宝環戦士メダリオン ~変身ヒロインに対するえっちな展開が終わらない、ただひとつの原因~

蟹江ビタコ

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第一章

05、とんでもないもの飲まされた

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「あっ、ひあぁっ……だめっ……!」

 アクアが絶頂を迎えようとした瞬間、身体中をまさぐっていた手という手の動きが止まった。しっとりと汗ばんだ肌に張り付いたままだが、壊れたおもちゃのように動かない。

「え……?」

 覚悟していた感覚が遠のいた弾みで、アクアは思わず忍者を見上げていた。 

「……なにを物欲しそうな顔をしている」

 黒頭巾の奥で、忍者がまたもや笑う。アクアは自分が果てることを期待していたのだと、まざまざと自覚させられてしまった。
 恥ずかしさと煽られた情欲が相まって、顔の中心に血が一気に溜まっていく。

「あっ、そんな……やっ、あんっ、あんっっ……もっ、やめて……」

 アクアが羞恥に震えていると、黒い手と忍者の手が、再び身体を愛し始めた。

 背後から乳房を掬い上げて揉み、そのいただきを指で転がし遊ぶ黒い手。
 真正面から秘裂を割って、育ちつつある肉芽と蠢く肉襞の浅いところを慰める忍者の手。

 治まりつつあったアクアの淫欲が、再びぐずぐずに溶けて全身に回りだした。決して激しくはない忍者の性戯に、アクアは気が狂いそうになりながら、じわじわと絶頂に向かって昇り詰めていく。

 だが、またもや気をやろうという直前になって、忍者がすべての手を止めてしまった。

「あっ……ま、また……」

「果てを与えて欲しければ、メダリオンの情報を吐けばいい。簡単なことだろう」

 忍者は膣に納めたままの指で、中をゆるゆるとゆすった。
 そんな些細な刺激にすら、熱情がくゆられて腹の奥が疼くのに、あとひとつ決定打が足りない。

 それでもアクアは、首を横に振った。今この場で自分を絶頂に導いてくれるのが、目の前の敵しかいないとわかっていても、仲間を危険に晒す真似だけはしたくないと、歯を食いしばる。

「強情な奴だ、気が触れても知らんぞ」

 言いながら、忍者は何度もアクアの身体を弄んだ。

 フロアに、アクアの甘やかな嬌声だけが響くようになってから、どれぐらいの時間が経過しただろうか。
 アクアが昇華しきれない切なさを涙や熱い吐息に変えて吐き出しても、忍者の絶妙な指使いによって、性欲は際限なく溢れ出てくる。

 不意に、脳みそを掻き混ぜられるような生殺しに堪えていたアクアの身体から、すべての手が引いた。

(あ……あきらめてくれた……?)

 ついに忍者が根負けしてくれたか、とアクアは薄靄のかかるぼんやりとした頭をもたげた。忍者の顔は、相変わらず黒頭巾で覆い隠されていて一切の表情が伺えないのだが、アクアの発情しきった顔をじっと見つめていることだけはわかる。

「……そうか、失念していた。お前も女だったな」

 さんざん、アクアの性器という性器に触れておきながら、この忍者はいったい何を言っているのだろう。未だ思考が鮮明にならないアクアは、問いを口にすることはできず、ただただ忍者の動向をぼーっと眺めていた。

 忍者は懐から小瓶を取り出し、口当てマスクを取り払った。あらわになった顔の下半分を見ながら、「ああ、裂けてはいないんだ」、とアクアが思ったのも束の間、忍者はその口で、小瓶の中に入った液体を呷った。

 そしてその液体を口に含んだまま──アクアの唇を奪った。

「……ッ!? んっ、ふっ……」

 忍者は顎を掴んで無理やり口を割り開き、その隙間から唾液とは異なる液体を流し込んでくる。逃げ場のないアクアが喉を鳴らし、その謎の液体を飲み込んだところで、ようやく唇が解放された。

「な……何を飲ませたの……」

 尋ねた瞬間、アクアは触れられてもいないのに、身体が熱を発し始めたことに気が付いた。心臓がどくんどくんと大きく脈打って、熱く滾った血を全身に送り込んでいる。

 そこに、忍者の手が伸びてきた。

 窮屈な谷間に、先ほどまでアクアの陰肉をほぐしていた指が差し込まれた。指はゆっくりと下に向かって引かれ、じりじりと衣装が剥かれていく。
 ぷるん、という音が聞こえてきそうな勢いで、白い乳房がまろび出てきた。アクアの息遣いに合わせて揺れる胸は、張りがあって柔らかで。食べごろを主張する、ピンク色に色づいた頂点の果実は、あっという間に忍者に食いつかれた。

「────!? あんっっ!!」

 ちょっと吸い付かれただけなのに。アクアは縛りつけられながらも、限界まで背を仰け反らせて、果てた。直接いじめられたわけでもないのに、膣全体がきゅんきゅんと反応し、収縮を繰り返しているのがわかる。おあずけされていたオーガズムをいきなり与えられて、アクアは頭が真っ白になった。

 絶頂の余韻に震えるアクアの身体が、突然ずるりと膝から落ちた。いつの間にか、縄が外されていたらしい。

 忍者は自由となったアクアを軽々と抱き上げると、ビリヤード台の上に転がした。そしてアクアの胸に手を沈め、張り詰めた頂を指で何度も弾く。

「あっ、あっ、やらっ、おっぱいいじめないで……! あんっ、あんっっ……」

 明らかに感度が上がっている。触れられる度に、もっと気持ちよくなりたいと腰が独りでに揺れ動いてしまう。そんなアクアの痴態に気をよくしたのか、忍者は口元に弧を描いていた。

