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2章 魔法使いとストッカー
06 レクリエーション2日目1
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塔見学ですっかり仲良くなったテオ班は、学校の裏手にある森に集合している。もちろん、他の班も。他のクラスもだけど。
今日はレクリエーション2日目で学年毎に森の散策だ。
ガヤガヤ集まっている生徒達。こうして見てみると、クラスによって色?と言うか、雰囲気が全く違う。
女性が多いのは文芸科かな?かわいく髪をアレンジしている子が多い。女子校みたいで背景がお花畑だ。乗馬服?も白やピンクのジャケットなど、かわいい服が多いように思う。
そことは正反対なのが、騎士科だ。多分そう。だって、がっしり身体のマッチョが多い。男ばっかだし。他のクラスに比べて人数も少ない。てか、見た目が汗臭い。
あとは、特進科だね。エルメダ様がいるので一目でわかった。クラス全体が大人し目のお上品な感じがする。ここもウチより人数が少ないみたい。
最後は普通科だね。結構、雰囲気は魔法科に近いのかな?でも。。。ガラが少~しだけ悪いような。。。第一印象だからわからないけど。。。
「2年生。こちらに集合して下さい」
メガネのふっくらマダムな先生が手を挙げる。
ぞろぞろと生徒達が移動する。早速文芸科のお嬢様達は騎士科や特進科の男子を値踏みしているようだ。目がギラついている。笑
「クラス毎に縦に並んで下さい」
私達は班毎に集まって、クラスの列に並ぶ。
「では、本日はみなさんの交流会です。この森には魔獣はおりませんので安心して下さい。森を散策し、ここより西北へ進んで下さい。湖がありますので、そこがゴールです。そちらで昼食にします。何か質問はありますか?」
ガヤガヤして、半分は話を聞いていない。。。無理もないか。
「無いようなので始めますね。先日、各クラスで班分けをしていると思いますので、班長はしおりを取りに来て下さい。しおりを確認したら各自出発するように。森へ入る際は、担任へ一言言ってから入って下さいね」
テオ君がしおりを取りに行く。
「ジェシカ君。楽しみですね。他の班とも仲良くなりたいです。あっ!他のクラスですが私の友達も紹介します。本好きの仲間なんです」
ミーナ君はワックワクだ。かわいいな~。
私は。。。ちょっと考えただけで疲れている。。。
前世でもあったよ?新歓登山とかね~。でも、あの時のワクワクが無いんだよ。昨日の方がよっぽどワクワクしてた。。。だって、疲れるのが目に見えてるじゃん。おばちゃんにはこのイベントが精神的にきつい。とほほ。
「そうなの。それは楽しみだわ」
私は極力楽しそうに振る舞う。
「あれ?ジェシカ君。元気ないですね?」
フィン君が心配してくれる。。。純真な16歳が眩しい。
「ええ。大丈夫よ。ちょっと体力に自信がなくて。。。ほほほ」
「あっ、そっか。。。静養してたんだもんね?無理なら先生に言って見学?できるかわからないけど、休んで良いんじゃない?」
マックス君も心配してくれる。
。。。今更めんどくさいと言い辛い。。。
「大丈夫よ。今日は行けそうだわ。ちょっと不安になっただけ。心配かけてごめんね」
「いいんです。ゆっくり行きましょう」
みんなはうんうんと頷いて、私に合わせてくれる。
「ありがとう」
「ん?どうした?」
テオ君がしおりを持って来た。
「あ~、今日はゆっくり行こうかと言っていたんだ」
フィン君が答えた。
「そうだな。ジェシカ君は病み上がりだしな」
テオ君も内心心配してくれていたらしい。
ほんっとイイ子達。感動する。私が高校の頃ってこんなんだったっけな?心が洗われる。
「ありがとう。みんな」
私達はロッド先生に出発の挨拶をして森へ入る。
