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「そうかもな。狭いのに、喰いついてくる。ここも、俺の事が好きなのだろう?身体は気持ちを表す、というからな」
楽しそうな声のまま、胸への愛撫も止まらず、舐め回され、甘噛みされ、指先で転がされ、甘い呻きが出る。
「胸を可愛がる度に、よく締まるな、ここは」
そう言ってファルジーヌ様が膣中の指を曲げ、とある場所を押すと全身に電気が走るような感覚に襲われた。
「ひうっ」
堪らずぎゅっ、とファルジーヌ様に抱きついた。
「ほら、カレンの良いところはここだろ?ここを押すと、可愛くひくついて締めてくる。ほら、分かるだろ?ここ、ここだ」
ファルジーヌ様は執拗に同じ場所を攻めてきた。
「・・・おかしく、なる・・・はぁ・・・」
2つの指でその場所を挟むようにしてこねくり回される。ビリビリと走り抜けるあまりの快感で頭がどうにかなりそうだった。
「・・・ファル、ジーヌ様・・・」
「蕩ける顔で名前を呼ばれるのは、いいな。密がまた、溢れてきた」
グチュグチュと蜜壷を掻き回されながら両方の胸を刺激され続け、自分の身体なのに制御出来ず、抗いたいのに、抗えない。
「・・・っ・・・あっんんっ!・・・ダメっ・・・んんっ!!」
ファルジーヌ様の腕を掴みながらも、刺激に耐えられなくて背を逸らす。その間も胸の頂きをファルジーヌ様は弄り続け、更に硬くさせた。
グチュグチュと掻き回され続ける蜜壷からどんどんと愛液が溢れでて、私の下着がグショグショに濡れていくのが分かる。
卑猥な音が大きくなり、ファルジーヌ様の手が早く動く。
その度に刺激され、段々と激しくなり頭が真っ白になりそうになってきた
「はぁ、堪らんな、その顔は」
ファルジーヌ様はそう呟くと、更に激しく私の蜜壷を掻き回し、私の両太腿を広げた。
ファルジーヌ様の手の動きが早まり、胸に吸い付つくから、腰が動く。
「もう、やめ・・・て・・・く、ださい・・・」
少しづつ私の方に動き、覆い被さるように身体を寄せ、荒い息を吐きながら私の耳を甘噛みし、吸い付く。
「俺も我慢でき」
「はい、おしまいでございます。学園に到着致しました」
馬車が止まり、召使いのメアリがとても冷静な声でいった。
狭い馬車の中で良く通る声は、現実に戻すに十分だった。
「まだだろ!」
苛立ちの混じった声でファルジーヌ様が言う。
変わらず私の上から動こうとはしなかった。
「もう、学園の敷地内でございます。これ以上は、お控え下さい」
早くどけなさい、とばかりに不躾に睨んで来た。
「チッ」
ファルジーヌ様は、私の蜜壷を掻き回していた手を、ゆっくりと引き抜くと、愛液で濡れた指を舐めた。
「あ・・・」
私が甘い声を上げると、ファルジーヌ様が悪い顔をした。
「続きは今週末の夜会だ。覚悟しとけよ」
そう言いながら私を抱き寄せ、頬に口付けをする。
「メアリ、カレンを整えてやれ」
「はい、かしこまりました」
ファルジーヌ様はその言葉を聞くと、私から離れると馬車から降りて言った。立ち上がろうとしたが、私は腰が抜けてズルリと座り込みそうになところを、メアリが支えてくれた。
「大丈夫でございますか?」
「え、ええ。ありがとう」
先程の痴態を見せてしまっているので、とても恥ずかしく薄笑いをしてしまった。
「では、まず御召し物を整えましょう」
メアリはそう言うと、濡れた場所を丁寧に拭き、身だしなみを整えてくれた。
こちらが恥ずかしいと思う事が失礼なくらい、慣れた手つきで常軌のように私を扱ってくれた。
ふっ、と私と目が絡み合った。
瞬間、ふんわりと微笑んだ。
「お気持ちが通じてよろしかったですね」
メアリの暖かい言葉に、さぁっ、と一気に身体が冷えた。
気持ちなど通じていない。
私の気持ちを押しつけた結果が、そのように見えているだけ。
「そうね」
いつもの張り付いた微笑みが浮かぶ。
「カレン様は幼い時から、ファルジーヌ様を慕っておいででしたから、私も嬉しく思っております」
心からの祝福と言える、屈託の無い言葉に、臍を噛んだ。
見抜かれていた、のだ。
前世の二の舞にならぬよう、ファルジーヌ様に対する恋心は、隠し通すつもりでいた。
ファルジーヌ様の重荷に、なりたくない、と思っていたのに、利己的な己の感情に負け、閨を懇願してしまった。
今の言葉の意味は、それよりも前にメアリは気づいていたのだ。
想いは、隠せないのかもしれない。
どれだけ隠そう壁を作っても、愛する方を前にすれば、なんの効果も、なんの意味もない。
一喜一憂する心は、常に揺れ動く。
「・・・そう、かしら」
気持ちなど、通ずる訳がない。
「今の殿下は少し粗相が目立ちますが、それだけカレン様に夢中になられた、という事でございますよ」
クスクスと笑いながらメアリは言った。
「それなら、嬉しいけれど」
冷静になれ、と叱咤しつつも、言われて嫌な気分にはならない。
一時だけの熱だとしても、今のファルジーヌ様の気持ちが私に向いているのなら、私は幸せだと思った。
「もう、不安な顔はなさらなくても大丈夫ですよ」
とくん、と胸が違う高鳴りが襲う。
「身支度が整いました。さあ、殿下がお待ちですよ」
扉が開くと、ファルジーヌ様が私の方を見て微笑み、手を差し出してくれた。
「ほら、行くぞ」
「ありがとうございます」
にこやかに応え、私はその手をとった。
メアリ、私に不安などないわ。
あるのは、
諦めの、感情だけよ。
だって、私の恋は叶わない。
いいえ、叶ったわ。
心ではなく、
身体を手に入れた。
本当に充分だわ。
ファルジーヌ様の横に並びながら、 私はひっそりと笑みを浮かべた。

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