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第二章
41、決死の献身
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「ぐ、あぁっ……」
悪夢のような痛みだった。額から脂汗が噴き出し、呼吸が乱れる。
激痛は徐々に和らぎ、辛うじて目を開けられるようになってきた。どうやら黒頭巾はどこぞに紛失してしまったらしく、回復した視界は、先ほどにも増して明るい。
森だ。森の中にいる。だが、セルジュの記憶の中にある闇色の森ではない。人工的な建物と木々が入り乱れる、奇妙な森だ。その森の中にある木の幹のひとつに、セルジュは背を預ける形で座っていた。
遥か遠方の空には、例の巨大樹が見える。だがその先端が、巨大な鍬かなにかに削り取られたかのように消失していた。
だんだんと、気を失う前のことが思い出されていった。
ここはアキリーズが作り出した森で、そこで白の女王ファイブから攻撃を受けて……それで、生きている? あの凝縮されたエネルギーを一身に受け止めたというのに?
「うっ……」
鈍痛がセルジュの視線を誘導する。その痛みの元の正体を前に、セルジュは目を見開いた。
左脚が、ない。
右脚も、爪先まできちんと健在しているものの、膝から上の箇所に大きな傷があった。まるで、千切れた脚を繋ぎ合わせて接着したかのような傷で、じゅくじゅくと泡立ち疼いている。痛痒くて堪らないが、傷は尋常ではない速度で塞がっていき、やがて傷跡も残さず、完全に修復した。
「……お前」
セルジュは、傍らにいる人物──アクアに気づき。呟いた。
発狂しているような素振りはない。アクアはなにやら、鬼気迫る表情でセルジュの消失した左脚を睨みつけながら手を翳していた。その白い手から淡い光が発生しており、肉と骨が剥き身となったセルジュの左脚を照らす。
温かな光だった。不思議なことに、その光に照らされた箇所から、左脚が再生していっているではないか。
──私、癒しの術だけは得意なの。
初めて出逢ったとき、アクアは確かそんなことを豪語していた。首と胴体さえ繋がっていれば、どんな傷でも治せるとも。
アクアがいま、傷ついた両脚の治療を行っているのだと知って、セルジュはなんとも言い表せない心地になった。
なぜ敵であるアクアがセルジュを助けようとしているのか。そういえば気を失う直前、超次元波動砲から庇われたような気もする。そうだ、それで、超次元波動砲の直撃は免れたものの、両脚を持っていかれたことも思い出した。
「な、にを、している」
セルジュが困惑のままに尋ねても、アクアはこちらを見向きもしなかった。自分を助けようとしているのはもうわかった。わからないのは、敵である自分を助けようとしている、その理由だ。
「い……いま、話し、かけないで……集中力が、切れちゃう……から……っ」
そのあまりにも悲壮な訴えに、セルジュは押し黙るほかなかった。
これまで、どんなにアクアを痛めつけ凌辱しても、これほど切羽詰まった表情など見せもしなかったのに。それなのにどうしてアクアは、セルジュを助けるためにこんなにも死に物狂いなのか。
数秒か、数分か、数時間か。永遠にも思える静寂の時間が、ふたりを包む。
「──はっ、はぁ、はぁ、はぁ……」
息をするのも忘れていたのか、アクアは空気の塊を吐き出すと、浅く速く呼吸をし始めた。しかし、それもほんの束の間のことで、アクアの身体はちり紙が風に吹かれるかのように力無く倒れてしまう。
セルジュの左脚は、完全に復元されていた。
「おいっ……くっ」
アクアを抱き起そうとした身を乗り出したセルジュも、身体のバランスを崩して、どう、と地面に投げ出された。
