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ボルドー城
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ピタリ。
「?」
「?」
歩みを辞めたポチが嘶き、首を振る。
「おい。どうした?」
「ポチ?」
声をかけるとじっと振り返って見つめてくる。
とりあえずなだめて、また歩ませる。
すると、またリシャールの手が服の中をまさぐり始める。
「ちょ、リシャール! 辞めろって!」
ピタリ。
またポチの歩みが止まる。
再びポチの首を撫で、優しく声をかけると落ち着いたように歩みを始める。
再びリシャールの手が服の中をまさぐり始める。
「もぉ、リシャール!!」
ピタリ。
「おい! ジャン! コイツわざとだろ! お前一度黙ってされるがままになれよ!」
「やだよ! なんでだよ。」
「おいおい、俺のこのそそり立つ漢をほっとけって言うのかよ。そりゃ無理ってもんだろお前!」
「いや。知らないよ。おれ、リシャールみたいに万年盛ってないから。」
「おぅ、聞き捨てならねぇなぁ。ああぁん?」
「そんなナリで凄まれても・・・大体馬の上でなんて出来ないじゃん。」
「・・・もぅ、いいよ。わかった。俺ぁもう独りで出すからいいよ! ついてくんなよ!」
馬から飛び降り、プンプンと怒りながら林の中に姿を消すリシャール。
少しかわいそうに思いながら、待つこと暫し、思いの外早く姿を現すリシャール。
そのタイミングに合わせて嘲るように嘶くポチ。
二人? の間にバチバチと光が見える。
「くそ。夜は絶対だぞ。」
そう言われ、内心ドキドキしていたのだが、結局夜も出来なかった。
ポチが私の傍を離れないのだ。
少し離れた所に結び付けておいても悲しそうに嘶かれると後ろ髪が引かれ、近くに置いておけば、リシャールが近づけば間に割って入ってくる。
そうして終始リシャールとポチで、昼は道を進み、夜はポジション争いを繰り広げ、疲れて寝るという数日間を過ごし、ボルドー近くまであと少しという所で、ポールが待ち構えていた。
ポールはラフな格好に紋章入りの服を着て馬に乗ったまま佇んでおり、凛々しい彫刻の様だ。
「ポール! 」
「ジャン。来たな。ん? リシャール、どうした? なんか目が血走ってね? なんかあったのか?」
「ああ。これは、その。馬との相性? が悪いみたいで。おれと馬とは全然相性いいんだけどね。」
「へぇ。リシャールが馬と合わないって珍しいな。」
「うるせぇな。早く帰ろうぜ。そんでこいつ馬小屋にぶち込めよ。ってか、ポールお前の馬よこせよ。俺ぁ、コイツにはもぅ乗らねぇ。」
「あっははは。こりゃ傑作だな! 本格的に相性悪いじゃねぇか。よくここまで帰ってこれたな。馬をほめてやるよ。」
「っち。」
リシャールはポチから飛び降りると、ポールを引きずり降ろし代わりにその馬に乗る。
自分の馬から降ろされたポールはポチの首を撫でながら、「オレは乗せてくれるのか?」と聞いて様子を伺っている。
「おれの言う事はすっごく聞くんだよー。もぅ、めちゃくちゃかわいい。ポチ。」
「プチか。いいな。美人じゃないか、お前。」
ポチはポールは好きらしい。
すりすりとポールにすり寄っている。
「大丈夫そうだな。ジャンも疲れたろう。オレが前に乗る。」
そう言うポールに手綱を渡した。
実際初めての馬の旅はやはり疲れる。
リシャールの体調もよさそうだし、ここからは駆けて帰っても支障はなさそうだ。
そうして街道を走り抜け、城壁をくぐる。
城壁に控えている兵士はポールの家紋のついた服を見かけると検問もなく敬礼をしつつ道を通してくれた。
ポールもリシャールも顔が知れている様子で手を挙げて挨拶している。
ちょっとかっこいい。
騎士っぽい。
そんなことをニヤニヤと考えながらポールの後ろに乗っていると、そのまま馬を駆け足程度の速度に落とし街を抜け、ボルドーの中心部分にある城の門まで来た。
帰る前に上司にでも報告に行くのだろう。
私も随従としてリシャールに雇ってもらえるらしいのでここまで入ってもいいのかな?
