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2章 魔法使いとストッカー

16 まさかの!

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魔法学の次に算術、歴史と続き、お昼休みになった。

「ミーナ。今日はおすすめのサンドイッチを食べようと思ってるの」
私は以前、ミーナが言っていたサンドイッチに心が躍っていた。

ロッシーニは私を席にエスコートしながら、周りを見渡している。ミーナはみんなの昼食を取りに行った。
「みんなも同じ席に座って食べましょうね。隅の席だし目立たないわよ。ね?」

「えぇ。ジェシー様がお望みなら。。。しかし。。。」
と、ロッシーニは迷っている。

「あら?ジェシーじゃない。ごきげんよう。お隣よろしくて?」
颯爽と現れたのは昨日会ったエルだった。今日も変わらずほんわり笑顔の癒し系美人。

「エル。昨日ぶりですわね。ロッシーニいいかしら?」

ロッシーニは一礼してエルに席を薦める。

「エル、申し訳ないのだけれど、大きなテーブルになってしまうけど、横にこの子達を座らせてもいいかしら?お昼をまだ取っていないのよ」

「ええ、そういう事なら、私の側近達もよろしくて?そうねぇ、変に目立つといけないから、1人は後ろに、他は2つほど横の席で昼食を取ればいいのではないかしら?」

「ええ。ではそのように。ロッシーニお願いね」
ロッシーニはまず自分が後ろにつくようで、ニックとミーナに離れた席を指示する。エルの側近達も同様にしている。

「ジェシーご存知?ここのサンドイッチは水の日が美味しいのよ?」

「そうなんですの?毎日違うメニューなのかしら?でも、今日のも美味しいわ。次は水の日ね。楽しみだわ」
私達はたわいもない話をする。

だって、隅の席といえど側使いが立っている領主令嬢達。。。やっぱりちょっとだけ目立っている。

チラチラとみんな好奇の目で見てくるよ。。。食べづらい。

「やっぱり2人揃うとどうしても目立ってしまうわね。。。そうだわ!放課後、図書室へ来て下さらない?あそこなら、人の目が気にならないわ。21領主専用の読書部屋があるの」

「そうなの?お話ししても大丈夫なのかしら?そうねぇ、毎日は無理だけど。。。週に1度お話ししましょうか?」

「ええ。声を張り上げなければ声も漏れないわ。あぁ、楽しみだわ。早速、今週は最後の金の日ではいかがかしら?」

「ええ。いいわよ。では、その時に」
私達はおほほ、うふふと公爵令嬢を演じる。

「少しいいかな?」
と、振り向けば第二王子。

ゲッ。

私達は立ち上がり一礼する。

「座ってくれて構わない。エルメダに話があるのだ」

エルは私に目配せし、私は頷く。ロッシーニ達側近は直立不動だ。

「珍しいですわね。殿下からお声がけとは。。。何のお話でしょう?」
エルは営業スマイルで返答している。

「あぁ、ここでは話しづらいのだが。。。」
いつも意気揚々として自信たっぷりの第二王子がモジモジしている。何だろう?

「でも、私まだ食事中でして」

「では、放課後サロンへ来てくれ。席を予約しておく。ジェシカ嬢、邪魔をした」

「はい。殿下」
と、エルは礼をしてさっさと席に着く。殿下は一瞬立ちすくんだが、そのまま回れ右して去って行った。

「。。。エル。よろしいの?放課後会われるんでしょう?」

「ええ。いいの。私は自分のやりたいようにする事にしたのよ。ふふ。ジェシーのおかげね」

。。。いいのか?

「そう。。。あなたが良ければいいのよ」
ロッシーニを見るが無表情で前だけを見ている。

そのまま、エルと私は世間話をして早めに食堂を出た。

「ジェシー様。今後、目立ちたくないのであればエルメダ様とのやり取りはお手紙でお願いします。学校内であれば私かミーナが届けますので」
ロッシーニはちょっとばかり目立ってしまったのを気にしているよう。ちゃんと私の希望に沿うように慮ってくれてるみたい。マジで変わったなぁ。

「ええ。ありがとう。じゃぁ、今後はお願いね」

ニックは突然現れた殿下にびっくりしすぎて、サンドイッチの味がわからなかったとみんなを笑わせている。

「ミーナ。午後は魔法陣の授業よね?ロッシーニ、何かアドバイスはある?」
私はクラスのみんなが兄弟達から授業のアドバイスを受けていたのを思い出し、ロッシーニに聞いてみた。

「魔法陣ですか。。。そうですね、ジェシー様に関してはびっくりして声が出ないように平常心が大切かと」

ん?何それ?

