前世持ち公爵令嬢のワクワク領地改革! 私、イイ事思いついちゃったぁ~!

Akila

文字の大きさ
上 下
22 / 135
1章 ロンテーヌ兄妹

55 成人のパーティー3

しおりを挟む
「中は後で見るといい。4日後、王宮に来るように。付き添いはなしだ」

えっ!お爺様ダメなの?しかも王宮って!城の方じゃないじゃん!

「侍者か侍女はよろしいですか?」

「構わんが、同席はできない。護衛もだ。部屋の外で待機となる」

。。。まずい。八方塞がりじゃん。何を話すかはわからないけどさ。

う~んと顎に手を当て悩んでいると、
「何も取って食いはせぬ。心配はいらない。話をするだけだ。私も同席する。あとは、第1騎士団長もだ」

国のトップスリーじゃん。あかん。詰んだ。

「あら。こんな成人したばかりの小娘相手に。。。お戯れを。おほほほほほ」
汗がドバッと出てくる。心臓もドクドクと速い。何か、何か突破策はない?!

「小娘のは承知しているが?」
アダムはニヤッと私を見て、後ろのランドに声をかける。

「あぁ、そうそう、ランド、お前はこちらに身を寄せていたのだな。王女様が探しておられたぞ。数ヶ月前に王都で騒ぎを起こして謹慎をさせられていたが、そろそろ部屋から出る頃だ。王城に護衛で付いて来るのならせいぜい気をつけろよ」
ランドは後ろでがっくり肩を落としている。

「あとは、リットか。。。お前もこちらに居たとは。それにあそこに居るのはマーサ女史だろう?ロダン参謀もご健在のようだし、クライス団長も領主に返り咲き。加えて新商品。。。ロンテーヌ領主は何を狙っているのか」
と、アダムはニヤニヤしながら意地悪なことを言い出した。

そんな事私に言う?何も狙ってねーよ。

「何かの思い違いじゃありませんか?ほほほほほ。たまたまです。たまたま。全ての歯車がたまたま上手くハマっただけですよ。ハマった所で所詮は田舎領。何もございません。アダム様。しかし、ロダンの事をご存知とは、ロダンはそんなにも有名でしたの?」
ちょっと話の方向を変えようか。危ない危ない。

「あぁ、ある意味、私にとっては、だが。あの方の戦略や情報戦は美しいの一言だ。無駄が1ミリもない。加えて、騎士としての腕もある。あの頭脳を田舎に埋もれさせているのが口惜しかったよ。何度か、王のお側へお誘いしたのだが全て断られてしまった。今でも、騎士団達はロダン殿が考えた戦略の資料などを見返す事があるそうだ」

「それほどですか。。。私もすごいな~とは思っていましたが。こんな近くにそれほどまでの人物が!ちょっとロダンの見方が変わりますわね」
ほへ~。すごいを通り越してるよね。超人じゃん!ロダンってホントに謎。

「ロンテーヌ領は今後、新商品のおかげで色々な貴族の思惑に巻き込まれる。ジェシカ嬢も例外ではない。女だからとタカをくくって居ては足元をすくわれるぞ。は公表していないのだからな。女は大概、駆け引きの駒になってしまう。ぼやっとせず、その本性を出していけ」

