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 一色いっしき稀々香ののかは最寄り駅構内のエスカレーターを駆け下りていた。いまホームに停留しているこの電車を逃すと、一時限目の講義に遅刻してしまう。中学や高校と比べれば、大学は遅刻に対する罰則が緩いように思うし、単位がギリギリだというわけでもない。一回や二回遅刻したところで大した影響はないはずだが、根が真面目な稀々香は走らずにはいられなかった。

「す、すみません、乗りますぅぅ……!」

 すでにドア付近にまで人がひしめいていて、稀々香が入り込む余地などないように見える。それでも稀々香は小さな身体を肉壁の隙間にじ込ませて、無理やり電車に乗り込んだ。

 ドアが閉まり、電車がゆっくりと動き出したところで、稀々香はほーっと息を吐いた。

(よかったー、間に合った。もー……お兄ちゃんが夜遅くまでゲームに付き合わせるからだよっ。おかげで寝不足……忘れ物してないよね? スマホは入れたし……)

 深夜三時近くまで寝かせてくれなかった兄を恨みつつ、慌ただしく家を飛び出してきたときのことを思い返していると、全速力で走ってきたせいか首筋に汗が滲んできた。
 そして、そこから蜜と石鹸が混じったような甘い香りがほのかに漂ってきて、稀々香はぎくりと肩を強張らせる。

(あ、あれ、そういえば、薬、飲んだっけ……? いや、の、飲んでない!)

 毎朝、決まった時間に服用しているとある薬。飲み忘れたところで命に関わる、といった類のものではないのだが、これはまずいと稀々香は内心焦りまくっていた。
 なぜなら、その薬は。

(ど、どうしよう……フェロモン出てきちゃった……!)

 稀々香の身体から分泌される、異性を強制的に引き寄せるフェロモンの発生を抑える薬なのだから。


※:


 先祖返りだろう、と母親は言っていた。
 なんでも母方の祖先に、かの悪魔“サキュバス”がいたのだという。男性の精液を糧とする、男性を性的誘惑することに特化した女淫魔の、あのサキュバスが。

 なんの冗談だと笑い飛ばしたいところであったが、他ならぬ稀々香ののか自身がサキュバスの存在証明となっていた。

 ふっつりと切り揃えた亜麻色の髪、まんまるとした薄茶色の虹彩に、オレンジ色の天然アイシャドウ。肌は白磁のような滑らかさで、ほんのりとピンクに色づく頬や、ぷっくりと膨れた赤い唇がよく映える。そして、幼さを残しつつもどこか妖艶さを覗かせる、可愛いとも綺麗とも取れる輪郭。
 極めつけは、その肉体だ。
 身長は150cm台半ばという小柄さなのに、とにかく胸と尻の主張が激しい。特に胸の方は、もう二十歳を迎えたというのに未だ成長し続けていて昨今の悩みの種となっていた。
 にも関わらず、ノースリーブから伸びる腕には無駄な肉づきが一切ない。腰にしたって、ミニ丈のサロペットスカートについているコルセットできゅっと締められているとはいえ細すぎるぐらいだ。脚も一見すらりとしているが、スカートをちらっとめくれば、そこにむっちりとした太ももが隠されているのがわかるだろう。

 祖父母の代まで遡っても日本人しかいないはずなのに、稀々香の容姿はとにかく日本人離れしている。それだけならば、美人に育って良かったねと、笑い話で終われるのだろうが、事はそれほど簡単のは片付かなかった。

 話は遡ること十年前。稀々香が小学四年生、十歳の頃。稀々香が学校から帰宅している際のこと。
 稀々香が、十数名の暴漢に一斉に襲い掛かられるという事件が起きた。
 白昼堂々の犯行であり大事には至らなかったが、この明らかに異常な事象に母は思い当たる節があったらしく、急いで稀々香を病院へと連れて行った。
 そして、様々な検査をおこない判明したのである。稀々香が、サキュバスの能力を有しているのだと。

 確かに、十歳の時点でとても年相応とは思えぬ肉感的な身体つきであったし、やたらめったら男子生徒や男性教諭の視線を感じるなと思ってはいたが。まさか、そんなおとぎ話に出てくるような化け物の血を引いていることが原因だとは、誰が思おうか。

 稀々香の困惑を余所に、事態は深刻といえた。官能的な外貌は元より、その身体から発生するフェロモンが大問題だった。
 異性を強烈に惹きつけ、劣情を半ば無理やり引き起こさせるこのフェロモン。これは息を吸うように自然発生してしまう厄介なもので、稀々香の意思で制御できるようなものではなかった。若すぎる稀々香にとって、このフェロモンがどれほどの足枷になるかなど、説明するまでもないだろう。

 しかし不幸中の幸いか、このサキュバスの能力を無効化する薬が早期の段階で発見された。
 詳細は稀々香も知らないのだが、なんでも欧州の方ではサキュバスに先祖返りしたという事例がちらほら散見されているらしく、対処法としてこの薬が開発されたのだという。日本で認可されるまで少々時間はかかったものの、今では手に入れるのも容易く、朝昼晩の食後に服用することで、しっかりとフェロモンを抑えることができていた。

 おかげで稀々香は、最初の事件以降は何事も問題なく平穏に、普通の少女となんら変わらずに育ち過ごしてきたのだが──。
 あろうことか、今朝はそのサキュバスの能力を打ち消す薬をまんまと飲み忘れた。

(おっ……お兄ちゃんのせいだよっ! ど、どうしよう……電車降りて、いまからでも薬飲んだ方がいいかな……)

 稀々香は焦りながら、どうすべきか考えていた。
 目的の駅までの所要時間は約二十分。この満員電車の中では身動きが取れず、鞄から薬を取り出して服用することは不可能。なにせ、スマホすら取り出せないほどの詰まり具合だ。かと言って、次の駅で電車を降りて服用していたら遅刻するのは必至。
 フェロモンをだだ漏らすのは嫌だし他人に──主に男性に迷惑をかけてしまうことになるが、遅刻もしたくない。

(だ、大丈夫だよね。昨日の夜はちゃんと飲んだんだし、そんなにフェロモン出てない、よね? 大学行く途中に朝の分を飲めば……うん、大丈夫大丈夫!)