「平常心?何?魔法を早速見られるとか?でも魔法陣よね?」

「「「。。。」」」
3人共だんまりだ。

何?何?私だけ知らない系?

結局、何なのか教えてもらえず、教室に着いてしまった。

「ミーナ君。何かあるの?私が1年休学したからわからないだけ?」

「う~ん。私も先程ロッシーニから聞いたばかりで。。。私からは何とも。。。すみません」
と、ミーナ君はタジタジだ。これ以上困らせてもいけないし、授業を待つとするか。

「ねぇねぇ、エルメダ様とご一緒していたのってジェシカ君だよね?」
早速、メリッサ君に質問責めにあう。

「ええ。偶然席が近くて。。。それなら一緒にって」

「そうなんだ!どんな人?私、1年の時、違うクラスだったんだよね~」

「そうねぇ、意外に気安い方ね。芯が真っ直ぐな感じがするわ。。。案外メリッサ君と合うんじゃない?」

「えっ!私?イメージわかないな~。芯が真っ直ぐね~堅物?あのほんわか美人が?」
メリッサ君はう~んと悩んでいる。

「エルメダ様とお話ししたの?」
と、いつもの如くマックス君が話に入ってくる。

「そう。たまたま昼食をご一緒したのよ」

「そうなんだ~。やっぱり21領主だね。いいな~。エルメダ様。男子に人気なんだよ」

おっ!お年頃な話題!いいね~。

「そうなの?ちなみに一番人気は?ミスコンなんてあるのかしら?」

「ん?ミスコンが何かわかんないけど、一番人気は文芸科のクッシーナ嬢だよ。フルートが得意なんだ」
マックス君は自分の事のように紹介してくれる。

ミスコンないのか。。。まっ、そっか。だよね~。

「そう。一度見て見たいわ!マックス君、好きなの?」
ニヤニヤと私はマックス君に突っ込む。メリッサ君はちょっと呆れてる。

「す、好きじゃないよ!俺には幼馴染がいるからね。変な誤解しないでよ~」
と、顔が真っ赤のマックス君。あたふたしながら席に戻って行った。かわいいな~。

いいね~若いね~。

「呆れた、あんな女のどこがいいの?男子ってバカよね。ほんとチョロイんだから」
メリッサ様も両手を上げてどうしようもないって感じで席に戻って行った。

「ミーナ君。あんな女って。。。どんな感じなの?」
だいたい予想はつくけど、一応私はミーナに聞いてみた。

ミーナは珍しく言い淀んでいる。
「そうですね。。。あまり人の事を悪く言いたくはないのですが、あの方は男性の前と女性の前とで性格が変わります」

「ミーナ君が言うくらいだから相当なのかな?」

「ええ。180度ガラリと」
。。。そっか。古典的だけどいるよね。そう言う子。

「そう。。。何だか楽しみが半減したわ。別に会わなくていいかもね」
何だよ~。そっち系かよ~。せっかくかわいい?のに残念だな。

「そうですね。クラスも違いますし、相手は子爵ですし。あんまり接点はないと思いますよ」
ミーナ君もクッシーナ嬢の話題はこれ以上話したくないようだ。

ガラガラガラ。

いよいよ魔法陣の授業だよ!何があるのかな?ワクワク。

私は入って来た先生を見た瞬間、

「へっ!」

しまった。変な声出た。思わず口に手を当てる。

おいおいおい~!!!!!

教室に入って来たのはお色気ムンムンの我らがマーサ様だった。

私を見てニヤリとしたマーサは満足気に挨拶をする。

「初めまして、皆さん。魔法陣の授業を受け持つマーサ・クルスです。よろしくね」

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