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1章 ロンテーヌ兄妹
66 デビュタントの夜会2
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「お嬢様。こちら、よろしいでしょうか?」
と、40代ぐらいの男性がテーブルの向こう側に自分で椅子を持って来て、座ってもいいかと尋ねて来た。誰?
「失礼。お約束がございませんわよ」
と、ニッコリマーサがやんわりと断る。
誰?マジ知らない人。後ろのロダンを振り返って見る。ロダンはニコリと頷いて大丈夫だと言ってくれる。
「申し遅れました。お嬢様。私はあなたの母親の兄、テリード・ロックウェル伯爵です。以後お見知り置きを」
と、手の甲にキスをする。
叔父さんって事?どうしよう?お爺様が必要じゃない?
「ええ。初めまして。ジェシカ・ロンテーヌでございます。しかし、今お爺様は席を外しております。申し訳ございませんが後ほどに。。。」
「いえいえ。あなたに話があるのです」
と、勝手に座ろうとしたのでロダンが制止させた。
「ロックウェル伯。失礼ですが、成人したばかりのお嬢様に勝手をなさるのは如何なものかと」
あくまで執事として対応しているロダン。
「失礼だな。私は伯爵だぞ。お前はたかが男爵ではないか。前に出るな」
と、ロダンをツンと突いた。
お~こわっ。ロダンのあの笑顔、絶対キレてるよね。
「私の身分は今は関係ございません。私はロンテーヌ公爵家の執事です。嫌がるお嬢様に無体をされているのは、伯爵様ではございませんか?」
と、ロダンは少し大きな声で対抗していた。
「無体など、失敬だな!私は叔父だぞ!」
と、プンプンだ。
あれワザと大きな声で言ったよね。周りの人達がこちらに注目しだした。私も乗っかってみる?
「あの、ロックウェル伯爵様。突然来られては困りますわ。お話があるなら、ロンテーヌ領領主をお通し下さい。生まれてこの方、一度もお会いした事がない方が叔父様なんて。。。私、いささか怖くなってしまいます。。。」
私もワザと大きな声で言いつつ、ひ弱な令嬢を演じて見せる。
「なっ!」
ヒソヒソ、ザワザワと扇子で口元を隠した奥様方がロックウェル伯爵の後ろで噂を始めた。
すると、居づらくなったのか『もういい』と怒ってどこかへ行ってしまった。
「あれは、誰なんです?本当に叔父なの?」
ロダンは困ったような顔で教えてくれる。
お母様はロックウェル伯爵家の次女で、あの人は本当にお兄さんなんだそうだ。お母様が結婚する時、持参金が要らなかったので結婚を許してくれたほど、あのロックウェル伯爵家は、昔から『ド』のつくくらいのケチで有名なんだって。それが、5年ほど前に事業に失敗して、溜め込んでいたお金も底をつき、金銭的に困っているそうだ。
はは~ん。成人したばかりの小娘を騙して、小銭でも引き出そうかと思ったのかな?