「ジェシカ、無理するなよ。体調崩したら最寄りの先生に伝えろ」
ロッド先生も気にかけてくれた。
「わかりました」
森へ入ると、早速前方には文芸科女子と騎士科の男子の一団。
『きゃっ』『ははは』『ん~もう~』と、黄色い会話が繰り広げられていた。
私達はその後を付いて行く感じになる。。。ずっとこいつらの後?気が滅入るな。
「ねぇ、テオ君。しおりにはなんて書いてあったの?」
ミーナ君が忘れていたしおりの存在に気がついた。みんなは『ハッ』となる。
「あぁ。。。そうだった。しおりには森で3カ所周ってリボンを受け取るように書いてある」
「えっ!早く教えてよ。まだ1カ所目は通り過ぎてないよね?」
マックス君が焦っている。
「まだ入り口だろ?大丈夫だよ。それより。。。あれ追い越すか?」
テオ君も前の集団が気になるようだ。
「そうね~。。。大きい道になったらさっと横を通り過ぎましょうよ」
私は無難な道を選ぶ。
万が一、変な連中で絡まれたら困る。これからの平穏な学校生活がかかっているんだ。
「そう?抜かせば良くない?」
フィン君は早く視界から消したいみたいで、クイっと親指でその集団を指差す。
「そうだな。。。怪しく映るかもしれないが、走って追い抜くか?それなら接触もないだろう?」
テオ君は走るのは大丈夫か?と私を心配している。
「そうね。このままじゃ、グダグダになるし」
満場一致で走り抜ける事になった。私達は目で合図し走り抜ける。
横を通り過ぎる時、チラッと見たがあの子達に私達は映っていなかった。目の前の獲物達に夢中である。
「はぁ、はぁ。。。そんなに気にしなくてよかったね。話に夢中だったみたいだし」
マックス君が息を整えながらみんなを見る。
「そうね。でも、これで歩きやすくなったわ」
ミーナ君は視界に入らなくなってよかったと言っている。
「じゃぁ、ポイントを探そう」
『お~!』と、テオ班は改めて出発した。
森はちゃんと手入れがされているようで、木漏れ日がいくつも差して、若葉が美しかった。歩道もあり、森のような、前世の外国にあるような大きな公園っぽい感じだ。歩いているとリスや子ウサギが時折顔を出した。
「ここは、どう言う森なのかしら?きれいわね」
「ここは、騎士科の訓練場でもあり、週末は寮生活の貴族の遊び場になっています。森でデートする人もいますよ」
フィン君が教えてくれる。
「そうなのね。デートには持ってこいね。とても爽やかだもの」
「俺は、もうここでデートは済ませたんだ。去年の秋」
マックス君が自慢げに話してくる。
「「「「えっ?」」」」
みんな一斉に振り向いた。一番ない感じだったので驚いた。
「えっ?何だよ!俺に彼女がいちゃおかしいのか?」
マックス君はちょっとプンプンだ。
「いや~。意外だなと思って。。。まだ続いているのか?その彼女とやらは?」
テオ君は正直者だ。。。って、もうちょっと言い方があるよね?
「ちゃんといるし。普通科の幼馴染だよ」
「。。。それって、付き合ってるの?」
フィン君もグサッと突っ込むな~。
「。。。付き合おうとは言ってないけど。。。ここに2人っきりで誘ったんだから意味は同じだろ?」
「「「「。。。」」」」
テオ君とフィン君は無言でマックス君の両肩をポンポンと叩く。
「えっ!何?違うの?」
マックス君はパニックだ。テオ君に必死にどうしようかと聞いている。
あはははは。青春だな~。こそばゆいよ、私には。
「あっ、あそこ!先生がいます。ポイントでは?」
ミーナ君が指差した先には先生らしき人が立っていた。
「お~。君たちで3組目だよ。はいリボン」
私達はリボンを受け取り、次へ進む。
そんな感じで2本目、3本目と受け取り湖へ到着した。
「意外と簡単でしたね」
私達は上位組のようで、他はまだ4組しかいなかった。
「あっ!ルキア!」
ミーナがブンブンと手を振る先には。。。
まさかのエルメダ様!