どうやら脚は、見た目こそ完治しているものの、内部の筋や神経などはまだ治りきっていないようで、思ったように身体を動かせない。特に脚に力を入れることが難しく、自力で立ち上がることは到底叶いそうになかった。
倒れたすぐ先に、アクアの顔がある。青と緑の瞳からは光が失われ、瞼が半分近く下り、口はだらしなく半開いた顔が。
「……っ、おい!」
セルジュはその尋常ならざる淫らな有り様に驚愕して、アクアの肩を強く掴む。しかし、それがいけなかった。
「ああッッ!! んッ、ひぐっ、んん──ッッ!!」
アクアは全身を大きく跳ねさせたかと思うと、激しくのたうち回って──達した。スカートの裾から愛液がとろとろと流れてきて、小さな水溜まりと成る。
「あっ……んっ……ふあぁっ……」
絶頂した余韻に侵食されているのか、アクアはか細い肩をびくびくと痙攣させ、涙を流しながら薄く笑っていた。
そんなアクアを眺めながら、セルジュは眉を顰めた。
(……壊れてる)
アクアは、最後の気力を振り絞ってセルジュの脚を再生させたところで、精も根も尽き果ててしまったらしい。
張っていた気がブツリと切れて、極度の性絶頂に脳を破壊されてしまい──すっかり気を違えていた。
これではもう、正義の味方として侵略者たちと戦うことも、普通の人間として生活することもままなるまい。抵抗する力どころか、その意思すら残っていないはずだ。こんな状態のアクアであれば、いますぐにでも根城に連れ帰って、思う存分種付けすることができる。誰の妨害を受けることもなく、受精させるまで、何度だって。
敵となりうる女を無力化できた上に、子を産むためだけの都合のよい道具にできた。
これほど上々な戦果は、望んだって得られないはずなのに。
どういうわけか、セルジュの心は晴れない。
「……せ……るじゅ、さ……」
アクアが、弱々しくも色香を多分に含んだ声でセルジュを呼ぶ。
「ごめ、ん……な、さ……い。や、約束、まもれなかった……」
約束、と言われても、セルジュにはとんと覚えがない。
セルジュが戸惑っているうちにも、独りでに性的絶頂を享受し続けているアクアは、懸命に口を動かしていた。
「せ……せるじゅさんたちが、助かるように、協力するって……約束したのに……ご、め……」
ガツン、と。セルジュは脳天を強く殴りつけられたような錯覚に陥った。
肉体を凌辱されてなお、自我を失いかけてなお、気にかけることが敵であるジェバイデッドの行く末とは。
アクアのこの言動は、お人好しなどという生易しい言葉では、到底片付けられなかった。
愚かなまでに献身的で、救いようがない。
セルジュは、アクアのこの痛々しい献身に、ミラの姿を垣間見た。
海の底よりも深い優しさを有する、ミラの姿を。
──嫌だ。
目の前にいる女がミラではないことなど、わかっている。それでも、ミラを鏡写しにしたように、同じ顔、同じ声、同じ思考を持つアクアが、精神を完全に崩壊させて生ける屍になる悲惨な様など、見たくはない。
「……“闇の腕”」
セルジュは黒い腕を呼び出し、自分の身体を起こさせた。そうしてそのまま黒腕たちにセルジュ自身を運ばせ、木の幹に背を預けさせる。セルジュは座して息を深く吐くと、もうほとんど衣服として機能していない下衣から、半勃ちになっている陰茎を取り出した。
そして、種付けしたいと願って止まなかったアクアの媚態を前に、陰茎を上下に扱き始めた。
「……う」
男の象徴が、むくむくと鎌首を擡げる。赤黒い亀頭の先端から、先走りの液がだらだらと垂れてきた。透明な汁は大きく張り出したエラを伝い、雁首に溜まって、また滴る。膨張し続ける肉竿を太い血管ごと擦れば、たちまち陰嚢に精子が充填されて硬くなっていった。
「……っ、はぁっ……」
なんともどかしい心地良さなのか。
自慰など、生まれて初めて行う。いままで性欲を催したときは適当な女で発散していたし、それでいいと思っていた。
しかしいまは、この猛った肉槍でアクアの聖域を貫くわけにはいかない。