バカだね~。ウチにはロダンが居るのに。
「あのボンボンは昔からアホなのよ。家の爵位が大好きで、21領主である事を鼻にかけてるの。学生の頃も子爵や男爵には横柄な態度だったわ。私が伯爵夫人になった時にすごく嫌味を言われたのを覚えているわ~。学生の頃フったのを根に持っていたのね、きっと。っと、あら失礼。お嬢様の叔父様でしたわね」
は~、とマーサは謝りつつも呆れている。
「いいわよ。会った事ないし。え~。でもフったんだ。一応伯爵じゃない?目を瞑れないほどの性格?」
「ええ。『この次期領主の俺様が子爵のお前と付き合ってやる』よ。そんなセリフで女がときめくと思う?バカでしょ?」
ははは。確かに。爵位がなければ空っぽそうだな。
「でも叔父様なのよね?なぜ今まで知らなかったのかしら?」
「それは、我がロンテーヌ領が慎ましやかだったからですよ。今回、事業が成功したので寄って来たハエの一人です。今まで、手紙ひとつ寄越さなかったのにいい性格をしていますね」
ロダンはふんっと『あんな者、記憶から削除していいですよ』と言っている。
夜会が始まって1時間ほど経った。ガヤガヤと立食のスペースが混雑して来た。
私達はロダンに連れられて、隣のホールへ向かう。
「どこに行くの?」
「はい。本日は男爵まで出席する夜会です。色々と会場が分かれておりまして、今から向かう場所は下位の貴族が集まっているホールになります」
え~、そんな分け方があるんだ。
「他にどんなホールがあるのかしら?」
「先ほど居たメインホールは主に王族と21領主が集うホールになります。今から向かうホールの他に、若者が早いテンポのダンスを楽しむダンスホールや休憩サロン、男性が集まるシガールームなどもございます。5部屋ほどでしょうか」
「毎回そんなに用意するの?夜会って一苦労ね」
「ふふふふふ。普通、お年頃のお嬢様ならダンスホールに直行しそうでしょうに。ふふふ」
マーサは私がダンスに興味がないのが面白いみたい。
「このように大規模なのは、この新年の夜会だけですよ。王族主催だからこそです。通常は、家の家格に合わせた出席者と会場になりますので、気負わなくてもいいですよ」
ロダンは私がちょっと夜会が苦手なのを察知したみたい。
へぇ~。色々あるんだね~。
ロダンとマーサと私は隣のホールに到着した。ロダンは椅子を勧めてくれ、少し席を外すと向こうへ行ってしまった。
いつの間にか、ランドはこの部屋の隅に立っている。
部屋を見渡してみると、確かに下位の貴族が多いのかな。私の方をチラチラと盗み見をしている。
あっ!ロッシーニ発見。友人たちと談笑している。
「ロッシーニも笑うのね」
ぽつりと言った言葉をマーサが拾ってくれる。
「あぁ。今日はカイ様は恋人といますでしょ?付き添いをしなくていいから友人と楽しんでいるんでしょうね」
マーサがパタパタと扇子をはためかせる度に、男性陣の顔が赤くなっている。
「お嬢様。お待たせいたしました。こちらは亡き大奥様の大姪にあたるトロント子爵家の三女ミーナ様です」
ロダンと一緒に現れたのは、赤い髪がウェーブしたそばかすのある、眼鏡をかけたかわいい女の子だった。
深々とお辞儀をして私を見つめる。
「ジェシカ様。初めまして。ミーナ・トロントでございます。これからお嬢様に仕えさせて頂きます。よろしくお願いいたします」
ん?仕える?
「え?ええ。初めまして。ロンテーヌ公爵家ジェシカです。よろしく」
んん?ハテナなんだけど。
「お嬢様、このミーナ嬢は学校での側仕えになります。大奥様のご実家である伯爵家の筋の者なので信頼できます。ご安心下さい」
そうなの?そんな大それたの要らないのに。でもしょうがないよね。
「そうなのね。ミーナ様、学校では楽しく過ごしましょうね。改めて、よろしくお願いね」
「お嬢様。ミーナで結構です。お嬢様が快適に過ごせるように全力を尽くします」
ミーナ様はちょっと頬を染めながら、少し手が震えている。緊張してるのかな?頑張ってるんだね~。
「わかったわ。ミーナ。でもいいのよ、畏まらないで。私は、出来れば友達のように接して欲しいわ。ジェシカと呼んでもらえるとうれしいのだけれど。私からのお願いを聞いてくれるかしら?」
ミーナはガバッと顔を上げて笑顔を見せる。
「はい!ジェシカ様」
ロダンはミーナにも席を用意し、私の斜め向かいに座らせる。
