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1章 ロンテーヌ兄妹
84 命日
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今日は『異なる世界の記憶』がよみがえった日。つまり、両親の命日だ。
朝のベットの中で1年を振り返る。
あれから、様々な出来事が起こった。色々な人とも出会った。毎日がめまぐるしい日々だったように思う。駆け足で人生を駆け登ってしまって息切れがしそうだ。
「。。。」
そして、あと3週間もすれば学校が始まる。学校の事を考えると、こちらの世界の学校への期待と、もう一度学生をやるウキウキ感が混ざって、テンションはマックスになるんだよね~。
我ながら複雑だ。。。焦燥と高揚が入り混じる感じ。変な感覚。
「お嬢様、おはようございます」
ケイトがカーテンを引いて窓を少し開けた。
「お嬢様、明日から学校が始まるまでの間、勉強を再開しますよ。午前中は座学で午後はダンスやマナーの授業です」
「おはよう。ケイト。まだ勉強するの?」
「そうですね。お嬢様の場合はほとんど復習になりますね。念には念を入れましょう。入学式の翌日はクラス編成テストがありますので。良い成績を収めれば2学年のクラス分けで優位に立てますから。魔法科をご希望でしょう?」
へ~。実力テストみたいなものかな?
「わかったわ。がんばるわ」
「あと、本日は領へ帰れない代わりに朝食の後、皆で大聖堂へ行く予定です。よろしくお願いします」
ゲッ。。。大聖堂か。
「ふふふ。本日はあの方は居ないそうですよ。王城で王様と謁見の予定があるそうです。よかったですね」
ケイトは私の顔色を読んだのか、素晴らしい情報を提供してくれた。
「そうなの?情報源は確かなのかしら?」
「ふふふ。アークからの情報ですよ。ご主人様もあの方には気を揉んでらっしゃったので、あらかじめ調べたのでしょうね」
やっほい!会いたくない人が居ないなんてラッキー。
「お嬢様ったら。お顔に出るクセは直りませんね。。。社交では不利になりますよ。お気を付け下さい」
「ふぁ~い」
と、返事とあくびが一緒に出てしまった。ギロリと睨むケイト先生の顔が怖い。
~*~*~*~*~
両親への祈りが終わり、私達は馬車に乗り込もうとぞろぞろと大聖堂前の階段を降りていた。
しかし、大聖堂の外の入り口でお爺様が呼び止めらている。
「お待ち下さい。ロンテーヌ領領主様」
息を切らせて走って来たのは警備騎士だった。私達は馬車の前でハテナな感じになって足を止めその様子を見ていた。
「ねぇ、警備騎士って兜なんて被っていたかしら?」
と、私が呟いたので、ランドも不思議に思ったのかお爺様の元へ戻って行った。
「こちらをお忘れではないでしょうか?」
と、差し出された黒い玉をお爺様が触れた瞬間、私達は一瞬にして大きな煙に包まれた。
さっと、私の手を取ったのは両隣にいたリットとお兄様。
「何?何があったの?ゴホ、ゴホ」
『しっ!声を出すな。位置がバレる』
小声で簡潔に指示をしたのはリットだった。
『カイ様、視界がありませんから、お嬢様の手を離さないように』
『ああ』
私は二人に両手を引かれながら少しずつ移動する。
何?怖いんだけど。煙で目が痛い。てか、お爺様は?
煙の外に近づいたのかな?景色がぼんやり見えてきた。大聖堂前の広場が見える。野次馬もちらほらこちらの様子を立ち止まって伺っている。
「リット。皆が無事か確認をして!」
「あぁ」
私はぐるりと周りを見渡すと、ミランとジャック、ロッシーニが2mほど離れた場所に出て来ているのを確認する。自力で煙から出たんだね。他のみんなは?