 悩みに悩んだ末、稀々香は薬の服用を見送った。それが、運命の岐路であったとも知らずに。
 異変は、駅をふたつほど過ぎた頃にやってきた。

 すりすりすり……♡

(ん……?)

 太ももの内側を、なにかで撫でられた。誰かの手荷物が運悪く股の間に滑り込んでしまったか、とも思ったのだが、どうやら違う。

 すりっ♡ すりすりすり……♡ むにゅっ♡

「ひっ……♡」

 思わず声が飛び出て、稀々香は咄嗟に口を片手で覆った。
 いま確かに、内ももを掴まれた。それもスカートの上からではなく、素肌の太ももを。手荷物なんかじゃない、間違いなく人の手だ。

(ちっ……痴漢だ!?)

 まさか、フェロモンに惹きつけられた誰かが抗いきれずに痴漢行為に及んでしまったのか、と稀々香が戸惑っている間にも、内ももの柔らかい肉はつままれ続けていた。動かしづらいのか軽めではあるが、その手は確実に意思を持って、稀々香の太ももの感触を楽しんでいる。
 そうかと思えば、痴漢は尻の方も襲ってきた。こちらはスカートの上から手をそっと添えて、なにかを煽り立てるようにイヤらしく撫で回してくる。そうしながら時折、柔尻の一番肉づきのいいところを絶妙な力加減で揉んできた。

 すりすり♡ すりすり♡ もにゅんっ♡ もにゅんっ♡ もにゅんっ……♡

(あ♡ やだぁ……♡ 変な気分になってきちゃった……♡)

 稀々香はもじもじと腰を揺すった。
 これもサキュバスの淫蕩の血のせいなのか。痴漢に身体をまさぐられているというのに、嫌悪感よりも気持ち良さが勝ってしまっている。

 そのとき、自身から発生しているフェロモンの匂いが一段階強くなった気がして、稀々香はハッと我に返った。

 医師からは、稀々香がいわゆる“そういう気分”になると、サキュバスの能力が強く発揮されるとも聞いている。このまま身体を触られていたら、気分が高揚して大量のフェロモンを放出することになるだろう。
 そうなったら、この痴漢のみならず、車両に乗っている男という男がフェロモンに当てられて稀々香の身体に群がってくるに違いない。中高年のサラリーマンに年若い大学生、それから性に盛んな男子高校生……。

 恐ろしい事態を想像してすっかり血の気が引いた稀々香は、慌てて痴漢を止めようと試みた。しかし、やはりここは満員電車。ほんの僅かに身動ぎ出来たとて、尻をずらすことも痴漢の手を掴むこともできない。
 稀々香に、「やめてください」とはっきり告げる勇気はなかった。自ら周囲に痴漢されていたと知らしめるようなものだ。そんなことをすれば、羞恥で更にフェロモンが強くなってしまう。
 ならばせめて睨みつけでもして痴漢行為を止めるよう訴えかけようとも思ったが、振り向くことすら困難で、稀々香は窮地に追いやられた。

 ふと、目の前のドア窓に薄っすらと映り込む自分の姿を見て、稀々香は閃いた。
 手の位置からして、痴漢は稀々香の真後ろにいる。つまり、このまま視線を上げていけば、窓越しに痴漢と視線を交わすことができるはずだ。

 そろ、そろ、そろ、と。稀々香は目線を上げていき、痴漢の顔を伺う。

 痴漢は、二十代半ばといった感じの、大学生風の若い青年だった。
 アップバンクにセットされたベリーショートの黒髪は柔らかそうにも硬そうにも見え、グレーがかった色味も手伝ってか、どことなく犬の毛を彷彿とさせる。細面ではあるが顎ががっしりとしており、彫りも深く、北欧系の血脈が見え隠れしていた。稀々香の場合は怪しいが、この男はおそらく本当にハーフかクオーターだろう。とにもかくにも整った顔立ちで、紛うことなきイケメンだ。
 稀々香がじっと凝視していると、痴漢もその熱烈な視線に気づいたのか、互いの目がバチッと絡み合った。
 切れ長の、アイスブルーの綺麗な瞳だった。その瞳が雪のように白い肌と相まって冷淡な印象を受けるものの、とても痴漢をするような人物には見えない。

(……なんか、狼っぽいっていうか……シベリアンハスキーっぽい、かも……)

 稀々香は、痴漢の出で立ちに祖母が飼っている愛犬のシベリアンハスキーを思い出して、ふっと頬を綻ばせる。
 ──それが、痴漢行為を許諾する意思表明になってしまうとも知らずに。

 ぷにゅっ♡

「んっ……♡」

 ショーツ越しに陰部の入り口を掠められて、稀々香は悲鳴のような、嬌声のようなくぐもった声を漏らした。
 いつの間にか、痴漢の腕は稀々香の腰を抱きこむようにして前に回っていた。痴漢が、盛り上がった恥丘を指でぷにぷに♡ と押しながら撫でる。そうかと思えば、土手の溝を何度も行き来してなぞり、膨らみ始めた陰核クリトリスを指の腹でこりこり♡ と揺さぶってきた。