「みなさん、ちょっと失礼します」
と、ミーナは特進科の班へ向かって行った。
「友達かな?てか、エルメダ様じゃない?」
マックス君はなぜかテオ君の影に隠れている。テオ君とフィン君が私を見る。
「私はエルメダ様を存じ上げないのよ。同じ公爵でも交流がないの」
みんなは『へ~』と頷いて、ミーナの行動を観察している。
ゲッ!!!こっち来くるよ。集団で。
テオ君に目配せしこそっと耳打ちする。
「テオ君。今から社交モードに戻って下さい。みんなは私の後ろで話さなくていいから。安心して」
と、3人は頷くと私の後ろへ下がった。
特進科の4人を引き連れてミーナが戻って来た。
「ジェシー様。申し訳ございません。こちらのエルメダ様がご挨拶したいとの事です」
ミーナも側近モードになっている。
「初めまして。エルメダ・ロストと申します。一昨年の成人の儀でお見かけしましたわ。お話しするのは初めてですね」
おっとり美人のエルメダ様が満面の笑みで一礼してくれる。
「こちらこそ、初めまして。ジェシカ・ロンテーヌと申します。本年より編入して来ました。よろしくお願いしますわ」
私も一礼する。
「突然で申し訳ございません。21領主のご令嬢の方がいるとミーナから伺いまして、しかも同じ班に。私も公爵令嬢の身でありながら特進科へ進みましたでしょう?ぜひ、仲良くしていただきたいわ。今度、お茶にお誘いしてもよろしいかしら?」
「あら、ぜひ伺いますわ。ほほほほほ」
「では、これ以上お邪魔はできませんので。。。失礼しますわ」
ふふふふふ、とエルメダ様達は元の位置に戻って行った。
「ふ~。びっくりした」
マックス君が額の汗を拭いている。
「あ~、ごめんなさいね。これから、ああ言う時は、後ろに下がっていてね。手間をかけるわね」
「いえいえ、大丈夫です。俺達とは違うんですから。。。気にしないで下さい。てか、謝らないで下さい。いつも思っていたのです。本来は俺達にごめんなさいもありがとうも言わなくていいんですよ。俺達が甘えてしまってるんです」
フィン君は真剣な顔で詰め寄って来た。
「ええ、でも、私は学校では友達として接して欲しいのよ。これは私のワガママだから。。。私があなた達を巻き込んでるの。これからもあると思うから。。。よろしくね」
「「「「はい」」」」
「ジェシカ君。すみません。お友達がいたのでこそっと話をしに行ったのですが、人が少ないせいか、エルメダ様に聞かれてしまって。。。浅はかでした」
ミーナ君はしゅんとしている。
「いいのよ。次からは考えて行動してね。でも、今回はどうしようもないわ。それに、これからどの道会わなければいけない相手でしょうし」
ミーナ君を慰めて、班で固まってそのまま待機する。
1時間ほどした頃、最後の班。もとい、集団が到着してお昼になった。
今日はレクリエーション2日目で学年毎に森の散策だ。
ガヤガヤ集まっている生徒達。こうして見てみると、クラスによって色?と言うか、雰囲気が全く違う。
女性が多いのは文芸科かな?かわいく髪をアレンジしている子が多い。女子校みたいで背景がお花畑だ。乗馬服?も白やピンクのジャケットなど、かわいい服が多いように思う。
そことは正反対なのが、騎士科だ。多分そう。だって、がっしり身体のマッチョが多い。男ばっかだし。他のクラスに比べて人数も少ない。てか、見た目が汗臭い。
あとは、特進科だね。エルメダ様がいるので一目でわかった。クラス全体が大人し目のお上品な感じがする。ここもウチより人数が少ないみたい。
最後は普通科だね。結構、雰囲気は魔法科に近いのかな?でも。。。ガラが少~しだけ悪いような。。。第一印象だからわからないけど。。。
「2年生。こちらに集合して下さい」
メガネのふっくらマダムな先生が手を挙げる。
ぞろぞろと生徒達が移動する。早速文芸科のお嬢様達は騎士科や特進科の男子を値踏みしているようだ。目がギラついている。笑
「クラス毎に縦に並んで下さい」
私達は班毎に集まって、クラスの列に並ぶ。
「では、本日はみなさんの交流会です。この森には魔獣はおりませんので安心して下さい。森を散策し、ここより西北へ進んで下さい。湖がありますので、そこがゴールです。そちらで昼食にします。何か質問はありますか?」
ガヤガヤして、半分は話を聞いていない。。。無理もないか。
「無いようなので始めますね。先日、各クラスで班分けをしていると思いますので、班長はしおりを取りに来て下さい。しおりを確認したら各自出発するように。森へ入る際は、担任へ一言言ってから入って下さいね」