。。。本性を出せって?そりゃ~はっきり物を言う、前に出るタイプだから、お嬢様としては敬遠されるだろうけど。デメリットも出てくるよね。

「えぇ、でも、目立つのが嫌でして。卒業後はこそっと領にこもって遊ぼうかと思っております。ですので、学校では地味な令嬢として影になる事を狙っていますの」

「はんっ。そんな世迷言。お前の気性ではできないだろ。この私、宰相に物怖じせず堂々と喋る小娘がどこに居る。せいぜい被った猫が剥がれんようにがんばるんだな」

アダム様は挑発するね~。しかもお前って。ダチかよ。でもね~私は乗らないよ。

「まぁ、ほどほどに足掻いてみますよ」
と、ニッコリ。

ふふふふふ、はははははと大人な会話を終了した。なんか会社の取引先のような会話だったな。はは。

は~。4日後か。。。憂鬱。

お兄様はまだエイダ様に捕まっている。グレゴリーはその後ろで無表情だ。あれは、甘いエイダ様の言葉に無の境地になってるな。あはは。一方で、お爺様とトリスタン領主は談笑している。その後ろでは、美魔女マーサがハミルトン相手に話してる。ハミルトンがテンション上がってるのかな?やけに前のめりで話しているなぁ。っと、マーサは私に気づき扇子の影からパチンとウィンクをしてくれた。ははは、ハミルトン相手にされてないじゃん。そりゃそうか。反対側にはクリス様一家が皆で食事を楽しんでいる。ルーティーナがケーキを頬張っているよ。かわいい!ほのぼの三世代家族に癒されるわ~。エリは部屋の隅で微笑みながらその様子を見てるし。食事と言えば、ジャックが私の好きな料理ばかり出してくれるって言ってたよね~。あとでお礼を言わないと。って、ケイトは?あぁ、一応身分的に下がってしまったのかな?今は平民だけど元は子爵だしそんなのよくない?あっ!ケイトにも今朝万年筆を貰ったんだった!

なんて、会場を見渡しながら今日のパーティーの様子を心に刻む。ハプニングはあったが、一気に増えた仲間達や家族に囲まれた、こんな楽しいパーティーを開いてもらって私は幸せだ。

「お嬢、そろそろお開きの時間だ」
ボソッと耳打ちしたリットは、私をお爺様の元へ誘導した。

私に気づいたお爺様はロダンを見、一つ頷いて口を開いた。

「ごほん。失礼。皆様方、今宵も月の女神が夜空に輝く時間になったようです。本日は孫のジェシカの為にお祝いにお越しいただきありがとうございました。名残惜しいですが、今夜はこれにて」
と、お爺様と並んで一礼し、成人のパーティーの幕が下りた。


部屋へ戻る前に、ロダンに王様からの手紙を渡し、夜のテラスへ足を運ぶ。ケイト達には下がってもらった。

秋が始まった夜のテラスは少し冷えて頭がスッキリする。この時間の裏庭は月明かりに照らされてキレイだな~と思いながら、ぼ~と4日後の事を考える。

王様と宰相と騎士団長。さっきのアダム様との会話でチクっと言っていた事が気になる。

『何を狙っているのか?』

そんな風に見えるのか。。。物の見方は三者三様。宰相の思惑か、または王様の思惑か。騎士団長かもしれない。あの時言葉にわざわざしてくれたので気付けたんだよね。って事は、宰相は敵ではない?気付かせてくれた?

は~。宰相、アダム様。最後は対等に話していたように感じたな~。これからどんなスタンスでいけばいいのか。今更、15歳のお子様発言もできないし。。。

は~っと大きなため息をついて椅子で仰向けにのけぞった時、頭上でリットが覗き込んでいた。

「わ~!びっくりした!どうしたの?」
私は思わず椅子から立ち上がる。

「あぁ、姿が見えたから。なんか悩み事か?随分大きなため息だったけど。。。あぁ、王宮行きの事か」
そう言えば、リットは後ろで聞いてたんだよね。

「うん。そう。どうしようかな~って。ここ、少し冷ってするから頭を冷やしたくて。それより、リットも今日は疲れたでしょう?もう休んだら?護衛はいいわよ」

「一曲踊ろう。月明かりがキレイだ」
いきなりリットは笑顔で私の両手を取り、簡単なステップを踏んでリードを始めた。

「えっ!もう!リット!」
と、始めのうちは抵抗したが、私も楽しくなってきて踊ってしまう。

「お嬢、本当にお疲れ様。今日は色んな事が起こりすぎたなぁ。あの宰相様が来たしな~。これからもお嬢の周りは騒がしいんだろうなぁ。。。でも、ちゃんと近くにいるよ。俺はお嬢を守っていくから心配するな」