セルジュは、挿入可能なほど硬く大きくなった陰茎を扱き続けつつ、闇の腕をアクアの方に伸ばした。
「ひんっっ」
二本の黒腕が細腰をきゅっと掴むと、アクアは背を仰け反らせて甲高い声を森に放った。
こんな些細な刺激でさえ簡単に昇りつめてしまうのだろう。
そんなアクアを哀れに思いながら、セルジュは闇の腕を操った。極力、震動を与えぬようにと細心の注意を払いつつ、アクアを自分の傍に横たわらせる。その蕩けきった美顔が、いきり立った肉棒の真正面にくるように、と。
「開けろ」
セルジュはアクアの金髪を掴んで頭を起こし、その肉汁滴る先端を眼前に突きつけた。
「おい、聞こえているか。いまならまだ、間に合うはずだ」
アクアの唇に、亀頭が触れるか触れないかというギリギリのところで待機させて、セルジュは呼びかけた。
「俺の精液を飲め。薬の効果は、精液で中和される。口内からの摂取でもそれは変わらん」
果たして、いまのアクアにセルジュの言葉を正しく理解するだけの精神力が残っているかどうか。
セルジュは焦れていた。陰茎を直接挿入したいのは山々だが、いま性感帯の集中している膣内を擦り上げたら、アクアの精神を崩壊させるトドメとなるだろう。口腔内でさえどうなるか予測がつかず、恐ろしくて突っ込むこともできない。
「はやくしろ、廃人になりたいのか!」
怒号が木々に吸い込まれていく。
静けさが戻ってきた頃、セルジュの必死な形相に煽られたのか、アクアが口を大きく開いた。
「はぁっ……あぁ……」
セルジュの手淫が加速する。アクアのぷるんと潤んだ艶やかな口唇と、健康的な赤色をした舌が、陰唇のように見えてきた。
興奮で精子が尿道を駆け上がり、握っていた肉棒がびくびくと脈動する。
「うっ、ぐ……イクッ……!」
セルジュはアクアの口を目掛け、白濁色の粘液をびゅっびゅと射出した。勢いが強すぎたのか、精子の弾丸は艶めかしい舌に跳ねて、アクアの顔を淫らに汚す。
「んっ……く……」
アクアは精液をこくんこくんと嚥下すると、セルジュを上目遣いに見つめてきた。その瞳はまだ虚ろに蕩けていて、アクアがまだまだ快感の虜囚であることを如実に示している。
もっと。もっと精をアクアに注がなければ。
幸か不幸か、セルジュも妊娠促進剤の原液を大量に注入させられている。女に与えるときとは効果が異なり、男が妊娠促進剤および原液を取り入れ性交を行っても、受精に至る確率を直接的に上げることはないが──。
性的興奮を促し、精液を無尽蔵に作り出す効果は、大いにある。
アキリーズと繰り広げた死闘の残り火で、セルジュは血湧き肉躍っていた。また、白の女王ファイブに殺されかけたせいなのか、生殖本能も高まっているようだった。
なにより、自我を失うかどうかという瀬戸際のアクアに対して、これまでにない強烈な劣情を催したのも、また事実。
セルジュは、射精したばかりとは思えぬほど膨張しきった陰茎を再び摩擦すべく、手を動かそうとしたのだが。
それよりもはやく、アクアが陰茎を咥えこんできた。
悪夢のような痛みだった。額から脂汗が噴き出し、呼吸が乱れる。
激痛は徐々に和らぎ、辛うじて目を開けられるようになってきた。どうやら黒頭巾はどこぞに紛失してしまったらしく、回復した視界は、先ほどにも増して明るい。
森だ。森の中にいる。だが、セルジュの記憶の中にある闇色の森ではない。人工的な建物と木々が入り乱れる、奇妙な森だ。その森の中にある木の幹のひとつに、セルジュは背を預ける形で座っていた。
遥か遠方の空には、例の巨大樹が見える。だがその先端が、巨大な鍬かなにかに削り取られたかのように消失していた。
だんだんと、気を失う前のことが思い出されていった。
ここはアキリーズが作り出した森で、そこで白の女王ファイブから攻撃を受けて……それで、生きている? あの凝縮されたエネルギーを一身に受け止めたというのに?