「薬の効き目は上々だな」

 忍者は股間の前を寛げ、ぶるんっと飛び出した陰茎を掴んでアクアの割れ目に当てがった。

 恐ろしく凶悪な男根だった。苛立ちを隠せないのか、いくつもの血管が浮き出て激しく脈打っている。反り返って上向く竿はひくひくと忙しなく上下し、大きく張り出したエラの先端からは、俗にいうガマン汁がだらりと垂れてきていた。

 アクアがこれまで見てきた、オークやケンタウロスといった巨体の怪物たちのものと比べても遜色のない──いや、それ以上の巨根かもしれない。そんな暴力の塊で割れ目をねっとりと擦り上げられて、アクアは更に高く鳴いた。

(ああっ……それを入れられたら、きっと気持ちいいんだろうな……ほしい……)

 今しがた自分の脳裏に浮かんだ言葉に驚愕し、戦慄わななく。なんてはしたないことを願ってしまったのだ、と。

 こういったシチュエーションに陥ったことは一度や二度ではないが、決して自ら凌辱されたいと望んだことはない。あらゆる快楽的な責め苦にあって、よもやというシーンはいくらでもあったが、アクアは未だに処女おとめだ。

 だが、今はどこまでも気持ちよくなりたいという欲求が頭の中を占めつつある。あからさまな異常事態だ。アクアはトロトロに蕩けて役に立ちそうにない頭をどうにかフル回転させて、現状の分析を試みた。

 この不自然な性欲の高まりは、さきほど含まされた薬のせいに違いない。

「く……薬って、なんなの……? あんっ、やぁん……」

 ドロドロに煮え滾ったはちきれんばかりの肉棒を押し付けられて、言葉が途切れてしまう。それとは裏腹に、忍者の声色は冷めていた。

「……媚薬と、妊娠促進剤といったところか」

 ──妊娠?

 媚薬なのは予想がついていたが、妊娠促進とはどういうことか。その字面の不穏さに、アクアは目を白黒させた。

「……俺たちの星で、女が死滅してな。端的に言って、種存続の危機を迎えている。研究やら実験やらを重ねて状況を打破しようと試みたが、どれも無駄だった。ならば異星人との間に子を成すしかないと、宇宙中を飛び回って交配可能な種族を捜していた」

 忍者は腰を前後させてアクアをもてあそびながら、淡々と説明を続ける。

「その交配可能な種族というのが、お前たち地球人というわけだ。幸いなことに、身体の形状も似ている。これほどうってつけな種族は他におるまい」

 なぜこの男が女性たちを誘拐していたのか、合点がいった。

 すべては種存続のため。

「俺の子を産んでもらうぞ」

 低い声で囁かれて、アクアの子宮がきゅんっとうごめいた。それはまるで、目の前の雄に種を注いでもらうのを、心待ちにして喜んでいるかのような甘い甘い疼きだった。

 そんな、まさか、と、アクアは身体の反応を否定して首を横に振る。敵の子を、ましてや異星人の子を孕むなんてとんでもない。それ以前に、好きでもない男と、ついさっき初めて会った男とまぐわうなどというふしだらな真似ができようか。
 理性を必死に働かせても、薬によって強制的に発情させられた身体はいうことを聞いてくれない。

「孕ませれば、お前の無力化にも繋がる。こういうのを、この国では一石二鳥というのだろう?」

 陰茎の先端が、秘密の入り口にずぶ……と沈められる感触に、アクアは身体で悦びつつ拒絶した。

「まっ……待って、あなたたちの事情は、そのっ……気の毒だとは思うけど……こんな、強姦みたいなやり方……あんっ」

 なんとか別の方法で解決できないか。そう持ち掛けたかったのだが、大きく張り出した雁首に狭い亀裂から侵入されて、アクアの言葉は呆気なく遮られた。
 それでも人としての、女としての尊厳を守りたいと、生まれたての小鹿のように震える腕を伸ばして忍者の胸を突っぱねる。しかし忍者の身体はびくりともしない。なんと分厚くて逞しい胸板なのだろう。

「お、おねがい……やめて、んっ……わ、私、初めてなの……」

「……何を言う。慣れていると息巻いていただろうが」

 取り付く島もなく、忍者が腰に力を入れた──と認識した瞬間、アクアは「いやっ!!」と泣き叫びながら、自分が持つ数少ない攻撃手段を放っていた。

 氷の塊を対象にぶつける術なのだが、威力のほどはたかが知れている。しかも追い詰められて放ったせいか、氷塊は忍者のこめかみを掠めるに留まった。

 黒頭巾が、はらりと床に落ちた。ここまで隠されていた忍者の素顔が、明るみになる。

 年の頃は、二十歳前後といったところだろうか。
 浅黒い肌に、眩いばかりの銀髪、銀の瞳を携えていた。精悍な顔つきに、目鼻立ちもはっきりとしており実にいい男ぶりである。
 目はちゃんとふたつあるし、口も裂けていない。普通の人間然とした、モデル顔負けの美丈夫だ。

 わずかに時が止まっていた。忍者は、切れ長の冷たい双眸でアクアを見下ろしている。アクアはアクアで今のうちに逃げ出せばいいものの、忍者の美顔に見惚れて身動きが取れないでいた。

 その美しい顔が、舌を打つ。

「じゃじゃ馬が」

 苛立った怒張が、アクアの陰部を貫いた。周囲の肉襞を削るように擦って、処女膜を残さず破り、一番奥の子宮口まで、一気に。

「────!!」

 アクアは声にならない声を上げ、弾けた。背骨を弓なりに曲げ、乙女の聖域に無理やり押し入ってきた熱い欲望を、しっかりと受け止めて。

 胸の突起を舐められて達したときとは比べるまでもない、脳の細胞が焼かれるような、ひどいトび方だった。
 
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