「少しお話をしましょう。あなたの趣味はなぁに?」
お見合いみたいだな。。。はは。
「はい。私は本を読むのが大好きです。ジャンルは問いません」
へ~、本の虫か。
「そう。勉強が好きなのね。私は嗜む程度だからちょうどいいわね。わからない事があったら聞けるもの。ふふふ」
「そんな。。。私なんか」
照れてるよ~。かわいい。ついついおばちゃん目線になってしまうけど。
「ミーナ、魔法のことを聞いても大丈夫かしら?系統は何?」
多分、髪色的には火魔法だよね。
「はい。火魔法です。家魔法のみです。ジェシカ様、私からもいいでしょうか?」
「ええ」
「では、お嬢様は学校でどのように過ごしたいですか?母から21領主家に仕えるにあたり、色々と教わって来たのですが、まずはお嬢様のお心を伺いたいと思います」
固いな。。。そんな感じなの?主従関係か。。。う~ん。あんまりそうゆうのは要らないな。。。
「そうね~。他のお嬢様を知らないので何とも答えづらいのだけれど、私は先ほども言ったように、友人のような関係を望むわ。自分で出来ることは自分でしたいし、あなたを便利使いにはしたくないのだけれど」
「おっ、お嬢様。それでは私が側仕えとして役に立ちません。まさか、そ、それは私は要らないという意味でしょうか?」
ミーナの顔は真っ青になっている。泣きそうだ。
「違うのよ。本当に。どうせなら、私は上下関係なく出来るだけ楽しく過ごしたいの。私の希望はあなたが私の良き理解者になって、友人として隣にいて欲しいのよ」
そう。親友みたいな感じ?ツーと言えばカーってね。
「友人ですか。。。考えてみます」
ミーナは、思ってもみない返答に困惑している。ちょっとしょんぼり気味だ。
「ふふふ。そんなに深く考えなくていいのよ。じゃぁ、こうしましょう。まだ学校まで日があるわ。それまで文通をしましょう。お互いを知るきっかけになるわ。ミーナは好きな本の事や今日の出来事など、あなたの事を色々書いて教えてちょうだい」
「文通ですか。。。そうですね、それなら私もジェシカ様の事を色々勉強できます」
勉強って。。。まだ固いな。ま~、初めだしこんなもんかな。
「では、そのように。これからよろしく」
ちょっと砕けてみたけど、どうかな?
「はい。よろしくお願いいたします!」
直角のお辞儀だよ。。。ははは。先は長そうだけと、ミーナは素直ないい子だね。
ここは下位貴族の部屋なので、あまり長居すると気を使わせるからと、顔合わせを終えた私達はメインホールへと戻った。
「わざわざ、申し訳ございませんでした。メインホールだと邪魔が入りそうでしたので、こちらに来て頂きました」
ロダンは私を誘導しながら、次の事を話す。
「お嬢様。今から、宰相様とエイダ嬢にお会いして頂きます」
ゲッ。何でよ。。。
と、40代ぐらいの男性がテーブルの向こう側に自分で椅子を持って来て、座ってもいいかと尋ねて来た。誰?
「失礼。お約束がございませんわよ」
と、ニッコリマーサがやんわりと断る。
誰?マジ知らない人。後ろのロダンを振り返って見る。ロダンはニコリと頷いて大丈夫だと言ってくれる。
「申し遅れました。お嬢様。私はあなたの母親の兄、テリード・ロックウェル伯爵です。以後お見知り置きを」
と、手の甲にキスをする。
叔父さんって事?どうしよう?お爺様が必要じゃない?
「ええ。初めまして。ジェシカ・ロンテーヌでございます。しかし、今お爺様は席を外しております。申し訳ございませんが後ほどに。。。」
「いえいえ。あなたに話があるのです」
と、勝手に座ろうとしたのでロダンが制止させた。
「ロックウェル伯。失礼ですが、成人したばかりのお嬢様に勝手をなさるのは如何なものかと」
あくまで執事として対応しているロダン。
「失礼だな。私は伯爵だぞ。お前はたかが男爵ではないか。前に出るな」
と、ロダンをツンと突いた。
お~こわっ。ロダンのあの笑顔、絶対キレてるよね。
「私の身分は今は関係ございません。私はロンテーヌ公爵家の執事です。嫌がるお嬢様に無体をされているのは、伯爵様ではございませんか?」
と、ロダンは少し大きな声で対抗していた。
「無体など、失敬だな!私は叔父だぞ!」
と、プンプンだ。
あれワザと大きな声で言ったよね。周りの人達がこちらに注目しだした。私も乗っかってみる?