(あっ……♡ やだやだぁ……♡ 痴漢さんの指、えっちすぎるよぉ……♡♡)

 甘やかな快感に、稀々香は太ももをぷるぷる♡ と震わせた。直に性器をなぶられたわけでもないのに、下腹に消化しきれない性欲がどんどん溜まっていって、子宮が疼き、立っているのもままならない。すると痴漢は、そんな稀々香を見兼ねたのか、抱き留めるように胸の方にも手を回してきたではないか。

「あんっ♡」

 シフォンブラウスの上から片乳をやんわりと掴まれて、稀々香は今度こそ喘ぎ声をあげた。
 しかし痴漢は、そんな稀々香を気に留める様子もなく、たわわに育った乳房を二、三回ねた後、大胆にもブラウスの裾から手を突っ込んできた。

(やっ♡ うそうそうそっ♡ おっぱいまで……っ♡)

 ブラジャーごと下乳を揉み込まれて、稀々香は堪らず腰をくねらせる。
 電車の中なのに、人がたくさんいるのに、止めなければいけないのに。
 状況に反し、稀々香の身体はまだまだこんなものでは足りないと、痴漢から与えられる快感を拾おうと勝手に揺れ動いていた。

 そのとき、稀々香と痴漢の動きが上手い具合に重なったのか、指が陰核クリの一番弱いところに当たった。
 強めの快感が電流のように走り、膣を駆け上がって子宮を揺さぶる。

「……あッ♡」

 稀々香が一際甘い鳴き声を上げると、痴漢が身体を密着させてきた。稀々香の腰をぐっと引き寄せ、自分の鼠径部そけいぶを押し付けるように。
 臀部でんぶに、なにか硬いものが当たっている。
 立ち位置からいって、疑う余地もない。痴漢の陰茎だ。勃起して硬くなった男の象徴を、柔らかな双丘の割れ目に、ただ押し付けられているだけではなく、上下にごりごり♡ と擦りつけられていた。

(あっ♡ 痴漢さんのちんぽ……♡♡ よ、よくわかんないけど……多分、おっきい……♡♡)

 こんななりでサキュバスの血をも引いている稀々香ではあるが、実はセックスの経験がない。友人らとふざけ半分で性的興奮を促す動画を見たことはあるものの、本物の陰茎をこの目で直視したことは、これまでただの一度としてなかった。
 しかし、やはり体内に流れるサキュバスの淫蕩の血で、稀々香は正しく察していた。この痴漢の陰茎が、一般的なサイズから逸脱した大きさであることを。

「フ──……ッ♡ フ──……ッ♡♡」

 痴漢の荒々しい吐息が、稀々香の耳を掠める。
 どこからどう聞いても、発情したオスの息遣いだ。やはり稀々香のフェロモンに当てられて、痴漢は生殖本能を完全に呼び起こされてしまったようだった。

(ああ……♡ 痴漢さん、すっごく興奮してる……♡♡ おちんぽごりごり擦りつけて……♡♡ 私のおまんこに入りたがってる……♡♡ ごめんなさい、ごめんなさい♡♡ フェロモンのせいで、おちんぽガチガチにしてごめんなさい♡♡ 犯罪者にしちゃってごめんなさい……♡♡)

 痴漢行為の言い訳として、よく「痴漢されたそうにしてた」などという、怒り心頭に発したくなる常套句があるが、今回の場合はそう言われても反論のしようがなかった。
 稀々香が寝坊しなければ、薬を飲み忘れなければ、遅刻してでも薬を服用していれば。
 本来なら、痴漢なんてものとは無縁であろうこの青年を巻き込むことはなかったはずなのだから。

 稀々香が心の中で謝罪している間にも、痴漢の愛撫は止まらなかった。
 左手で柔らかな乳房を揉みしだきながらブラジャーをずらし。ちろっと飛び出してきた乳首をつまんで軽くじり。右手の指で器用にショーツのクロッチをずらし、すっかり勃ちきって剥き身となった陰核クリトリスを容赦なく弾き。稀々香を否応なしに快楽の渦へと引きずり込んでいく。

 もにゅっ♡ もにゅっ♡ こりっ♡ こりっ♡ ぴんぴんぴんぴん……っ♡♡

「……あっ♡ はぁっ……♡ あっ♡ あんっ……♡」

 稀々香から漏れ出る艶息が、滲みだした汗が、溢れだした愛液が、男を魅了する高濃度のフェロモンへと昇華し車両に充満していく。
 すぐ間近でそのフェロモンに当てられている痴漢は、いよいよ自制心がなくなってしまったらしく、稀々香の耳に食らいついてきた。軟骨をみ、付け根を舐め上げ、舌を挿し込み、そして。
 陰唇を中指と薬指で割り開き、そのまま膣内に挿し込んできた。

 ちゅぷぷぷぷぷぷ……っ♡♡

「ぅ、んんっ♡♡」

 骨ばった指に蜜襞をなぶられ、稀々香の腰がぞわぞわと粟立つ。痴漢は指を抜き差ししながら肉襞をほぐすように旋回させ、稀々香を感じさせようと躍起になっているようだった。

 ちゅぽ♡ ちゅぽ♡ ちゅぽ♡ ちゅぽ♡ ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ……っ♡♡

「んっ♡ あっ♡ あっ♡ ひぐっ♡♡」

 一等気持ち良いところを──俗にいうGスポットを擦られた稀々香は背を仰け反らせた。
 痴漢は、稀々香のその反応を決した見逃さなかった。発見した稀々香の性感帯ウィークポイントを執拗になぶり、陰核クリをも揺さぶり、乳房を揉み込みつつ乳首をいじる。