「うっ……」
鈍痛がセルジュの視線を誘導する。その痛みの元の正体を前に、セルジュは目を見開いた。
左脚が、ない。
右脚も、爪先まできちんと健在しているものの、膝から上の箇所に大きな傷があった。まるで、千切れた脚を繋ぎ合わせて接着したかのような傷で、じゅくじゅくと泡立ち疼いている。痛痒くて堪らないが、傷は尋常ではない速度で塞がっていき、やがて傷跡も残さず、完全に修復した。
「……お前」
セルジュは、傍らにいる人物──アクアに気づき。呟いた。
発狂しているような素振りはない。アクアはなにやら、鬼気迫る表情でセルジュの消失した左脚を睨みつけながら手を翳していた。その白い手から淡い光が発生しており、肉と骨が剥き身となったセルジュの左脚を照らす。
温かな光だった。不思議なことに、その光に照らされた箇所から、左脚が再生していっているではないか。
──私、癒しの術だけは得意なの。
初めて出逢ったとき、アクアは確かそんなことを豪語していた。首と胴体さえ繋がっていれば、どんな傷でも治せるとも。
アクアがいま、傷ついた両脚の治療を行っているのだと知って、セルジュはなんとも言い表せない心地になった。
なぜ敵であるアクアがセルジュを助けようとしているのか。そういえば気を失う直前、超次元波動砲から庇われたような気もする。そうだ、それで、超次元波動砲の直撃は免れたものの、両脚を持っていかれたことも思い出した。
「な、にを、している」
セルジュが困惑のままに尋ねても、アクアはこちらを見向きもしなかった。自分を助けようとしているのはもうわかった。わからないのは、敵である自分を助けようとしている、その理由だ。
「い……いま、話し、かけないで……集中力が、切れちゃう……から……っ」
そのあまりにも悲壮な訴えに、セルジュは押し黙るほかなかった。
これまで、どんなにアクアを痛めつけ凌辱しても、これほど切羽詰まった表情など見せもしなかったのに。それなのにどうしてアクアは、セルジュを助けるためにこんなにも死に物狂いなのか。
数秒か、数分か、数時間か。永遠にも思える静寂の時間が、ふたりを包む。
「──はっ、はぁ、はぁ、はぁ……」
息をするのも忘れていたのか、アクアは空気の塊を吐き出すと、浅く速く呼吸をし始めた。しかし、それもほんの束の間のことで、アクアの身体はちり紙が風に吹かれるかのように力無く倒れてしまう。
セルジュの左脚は、完全に復元されていた。
「おいっ……くっ」
アクアを抱き起そうとした身を乗り出したセルジュも、身体のバランスを崩して、どう、と地面に投げ出された。
どうやら脚は、見た目こそ完治しているものの、内部の筋や神経などはまだ治りきっていないようで、思ったように身体を動かせない。特に脚に力を入れることが難しく、自力で立ち上がることは到底叶いそうになかった。
倒れたすぐ先に、アクアの顔がある。青と緑の瞳からは光が失われ、瞼が半分近く下り、口はだらしなく半開いた顔が。
「……っ、おい!」
セルジュはその尋常ならざる淫らな有り様に驚愕して、アクアの肩を強く掴む。しかし、それがいけなかった。
「ああッッ!! んッ、ひぐっ、んん──ッッ!!」
アクアは全身を大きく跳ねさせたかと思うと、激しくのたうち回って──達した。スカートの裾から愛液がとろとろと流れてきて、小さな水溜まりと成る。
「あっ……んっ……ふあぁっ……」
絶頂した余韻に侵食されているのか、アクアはか細い肩をびくびくと痙攣させ、涙を流しながら薄く笑っていた。
そんなアクアを眺めながら、セルジュは眉を顰めた。
(……壊れてる)
アクアは、最後の気力を振り絞ってセルジュの脚を再生させたところで、精も根も尽き果ててしまったらしい。
張っていた気がブツリと切れて、極度の性絶頂に脳を破壊されてしまい──すっかり気を違えていた。
これではもう、正義の味方として侵略者たちと戦うことも、普通の人間として生活することもままなるまい。抵抗する力どころか、その意思すら残っていないはずだ。こんな状態のアクアであれば、いますぐにでも根城に連れ帰って、思う存分種付けすることができる。誰の妨害を受けることもなく、受精させるまで、何度だって。
敵となりうる女を無力化できた上に、子を産むためだけの都合のよい道具にできた。
これほど上々な戦果は、望んだって得られないはずなのに。
どういうわけか、セルジュの心は晴れない。
「……せ……るじゅ、さ……」
アクアが、弱々しくも色香を多分に含んだ声でセルジュを呼ぶ。
「ごめ、ん……な、さ……い。や、約束、まもれなかった……」
約束、と言われても、セルジュにはとんと覚えがない。
セルジュが戸惑っているうちにも、独りでに性的絶頂を享受し続けているアクアは、懸命に口を動かしていた。
「せ……せるじゅさんたちが、助かるように、協力するって……約束したのに……ご、め……」
