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トーナメント
18(2/2)
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聞き返しながら、リシャールの顔を見ると、少し恥ずかしそうな表情をしている。
途端に握られた手がじんじんして、血が脈打っているのが耳の近くまで響いてくるように どく、どく、と鳴る。
「あー。何ていうのかな。お前の歌っていうか、声っていうか。仕草もそうだけど。ずっと視界に入れて、聞いていたいんだよな。耳に気持ちよくて、嫌なこと忘れられるっていうか・・・。だからどこに行くにしても、お前が一緒じゃないと、俺は困る。」
そう言うとリシャールの唇がそっとおれの手に触れる。
手から伝わる柔らかな唇の熱にそのまま頭の中まで侵されそうになる。しかし、それを阻止したのは、先日浴びせられた冷たい言葉。
『あいつは愛妾だ。上手く取り入ったようだが、すぐに飽きられて捨てられるさ。』
実際、そうだと自分でも思っている。
共に風呂に入り、寝所も二人っきり。
愛妾だと言われて否定するほうがおかしい。
だけど。
「お、おれも、リシャールのそばに居たい。だから。強くなりたい! 戦場でもどこでも連れて行ってもらえるように、必要にしてもらえるくらいには、強くなりたいんだ! もちろん、歌ももっと歌えるようになりたいけど、とりあえず、目の前の戦に連れて・・・・! 」
勢い余って上体を起こして叫んでしまい、片手で支えられていた体がバランスを崩し、リシャールの背中からべしゃりと、崩れ落ちた。
気合とは裏腹に、足にも腹にも力が入らず、情けなくも地面に突っ伏したまま、腕だけが威勢を保っている。
「・・・連れて行ってくらさい・・・。」
「はっはっはっは! どこの誰だか知らねぇけど、しこたましごかれたな。俺の手合わせもキツイぞ。大丈夫か?」
「・・・うん。よろしく、お願いします。」
リシャールの背中に再び背負われながら、手合わせの約束をする。
此処の所ずっと思い描いていた事が実現した事もあるが、先程のリシャールの言葉を頭の中で何度も再生しては、顔がニヤニヤとにやけてしまう。
必要としてもらえる事が何より嬉しい。
大きな肩に頬を乗せるようにして、リシャールの横顔を眺めながら、ついでにお願いしてみる。
「おれ、初めて出会ったときにリシャールに歌ってもらった詩、教えてもらいたいんだ。」
「ああ、ダニエルの曲だろ? そういや、お前弟子にしてくれって言ってたもんな。」
「落ち着いたらでいいんだ。まずは目の前の事、クリアしたいから。それが終わってからでいいからさ。剣技も詩も、もっと色々教えて欲しい。」
「ああ。いいぜ。なんでも教えてやるよ。そうだな。今日から始めるか。」
そう言うとリシャールの横顔が不敵に笑った。
「え、今日から?おれ、こんなだけど、出来る?」
「ああ。お前はなんにもしなくていいぞ。俺がヤッてやるから。」
リシャールがおもむろにケツをモミモミと揉みしだいてくる。
「!!!」
「肉体的に疲れたときに勃ったりするだろ? あれ、抜いてもらうと気持ちいいんだぜ。知らねぇだろ。」
「エロいことかよ!!」
「お前、何でも教えてほしいって言ってたじゃねぇか。風呂も用意しといてもらってるからさ。」
「ちょ、無理だよ! 今日はおれ、無理だよ! マジで動けないし!」
「大丈夫大丈夫、入れないから。入れたとしても、先っぽだけ。な?」
「いや、それ、絶対ヤル奴のセリフじゃねぇかよ!」
「ヤラないヤラない。ほんとほんと。そうと決まれば善は急げだな!」
リシャールは半ば走る様にステップを踏みながら城に向かう。
その彼の背中で上下に揺れながら、前途に不安を抱えるのであった。
ーーーあとがきーーー
おんぶは五感や筋肉への刺激を与え、その刺激に神経細胞同士が結合し脳の発達へとつながるそうです。