 ちゅぽちゅぽちゅぽちゅぽっ♡♡ くりゅっ♡ くりゅんっ♡ もにゅ♡ むにゅ♡ こりこりこりこり……っ♡♡

(あ"っ……♡ い"っ♡ い……イクイクイクイク……ッッ♡♡ イッちゃうっ♡♡)

 苛烈に責め立てられて、稀々香の脳天に絶頂が迫っていく。しかし、稀々香は辛うじて達するのをこらえていた。電車の中で──公共の場で性的絶頂オーガズムを極めるなんて、そんな品位を疑われるようなことをするなんて、とんでもないことだ、と。

「たっ……助け……」

 稀々香は思わず、蚊の鳴くようなか細い声で乞うていた。身体をほとんど動かせない満員電車の中で、どうにか頭をもたげ、すぐ隣に立っている人に救援の視線を送ってみた、が──。
 隣に立っていたのは、サラリーマン風の若い男だった。男は頬を紅潮させ、鼻息を荒くしながら、血走った目で稀々香を凝視している。
 稀々香はその形相に驚いた弾みで、思いきり視線を下げた。そしてその先で、サラリーマン風の男のスラックスが、股間の部分が盛り上がっているのを見つけてしまう。

 ──勃起している。

 そうとわかった瞬間、稀々香は出来得る限り、辺りを見回した。
 周りにいる男たちは皆一様に、稀々香を睨みつけるように見つめている。呼吸を荒げ、肌にうっすら汗を滲ませ、股間の布を押し上げて。

 皆、稀々香のフェロモンに当てられて、発情しきっていた。男たちの息遣いと視線から、稀々香を犯したいという意思がはっきりと伝わってくる。
 そんな飢えた獣たちに、ずっと痴態を見られていたのだと知った稀々香は、羞恥で血液が沸騰していくのを感じた。それにつられて快感も沸き立ち、全身の毛がぶわりと逆立つ。

 フェロモンのせいで、たくさんの人間を狂わせてしまったという罪悪感。数え切れない程の目による視姦。そして、いままさに稀々香の身体をいたぶっている痴漢の絶妙な性技。

 そのすべてに翻弄されてわけがわからなくなってしまった稀々香は、抗う力を失い、痴漢の激しい愛撫を従順に受け入れた。
 耳をじゅぽじゅぽ♡ と、音立てながら犯す舌も。乳房を揉み、乳輪をなぞりながら乳首をかりかり♡ と掻く左手も。陰核クリをぴんぴん♡ と弾きながら、Gスポットばかり擦り上げる右手も、なにもかも。

 快感で脳が焼き切れる。足の付け根がガクガクと引き攣る。

「────~~……ッッッ♡♡♡」

 ビクンッッ♡♡ びくっ♡ びくっ♡ ぷしっ♡ ぷしゅ……っ♡♡ 

 稀々香は声も出さずに、果てた。膣圧で痴漢の指を締め付けながらアクメをキメて、潮を撒き散らす。そのイキ潮もまたフェロモンとなって、男たちの獣欲を大いに煽り立てた。
 不意に、背後からカチャカチャという忙しない音が聞こえてきた。それはやがてジィィー……という音に変わり、わずかな沈黙を挟み。
 ぐちゅり♡ という卑猥な音とがすると共に、陰唇に柔く硬いものの這わさる感触がして、稀々香は再び総毛立った。

(えっ……こ、これ、ナマのおちんぽっ……♡♡)

 稀々香は戸惑い、窓に目を向けた。そこには、顔を真っ赤に染め欲情しきった稀々香と、それを見下ろす狼のような青年──痴漢の姿が映っている。
 痴漢は、この車両に乗る誰よりもサカっていた。そしてあろうことか、欲望で膨れ上がった肉棒を外気に晒し、稀々香に突きつけている。

 このあとなにをされるかなんて、火を見るよりも明らかだ。

「待っ……い、入れちゃだめっ……んぁあんっっ♡♡」

 ずっっっぷんッッ♡♡♡

 稀々香の制止も聞かずに、痴漢は猛った陰茎を膣に押し込んできた。
 痴漢の身体でドアに押し付けられて双乳が潰れ、剛直で柔襞がめくり上がる。

「んお……っ♡ ぉ……♡ ほぉぉっ……♡♡」

 ぞりぞり♡ と、Gスポットを巻き込んで一気に膣を貫かれた稀々香は、あっけなく性的絶頂オーガズムに到達した。さっきイかされたされたばかりだというのに、電車の中だというのに、それはもう盛大に。結合部からは、ハメ潮ともイキ潮ともわからぬ汁がぷしゅっ♡ ぷしゅっ♡ と噴き出している。

(あっ♡ あっ♡ 電車の中なのに、わ、わたし、処女なのにぃ……♡♡ えっちしちゃってる……♡♡ 痴漢さんのおちんぽ、ハメハメされてるっ……♡♡)

 稀々香が陰茎の感触に酔いしれていると、痴漢がゆるゆると腰を振り出した。狭い車内とあってか抽挿ピストンは僅かな抜き差しに留まっているものの、それでも肉棒の大きさゆえか、絶えずGスポットを押し潰していて快感が治まらない。

 ぬちゅ♡ ぬちゅ♡ にゅちゅにゅちゅっ♡ ぐぽぐぽぐぽぐぽ……っ♡

(や……やっぱり♡ 痴漢さんのおちんぽ、おっきい♡♡ 挿れただけで女の子を気持ち良くしちゃう、つよつよおちんぽ♡♡♡ ずこずこだめぇ……♡♡)