ガツン、と。セルジュは脳天を強く殴りつけられたような錯覚に陥った。
肉体を凌辱されてなお、自我を失いかけてなお、気にかけることが敵であるジェバイデッドの行く末とは。
アクアのこの言動は、お人好しなどという生易しい言葉では、到底片付けられなかった。
愚かなまでに献身的で、救いようがない。
セルジュは、アクアのこの痛々しい献身に、ミラの姿を垣間見た。
海の底よりも深い優しさを有する、ミラの姿を。
──嫌だ。
目の前にいる女がミラではないことなど、わかっている。それでも、ミラを鏡写しにしたように、同じ顔、同じ声、同じ思考を持つアクアが、精神を完全に崩壊させて生ける屍になる悲惨な様など、見たくはない。
「……“闇の腕”」
セルジュは黒い腕を呼び出し、自分の身体を起こさせた。そうしてそのまま黒腕たちにセルジュ自身を運ばせ、木の幹に背を預けさせる。セルジュは座して息を深く吐くと、もうほとんど衣服として機能していない下衣から、半勃ちになっている陰茎を取り出した。
そして、種付けしたいと願って止まなかったアクアの媚態を前に、陰茎を上下に扱き始めた。
「……う」
男の象徴が、むくむくと鎌首を擡げる。赤黒い亀頭の先端から、先走りの液がだらだらと垂れてきた。透明な汁は大きく張り出したエラを伝い、雁首に溜まって、また滴る。膨張し続ける肉竿を太い血管ごと擦れば、たちまち陰嚢に精子が充填されて硬くなっていった。
「……っ、はぁっ……」
なんともどかしい心地良さなのか。
自慰など、生まれて初めて行う。いままで性欲を催したときは適当な女で発散していたし、それでいいと思っていた。
しかしいまは、この猛った肉槍でアクアの聖域を貫くわけにはいかない。
セルジュは、挿入可能なほど硬く大きくなった陰茎を扱き続けつつ、闇の腕をアクアの方に伸ばした。
「ひんっっ」
二本の黒腕が細腰をきゅっと掴むと、アクアは背を仰け反らせて甲高い声を森に放った。
こんな些細な刺激でさえ簡単に昇りつめてしまうのだろう。
そんなアクアを哀れに思いながら、セルジュは闇の腕を操った。極力、震動を与えぬようにと細心の注意を払いつつ、アクアを自分の傍に横たわらせる。その蕩けきった美顔が、いきり立った肉棒の真正面にくるように、と。
「開けろ」
セルジュはアクアの金髪を掴んで頭を起こし、その肉汁滴る先端を眼前に突きつけた。
「おい、聞こえているか。いまならまだ、間に合うはずだ」
アクアの唇に、亀頭が触れるか触れないかというギリギリのところで待機させて、セルジュは呼びかけた。
「俺の精液を飲め。薬の効果は、精液で中和される。口内からの摂取でもそれは変わらん」
果たして、いまのアクアにセルジュの言葉を正しく理解するだけの精神力が残っているかどうか。
セルジュは焦れていた。陰茎を直接挿入したいのは山々だが、いま性感帯の集中している膣内を擦り上げたら、アクアの精神を崩壊させるトドメとなるだろう。口腔内でさえどうなるか予測がつかず、恐ろしくて突っ込むこともできない。
「はやくしろ、廃人になりたいのか!」
怒号が木々に吸い込まれていく。
静けさが戻ってきた頃、セルジュの必死な形相に煽られたのか、アクアが口を大きく開いた。
「はぁっ……あぁ……」
セルジュの手淫が加速する。アクアのぷるんと潤んだ艶やかな口唇と、健康的な赤色をした舌が、陰唇のように見えてきた。
興奮で精子が尿道を駆け上がり、握っていた肉棒がびくびくと脈動する。
「うっ、ぐ……イクッ……!」
セルジュはアクアの口を目掛け、白濁色の粘液をびゅっびゅと射出した。勢いが強すぎたのか、精子の弾丸は艶めかしい舌に跳ねて、アクアの顔を淫らに汚す。
「んっ……く……」
アクアは精液をこくんこくんと嚥下すると、セルジュを上目遣いに見つめてきた。その瞳はまだ虚ろに蕩けていて、アクアがまだまだ快感の虜囚であることを如実に示している。
もっと。もっと精をアクアに注がなければ。
幸か不幸か、セルジュも妊娠促進剤の原液を大量に注入させられている。女に与えるときとは効果が異なり、男が妊娠促進剤および原液を取り入れ性交を行っても、受精に至る確率を直接的に上げることはないが──。
性的興奮を促し、精液を無尽蔵に作り出す効果は、大いにある。
アキリーズと繰り広げた死闘の残り火で、セルジュは血湧き肉躍っていた。また、白の女王ファイブに殺されかけたせいなのか、生殖本能も高まっているようだった。
なにより、自我を失うかどうかという瀬戸際のアクアに対して、これまでにない強烈な劣情を催したのも、また事実。
セルジュは、射精したばかりとは思えぬほど膨張しきった陰茎を再び摩擦すべく、手を動かそうとしたのだが。
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