テオ君がしおりを取りに行く。
「ジェシカ君。楽しみですね。他の班とも仲良くなりたいです。あっ!他のクラスですが私の友達も紹介します。本好きの仲間なんです」
ミーナ君はワックワクだ。かわいいな~。
私は。。。ちょっと考えただけで疲れている。。。
前世でもあったよ?新歓登山とかね~。でも、あの時のワクワクが無いんだよ。昨日の方がよっぽどワクワクしてた。。。だって、疲れるのが目に見えてるじゃん。おばちゃんにはこのイベントが精神的にきつい。とほほ。
「そうなの。それは楽しみだわ」
私は極力楽しそうに振る舞う。
「あれ?ジェシカ君。元気ないですね?」
フィン君が心配してくれる。。。純真な16歳が眩しい。
「ええ。大丈夫よ。ちょっと体力に自信がなくて。。。ほほほ」
「あっ、そっか。。。静養してたんだもんね?無理なら先生に言って見学?できるかわからないけど、休んで良いんじゃない?」
マックス君も心配してくれる。
。。。今更めんどくさいと言い辛い。。。
「大丈夫よ。今日は行けそうだわ。ちょっと不安になっただけ。心配かけてごめんね」
「いいんです。ゆっくり行きましょう」
みんなはうんうんと頷いて、私に合わせてくれる。
「ありがとう」
「ん?どうした?」
テオ君がしおりを持って来た。
「あ~、今日はゆっくり行こうかと言っていたんだ」
フィン君が答えた。
「そうだな。ジェシカ君は病み上がりだしな」
テオ君も内心心配してくれていたらしい。
ほんっとイイ子達。感動する。私が高校の頃ってこんなんだったっけな?心が洗われる。
「ありがとう。みんな」
私達はロッド先生に出発の挨拶をして森へ入る。
「ジェシカ、無理するなよ。体調崩したら最寄りの先生に伝えろ」
ロッド先生も気にかけてくれた。
「わかりました」
森へ入ると、早速前方には文芸科女子と騎士科の男子の一団。
『きゃっ』『ははは』『ん~もう~』と、黄色い会話が繰り広げられていた。
私達はその後を付いて行く感じになる。。。ずっとこいつらの後?気が滅入るな。
「ねぇ、テオ君。しおりにはなんて書いてあったの?」
ミーナ君が忘れていたしおりの存在に気がついた。みんなは『ハッ』となる。
「あぁ。。。そうだった。しおりには森で3カ所周ってリボンを受け取るように書いてある」
「えっ!早く教えてよ。まだ1カ所目は通り過ぎてないよね?」
マックス君が焦っている。
「まだ入り口だろ?大丈夫だよ。それより。。。あれ追い越すか?」
テオ君も前の集団が気になるようだ。
「そうね~。。。大きい道になったらさっと横を通り過ぎましょうよ」
私は無難な道を選ぶ。
万が一、変な連中で絡まれたら困る。これからの平穏な学校生活がかかっているんだ。
「そう?抜かせば良くない?」
フィン君は早く視界から消したいみたいで、クイっと親指でその集団を指差す。
「そうだな。。。怪しく映るかもしれないが、走って追い抜くか?それなら接触もないだろう?」
テオ君は走るのは大丈夫か?と私を心配している。
「そうね。このままじゃ、グダグダになるし」
満場一致で走り抜ける事になった。私達は目で合図し走り抜ける。
横を通り過ぎる時、チラッと見たがあの子達に私達は映っていなかった。目の前の獲物達に夢中である。
「はぁ、はぁ。。。そんなに気にしなくてよかったね。話に夢中だったみたいだし」
マックス君が息を整えながらみんなを見る。
「そうね。でも、これで歩きやすくなったわ」
ミーナ君は視界に入らなくなってよかったと言っている。
「じゃぁ、ポイントを探そう」
『お~!』と、テオ班は改めて出発した。
森はちゃんと手入れがされているようで、木漏れ日がいくつも差して、若葉が美しかった。歩道もあり、森のような、前世の外国にあるような大きな公園っぽい感じだ。歩いているとリスや子ウサギが時折顔を出した。
「ここは、どう言う森なのかしら?きれいわね」
「ここは、騎士科の訓練場でもあり、週末は寮生活の貴族の遊び場になっています。森でデートする人もいますよ」
フィン君が教えてくれる。
「そうなのね。デートには持ってこいね。とても爽やかだもの」
「俺は、もうここでデートは済ませたんだ。去年の秋」
マックス君が自慢げに話してくる。
「「「「えっ?」」」」
みんな一斉に振り向いた。一番ない感じだったので驚いた。
「えっ?何だよ!俺に彼女がいちゃおかしいのか?」
マックス君はちょっとプンプンだ。
「いや~。意外だなと思って。。。まだ続いているのか?その彼女とやらは?」
テオ君は正直者だ。。。って、もうちょっと言い方があるよね?