 稀々香が痴漢から与えられる性的快楽に陶酔していた、そのとき。
 耳に、熱い吐息と声がかかった。

「……はぁっ……♡ はぁ……っ♡ 出る……っ♡♡」

 状況からしても内容からしても、痴漢の声に違いない。獣のような低い呻きだが、鼓膜を甘く震わす美しい声だった。
 だが稀々香には、その美声よりも気にかかることがある。

(でっ、出るって……う、うそでしょ、中出ししちゃうの……!? あっ♡ やだやだやだぁっ……♡♡ おちんぽ膨らんでるっ♡ びくびくしてる……っ♡♡)

「はぁ、はぁ……っっ♡♡ ごめん、イ、クッッッ♡♡♡」

 どぴゅっっ♡♡ びゅくっ♡ びゅく……っっ♡♡ とぷっ♡ とぷっ♡ とぷ……っ♡

 痴漢は呆気なく、いとも容易く果てて、稀々香の中に白濁色の欲望を放出した。
 そしてその欲望を受け止めた稀々香も、緩やかなアクメに包まれる。

(あひっ♡ だ……出されちゃった……♡♡ ぜんぜん知らない人の特濃精子……♡♡ 赤ちゃんできちゃうのに……♡ おまんこ悦んでる……っ♡♡)

「……もっと、欲しい? 君のまんこ、俺のちんぽに、すっごい絡み付いてくる……♡」

 すぐ耳元で痴漢の艶やかな掠れ声に問われ、稀々香は気がついた。
 蜜襞は肉竿をぎゅ♡ ぎゅ♡ と締め付け、精の放出を促している。子宮が降りて、その入り口が亀頭の先にちゅ♡ ちゅ♡ と吸い付いている。

 稀々香の身体は、この痴漢を欲しがっている。

 そうと自覚した途端、稀々香の体温はどこまでも上昇していき、膣圧がいっそう強まった。
 そしてそれは、痴漢に対する無言の肯定となった。
 しかしどうしたことか、痴漢は稀々香の膣からずるり♡ と陰茎を引き抜いてしまったではないか。

 セックスを続けるわけではないのか、と稀々香がぼんやり考えていると、隣から手が伸びてきた。あのサラリーマン風の男の手だ。そうだ、この車両には、フェロモンに犯され性的欲求を無理やり高められてしまった男たちが大勢いる。痴漢もそれを肌で感じ取って、稀々香を他の男にも味わわせてやろうとしているのだろう。

 だが、違った。稀々香の予想に反し、痴漢はサラリーマン風の男の手を払った。

「俺のだから。触んないで」

 痴漢はそう言ってのけて、稀々香の手を握り、電車のドアが開くと迷った風もなく改札口へと流れ、そして。
 稀々香を引き連れ、ラブホテルへと雪崩れ込んでいった。


※:


 部屋に入るや否や、稀々香は内装を確認する間もなくドアに両肩を押し付けられ、痴漢に唇を絡め取られた。

「んんっ♡ ん、むぅ……っ♡ んぐ……っっ♡♡」

 薄暗い室内に、稀々香のくぐもった嬌声が響く。
 上唇と下唇に交互に吸い付いて舌を執拗に絡ませる、息も吐かせぬ激しく濃厚なキス。それでいて、乳房もイヤらしい手付きでねられて、稀々香は抵抗することも考えられず瞳をとろん♡ と蕩けさせた。

「やぁん……♡♡」

 唇を解放されたとき、稀々香は初めて痴漢の全貌を捉えた。
 狼のような、シベリアンハスキーのような、鋭くも愛嬌のある美顔が真っ赤に染まっている。タイトめな黒のTシャツと黒いパンツでコーディネートする全身は、服の上からでも相当に鍛え上げられているのがよくわかった。

(や、やっぱりすっごいイケメン……♡ それに、筋肉かちかち……♡ あ、やだやだ♡ また濡れてきちゃった……♡♡)

 顔と体躯。そのどちらもが、男として完璧なまでの造形美だった。そんな美男を前にして、稀々香の膣は急ピッチで製造された蜜で溢れ返っていた。
 優秀なオスの精液を糧として生きてきたサキュバスのサガが、稀々香の身体を支配する。もう一度この男の陰茎を膣内に納めろと、勝手に準備を進めている。

 稀々香が内から聞こえてくる淫靡な誘惑に酔いしれていると、痴漢が性急な手つきでベルトを外し、ファスナーを降ろすと共にパンツと下着を下げた。
 ビンッ♡ と。勢いよく飛び出してきた巨大な肉棒に、稀々香は釘つけになる。
 先ほど射精したばかりとは思えぬほどの張り具合、勃ち具合。肉竿は痴漢の肌と同じで白いのに、大きく張り出したエラの先にある亀頭は、怒りを表明するがごとく赤黒い。先端からは、先走りの汁と精子の絞り汁が混ざったイヤらしいハイブリッド淫液がボタボタ♡ と垂れて、ホテルの床を汚した。

 卑猥にして雄々しい、男の象徴。

(こ……こんなぶっといおちんぽが、さっきまで私の中に……♡♡ い、入れたい♡ さっきのもすごい気持ちよかったけど……もっと激しくずこずこして欲しい♡♡ もっと気持ち良くして欲しい……っ♡♡ お願いおねがいおねがいおねが──)

 ずっっっぷん♡♡♡

「はおぉぉっっ……♡♡♡♡♡」

 念願叶って、稀々香はいきり立った肉棒に突き上げられた。いつの間にやら痴漢に右脚を持ち上げられて、下から、思い切り勢いよく。

 ずちゅずちゅずちゅずちゅ♡♡ ぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅっ♡♡

(あっ♡ ぬ、抜けちゃう♡♡ 極太おちんぽ抜けちゃう……っ♡♡)

