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2章 魔法使いとストッカー
20 掲示板と男の子
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週末にイーグルに会いに行き色々と講義を受けた後、私は領の広場でスルーボードを満喫した。
「は~!いい気持ち!」
私は領の子供達に混じってぐるぐると広場を周る。『お嬢~、お嬢~』と久しぶりの私の登場に領の子供達も自然に集まって来る。
ふと広場の入り口、商店街へ続く側道を見ると、あの希望を出していた『掲示板』が出来ていた!
「うそ!リット!あれって掲示板かしら?」
私はうれしくなり駆け出して行く。
「あぁ。先週出来たばっかりだそうだ」
護衛としてついて来ていたリットが教えてくれる。
私は新しくできた掲示板に釘付けだ。外国のバス停のようにベンチと掲示板が一体となった休憩所のようになっている。ちょうど、商店街と広場の境なので、一息吐くのにちょうどいい。よく考えられている。ミランのアイデアかな?
どれどれ~と早速掲示板を見てみる。張り出されていたのは先月号の王都新聞だった。全面、裏表の8枚。4ヶ所の掲示板。
「一月遅れなのね。。。でも情報としてはありがたいのかな?う~ん、実際はどうなのかしら?」
実際の領民の声が聞きたいな。。。まだ、文字が読める人は少ないだろうし、ちゃんと役立っているのかな?
すると、ちょうど端っこの掲示板あたりで、8歳ぐらいの男の子が掲示板に貼られている新聞の一部を声に出して読んでいた。周りには数人の大人達。
「…昨年の春より進出しているロンテーヌ領の商会が、またしても新商品を発表するそうだ。こんなにも新商品が続くのは王国始まって以来ではないだろうか。王都のロンテーヌ領の商会『ロクサーヌ王都店』の店主曰く、『今後、我々の新商品は毎年春に発表します』と、更に新しい商品の存在も匂わせている。今後の躍進に期待したい」
「お~。俺たちの領の事が新聞に載ってるぞ!すごい!」
「今の領主様はすごいな~。住みやすくなって仕事も増えたしな。領主様様だな~」
「そうだな。。。立て続けに領主様が交代したからな。心配だったんだけど。。。今の領主様は若いらしい、がんばって欲しいよ」
と、領民達は新聞を見て喜んでいる。
「坊主、ありがとよ。ほれ」
と、3人のオヤジ達は新聞を読んだ子供にお金を払っていた。
「まいどあり。さぁ~誰か読んで欲しい人いませんか?今なら、お好きな記事を10Dで読むよ~」
「リット、すごいわ。あの子。考えたわね~。しかも10Dって。それなら気軽に読んでもらうのにちょうどいいわね」
「あぁ。たくましいな。小遣い稼ぎにいい」
私はその子供に近づいて話をしてみる。
「ねぇ、ちょっといいかしら?10D払えば読んでくれるの?」
「あぁ。。。てか、お嬢じゃん。お嬢は読めるだろう?」
あれ?知ってる子?スルーボード仲間かな?
「そうなんだけど。これって誰でもしてるの?」
「いや、今は俺だけだ。俺、結構、勉強が楽しくて、冬の間に文字を全部制覇したんだ。それで、母さんに自慢したくてたまたまこの新聞を読んであげてたら、周りの大人達が『10D払うからここの部分を読んでくれ』って言われたのがきっかけなんだ。。。これってダメなのか?俺は自警団に捕まるのか?」
「いえ。大丈夫よ。すごいな~って感心していたの。偉いわね。がんばったのね。ちなみに1日どのくらい稼ぐの?」
男の子は周りを見渡しこっそり私に耳打ちする。
「300~500Dぐらい」
「えっ!すごいじゃない!」
「えへへ。内緒だよ。人通りが多いお昼過ぎの時間に1~2時間ここに立って読んでるんだ。今は文字が読める奴が少ないからいいけど。。。来年はわからない。俺の事真似しようと友達も文字を練習し出したし。。。今だけだよ」
男の子は稼いだ小銭で夕食のパンを買って帰るらしい。いっぱい食べられるようになって良かったとうれしそうだった。