「ちゃんといるし。普通科の幼馴染だよ」
「。。。それって、付き合ってるの?」
フィン君もグサッと突っ込むな~。
「。。。付き合おうとは言ってないけど。。。ここに2人っきりで誘ったんだから意味は同じだろ?」
「「「「。。。」」」」
テオ君とフィン君は無言でマックス君の両肩をポンポンと叩く。
「えっ!何?違うの?」
マックス君はパニックだ。テオ君に必死にどうしようかと聞いている。
あはははは。青春だな~。こそばゆいよ、私には。
「あっ、あそこ!先生がいます。ポイントでは?」
ミーナ君が指差した先には先生らしき人が立っていた。
「お~。君たちで3組目だよ。はいリボン」
私達はリボンを受け取り、次へ進む。
そんな感じで2本目、3本目と受け取り湖へ到着した。
「意外と簡単でしたね」
私達は上位組のようで、他はまだ4組しかいなかった。
「あっ!ルキア!」
ミーナがブンブンと手を振る先には。。。
まさかのエルメダ様!
「みなさん、ちょっと失礼します」
と、ミーナは特進科の班へ向かって行った。
「友達かな?てか、エルメダ様じゃない?」
マックス君はなぜかテオ君の影に隠れている。テオ君とフィン君が私を見る。
「私はエルメダ様を存じ上げないのよ。同じ公爵でも交流がないの」
みんなは『へ~』と頷いて、ミーナの行動を観察している。
ゲッ!!!こっち来くるよ。集団で。
テオ君に目配せしこそっと耳打ちする。
「テオ君。今から社交モードに戻って下さい。みんなは私の後ろで話さなくていいから。安心して」
と、3人は頷くと私の後ろへ下がった。
特進科の4人を引き連れてミーナが戻って来た。
「ジェシー様。申し訳ございません。こちらのエルメダ様がご挨拶したいとの事です」
ミーナも側近モードになっている。
「初めまして。エルメダ・ロストと申します。一昨年の成人の儀でお見かけしましたわ。お話しするのは初めてですね」
おっとり美人のエルメダ様が満面の笑みで一礼してくれる。
「こちらこそ、初めまして。ジェシカ・ロンテーヌと申します。本年より編入して来ました。よろしくお願いしますわ」
私も一礼する。
「突然で申し訳ございません。21領主のご令嬢の方がいるとミーナから伺いまして、しかも同じ班に。私も公爵令嬢の身でありながら特進科へ進みましたでしょう?ぜひ、仲良くしていただきたいわ。今度、お茶にお誘いしてもよろしいかしら?」
「あら、ぜひ伺いますわ。ほほほほほ」
「では、これ以上お邪魔はできませんので。。。失礼しますわ」
ふふふふふ、とエルメダ様達は元の位置に戻って行った。
「ふ~。びっくりした」
マックス君が額の汗を拭いている。
「あ~、ごめんなさいね。これから、ああ言う時は、後ろに下がっていてね。手間をかけるわね」
「いえいえ、大丈夫です。俺達とは違うんですから。。。気にしないで下さい。てか、謝らないで下さい。いつも思っていたのです。本来は俺達にごめんなさいもありがとうも言わなくていいんですよ。俺達が甘えてしまってるんです」
フィン君は真剣な顔で詰め寄って来た。
「ええ、でも、私は学校では友達として接して欲しいのよ。これは私のワガママだから。。。私があなた達を巻き込んでるの。これからもあると思うから。。。よろしくね」
「「「「はい」」」」
「ジェシカ君。すみません。お友達がいたのでこそっと話をしに行ったのですが、人が少ないせいか、エルメダ様に聞かれてしまって。。。浅はかでした」
ミーナ君はしゅんとしている。
「いいのよ。次からは考えて行動してね。でも、今回はどうしようもないわ。それに、これからどの道会わなければいけない相手でしょうし」
ミーナ君を慰めて、班で固まってそのまま待機する。
1時間ほどした頃、最後の班。もとい、集団が到着してお昼になった。
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