あぁ、不安が伝わったのかな?優しくされると泣けてくる。

「ええ。いつもありがとう。頼りにしているわ」
と、リットは突然ダンスを止め、私の髪に何かを着けた。

「ん?何?」

「髪飾りだよ。気軽に着けれる物だから安心してくれ。普段用だ。俺からの成人のお祝い。あとで部屋の鏡ででも確認してくれ。よく似合っている」
リットは髪飾りを触りながら笑顔を見せる。

「ありがとう。リット」

「ここは冷える。王宮の事が心配だろうが、明日、ロダン様に相談したほうがいい。部屋まで送るよ」

リットに送って貰った部屋には、下がっていいと言ったのにケイトが待ってくれていた。

ケイトは、『さぁさぁ』と寝る準備の世話を焼いてくれ、私が寝るまでとベット脇の椅子に座ってくれる。



明日、ロダンに相談しなくちゃ。。。


しおりを挟む
よろしければお気に入り&感想お願いします!
感想 404

あなたにおすすめの小説

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

側妃は捨てられましたので

なか
恋愛
「この国に側妃など要らないのではないか?」 現王、ランドルフが呟いた言葉。 周囲の人間は内心に怒りを抱きつつ、聞き耳を立てる。 ランドルフは、彼のために人生を捧げて王妃となったクリスティーナ妃を側妃に変え。 別の女性を正妃として迎え入れた。 裏切りに近い行為は彼女の心を確かに傷付け、癒えてもいない内に廃妃にすると宣言したのだ。 あまりの横暴、人道を無視した非道な行い。 だが、彼を止める事は誰にも出来ず。 廃妃となった事実を知らされたクリスティーナは、涙で瞳を潤ませながら「分かりました」とだけ答えた。 王妃として教育を受けて、側妃にされ 廃妃となった彼女。 その半生をランドルフのために捧げ、彼のために献身した事実さえも軽んじられる。 実の両親さえ……彼女を慰めてくれずに『捨てられた女性に価値はない』と非難した。 それらの行為に……彼女の心が吹っ切れた。 屋敷を飛び出し、一人で生きていく事を選択した。 ただコソコソと身を隠すつまりはない。 私を軽んじて。 捨てた彼らに自身の価値を示すため。 捨てられたのは、どちらか……。 後悔するのはどちらかを示すために。

聖女の私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。

重田いの
ファンタジー
聖女である私が追放されたらお父さんも一緒についてきちゃいました。 あのお、私はともかくお父さんがいなくなるのは国としてマズイと思うのですが……。 よくある聖女追放ものです。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

我が家に子犬がやって来た!

もも野はち助(旧ハチ助)
ファンタジー
【あらすじ】ラテール伯爵家の令嬢フィリアナは、仕事で帰宅できない父の状況に不満を抱きながら、自身の6歳の誕生日を迎えていた。すると、遅くに帰宅した父が白黒でフワフワな毛をした足の太い子犬を連れ帰る。子犬の飼い主はある高貴な人物らしいが、訳あってラテール家で面倒を見る事になったそうだ。その子犬を自身の誕生日プレゼントだと勘違いしたフィリアナは、兄ロアルドと取り合いながら、可愛がり始める。子犬はすでに名前が決まっており『アルス』といった。 アルスは当初かなり周囲の人間を警戒していたのだが、フィリアナとロアルドが甲斐甲斐しく世話をする事で、すぐに二人と打ち解ける。 だがそんな子犬のアルスには、ある重大な秘密があって……。 この話は、子犬と戯れながら巻き込まれ成長をしていく兄妹の物語。 ※全102話で完結済。 ★『小説家になろう』でも読めます★

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。