「リット、思わぬ朗報だったわ。領民達の役に立ているのね」
私は男の子を遠巻きに眺めながらしばらくベンチに座り領民達を観察した。
次から次に男の子に記事を読んでもらいに大人達が集まってくる。需要はあるようね。よかった。
「お嬢、そろそろ行こうか?王都屋敷に戻らなくては。俺の事情で悪いんだが、自警団にも顔を出したいしな」
「ええ。そうね。リットが自警団に行っている間、どうしようかしら。。。久しぶりにロック爺と話でもしようかな」
私達は広場を離れ城に帰る。
「お嬢様、おかえりなさいませ」
出迎えてくれたのは王都から一緒について来たエリだ。
「エリ、ロック爺に会いたいの。あと、魔法塔に行っているランドを呼んで来て」
エリは『かしこまりました』とロック爺とランドを呼びに行った。
「お嬢、テラスに行こうか。そう言えば、ロッド・メンデルが先生らしいじゃないか。ロダン様に聞いたよ」
おっと。。。そうだった。早速だな。
「そうなの。リットは在学中に会った事ある?」
「ん?1年先輩だったな。覚えているよ。魔法科だったかな。彼が2年時の秋の対抗戦ですごい竜巻を起こしていたな。。。気になるのか?」
テラスに着いた私達はランドが来るまでの間話をする。
「気になるって事ではないの。ちょっと変わった先生だから。先生って感じではないのよ、何かダルイ感じ?」
「そうか。。。確かメンデル伯爵家の分家で、魔法科でも首席だった。同じ『風』魔法使いだから覚えているよ。対抗戦で騎士科と当たった時は白熱したな~。その頃から魔法使いとして将来を有望視されていたのに。。。みんなは魔法庁へ行くとばかり思っていたのが、周りの意見を押しのけて教師になったんだよ。しかも、卒業して直ぐに。結構話題になったからその時代の生徒達は知ってる奴が多いと思う。先生の中でも若い方だろ?」
そう言えば、先生方は40代以上が多いような。。。
「そう。若いのに先生としてのキャリアが十分あるのね。長く居るからダルく見えるのかな?学生時代に『特化』があるとか聞いた事ある?すごい魔法使いなんでしょう?」
無理がないように、それとな~く特化について触れてみる。何となく聞き出せるかな?
「さぁ、特化があるとは聞いた事はないな。風の魔法使いで有名だった。まぁ、10年以上教師なら慣れて来てダレてるのかもよ」
リットからのロッド先生の情報はそれだけだった。
ロッド先生が特化を隠しているのは決定だ。なぜ隠すのか。先生なら特化を教える時に役立ちそうなのに。。。
「そうね。ありがとう。まぁ、本人の性格もあるだろうし。ほどほどに先生と生徒でやって行くわ」
ちょうどランドが来たので護衛を交代し、リットは自警団の方へ行ってしまった。その後、エリが遅れてやって来てロック爺は農村部へ視察に行っているので不在だとの事だった。
「そっか。。。じゃぁ、ランドとお話ししようかしら。エリ、お茶をお願い」
ランドに前のソファーに座るように勧める。
「ランド、久しぶりね。護衛で就いてはくれてるけど学校が始まってからあまり話さなくなったわね」
ランドは紅茶を飲みながら私の話を聞いてくれる。
「そうだな。一緒に居られる時間は限られているからな」
「そうだ!私の担任の先生の事、ランドは知っているかしら?ロッド・メンデルって言う人なんだけど。歳は30よ」
「あぁ。私の学生時代に魔法科の新人教師で居たな」
ランドは学生時代を思い出している。
「あっ!そっか、卒業して直ぐに先生になったって言ってたわ。。。どんな先生だった?」
「ん?気になるのか?まさか。。。」
ランドの目がクワッと見開く。ちょっと怖い。
「ん?ちょっとダルイ感じの先生だから、新人の頃は熱血だったのかな~なんて」
誤魔化し方にちょっと無理があったかな。ランドはホッと胸をなで下ろしている。
「あぁ。良くも悪くも目立った感じではなかった。風の魔法使いでよく竜巻を披露していた。授業もわかりやすくて良かったと思う。そう言えば卒業する時に一人一人と握手していたのは印象的だったな」
握手。。。何か手がかりになる?