「闇雲に煙の中へ入れば何があるかわからない。敵の場合は迎え撃たれる可能性がある。ランドが恐らく転移して誰か応援を呼んでいるはずだ。それまで持つか。。。」
リットは目を凝らして煙を見つめている。風の魔法を試しているが、煙は一切風に流れていかない。
そのすぐ後にエリとケイトが口に手を押さえながら煙から飛び出して来た。
あとは、お爺様とロダン、マーサ、アーク、ランドだ。ランドとアークは問題ないとしても、姿を確認していないので心配だ。
「お兄様。お爺様は無事かしら?それにしてもなぜこんな事を。。。」
「あぁ。ロダンとアークがいるんだ。心配するな」
と、お兄様は硬い顔で周りに意識を飛ばしている。不審人物がいないか確かめているようだ。
誰?何が目的?怖い。あの事件が蘇る。。。怖い。怖い。怖い。
いつの間にか、マーサも煙の外に出て来ており、エリやケイト、ミラン、ジャック、ロッシーニが私達の場所へ集まって来ていた。今は、私はケイトに肩を抱きかかえられてみんなで煙の中を見つめている。
「グハッ」
と、誰かの嘔吐する声が響く。
「ケ、ケイト。。。誰かが。。。誰かが。。。」
「えぇ。。。」
ケイトは私の手を取りさすっている。エリはマーサと手を取り合って涙目だ。
時間にして何分経ったのだろう。。。しばらくしたら、煙が嘘のように跡形もなくパッと消えた。
「お爺様はどこ?」
私が叫ぶと、みんなが『ハッ』となり駆け出す。お兄様が一番に飛び出してお爺様が居たであろう場所へ走る。
お兄様は立ち止まり、呆然と下を向いて倒れている人を凝視している。
まさか!
私はできるだけ早く走って行く。この際マナーなんてクソくらいだ。早く、早くとスカートを抱え急いで走った。心臓がドキドキと大きな音をたてる。
「。。。」
そっとお兄様の手を握り涙が流れた。
倒れていたのは、胸を一突きされたお爺様と、横には片腕の肘上あたりから無いロダンだった。
「お嬢!見るな!」
リットはさっと私を隠すように抱きしめる。
「おい、兄さん。目を開けろ!」
多分ミランだろう。。。ロダンを揺すっている音がする。
「ケイト!兄はまだ息がある!至急、誰かに、医者か大司教様を呼んで来させろ!」
「。。。リット。。。お爺様が。。。」
「あぁ」
リットは私を抱きしめる手が一層に力が入った。
「アーク!」
と、エリが震える声で大聖堂の入り口横の路地を指差して叫んだ。
私はリットから体を少しずらし指差した方向を見る。
「「「「!!!!!!」」」」」
みんなの喉がヒュッと鳴った。フェルミーナ様とさっきの警備騎士がアークを盾に後退りして逃げようとしていた。
「きーさーまーーー!」
と、お兄様が後を追う。リットは素早くお兄様に続く。私も怒りで走り出していた。
フェルミーナ様と警備騎士は、剣を抜いてやって来る二人に驚いて、アークをお兄様にぶつけるように前に放り投げて路地へ入っていく。
お兄様はアークをさっと避け警備騎士に後ろから飛び蹴りを入れた。リットは倒れた警備騎士の兜をさっと捥ぎ取った。
「あっ、あなたは!ロックウェル伯爵!」
お兄様は驚きで目を見開いている。リットは素早く両手を後ろにし、ハンカチを丸め込んで口を塞いで捕縛した。
私はとっさに一人で走り去ろうとしているフェルミーナ様を追いかけた。
