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番外編
【最終話SS②】墓参り直後の会話
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(話が凡長になりそうで入れられなかったシーンその②です。墓参り直後の会話)
国道を抜けて、車は上信越道へと入る。時刻は17時を指すところだった。途中のパーキングエリアで休憩がてらに食事をして、日付が変わる前には都内に戻れるだろう。相変わらず、美斗は頬杖をつきながら外の景色を眺めていた。黄昏時の藍色の空が美斗の顔を淡く照らしていた。
「せっかくの帰省なのに、とんぼ帰りでごめんな」
結局、雨宮千秋の記念館には寄ることが出来なかった。霊園を出る頃には開館時間はとっくに過ぎていて、明日も業務が詰まっている国近は帰路につかなければ間に合わなかった。
「……構わない」と、美斗が言う。視線を外し、フロントガラスの方へと向き直る。
「もう、いつでも帰れる」
ふ、と国近は薄く笑った。
「今度、温泉にでも行かないか? 行きたがっていただろう」
今回の件。功労者である国近と柏木は、事後処理が全て終わったら優先的に有給を取っていいと言われている。
もっとも、それは年度が明ければ新課の準備が始まり、休みなどしばらく取れなくなるだろうから、早めに休んでおけという意味でもあるのだけれど……。
重大事件が起きない限り、小旅行ぐらいだったら許されそうだった。
「……」
美斗は少しの間無言だった。
しばらくして、
「いいな。行ってみたい」
という控え目な声が返ってくる。
ハンドルを回しながら、国近は思考した。冬が終われば、美斗の両親の命日も近い。休みが取れたらまた、花を供えに来よう。今度は記念館に寄って、夏帆子さんへのお土産を二人で選んで。
国道を抜けて、車は上信越道へと入る。時刻は17時を指すところだった。途中のパーキングエリアで休憩がてらに食事をして、日付が変わる前には都内に戻れるだろう。相変わらず、美斗は頬杖をつきながら外の景色を眺めていた。黄昏時の藍色の空が美斗の顔を淡く照らしていた。
「せっかくの帰省なのに、とんぼ帰りでごめんな」
結局、雨宮千秋の記念館には寄ることが出来なかった。霊園を出る頃には開館時間はとっくに過ぎていて、明日も業務が詰まっている国近は帰路につかなければ間に合わなかった。
「……構わない」と、美斗が言う。視線を外し、フロントガラスの方へと向き直る。
「もう、いつでも帰れる」
ふ、と国近は薄く笑った。
「今度、温泉にでも行かないか? 行きたがっていただろう」
今回の件。功労者である国近と柏木は、事後処理が全て終わったら優先的に有給を取っていいと言われている。
もっとも、それは年度が明ければ新課の準備が始まり、休みなどしばらく取れなくなるだろうから、早めに休んでおけという意味でもあるのだけれど……。
重大事件が起きない限り、小旅行ぐらいだったら許されそうだった。
「……」
美斗は少しの間無言だった。
しばらくして、
「いいな。行ってみたい」
という控え目な声が返ってくる。
ハンドルを回しながら、国近は思考した。冬が終われば、美斗の両親の命日も近い。休みが取れたらまた、花を供えに来よう。今度は記念館に寄って、夏帆子さんへのお土産を二人で選んで。
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