「あの、ロックウェル伯爵様。突然来られては困りますわ。お話があるなら、ロンテーヌ領領主をお通し下さい。生まれてこの方、一度もお会いした事がない方が叔父様なんて。。。私、いささか怖くなってしまいます。。。」
私もワザと大きな声で言いつつ、ひ弱な令嬢を演じて見せる。
「なっ!」
ヒソヒソ、ザワザワと扇子で口元を隠した奥様方がロックウェル伯爵の後ろで噂を始めた。
すると、居づらくなったのか『もういい』と怒ってどこかへ行ってしまった。
「あれは、誰なんです?本当に叔父なの?」
ロダンは困ったような顔で教えてくれる。
お母様はロックウェル伯爵家の次女で、あの人は本当にお兄さんなんだそうだ。お母様が結婚する時、持参金が要らなかったので結婚を許してくれたほど、あのロックウェル伯爵家は、昔から『ド』のつくくらいのケチで有名なんだって。それが、5年ほど前に事業に失敗して、溜め込んでいたお金も底をつき、金銭的に困っているそうだ。
はは~ん。成人したばかりの小娘を騙して、小銭でも引き出そうかと思ったのかな?
バカだね~。ウチにはロダンが居るのに。
「あのボンボンは昔からアホなのよ。家の爵位が大好きで、21領主である事を鼻にかけてるの。学生の頃も子爵や男爵には横柄な態度だったわ。私が伯爵夫人になった時にすごく嫌味を言われたのを覚えているわ~。学生の頃フったのを根に持っていたのね、きっと。っと、あら失礼。お嬢様の叔父様でしたわね」
は~、とマーサは謝りつつも呆れている。
「いいわよ。会った事ないし。え~。でもフったんだ。一応伯爵じゃない?目を瞑れないほどの性格?」
「ええ。『この次期領主の俺様が子爵のお前と付き合ってやる』よ。そんなセリフで女がときめくと思う?バカでしょ?」
ははは。確かに。爵位がなければ空っぽそうだな。
「でも叔父様なのよね?なぜ今まで知らなかったのかしら?」
「それは、我がロンテーヌ領が慎ましやかだったからですよ。今回、事業が成功したので寄って来たハエの一人です。今まで、手紙ひとつ寄越さなかったのにいい性格をしていますね」
ロダンはふんっと『あんな者、記憶から削除していいですよ』と言っている。
夜会が始まって1時間ほど経った。ガヤガヤと立食のスペースが混雑して来た。
私達はロダンに連れられて、隣のホールへ向かう。
「どこに行くの?」
「はい。本日は男爵まで出席する夜会です。色々と会場が分かれておりまして、今から向かう場所は下位の貴族が集まっているホールになります」
え~、そんな分け方があるんだ。
「他にどんなホールがあるのかしら?」
「先ほど居たメインホールは主に王族と21領主が集うホールになります。今から向かうホールの他に、若者が早いテンポのダンスを楽しむダンスホールや休憩サロン、男性が集まるシガールームなどもございます。5部屋ほどでしょうか」
「毎回そんなに用意するの?夜会って一苦労ね」
「ふふふふふ。普通、お年頃のお嬢様ならダンスホールに直行しそうでしょうに。ふふふ」
マーサは私がダンスに興味がないのが面白いみたい。
「このように大規模なのは、この新年の夜会だけですよ。王族主催だからこそです。通常は、家の家格に合わせた出席者と会場になりますので、気負わなくてもいいですよ」
ロダンは私がちょっと夜会が苦手なのを察知したみたい。
へぇ~。色々あるんだね~。
ロダンとマーサと私は隣のホールに到着した。ロダンは椅子を勧めてくれ、少し席を外すと向こうへ行ってしまった。
いつの間にか、ランドはこの部屋の隅に立っている。
部屋を見渡してみると、確かに下位の貴族が多いのかな。私の方をチラチラと盗み見をしている。
あっ!ロッシーニ発見。友人たちと談笑している。
「ロッシーニも笑うのね」
ぽつりと言った言葉をマーサが拾ってくれる。
「あぁ。今日はカイ様は恋人といますでしょ?付き添いをしなくていいから友人と楽しんでいるんでしょうね」
マーサがパタパタと扇子をはためかせる度に、男性陣の顔が赤くなっている。
「お嬢様。お待たせいたしました。こちらは亡き大奥様の大姪にあたるトロント子爵家の三女ミーナ様です」
ロダンと一緒に現れたのは、赤い髪がウェーブしたそばかすのある、眼鏡をかけたかわいい女の子だった。
深々とお辞儀をして私を見つめる。
「ジェシカ様。初めまして。ミーナ・トロントでございます。これからお嬢様に仕えさせて頂きます。よろしくお願いいたします」
ん?仕える?