 身長差のせいか、突かれる度に稀々香の左脚が床から跳ねて、体勢が安定しない。

 いまは片時も熱い肉棒の感触を手放したくないと、稀々香は無意識の内に痴漢の首へと両手を回していた。痴漢もそれに応えるかのように稀々香の左脚を持ち上げ、俗にいう駅弁のスタイルとなる。
 完全に自分のすべてを痴漢に委ねることとなった稀々香の子宮口に、天を仰ぐ亀頭が深々と突き刺さる。

「ひぐ……っ♡♡ あ"っ……♡ お"ぉっ……♡♡」

 電車の中で感じたのとはまた一味違った強烈な快感に、稀々香の脳がどろどろに溶けていく。

「……声、我慢しないで。俺たちしか、いないから」

 痴漢が、稀々香の耳元で甘美に囁く。

「君のえっろい声、いっぱい聞かせて♡」

 稀々香から淫らな声を引き出そうとしているのか、痴漢は腰を激しく上下し始めた。
 完全勃起した剛直に下から突き上げられ、重力で降りる子宮がそれを迎え入れる。

 ばっちゅッ♡ ばっちゅッ♡ ばっちゅッ♡ ばっちゅんッッ♡♡♡ どっ♡ どっ♡ どっ♡ どごッッ♡♡ ごちゅっ……♡ ごちゅ……っっ♡♡

「お"んっ♡ ん"んっっ♡♡ そこらめぇぇ……っっ♡♡♡ 痴漢さんのおちんぽしゅごいぃっ♡♡ 気持ちいいトコごりごり擦れて……っ♡ んおぉ♡♡ おほぉ……っっ♡♡♡」

 快感のクリティカルヒットを何度も繰り出されて、稀々香はただただ喘ぐしかない。

「……んっ♡ すっごいうねり方……♡♡ ちんぽ大好きなんだね♡♡ 電車の中で知らない男にハメられて、ホテルまでのこのこついてきて、こんなに悦んで……稀々香ちゃんのえっち♡♡」

 痴漢の楽しげな声に呼ばれて、稀々香はほんの一瞬、正気に戻った。
 そうだ、忘れていたが、この青年は痴漢だ。当然ながら、稀々香はこの痴漢とは知り合いでもなんでもない。

「な、んで、私の名前……あんっ♡ やぁんっ♡ 待っ……止まって♡ とまって♡ ん"あぁっ♡ はおぉぉ……っっ♡♡」

 今更ながらに見知らぬ男に犯されているという事実が怖くなり、稀々香はやめるよう懇願するのだが、それも痴漢の抽挿ピストン一突きで瞬く間に喘ぎ声へと変化する。

「……ずっと前から、駅で見かけて、気になってたから」

 思ってもみなかった痴漢の返答に、稀々香は驚き目を見開く。稀々香がどう反応してよいか戸惑い押し黙っている間に、痴漢はぽつりぽつりと心境を語りだしていた。

「いつだったか、稀々香ちゃんが彼氏さんと歩いてるところを見ちゃって、そのときに諦めたつもりなんだけど……今日は、我慢できなかった」

 稀々香には現在、彼氏はいない。というか、これまでできたことがない。稀々香はサキュバスの能力を有しているとわかったその日から、男性に危害を加えてしまうのが怖くて、知らず知らずの内に恋愛事から目を背けるようになっていた。
 おそらく、痴漢が彼氏だと勘違いしているのは、稀々香の兄のことだ。

「今日の稀々香ちゃん、すっごくいい匂いがして……すっごくえっちで……我慢できない……ッッ♡♡♡」

 思いの丈をぶちまけてタカが外れたのか、痴漢は無我夢中になって腰を加速させてきた。

 どちゅどちゅどちゅどちゅどちゅどちゅどちゅどちゅッッッ♡♡♡♡♡

「ああっ♡♡ やっ♡♡ おっ♡ お"っ♡ お"ぉっ♡♡ おまんこいぐぅ……っ♡♡ いくいくいぐ……いぐぅぅぅぅ────~~ッッッ♡♡♡♡♡」

 稀々香はフェロモンに翻弄されて凶行に及んでしまった痴漢を哀れに思いつつも、繰り出される激しい抽挿ピストンを一身で受け止め、何度目かになるかわからぬ性的絶頂オーガズムに達した。

「ん"あ"あッ♡♡ 稀々香ちゃんの連続アクメまんこに精子搾り取られる……ッッ♡♡♡ ごめんっ、ごめんね稀々香ちゃん……っ♡♡♡ 中ッ♡ 中に出すッッ♡♡ いくっ♡ いくっ♡ いっく……ッッッ♡♡♡」

 ぶびゅるるるるるッッッ♡♡♡♡♡ ぶびゅぶびゅぶびゅびゅっっ♡♡♡ びゅくんッ♡♡ びゅくっ♡ びゅっ♡ びゅっ♡ びゅっ……♡♡

(きっ、気持ちいいっっ♡♡♡ あつあつ精子っ♡ 痴漢さんの出来立て濃厚精子に子宮犯されて、気持ちよくなっちゃってる……っっ♡♡♡ )

 絶頂と中出しの余韻に浸っている稀々香と繋がったまま、痴漢は部屋の中を突き進んでベッドまで移動した。そこに、陰茎から引き抜いた稀々香を優しく横たわらせて、部屋の明かりを点け、服を脱ぎ捨てる。
 精巧な彫像のような肉体美が、部屋の明かりに浮かび上がっていた。そして、未だに上向く凶悪な肉棒も。
 しばらくその美しさと淫らさにぼーっと見蕩れていた稀々香だったが、やがて痴漢の美顔が迫ってきて、視界が唇ごと覆われてしまう。