ジャンもまだまだ成長期ですので。ええ。このあとの刺激もしっかりと脳を発達させることになるでしょう
途端に握られた手がじんじんして、血が脈打っているのが耳の近くまで響いてくるように どく、どく、と鳴る。
「あー。何ていうのかな。お前の歌っていうか、声っていうか。仕草もそうだけど。ずっと視界に入れて、聞いていたいんだよな。耳に気持ちよくて、嫌なこと忘れられるっていうか・・・。だからどこに行くにしても、お前が一緒じゃないと、俺は困る。」
そう言うとリシャールの唇がそっとおれの手に触れる。
手から伝わる柔らかな唇の熱にそのまま頭の中まで侵されそうになる。しかし、それを阻止したのは、先日浴びせられた冷たい言葉。
『あいつは愛妾だ。上手く取り入ったようだが、すぐに飽きられて捨てられるさ。』
実際、そうだと自分でも思っている。
共に風呂に入り、寝所も二人っきり。
愛妾だと言われて否定するほうがおかしい。
だけど。
「お、おれも、リシャールのそばに居たい。だから。強くなりたい! 戦場でもどこでも連れて行ってもらえるように、必要にしてもらえるくらいには、強くなりたいんだ! もちろん、歌ももっと歌えるようになりたいけど、とりあえず、目の前の戦に連れて・・・・! 」
勢い余って上体を起こして叫んでしまい、片手で支えられていた体がバランスを崩し、リシャールの背中からべしゃりと、崩れ落ちた。
気合とは裏腹に、足にも腹にも力が入らず、情けなくも地面に突っ伏したまま、腕だけが威勢を保っている。
「・・・連れて行ってくらさい・・・。」
「はっはっはっは! どこの誰だか知らねぇけど、しこたましごかれたな。俺の手合わせもキツイぞ。大丈夫か?」
「・・・うん。よろしく、お願いします。」
リシャールの背中に再び背負われながら、手合わせの約束をする。
此処の所ずっと思い描いていた事が実現した事もあるが、先程のリシャールの言葉を頭の中で何度も再生しては、顔がニヤニヤとにやけてしまう。
必要としてもらえる事が何より嬉しい。
大きな肩に頬を乗せるようにして、リシャールの横顔を眺めながら、ついでにお願いしてみる。
「おれ、初めて出会ったときにリシャールに歌ってもらった詩、教えてもらいたいんだ。」
「ああ、ダニエルの曲だろ? そういや、お前弟子にしてくれって言ってたもんな。」
「落ち着いたらでいいんだ。まずは目の前の事、クリアしたいから。それが終わってからでいいからさ。剣技も詩も、もっと色々教えて欲しい。」
「ああ。いいぜ。なんでも教えてやるよ。そうだな。今日から始めるか。」
そう言うとリシャールの横顔が不敵に笑った。
「え、今日から?おれ、こんなだけど、出来る?」
「ああ。お前はなんにもしなくていいぞ。俺がヤッてやるから。」
リシャールがおもむろにケツをモミモミと揉みしだいてくる。
「!!!」
「肉体的に疲れたときに勃ったりするだろ? あれ、抜いてもらうと気持ちいいんだぜ。知らねぇだろ。」
「エロいことかよ!!」
「お前、何でも教えてほしいって言ってたじゃねぇか。風呂も用意しといてもらってるからさ。」
「ちょ、無理だよ! 今日はおれ、無理だよ! マジで動けないし!」
「大丈夫大丈夫、入れないから。入れたとしても、先っぽだけ。な?」
「いや、それ、絶対ヤル奴のセリフじゃねぇかよ!」
「ヤラないヤラない。ほんとほんと。そうと決まれば善は急げだな!」
リシャールは半ば走る様にステップを踏みながら城に向かう。
その彼の背中で上下に揺れながら、前途に不安を抱えるのであった。
ーーーあとがきーーー
おんぶは五感や筋肉への刺激を与え、その刺激に神経細胞同士が結合し脳の発達へとつながるそうです。
ジャンもまだまだ成長期ですので。ええ。このあとの刺激もしっかりと脳を発達させることになるでしょう
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