前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!

Akila

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2章 魔法使いとストッカー

32 お久しぶりの王宮

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「ジェシー。来週、登城するように」
夕食をモリモリ食べていた私に突然お兄様は渋い顔で報告してきた。

「え~。エド様かしら?」
ここ最近せっかく学校が楽しくて私の心は毎日バラ色だったのに!

「あぁ。。。先日のプリストンの事もある。何れにしても行かなくてはいけないしな」
『は~』とため息交じりにお兄様は肉にかぶりついている。

「そうなんですね。アダム様で十分じゃ無い?エド様か。。。他が居なければいいのだけれど」

「それな~」
私達はお互いに見合わせてため息を連発する。

は~。美味しいお肉が半減だよ。



「エド様。お久しぶりです」
例のごとく、王宮のエド様の応接室に招待されて今はグレン様の『檻』の中だ。

「おお。ちゃんと手紙が来て安心した。今日はいくつか報告があってな」
ニコニコ顔のエド様だけど、ちょっとだけ疲れてるのかな?くたびれた感が漂う。

「ええ。何となくわかりますよ」
私はそう言いながら王宮の可愛らしいお菓子を堪能する。こうして何度も来れば慣れっこだ。メンバーもアダム様を入れて4人だし。お菓子の味も楽しめるようになったよ。ふふん。

「何だ?そっちにも情報が行ってるのか?」
アダム様は私から話をするように言って来る。

「はい。まず、そうですね~。私が知りたい事からでいいですか?」

『あぁ』とエド様はソファーにだらんと腰を深くして座っている。

「まず、エルメダ様と第二王子の事はどうなりました?話せる範囲で結構です」

アダム様はふ~と一息ついてから話してくれる。
「そうだな。。。結論から言うと、エルメダ嬢はジョージ様の婚約者候補から外れた。エルメダ嬢も次期当主夫人の枠からも除外となった」

「え?じゃぁ、領外追放になるのかしら?でもエルは悪くないでしょ?」

「そうだ悪くないが。。。領外追放とまではわからんぞ。エルメダ嬢の今後は不明だ。しかしこれは領の問題だからこちらからはどうにも出来ん。ついでだから教えておくが、この冬の社交界で発表になるんだが、エルメダ嬢の妹とジョージ様は婚約をする。決定事項だ。ロスト領は今回のジョージ様の不祥事に目を瞑る代わり、ジョージ様を無条件で受け入れたいと申し出があってな。次期当主夫人はその妹になる。ジョージ様の記憶が無いのが幸いしてか、丸っと無くなった勉強の事など、教育の方もロスト領でしてくれるらしい。まぁ、王族としても引き取って来れてありがたいんだが。。。と言うわけで、ジョージ様はこの夏よりロスト領へ向かわれる。学校は休学のまま卒業になるだろう。その辺は王族特権で有耶無耶にする予定だ」
おいおい、王族特権って。笑

「へ~。それで手打ちにしたんですね。そんなに王族の血って必要かな?」

「おいジェシカ。王族の血は貴重なんだぞ!お前は魔力が多いからそんな事が言えるんだ。魔力量の問題は領主達の課題とも言える。のほほんとしてないで、お前も気をつけろよ」
エド様は呆れながらも私を心配してくれている。

「そうなんですね。了解です。今後はあんまり魔力量について言わないようにします。では、エルメダ様は2学期から復学するのかな?」

「多分な。それより、ロゼ領領主と仲良くなったそうじゃないか?その事も聞きたいんだろう?」
さすがアダム様、耳が速い。

「ええ。プリストンの次期領主のシモン?様だったかな、その方のお嫁さんにと言われてるそうですね」

「あぁ。その事はしばらく待ってくれ。この件はルーベン様に任せている」

「第一王子様ですか。。。大丈夫です?」

「そこは問題ない。表向きはマーサ女史の例のアレの洞窟調査でロゼ領へ向かった事になっている。王都を離れる理由がいるからな。プリストン領にも近いし好都合だったんだよ。だから、マーサ女史の研究もルーベン様が担当している」

