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ボルドー城
閑話 1
しおりを挟むボルドー城には主寝室がいくつかある。
2階に1つ。
こちらは主にゲストルームとしての意味合いが強く、今はリシャールの兄であるアンリ達が使っている。
そして3階には2つ。
基本的には寝室に大きなベットが一つありそこで大の大人が数人が一緒に寝るのが普通なようだが、リシャールは城主なので浴室設備つきというか、浴室を通過しないと寝室に入れない個室、という作りになっているこの部屋を使っている。
以前は同じ階のチャペル付きの寝室を使っていたようだが、おれが来てからはずっとこの部屋を使っている。
そう。
浴室を経由することによって、身体の汚れを落としてきれいな体で眠りたい潔癖なリシャールくんなのです。
と言いたいところだが、想像通りだ。
忙しいリシャールだが、城に居る日は城主でも、食事は皆で共に食べるのがこの時代の習わしのようで、アンリや随従の騎士ウィリアムやポール達と一時過ごす。
「皆、おやすみ。ジャンお前の好きな風呂行くぞー。」
そうやっておれを風呂好きキャラに仕立て上げた。
いや、まぁ、好きだけどね。
そして風呂場ではもちろん二人裸になる以上、グズグズに尻を慣らさる事になり、そのまま寝室になだれ込む。
事後の洗浄もスムーズときた。
なるほど。
よく出来た作りだ。
あんまりに良くできているので、リシャールが設計させたのかと聞いてみると、どうやら前の城主の趣向らしい。
リシャールも城に入った時はこの作りの便利さに気が付かなく、
「なんで風呂場通らないと寝室に行けねぇんだよ。俺が汚えっていうのかよ。タイル寒いし。」
と、一度もこの主寝室を使うことがなかったらしいが、ダクスの帰りに改めてこの部屋の本領が遂に発揮され、今は殆どこの主寝室で過ごしている。
男色を禁じているこの事世だが、あえて禁じるということは、ソレだけ多かったという証でもある。
前の城主も、もしかしたら男色家だったのかもしれない。
そんな事を考えながらも、今日も今日とて手を引かれ、なんだかんだと言いながらもこの時間を楽んでいるのだった。
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