流石にここでは顔パスは無理だろう。
などと思っていると、リシャールもポールも止まる様子も見せることなくそのまま進んでいく。
すると遠くから姿を確認するや否や門番らしき兵士たちがバタバタと走り、急いで門を開くと並んで敬礼する。
偉い人の依頼を受けるくらいだから、リシャールもポールもこの街では有名人なのかもしれない。
「?」
「?」
歩みを辞めたポチが嘶き、首を振る。
「おい。どうした?」
「ポチ?」
声をかけるとじっと振り返って見つめてくる。
とりあえずなだめて、また歩ませる。
すると、またリシャールの手が服の中をまさぐり始める。
「ちょ、リシャール! 辞めろって!」
ピタリ。
またポチの歩みが止まる。
再びポチの首を撫で、優しく声をかけると落ち着いたように歩みを始める。
再びリシャールの手が服の中をまさぐり始める。
「もぉ、リシャール!!」
ピタリ。
「おい! ジャン! コイツわざとだろ! お前一度黙ってされるがままになれよ!」
「やだよ! なんでだよ。」
「おいおい、俺のこのそそり立つ漢をほっとけって言うのかよ。そりゃ無理ってもんだろお前!」
「いや。知らないよ。おれ、リシャールみたいに万年盛ってないから。」
「おぅ、聞き捨てならねぇなぁ。ああぁん?」
「そんなナリで凄まれても・・・大体馬の上でなんて出来ないじゃん。」
「・・・もぅ、いいよ。わかった。俺ぁもう独りで出すからいいよ! ついてくんなよ!」
馬から飛び降り、プンプンと怒りながら林の中に姿を消すリシャール。
少しかわいそうに思いながら、待つこと暫し、思いの外早く姿を現すリシャール。
そのタイミングに合わせて嘲るように嘶くポチ。
二人? の間にバチバチと光が見える。
「くそ。夜は絶対だぞ。」
そう言われ、内心ドキドキしていたのだが、結局夜も出来なかった。
ポチが私の傍を離れないのだ。
少し離れた所に結び付けておいても悲しそうに嘶かれると後ろ髪が引かれ、近くに置いておけば、リシャールが近づけば間に割って入ってくる。
そうして終始リシャールとポチで、昼は道を進み、夜はポジション争いを繰り広げ、疲れて寝るという数日間を過ごし、ボルドー近くまであと少しという所で、ポールが待ち構えていた。
ポールはラフな格好に紋章入りの服を着て馬に乗ったまま佇んでおり、凛々しい彫刻の様だ。
「ポール! 」
「ジャン。来たな。ん? リシャール、どうした? なんか目が血走ってね? なんかあったのか?」
「ああ。これは、その。馬との相性? が悪いみたいで。おれと馬とは全然相性いいんだけどね。」
「へぇ。リシャールが馬と合わないって珍しいな。」
「うるせぇな。早く帰ろうぜ。そんでこいつ馬小屋にぶち込めよ。ってか、ポールお前の馬よこせよ。俺ぁ、コイツにはもぅ乗らねぇ。」
「あっははは。こりゃ傑作だな! 本格的に相性悪いじゃねぇか。よくここまで帰ってこれたな。馬をほめてやるよ。」
「っち。」
リシャールはポチから飛び降りると、ポールを引きずり降ろし代わりにその馬に乗る。
自分の馬から降ろされたポールはポチの首を撫でながら、「オレは乗せてくれるのか?」と聞いて様子を伺っている。
「おれの言う事はすっごく聞くんだよー。もぅ、めちゃくちゃかわいい。ポチ。」
「プチか。いいな。美人じゃないか、お前。」
ポチはポールは好きらしい。
すりすりとポールにすり寄っている。
「大丈夫そうだな。ジャンも疲れたろう。オレが前に乗る。」
そう言うポールに手綱を渡した。
実際初めての馬の旅はやはり疲れる。
リシャールの体調もよさそうだし、ここからは駆けて帰っても支障はなさそうだ。
そうして街道を走り抜け、城壁をくぐる。
城壁に控えている兵士はポールの家紋のついた服を見かけると検問もなく敬礼をしつつ道を通してくれた。
ポールもリシャールも顔が知れている様子で手を挙げて挨拶している。
ちょっとかっこいい。
騎士っぽい。
そんなことをニヤニヤと考えながらポールの後ろに乗っていると、そのまま馬を駆け足程度の速度に落とし街を抜け、ボルドーの中心部分にある城の門まで来た。
帰る前に上司にでも報告に行くのだろう。
私も随従としてリシャールに雇ってもらえるらしいのでここまで入ってもいいのかな?
流石にここでは顔パスは無理だろう。
などと思っていると、リシャールもポールも止まる様子も見せることなくそのまま進んでいく。
すると遠くから姿を確認するや否や門番らしき兵士たちがバタバタと走り、急いで門を開くと並んで敬礼する。
偉い人の依頼を受けるくらいだから、リシャールもポールもこの街では有名人なのかもしれない。
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