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4.申し込み
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「おはよー」
今日はいよいよ奴隷刑プランを申し込む日。楓ちゃんとは駅で待ち合わせをした。12月に私が20歳になったので、冬休みに一緒に申し込みを行うことになっていた。楓ちゃんは8月に20歳になっている。
申し込みセンターは東京の大きな駅の繁華街にあった。なんの変哲もない、普通の雑居ビルだ。外からでは普通の旅行会社や保険会社の窓口のように見える。
「入るよね?」
私はビルの前で一瞬躊躇してしまった。数年来の望みだったし、それに向けて準備もしてきたけれど、やっぱり恐怖心もあった。
楓ちゃんも顔が硬かった。強い戸惑いがあるのだろう。
「うん…行こう」
2人で覚悟を決め入店した。
「いらっしゃいませー」
建物に入ると普通のお店と同じように挨拶をされた。これから申し込みを行う内容を考えると少し拍子抜けしてしまった。勇気を出して受付の人に奴隷刑の申し込みをしたいと伝える。出て来た担当は女性の人だった。
「申し込みを担当している高木と申します。本日はよろしくお願いします」
こちらもそれぞれ名前を名乗って自己紹介をした。
「早速ですが、御二人は奴隷刑のプランについてどの程度御存知ですか?」
高木さんが聞いてきた。
「ホームページで大凡の内容は知っています」
私達はこれまで調べて知っていた内容の大凡について話した。
「そうですねえ。よくお調べになっていると思います。そのうえで、もう一度確認をしますが、本当に申し込みますか?とても過酷ですよ?」
「…はいお願いします」
言ってしまった。胸が高鳴った。楓ちゃんも答えた。
「わかりました。それでは具体的な説明を行わせていただきます」
手続きは詳細な説明に入った。
まず、受刑期間中は命の危険がない限り、途中で止める事はできないことを説明された。これは事前に知っていた。
「奴隷刑は人権の剥奪・停止が行われます。家畜以下として扱われますので、どんな理不尽な命令にも従わなければなりません。看守もその点では配慮をいたしません。付加刑として身体的、精神的な拷問も付与されます。そのため、体に傷が残ることもあります。あと看守などに性的な行為を強制される場合もありますが、それも大丈夫ですか?」
私達はその点にも了承をした。覚悟は決まっている。
「生命に危険があると判断された場合、受刑措置は停止されますが、命の保証はいたしません。受刑囚の健康管理には万全を期していますので、今の所、死亡例はありませんが、亡くなってしまった場合に備えてこの後、免責の書類を書いていただきます。死亡、後遺症が残った場合に備えての保険にも加入していただきます。受刑期間はどうしますか?」
高木さんが聞いてきた。
「大学の春休みを使うので2ヶ月でお願いします」
楓ちゃんが答えた。
「私も同じ期間でお願いします」
「2ヶ月ですね。かしこまりした。延長オプションはどうしますか?」
延長オプションの話は初めて聞いた。
「延長オプションというのは何ですか?」
話を聞くと、延長オプションを付けると、料金は特に変わらず看守の判断で多少刑期を延ばす命令を出せるようになるらしい。どのくらい延長されるかは受刑中の囚人の態度などで判断されるようだ。大学の休みは1月の下旬から4月の上旬までなので、2人で相談してお願いをすることにした。
「受刑するにあたって、犯した犯罪は何にしましょうか?」
高木さんが聞いてきた。これには少し困惑した。
「何かおすすめはありますか?」
楓ちゃんも分からない、思いつかないといった声音で聞いていた。
「そうですね。基本的には奴隷として受刑することによって、その罪を償うという形になるので、具体的なイメージが付く罪状のほうがいいですね。2ヶ月の奴隷刑となるとこんな候補がありますが」
いくつか提案を受けて私は自動車運転過失致死罪。楓ちゃんは強盗傷害罪を選んだ。私は犯し得るかもしれない犯罪にしたけど、楓ちゃんが選んだ罪状には笑ってしまった。長い付き合いで性格はよく分かってるけど、この大人しくて穏やかな子が強盗なんて絶対にしないだろう。
その後はいくつかの注意事項や逮捕当日の流れなどの説明を受けた。
「こちらが料金の振込用紙になります。期日までに振り込みをお願いいたします。なお、逮捕前日に最終確認の電話をいたします。その際までキャンセルは可能ですが、その場合返金はできませんのでご了承ください。あと、奴隷刑に耐えられるか病院で健康診断を行う必要があります。こちらの病院で検査を受けて結果の提出をお願いします」
最後にこれまで確認したことを文書化して署名を行い、保険などの書類も記入して手続きは終わりになった。
「キャンセルはいつでも可能です。その場合はご連絡ください」
高木さんは別れ際にも念を押してくれた。
「とっても緊張したよー。でもこれで私達、収監が決まったね」
「そうだね。少し怖いけど」
長年の夢が叶った私達はカフェに寄った。嬉しいけどちょっぴり怖さも感じる複雑な気持ちだった。2人でカフェラテを飲みながら、待ち遠しいその日のことを話した。