「そう。ロッド先生は特化を持っているのかな?まだ特化の授業は受けてないからわからないの」
「いや、聞いた事はない。さっきも言ったように風を自在に操っていた」
「そう。。。ありがとう」
私はそれっきり先生の話題はやめた。ランドと時々エリとそれぞれの学校生活の話を聞きながら後の時間を過ごした。
それから、1時間程で戻って来たリットとみんなで王都屋敷へ転移して帰って来た。
イーグルには4公爵家のお家事情を聞いて、私からはロッド先生について気になる事を伝えてある。ロダンも探るそうだから、ロッド先生の事はしばらくは休止だね。モヤモヤしながらも、後の週末は屋敷の部屋でゴロゴロして過ごした。
「は~!いい気持ち!」
私は領の子供達に混じってぐるぐると広場を周る。『お嬢~、お嬢~』と久しぶりの私の登場に領の子供達も自然に集まって来る。
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「うそ!リット!あれって掲示板かしら?」
私はうれしくなり駆け出して行く。
「あぁ。先週出来たばっかりだそうだ」
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私は新しくできた掲示板に釘付けだ。外国のバス停のようにベンチと掲示板が一体となった休憩所のようになっている。ちょうど、商店街と広場の境なので、一息吐くのにちょうどいい。よく考えられている。ミランのアイデアかな?
どれどれ~と早速掲示板を見てみる。張り出されていたのは先月号の王都新聞だった。全面、裏表の8枚。4ヶ所の掲示板。
「一月遅れなのね。。。でも情報としてはありがたいのかな?う~ん、実際はどうなのかしら?」
実際の領民の声が聞きたいな。。。まだ、文字が読める人は少ないだろうし、ちゃんと役立っているのかな?
すると、ちょうど端っこの掲示板あたりで、8歳ぐらいの男の子が掲示板に貼られている新聞の一部を声に出して読んでいた。周りには数人の大人達。
「…昨年の春より進出しているロンテーヌ領の商会が、またしても新商品を発表するそうだ。こんなにも新商品が続くのは王国始まって以来ではないだろうか。王都のロンテーヌ領の商会『ロクサーヌ王都店』の店主曰く、『今後、我々の新商品は毎年春に発表します』と、更に新しい商品の存在も匂わせている。今後の躍進に期待したい」
「お~。俺たちの領の事が新聞に載ってるぞ!すごい!」
「今の領主様はすごいな~。住みやすくなって仕事も増えたしな。領主様様だな~」
「そうだな。。。立て続けに領主様が交代したからな。心配だったんだけど。。。今の領主様は若いらしい、がんばって欲しいよ」
と、領民達は新聞を見て喜んでいる。
「坊主、ありがとよ。ほれ」
と、3人のオヤジ達は新聞を読んだ子供にお金を払っていた。
「まいどあり。さぁ~誰か読んで欲しい人いませんか?今なら、お好きな記事を10Dで読むよ~」
「リット、すごいわ。あの子。考えたわね~。しかも10Dって。それなら気軽に読んでもらうのにちょうどいいわね」
「あぁ。たくましいな。小遣い稼ぎにいい」
私はその子供に近づいて話をしてみる。
「ねぇ、ちょっといいかしら?10D払えば読んでくれるの?」
「あぁ。。。てか、お嬢じゃん。お嬢は読めるだろう?」
あれ?知ってる子?スルーボード仲間かな?