路地の中程で彼女の手を捕まえると、思いっきり踏ん張る。
「きゃー」
と、フェルミーナ様は倒れ込む。すると『キッ』とこちらを睨み唾を飛ばしながら暴言を吐いた。
「本当はあなたを狙っていたのよ!あんな老人達。意味ないわ。失敗よ。お前の!お前のせいで男爵なんかに落ちたのよ!全部お前のせいよ!お前のせいであいつらは死んだのよ!あはははは、いい気味だわ!」
私は腹の底からムカムカと怒りが湧き、泣きながらフェルミーナ様をマウンティングして胸ぐらを掴む。
「全部人のせいにするんじゃない!バカヤロウ!お爺様を返せ!」
ブチっと私の中で何かが弾ける。途端に身体中から『ぼはっ』っと白い蒸気が漏れ出した。
「うわぁぁぁぁぁぁ。」
熱い!私は雄叫びをあげる。
フェルミーナ様は隙を見て私の腕を掴むと、またお得意の魔法を発動させた。が、暴走している私には効かなかった。
「なっ、なぜ?どうして腐らないの!」
と、私の腕を何度も握り返し呪文を唱えている。
「そんなの、どうだっていいんだよ!」
私は逆に『なぜ?なぜ?』とうろたえるフェルミーナ様の腕を『バッ』と掴んだ。
その途端、フェルミーナ様の腕が腐り始める。どんどんすごいスピードで腐っていく。ほんの数秒で片腕が肩からグジュっと取れてしまった。
「うそ。。。」
私は驚きで立ち上がり、後ろに一歩二歩とよろける。私がフェルミーナ様から離れると腐るのが止まり、私の身体から出ていた蒸気も出なくなった。
「グァァァァァアアアアア」
フェルミーナ様は痛みに悶えその場で気絶した。
「うそ。。。私。。。私。。。」
手が震える。ガタガタと身体も震え出す。
「うそよ。。。だって。。。私。。。」
リットが静かに私に近づき、私の目に手を当ててそっと呟く。
「大丈夫だ。お嬢。これは夢だ。大丈夫だ。大丈夫だ」
手の平を広げたままの棒立ちの私をリットは抱きしめてくれる。
路地には、ロックウェル伯爵をうつ伏せで押さえ込んでいるお兄様。路地の入り口には、先ほどの惨状を見ていたであろう、ランドとグレン騎士団長が立ちつくしていた。
『ハッ』となったグレン様が私を見て、ランドに耳打ちすると、ランドが無言でこちらへやって来た。
そして、ランドはリットとは反対側から優しく私を抱きしめ3人で転移した。
朝のベットの中で1年を振り返る。
あれから、様々な出来事が起こった。色々な人とも出会った。毎日がめまぐるしい日々だったように思う。駆け足で人生を駆け登ってしまって息切れがしそうだ。
「。。。」
そして、あと3週間もすれば学校が始まる。学校の事を考えると、こちらの世界の学校への期待と、もう一度学生をやるウキウキ感が混ざって、テンションはマックスになるんだよね~。
我ながら複雑だ。。。焦燥と高揚が入り混じる感じ。変な感覚。
「お嬢様、おはようございます」
ケイトがカーテンを引いて窓を少し開けた。
「お嬢様、明日から学校が始まるまでの間、勉強を再開しますよ。午前中は座学で午後はダンスやマナーの授業です」
「おはよう。ケイト。まだ勉強するの?」
「そうですね。お嬢様の場合はほとんど復習になりますね。念には念を入れましょう。入学式の翌日はクラス編成テストがありますので。良い成績を収めれば2学年のクラス分けで優位に立てますから。魔法科をご希望でしょう?」
へ~。実力テストみたいなものかな?