「んちゅ……はぁっ、稀々香ちゃん……♡ やっと、やっと、ちゃんと顔見れた……可愛い……♡♡ 綺麗……♡♡ えっろい……♡♡♡」

 譫言のようにぶつぶつ呟きながら、痴漢は稀々香の衣服を器用に脱がしていった。サロペットスカート、ショーツ、ソックスと順調に脱がしていき、ブラウスをブラジャーごと取り払ったところで、痴漢の手がぴたりと止まる。

「……なに、このタトゥー」

「ふえ……?」

 稀々香はほんの少しだけ上体を起こし、痴漢の視線の先にあるものを確かめてみた。
 視線は、稀々香のヘソ辺りに落とされている。ちょうどヘソの下──子宮のある位置に。
 そこに、黒色の妙な紋様が描かれていた。それこそ、子宮にも似た形をしており、子宮がそこにあるのだと差し示すように。

(これ、なんだっけ……)

 今朝、着替えているときにはなかったはずだ。いつの間にこんなものついたんだ首を傾げていた稀々香だったが、主治医の話を思い出して、青褪める。

 この紋様は、“淫紋”と呼ばれている、サキュバスの能力のひとつだ。能力というよりは、生体的特徴と言った方が正しい。
 サキュバスは男性の精液を糧にするという生態上、快楽に強いという性質を持つ。精液を搾り取る度によがって体力を消耗していては、生命を維持するという観点において本末転倒になるからだ。
 そのサキュバスが快楽に溺れるとき、この淫紋が浮かび上がる。オスに──サキュバスを快楽堕ちさせた優秀なオスに屈服した証として。
 腹部に淫紋が現れたということは、稀々香が痴漢の性奴隷になったという証明に他ならない。こうなると、稀々香はいつ何時でも、痴漢の望むとき、望むままに性の奉仕をしなければならなくなる。

(や……やば……!)

 幸い、淫紋はまだ完成しておらず、奴隷化回避の余地があった。
 そうだ、なぜ気づかなかったのか。
 もう遅刻うんぬん言っている場合ではないし、ここでならゆっくり薬が飲める。薬を飲めばサキュバスの性質は鳴りを潜めるし、この痴漢だってフェロモンの誘惑から解放されて正気に戻るはずだ。
 稀々香はきょろきょろと辺りを見回し、自分の鞄を捜した。鞄は部屋の入り口にぽつんと落ちている。
 鞄の中にある薬を求めて稀々香は飛び上がろうとしたのだが、それは痴漢によっていとも容易く阻まれてしまった。痴漢の、膨れ上がった肉欲によって。

「フ──……ッ♡ フ──……ッ♡♡ なにこれ、すっごいエロい……♡♡♡ ここ、ここに稀々香ちゃんの子宮があるんだ……♡♡」

 ずしり♡ と。痴漢はいきり立った陰茎を淫紋の上に乗せ、ずりずり♡ と擦りつけた。

「はぁっ♡ はぁっ……♡ 良かった♡ 俺のちんぽ、余裕で稀々香ちゃんの子宮まで届く……♡ 稀々香ちゃん♡ 稀々香ちゃん♡ 挿れるっ♡ 稀々香ちゃんのまんこに俺のちんぽぜんぶ挿れる……っっ♡♡ 俺専用のちんぽケース……っっ♡♡♡ 俺だけの稀々香ちゃん……♡♡♡」

「やっ……♡ 待って待って待って、いま挿れたらだめっ♡ いま挿れたら、私、戻れなくなっちゃ──……あ"おぉぉぉぉ……ッッッ♡♡♡」

 にゅぶぶぶぶぶぶぷぷぷ……っっ♡♡♡

 稀々香の哀願空しく、痴漢は陰茎を、実に緩慢な速度で挿入してきた。膣の肉襞がゆっくり捲り上がっていくのに付き従って、稀々香の全身にぞわぞわと快感が這い上がっていく。亀頭が子宮の口にどちゅっ♡ と衝突した瞬間、脳天が痺れて稀々香は呆気なく昇天した。

「はおぉっ♡ お"ん……ッ♡ んあぁ……っ♡♡♡」

「稀々香ちゃんのイキ顔、くっそエロい……♡♡ 彼氏いるくせに、痴漢に襲われてアヘアヘしちゃって、稀々香ちゃんのえっち♡ えっち♡ えっちッッ♡♡♡ このドスケベッッ♡♡♡ ド淫乱ッッッ♡♡♡」

 ずろろろろろろぉっっ♡♡ ぱちゅんッッ♡♡♡ ぬろろろろろろろぉッッ♡♡♡ ばっちゅんッッ♡♡♡♡♡

 痴漢は重い抽挿ピストン攻撃を、何度も何度も稀々香の膣奥に見舞った。まるで怒りを叩きつけるかのように。
 完全に正気を失っている。痴漢は性的興奮と憤怒で、狂暴化バーサークしていた。

「あひんッッ♡♡♡ らめらめらめぇぇ……っ♡♡ 堕ちるっ♡♡ イケメンちんぽの奴隷になっちゃうッッ♡♡♡ おまんこ気持ち良くしないでっ♡♡ 気持ち良くなっちゃだめぇ……ッッ♡♡♡」