今日はいよいよ奴隷刑プランを申し込む日。楓ちゃんとは駅で待ち合わせをした。12月に私が20歳になったので、冬休みに一緒に申し込みを行うことになっていた。楓ちゃんは8月に20歳になっている。
申し込みセンターは東京の大きな駅の繁華街にあった。なんの変哲もない、普通の雑居ビルだ。外からでは普通の旅行会社や保険会社の窓口のように見える。
「入るよね?」
私はビルの前で一瞬躊躇してしまった。数年来の望みだったし、それに向けて準備もしてきたけれど、やっぱり恐怖心もあった。
楓ちゃんも顔が硬かった。強い戸惑いがあるのだろう。
「うん…行こう」
2人で覚悟を決め入店した。
「いらっしゃいませー」
建物に入ると普通のお店と同じように挨拶をされた。これから申し込みを行う内容を考えると少し拍子抜けしてしまった。勇気を出して受付の人に奴隷刑の申し込みをしたいと伝える。出て来た担当は女性の人だった。
「申し込みを担当している高木と申します。本日はよろしくお願いします」
こちらもそれぞれ名前を名乗って自己紹介をした。
「早速ですが、御二人は奴隷刑のプランについてどの程度御存知ですか?」
高木さんが聞いてきた。
「ホームページで大凡の内容は知っています」
私達はこれまで調べて知っていた内容の大凡について話した。
「そうですねえ。よくお調べになっていると思います。そのうえで、もう一度確認をしますが、本当に申し込みますか?とても過酷ですよ?」
「…はいお願いします」
言ってしまった。胸が高鳴った。楓ちゃんも答えた。
「わかりました。それでは具体的な説明を行わせていただきます」
手続きは詳細な説明に入った。
まず、受刑期間中は命の危険がない限り、途中で止める事はできないことを説明された。これは事前に知っていた。
「奴隷刑は人権の剥奪・停止が行われます。家畜以下として扱われますので、どんな理不尽な命令にも従わなければなりません。看守もその点では配慮をいたしません。付加刑として身体的、精神的な拷問も付与されます。そのため、体に傷が残ることもあります。あと看守などに性的な行為を強制される場合もありますが、それも大丈夫ですか?」
私達はその点にも了承をした。覚悟は決まっている。
「生命に危険があると判断された場合、受刑措置は停止されますが、命の保証はいたしません。受刑囚の健康管理には万全を期していますので、今の所、死亡例はありませんが、亡くなってしまった場合に備えてこの後、免責の書類を書いていただきます。死亡、後遺症が残った場合に備えての保険にも加入していただきます。受刑期間はどうしますか?」
高木さんが聞いてきた。
「大学の春休みを使うので2ヶ月でお願いします」
楓ちゃんが答えた。
「私も同じ期間でお願いします」
「2ヶ月ですね。かしこまりした。延長オプションはどうしますか?」
延長オプションの話は初めて聞いた。
「延長オプションというのは何ですか?」
話を聞くと、延長オプションを付けると、料金は特に変わらず看守の判断で多少刑期を延ばす命令を出せるようになるらしい。どのくらい延長されるかは受刑中の囚人の態度などで判断されるようだ。大学の休みは1月の下旬から4月の上旬までなので、2人で相談してお願いをすることにした。
「受刑するにあたって、犯した犯罪は何にしましょうか?」
高木さんが聞いてきた。これには少し困惑した。
「何かおすすめはありますか?」
楓ちゃんも分からない、思いつかないといった声音で聞いていた。
「そうですね。基本的には奴隷として受刑することによって、その罪を償うという形になるので、具体的なイメージが付く罪状のほうがいいですね。2ヶ月の奴隷刑となるとこんな候補がありますが」
いくつか提案を受けて私は自動車運転過失致死罪。楓ちゃんは強盗傷害罪を選んだ。私は犯し得るかもしれない犯罪にしたけど、楓ちゃんが選んだ罪状には笑ってしまった。長い付き合いで性格はよく分かってるけど、この大人しくて穏やかな子が強盗なんて絶対にしないだろう。
その後はいくつかの注意事項や逮捕当日の流れなどの説明を受けた。
「こちらが料金の振込用紙になります。期日までに振り込みをお願いいたします。なお、逮捕前日に最終確認の電話をいたします。その際までキャンセルは可能ですが、その場合返金はできませんのでご了承ください。あと、奴隷刑に耐えられるか病院で健康診断を行う必要があります。こちらの病院で検査を受けて結果の提出をお願いします」
最後にこれまで確認したことを文書化して署名を行い、保険などの書類も記入して手続きは終わりになった。
「キャンセルはいつでも可能です。その場合はご連絡ください」
高木さんは別れ際にも念を押してくれた。
「とっても緊張したよー。でもこれで私達、収監が決まったね」
「そうだね。少し怖いけど」
長年の夢が叶った私達はカフェに寄った。嬉しいけどちょっぴり怖さも感じる複雑な気持ちだった。2人でカフェラテを飲みながら、待ち遠しいその日のことを話した。
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