「え?ええ。初めまして。ロンテーヌ公爵家ジェシカです。よろしく」
んん?ハテナなんだけど。
「お嬢様、このミーナ嬢は学校での側仕えになります。大奥様のご実家である伯爵家の筋の者なので信頼できます。ご安心下さい」
そうなの?そんな大それたの要らないのに。でもしょうがないよね。
「そうなのね。ミーナ様、学校では楽しく過ごしましょうね。改めて、よろしくお願いね」
「お嬢様。ミーナで結構です。お嬢様が快適に過ごせるように全力を尽くします」
ミーナ様はちょっと頬を染めながら、少し手が震えている。緊張してるのかな?頑張ってるんだね~。
「わかったわ。ミーナ。でもいいのよ、畏まらないで。私は、出来れば友達のように接して欲しいわ。ジェシカと呼んでもらえるとうれしいのだけれど。私からのお願いを聞いてくれるかしら?」
ミーナはガバッと顔を上げて笑顔を見せる。
「はい!ジェシカ様」
ロダンはミーナにも席を用意し、私の斜め向かいに座らせる。
「少しお話をしましょう。あなたの趣味はなぁに?」
お見合いみたいだな。。。はは。
「はい。私は本を読むのが大好きです。ジャンルは問いません」
へ~、本の虫か。
「そう。勉強が好きなのね。私は嗜む程度だからちょうどいいわね。わからない事があったら聞けるもの。ふふふ」
「そんな。。。私なんか」
照れてるよ~。かわいい。ついついおばちゃん目線になってしまうけど。
「ミーナ、魔法のことを聞いても大丈夫かしら?系統は何?」
多分、髪色的には火魔法だよね。
「はい。火魔法です。家魔法のみです。ジェシカ様、私からもいいでしょうか?」
「ええ」
「では、お嬢様は学校でどのように過ごしたいですか?母から21領主家に仕えるにあたり、色々と教わって来たのですが、まずはお嬢様のお心を伺いたいと思います」
固いな。。。そんな感じなの?主従関係か。。。う~ん。あんまりそうゆうのは要らないな。。。
「そうね~。他のお嬢様を知らないので何とも答えづらいのだけれど、私は先ほども言ったように、友人のような関係を望むわ。自分で出来ることは自分でしたいし、あなたを便利使いにはしたくないのだけれど」
「おっ、お嬢様。それでは私が側仕えとして役に立ちません。まさか、そ、それは私は要らないという意味でしょうか?」
ミーナの顔は真っ青になっている。泣きそうだ。
「違うのよ。本当に。どうせなら、私は上下関係なく出来るだけ楽しく過ごしたいの。私の希望はあなたが私の良き理解者になって、友人として隣にいて欲しいのよ」
そう。親友みたいな感じ?ツーと言えばカーってね。
「友人ですか。。。考えてみます」
ミーナは、思ってもみない返答に困惑している。ちょっとしょんぼり気味だ。
「ふふふ。そんなに深く考えなくていいのよ。じゃぁ、こうしましょう。まだ学校まで日があるわ。それまで文通をしましょう。お互いを知るきっかけになるわ。ミーナは好きな本の事や今日の出来事など、あなたの事を色々書いて教えてちょうだい」
「文通ですか。。。そうですね、それなら私もジェシカ様の事を色々勉強できます」
勉強って。。。まだ固いな。ま~、初めだしこんなもんかな。
「では、そのように。これからよろしく」
ちょっと砕けてみたけど、どうかな?
「はい。よろしくお願いいたします!」
直角のお辞儀だよ。。。ははは。先は長そうだけと、ミーナは素直ないい子だね。
ここは下位貴族の部屋なので、あまり長居すると気を使わせるからと、顔合わせを終えた私達はメインホールへと戻った。
「わざわざ、申し訳ございませんでした。メインホールだと邪魔が入りそうでしたので、こちらに来て頂きました」
ロダンは私を誘導しながら、次の事を話す。
「お嬢様。今から、宰相様とエイダ嬢にお会いして頂きます」
ゲッ。何でよ。。。
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