し苦笑いだ。

「詳細はロダンから聞いてくれ。ジェシーは少し遅れての登校になるだろう」

「!!! 何で? 今、問題って抱えてないですよね? 闇子以外に何かあったかな?」

「まぁ、ロダンから聞け。俺とアンジェはしばらく二人で過ごすからな。邪魔するなよ! お前も好きなように過ごすといい。ただし、発明は禁止な」

「… わかりました~。って、そりゃ~好きにしますけど… え~、何で~。学校行きたい~。対抗戦があるのに~」

 よしよしと頭を撫でるお兄様。頭撫でてもらうの久しぶりだな。ウフフ。

「もちろん対抗戦はみんなで応援に行くよ」

「やったー! 対抗戦に参加できるならいいです。絶対ですよ! お姉様も来てくださいね!」

 ふふふ、うんうんと二人は私に優しく微笑んでくれた。
しおりを挟む
よろしければお気に入り&感想お願いします!
感想 404

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

この度、双子の妹が私になりすまして旦那様と初夜を済ませてしまったので、 私は妹として生きる事になりました

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
*レンタル配信されました。 レンタルだけの番外編ssもあるので、お読み頂けたら嬉しいです。 【伯爵令嬢のアンネリーゼは侯爵令息のオスカーと結婚をした。籍を入れたその夜、初夜を迎える筈だったが急激な睡魔に襲われて意識を手放してしまった。そして、朝目を覚ますと双子の妹であるアンナマリーが自分になり代わり旦那のオスカーと初夜を済ませてしまっていた。しかも両親は「見た目は同じなんだし、済ませてしまったなら仕方ないわ。アンネリーゼ、貴女は今日からアンナマリーとして過ごしなさい」と告げた。 そして妹として過ごす事になったアンネリーゼは妹の代わりに学院に通う事となり……更にそこで最悪な事態に見舞われて……?】

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

【完結】元婚約者であって家族ではありません。もう赤の他人なんですよ?

つくも茄子
ファンタジー
私、ヘスティア・スタンリー公爵令嬢は今日長年の婚約者であったヴィラン・ヤルコポル伯爵子息と婚約解消をいたしました。理由?相手の不貞行為です。婿入りの分際で愛人を連れ込もうとしたのですから当然です。幼馴染で家族同然だった相手に裏切られてショックだというのに相手は斜め上の思考回路。は!?自分が次期公爵?何の冗談です?家から出て行かない?ここは私の家です!貴男はもう赤の他人なんです! 文句があるなら法廷で決着をつけようではありませんか! 結果は当然、公爵家の圧勝。ヤルコポル伯爵家は御家断絶で一家離散。主犯のヴィランは怪しい研究施設でモルモットとしいて短い生涯を終える……はずでした。なのに何故か薬の副作用で強靭化してしまった。化け物のような『力』を手にしたヴィランは王都を襲い私達一家もそのまま儚く……にはならなかった。 目を覚ましたら幼い自分の姿が……。 何故か十二歳に巻き戻っていたのです。 最悪な未来を回避するためにヴィランとの婚約解消を!と拳を握りしめるものの婚約は継続。仕方なくヴィランの再教育を伯爵家に依頼する事に。 そこから新たな事実が出てくるのですが……本当に婚約は解消できるのでしょうか? 他サイトにも公開中。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。