 快感の暴力で殴りつけられる度、稀々香の淫紋が赤紫色に点滅する。それと連動するように膣襞は悦びに喘ぎ、痴漢の肉茎をぎゅっ♡ ぎゅっ♡ と締め付けた。

「う"ぁっ……♡♡ 締め付けえぐいっ……♡♡ ちんぽ食われる……っっ♡♡ いくっ♡ イクッッ♡♡♡ この欲しがりエロまんこッ♡♡♡  お、俺じゃなくてもいいんでしょ? 誰のちんぽでも良かったんだろッッ♡♡ 許さないッッ♡♡ 俺の、俺だけの稀々香ちゃんでいて♡♡ 稀々香ちゃん、稀々香ちゃん……っ♡♡♡」

 痴漢は、怒れる亀頭を無理やり子宮口に捩じ込み、矢継ぎ早に稀々香を責め立てる。

「はぁっ……はぁっ……♡ 寝取るッッ♡♡ 孕ませてやる……ッッ♡♡♡ 稀々香ちゃんっ♡♡ 卵子出して♡ 出せッッ♡♡♡ 卵子に精液ザーメンシャワー浴びて、受精しろッッッ♡♡♡ よく知りもしない男の赤ちゃん作って、人生終了しろッッ♡♡♡ そしたら、俺が稀々香ちゃんのこと養うからね♡♡ 俺とラブラブ新婚生活しよう♡♡♡」

 ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんっ♡ ぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱんぱん……っっ♡♡♡ 

 痴漢は稀々香の両脚を持ち上げ、卵子の排出を促すように腰振りを速めた。
 子宮を激しく揺さぶられて、稀々香の淫紋はいっそう強く光って点滅する。

「あっ♡ あっ♡ あ"ッッ♡♡♡ だっ、だめぇっ♡ 出しちゃだめぇぇっ♡♡ 赤ちゃん作っちゃだめぇぇっ……♡♡♡ 完堕ちするぅ……ッッッ♡♡♡ お"っ♡ あ"んっっ♡♡♡ いぐっ♡♡ いぐぅぅぅぅッ♡♡♡♡♡」

「ッッあ"あぁぁっ……♡♡♡ 気持ちい"い……っっ♡♡♡ 好きだよ、稀々香ちゃん……♡ 好きだ……ッッ♡♡♡ 好きっ♡♡♡ フッ♡ フッ♡ フ──……ッッッ♡♡♡ おっ♡ おっ♡ お"ッ♡♡♡ イイッ♡♡ イグッ♡ イグッッ♡♡♡ 出るッッ♡♡♡ 射精するっっ♡♡♡ おらっ♡♡ おらッッ♡♡ 受精アクメキメろッッッ♡♡♡ エロ稀々香ッ♡♡♡ う"っ、ぐぅぅ……ッッッ♡♡♡♡♡」

 ビュ────ッッッ♡♡♡♡♡ ビュ────ッッッ♡♡♡♡♡ ビュッッ♡♡♡ びゅっっ♡♡♡ びゅるるるるッッ♡♡♡ びゅく……っ♡♡ びゅるる……っ♡♡

 爆ぜた痴漢の陰茎から、熱い精液ザーメンが噴射する。それは瞬く間に稀々香の子宮を満たし、焼き尽くす。
 
「はお"お"おぉぉぉぉぉっっ♡♡♡♡♡ んお"っ♡♡♡ お"ぉんっっ♡♡♡ んほおぉぉ……っっ♡♡♡♡♡」

 稀々香も快感の嵐に呑まれて天高く昇りつめ、急転直下した。
 淫紋が淡い光を放ちながら、黒から赤紫に変色し、定着する。稀々香が完全に快楽の虜となり、痴漢との主従関係が完成した瞬間であった。

(おちんぽ……っ♡♡ イケメンおちんぽ、気持ちいぃっ……♡♡ アクメ止まんないよぉ……っっ♡♡ すき♡♡ このイケメンおちんぽ大好きぃ……っ♡♡♡)

 稀々香は性的絶頂オーガズムが引いていくのを惜しんで、痴漢の陰茎をハメたまま腰をゆるゆると揺すった。
 
「んっ♡♡ 稀々香ちゃんのえっち♡ 精液ザーメンもっと欲しいんだ♡♡ 俺も……まだこのキツふわまんこ味わってたいな……♡♡ いいよね、稀々香ちゃん♡♡♡」

 痴漢も稀々香の腰の動きに合わせて鼠径部そけいぶをぐりぐり♡ と旋回させ、次なる性交を誘った。
 当然、堕ちた稀々香にこれを断れるわけもなく。

 蕩け切った稀々香は、痴漢に四肢を絡み付かせてしっかと抱き着いた。

「ふぁい……♡♡ もっとハメハメしてくださぁい……♡♡♡」

 その日、稀々香と痴漢は、ラブホテルのフリータイム十二時間きっかり使い切り、ドロドロになるまで愛し合った。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

あさがお
2021.09.02 あさがお

いつも作品楽しみに読んでます<(_ _)>
稀々香ちゃんが奴隷(であってるのかな?)になったあとの2人のお話しが出来れば読んでみたいです!
忍者の方も上がっていたので…もしかしたら…と期待しちゃいました(っ ॑꒳ ॑c)ワクワク

最近気温の差が激しい日々が続いています、お身体に気をつけてください<(_ _)>

蟹江ビタコ
2021.09.05 蟹江ビタコ

あさがお様

コメントありがとうございます!
続編のご希望ですね、嬉しいです!
確約はできませんが、しれっと続編が出ましたら、またお読みいただけると幸いです!

解除
花雨
2021.08.14 花雨

作品お気に入り登録しときますね(^^)

蟹江ビタコ
2021.08.14 蟹江ビタコ

花雨さま
ありがとうございます!

解除

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