「わかったわ。がんばるわ」
「あと、本日は領へ帰れない代わりに朝食の後、皆で大聖堂へ行く予定です。よろしくお願いします」
ゲッ。。。大聖堂か。
「ふふふ。本日はあの方は居ないそうですよ。王城で王様と謁見の予定があるそうです。よかったですね」
ケイトは私の顔色を読んだのか、素晴らしい情報を提供してくれた。
「そうなの?情報源は確かなのかしら?」
「ふふふ。アークからの情報ですよ。ご主人様もあの方には気を揉んでらっしゃったので、あらかじめ調べたのでしょうね」
やっほい!会いたくない人が居ないなんてラッキー。
「お嬢様ったら。お顔に出るクセは直りませんね。。。社交では不利になりますよ。お気を付け下さい」
「ふぁ~い」
と、返事とあくびが一緒に出てしまった。ギロリと睨むケイト先生の顔が怖い。
~*~*~*~*~
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しかし、大聖堂の外の入り口でお爺様が呼び止めらている。
「お待ち下さい。ロンテーヌ領領主様」
息を切らせて走って来たのは警備騎士だった。私達は馬車の前でハテナな感じになって足を止めその様子を見ていた。
「ねぇ、警備騎士って兜なんて被っていたかしら?」
と、私が呟いたので、ランドも不思議に思ったのかお爺様の元へ戻って行った。
「こちらをお忘れではないでしょうか?」
と、差し出された黒い玉をお爺様が触れた瞬間、私達は一瞬にして大きな煙に包まれた。
さっと、私の手を取ったのは両隣にいたリットとお兄様。
「何?何があったの?ゴホ、ゴホ」
『しっ!声を出すな。位置がバレる』
小声で簡潔に指示をしたのはリットだった。
『カイ様、視界がありませんから、お嬢様の手を離さないように』
『ああ』
私は二人に両手を引かれながら少しずつ移動する。
何?怖いんだけど。煙で目が痛い。てか、お爺様は?
煙の外に近づいたのかな?景色がぼんやり見えてきた。大聖堂前の広場が見える。野次馬もちらほらこちらの様子を立ち止まって伺っている。
「リット。皆が無事か確認をして!」
「あぁ」
私はぐるりと周りを見渡すと、ミランとジャック、ロッシーニが2mほど離れた場所に出て来ているのを確認する。自力で煙から出たんだね。他のみんなは?
「闇雲に煙の中へ入れば何があるかわからない。敵の場合は迎え撃たれる可能性がある。ランドが恐らく転移して誰か応援を呼んでいるはずだ。それまで持つか。。。」
リットは目を凝らして煙を見つめている。風の魔法を試しているが、煙は一切風に流れていかない。
そのすぐ後にエリとケイトが口に手を押さえながら煙から飛び出して来た。
あとは、お爺様とロダン、マーサ、アーク、ランドだ。ランドとアークは問題ないとしても、姿を確認していないので心配だ。
「お兄様。お爺様は無事かしら?それにしてもなぜこんな事を。。。」
「あぁ。ロダンとアークがいるんだ。心配するな」
と、お兄様は硬い顔で周りに意識を飛ばしている。不審人物がいないか確かめているようだ。
誰?何が目的?怖い。あの事件が蘇る。。。怖い。怖い。怖い。
いつの間にか、マーサも煙の外に出て来ており、エリやケイト、ミラン、ジャック、ロッシーニが私達の場所へ集まって来ていた。今は、私はケイトに肩を抱きかかえられてみんなで煙の中を見つめている。
「グハッ」
と、誰かの嘔吐する声が響く。
「ケ、ケイト。。。誰かが。。。誰かが。。。」
「えぇ。。。」
ケイトは私の手を取りさすっている。エリはマーサと手を取り合って涙目だ。
時間にして何分経ったのだろう。。。しばらくしたら、煙が嘘のように跡形もなくパッと消えた。
「お爺様はどこ?」
私が叫ぶと、みんなが『ハッ』となり駆け出す。お兄様が一番に飛び出してお爺様が居たであろう場所へ走る。
お兄様は立ち止まり、呆然と下を向いて倒れている人を凝視している。
まさか!