そうなんだ~。向かっていると言うことは現在進行形?そう言えば、王都に来てから姿を見ないと思っていたんだよね。

「では、マーサの研究は表に出す感じですか?」

「あぁ。石に込められる魔力が少ないのが幸いだ。魔道具として話を進める。補助魔法の魔法陣みたいなもんだな。だからマーサ女史には取り急ぎ学校へ行ってもらったんだ」

そうか、そうか。いい方向へ向かっているようで単純にうれしい。

「では、マーサの研究の話し合いはルーベン様次第でしょうか?」

「そうだな。恐らく夏の終わりになるだろう」

ふ~ん。じゃぁ、夏は早急に帰れるな。よしよし。

うんうんと頷いていたら、エド様がいきなり細い目で私を睨んで来た。
「それより、ジェシカ、マーサ女史を勧めたのはお前の入れ知恵らしいな。お前は俺の嫁の心配はせんでいい。生意気な」

「あはは。すみません。マーサの身辺警護には王城が最高かなって」

「おいおい、警備面で選んだのか。。。俺はこれでも王だぞ。結構婦人達にも人気もあるんだからな!」

はいはい。すみませんね。私がつ~んとしていたらグレン様が珍しく話に加わって来た。

「ジェシカ、学校は楽しいか?いじめられてはいないか?」
グレン様はお父さんのように優しい目で気にかけてくれる。このたぬき達に見習って欲しいものだ。

「ええ。グレン様、学校は楽しいです。異なる世界には魔法がありませんでしたから、毎日ウキウキです。それに対抗戦に向けてクラスの仲間とも仲良くやっています。たくさん友達ができました」

「ほぉ~。婿の方はどうだ?上手くいってるのか?」
ニヤニヤとアダム様が横槍を入れてきた。

「。。。まだ始まったばかりですよ」

「その分だと、私が前に言った通りになりそうだな。ははははは」
アダム様は勝ったとばかりに笑ってくる。

「ふふふふふ、いいじゃないか。最悪独身でもいいんだろう?」
エド様もニヤついてトドメを刺してくる。

「ええ。。。でも、まだ2年ありますから!ふんだ!」

「まぁまぁ、エドもアダムも。それより、まだ知りたい事はないのか?」
グレン様が間に入ってくれる。

「そうですね。。。知りたい事というよりは私の勘なので今は何とも。。。」

「何だ?しょうもない事でも聞くぞ?今日は午後は丸っと空けたからな」
エド様は余程私と話したかったのか、予定を空けているみたい。

「勘なので、違うかもしれないのです。私の方でも調べはしたんですが頭打ちで。。。」

「アーク?だったか?アレの能力でもわからない問題か?」

「ええ。私の担任なんですが、ロッド・メンデルをご存知ですか?」

3人は顔を合わせてハテナになっている。

「ご存知ないのですね。風の魔法使いでその年代では有名だったらしいのです。その人は現在30歳なんですが」

「あ~!思い出した!竜巻の魔法使いだな!魔法庁が悔しがっていたな。確か、学校卒業と共に教師になった奴だろう?」
エド様の記憶の片隅に残っていたよう。

「その人です。これは偶然なんですが、授業中に同年代の魔力量がどんなものか気になって『眼』を発動させたんです。その時、先生のも見てしまって。。。」
3人は喰いついて話を聞いてくれている。

「特化の『収』という字が見えたんです。さっきの有名だった話と隠している特化、あとはなぜ先生なのか。。。ちょっと引っかかりまして」

「「「。。。」」」

案の定、エド様は思考の旅に出ている。

「ジェシカ、『収』とは何だ?何か知っているのか?」

「いえ、私もわからなくて。思いつくのは収集、収納。。。ぐらいですかね?」

「まぁ、そうだろうな。。。『収』か。。。そうなると教師という職業を選んだ理由がいささか引っかかるな。。。ジェシカ、他はないか?そのロッドについて」

他か。。。ないな~。

「基本、ダラけてるというか、適当な所がある変わった先生?って感じで。普段の様子じゃ無害なんです。卒業後すぐに先生になった割に熱血ではないですし、あとは、リットが1学年下だったらしく、メンデル家の分家だそうですよ」

「分家か。。。メンデル領は珍しく領の中心に森があるんだ。風の家魔法だったな。。。そうかメンデルか」
アダム様もそう言って思考の旅に出てしまった。

『ふ~』っとため息が出るとグレン様と目が合った。

「おいしいですね。これは王宮でしか食べられないのですか?」
「いや、エド専用の料理人だから王城でも出る。でもエドが居る時だけだから。これもおいしいぞ」
と、2人が考えて居る間、グレン様とお菓子とお茶を楽しんだ。

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