「そうなんだけど。これって誰でもしてるの?」
「いや、今は俺だけだ。俺、結構、勉強が楽しくて、冬の間に文字を全部制覇したんだ。それで、母さんに自慢したくてたまたまこの新聞を読んであげてたら、周りの大人達が『10D払うからここの部分を読んでくれ』って言われたのがきっかけなんだ。。。これってダメなのか?俺は自警団に捕まるのか?」
「いえ。大丈夫よ。すごいな~って感心していたの。偉いわね。がんばったのね。ちなみに1日どのくらい稼ぐの?」
男の子は周りを見渡しこっそり私に耳打ちする。
「300~500Dぐらい」
「えっ!すごいじゃない!」
「えへへ。内緒だよ。人通りが多いお昼過ぎの時間に1~2時間ここに立って読んでるんだ。今は文字が読める奴が少ないからいいけど。。。来年はわからない。俺の事真似しようと友達も文字を練習し出したし。。。今だけだよ」
男の子は稼いだ小銭で夕食のパンを買って帰るらしい。いっぱい食べられるようになって良かったとうれしそうだった。
「リット、思わぬ朗報だったわ。領民達の役に立ているのね」
私は男の子を遠巻きに眺めながらしばらくベンチに座り領民達を観察した。
次から次に男の子に記事を読んでもらいに大人達が集まってくる。需要はあるようね。よかった。
「お嬢、そろそろ行こうか?王都屋敷に戻らなくては。俺の事情で悪いんだが、自警団にも顔を出したいしな」
「ええ。そうね。リットが自警団に行っている間、どうしようかしら。。。久しぶりにロック爺と話でもしようかな」
私達は広場を離れ城に帰る。
「お嬢様、おかえりなさいませ」
出迎えてくれたのは王都から一緒について来たエリだ。
「エリ、ロック爺に会いたいの。あと、魔法塔に行っているランドを呼んで来て」
エリは『かしこまりました』とロック爺とランドを呼びに行った。
「お嬢、テラスに行こうか。そう言えば、ロッド・メンデルが先生らしいじゃないか。ロダン様に聞いたよ」
おっと。。。そうだった。早速だな。
「そうなの。リットは在学中に会った事ある?」
「ん?1年先輩だったな。覚えているよ。魔法科だったかな。彼が2年時の秋の対抗戦ですごい竜巻を起こしていたな。。。気になるのか?」
テラスに着いた私達はランドが来るまでの間話をする。
「気になるって事ではないの。ちょっと変わった先生だから。先生って感じではないのよ、何かダルイ感じ?」
「そうか。。。確かメンデル伯爵家の分家で、魔法科でも首席だった。同じ『風』魔法使いだから覚えているよ。対抗戦で騎士科と当たった時は白熱したな~。その頃から魔法使いとして将来を有望視されていたのに。。。みんなは魔法庁へ行くとばかり思っていたのが、周りの意見を押しのけて教師になったんだよ。しかも、卒業して直ぐに。結構話題になったからその時代の生徒達は知ってる奴が多いと思う。先生の中でも若い方だろ?」
そう言えば、先生方は40代以上が多いような。。。
「そう。若いのに先生としてのキャリアが十分あるのね。長く居るからダルく見えるのかな?学生時代に『特化』があるとか聞いた事ある?すごい魔法使いなんでしょう?」
無理がないように、それとな~く特化について触れてみる。何となく聞き出せるかな?
「さぁ、特化があるとは聞いた事はないな。風の魔法使いで有名だった。まぁ、10年以上教師なら慣れて来てダレてるのかもよ」
リットからのロッド先生の情報はそれだけだった。
ロッド先生が特化を隠しているのは決定だ。なぜ隠すのか。先生なら特化を教える時に役立ちそうなのに。。。
「そうね。ありがとう。まぁ、本人の性格もあるだろうし。ほどほどに先生と生徒でやって行くわ」
ちょうどランドが来たので護衛を交代し、リットは自警団の方へ行ってしまった。その後、エリが遅れてやって来てロック爺は農村部へ視察に行っているので不在だとの事だった。
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ランドは紅茶を飲みながら私の話を聞いてくれる。
「そうだな。一緒に居られる時間は限られているからな」
「そうだ!私の担任の先生の事、ランドは知っているかしら?ロッド・メンデルって言う人なんだけど。歳は30よ」
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ランドは学生時代を思い出している。
「あっ!そっか、卒業して直ぐに先生になったって言ってたわ。。。どんな先生だった?」
「ん?気になるのか?まさか。。。」
ランドの目がクワッと見開く。ちょっと怖い。
「ん?ちょっとダルイ感じの先生だから、新人の頃は熱血だったのかな~なんて」
誤魔化し方にちょっと無理があったかな。ランドはホッと胸をなで下ろしている。
「あぁ。良くも悪くも目立った感じではなかった。風の魔法使いでよく竜巻を披露していた。授業もわかりやすくて良かったと思う。そう言えば卒業する時に一人一人と握手していたのは印象的だったな」
握手。。。何か手がかりになる?
「そう。ロッド先生は特化を持っているのかな?まだ特化の授業は受けてないからわからないの」
「いや、聞いた事はない。さっきも言ったように風を自在に操っていた」
「そう。。。ありがとう」
私はそれっきり先生の話題はやめた。ランドと時々エリとそれぞれの学校生活の話を聞きながら後の時間を過ごした。
それから、1時間程で戻って来たリットとみんなで王都屋敷へ転移して帰って来た。
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