私はできるだけ早く走って行く。この際マナーなんてクソくらいだ。早く、早くとスカートを抱え急いで走った。心臓がドキドキと大きな音をたてる。
「。。。」
そっとお兄様の手を握り涙が流れた。
倒れていたのは、胸を一突きされたお爺様と、横には片腕の肘上あたりから無いロダンだった。
「お嬢!見るな!」
リットはさっと私を隠すように抱きしめる。
「おい、兄さん。目を開けろ!」
多分ミランだろう。。。ロダンを揺すっている音がする。
「ケイト!兄はまだ息がある!至急、誰かに、医者か大司教様を呼んで来させろ!」
「。。。リット。。。お爺様が。。。」
「あぁ」
リットは私を抱きしめる手が一層に力が入った。
「アーク!」
と、エリが震える声で大聖堂の入り口横の路地を指差して叫んだ。
私はリットから体を少しずらし指差した方向を見る。
「「「「!!!!!!」」」」」
みんなの喉がヒュッと鳴った。フェルミーナ様とさっきの警備騎士がアークを盾に後退りして逃げようとしていた。
「きーさーまーーー!」
と、お兄様が後を追う。リットは素早くお兄様に続く。私も怒りで走り出していた。
フェルミーナ様と警備騎士は、剣を抜いてやって来る二人に驚いて、アークをお兄様にぶつけるように前に放り投げて路地へ入っていく。
お兄様はアークをさっと避け警備騎士に後ろから飛び蹴りを入れた。リットは倒れた警備騎士の兜をさっと捥ぎ取った。
「あっ、あなたは!ロックウェル伯爵!」
お兄様は驚きで目を見開いている。リットは素早く両手を後ろにし、ハンカチを丸め込んで口を塞いで捕縛した。
私はとっさに一人で走り去ろうとしているフェルミーナ様を追いかけた。
路地の中程で彼女の手を捕まえると、思いっきり踏ん張る。
「きゃー」
と、フェルミーナ様は倒れ込む。すると『キッ』とこちらを睨み唾を飛ばしながら暴言を吐いた。
「本当はあなたを狙っていたのよ!あんな老人達。意味ないわ。失敗よ。お前の!お前のせいで男爵なんかに落ちたのよ!全部お前のせいよ!お前のせいであいつらは死んだのよ!あはははは、いい気味だわ!」
私は腹の底からムカムカと怒りが湧き、泣きながらフェルミーナ様をマウンティングして胸ぐらを掴む。
「全部人のせいにするんじゃない!バカヤロウ!お爺様を返せ!」
ブチっと私の中で何かが弾ける。途端に身体中から『ぼはっ』っと白い蒸気が漏れ出した。
「うわぁぁぁぁぁぁ。」
熱い!私は雄叫びをあげる。
フェルミーナ様は隙を見て私の腕を掴むと、またお得意の魔法を発動させた。が、暴走している私には効かなかった。
「なっ、なぜ?どうして腐らないの!」
と、私の腕を何度も握り返し呪文を唱えている。
「そんなの、どうだっていいんだよ!」
私は逆に『なぜ?なぜ?』とうろたえるフェルミーナ様の腕を『バッ』と掴んだ。
その途端、フェルミーナ様の腕が腐り始める。どんどんすごいスピードで腐っていく。ほんの数秒で片腕が肩からグジュっと取れてしまった。
「うそ。。。」
私は驚きで立ち上がり、後ろに一歩二歩とよろける。私がフェルミーナ様から離れると腐るのが止まり、私の身体から出ていた蒸気も出なくなった。
「グァァァァァアアアアア」
フェルミーナ様は痛みに悶えその場で気絶した。
「うそ。。。私。。。私。。。」
手が震える。ガタガタと身体も震え出す。
「うそよ。。。だって。。。私。。。」
リットが静かに私に近づき、私の目に手を当ててそっと呟く。
「大丈夫だ。お嬢。これは夢だ。大丈夫だ。大丈夫だ」
手の平を広げたままの棒立ちの私をリットは抱きしめてくれる。
路地には、ロックウェル伯爵をうつ伏せで押さえ込んでいるお兄様。路地の入り口には、先ほどの惨状を見ていたであろう、ランドとグレン騎士団長が立ちつくしていた。
『ハッ』となったグレン様が私を見て、ランドに耳打ちすると、ランドが無言でこちらへやって来た。
そして、ランドはリットとは反対側から優しく私を抱きしめ3人で転移した。
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