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パンパンと大きく響く音の後に、幾つもの大輪の花火が夜空に上がる。
それを合図に、次々と打ち上げられる色とりどりの花と、大きな音が辺りに鳴り響いた。
音楽隊が奏でる軽快なリズムに合わせ、踊っている人々もちらほらと見えた。
学園祭の一大イベントである花火が豪華に夜空を彩った。
学園祭のフィナーレを飾るこの花火は、いつも遠くから眺めるだけだった。
それが今、真上に近い位置から眺めている。
花火の迫力に圧倒されながら、私は隣にいるアトラスに視線を向けた。
ベンチに腰掛け2人きりで見ている。
皆が気を利かせて、花火が始まる前に別れた。
繋いだ手が、妙にくすぐったくてとても気になった。花火を見ている間、私の心臓はドキドキと高鳴りっぱなしだった。私はそっとアトラスを見上げると同時にこちらを向いた。
花火の光に照らされた彼は、とても幻想的で美しかった。
「ルミナ」
アトラスの声と視線に熱が籠っているのが分かり、私の心臓は更に早く鼓動を刻み始める。
キラキラと光る銀の髪と、深い青い瞳に吸い込まれそうな気分になった。
「なに、アトラス」
「正式に私と婚約して欲しい」
淀み無い言葉と、私だけを見つめてくれる瞳を見つめ小さく頷いた。
「はい」
小さな声で返事をすると、繋いだ手に力が入った。そして引き寄せられると、優しく抱き締められた。
ドキドキと言う心臓の音が聞こえてしまいそうな程近い距離にアトラスの顔があった。
「ありがとう」
そう言うと、アトラスはそっと私の唇にキスをした。優しい触れるだけのキスは、凄く心地よくて幸せな気分になれた。
「アトラス、続きを、しよう。恋人がするのを、最後までしよう」
そう呟いた。
びくりとアトラスの身体が強ばり、驚いているのが伝わってきた。
「いいの?」
「うん。私もアトラスが欲しいの」
「っ!本当にルミナは、いつも私を煽ってばかりだね」
そう甘く言うと、もう一度優しくキスをされた。
私達の影が重なるのを祝福するかの様に、花火が夜空に上がった。

「こんな所で良かったの?」
納得いかない、とここに来て何度も言った言葉をまた、言った。
「いいのよ。だって恋人達は、この逢い引き小屋を使う、と言っていたもの」
アトラスの渋る気持ちも分かる。
初めての睦言は、もっと雰囲気のある素敵な部屋で、と考えていた筈だ。
本当なら私だってそうしたい。
1番いい部屋を頼んだが、寝台と簡素なテーブルだけの、綺麗とは程遠い質素な部屋だ。
では、何故1番いい部屋かと言うと、壁が厚い上に、隣の部屋と離れているという事だ。
それはとても大事だと思った。
蜜事を誰かに聞かれるなんて恥ずかしいもの。
閉められた窓も、灯りが少し漏れていたが、それでもかなり遮断されていた。
灯されたランプが良い感じに雰囲気を出していた。
「あのね、アトラスの言う素敵な場所に言ったら、お互いの両親にバレバレよ。どうせ、アトラスと私が宿泊した事を内緒、なんて出来ないでしょ?」
そこまで考えていなかったようで、成程という顔をされた。
「逢い引き小屋は、恋人達の秘密基地みたいなものなのよ。家では人目があるから出来ないでしょう?ね、ここでなら、その、本当に2人きり、だよ」
私は小さく息を吐くと覚悟を決め、服を脱ぎ出した。
た。
ここは、愛し合う恋人達が愛を育む場所で、そんな場所でこれからアトラスに抱かれるのだと思うと不安になった。
顔を見たくても恥ずかしいので無言で脱いでいった。
アトラスも、脱ぎ出した。
パサリと下部を隠していた下着を脱ぎ、置いた。
「綺麗だ」
アトラスは呟くと、私を引き寄せた。
抱き合うと、素肌同士が触れ合い、鼓動が早くなるのが分かった。背中から腰へ、そしてお尻へと、いやらしく触る指にゾクゾクした。
ガッチリした筋肉質なアトラスの胸なのに、しっとりとした肌感に下部が震え淫靡に感じる。
アトラスの手がゆっくりと私の腰に手が周り抱き上げ、寝台に下ろした。
寝台がギシリと音を立てたのを、やけに大きく感じた。
「愛している、ルミナ」
アトラスの大きな手が、私の頭を優しく撫でた。
また、あの瞳の色、だと思い、やっと私は気づいた。
その瞳の色は、私が愛おしくて堪らない、切ない瞳だったのだ。
「私もよ、アトラス」
ゆっくりと近付く顔に瞳を閉じれば、軽く口付けをされそのまま舌を絡ませた。
何度もしてきた筈が、今日は貪りたいと思うほど深く、濃厚な口付けに感じた。
絡まる舌にまるで意思があるように、お互いを絡めあい、吸い付いた。何度も、何度も角度を変え、舌を絡ませあう。
「んん・・・・っん・・・」
口内の全てを蹂躙され、下部の奥から何かが這い上がってくるような感じがした。
そしてアトラスの舌と同時に、私の首筋から肩、胸の周りを撫でるように触る手に身体が震えた。
離れた唇からは、細い銀の糸が繋がりプツリと切れた。
荒い呼吸をしながら、ぼんやりとアトラスを見つめると、優しく微笑まれた。
それはいつもの優しい微笑みでは無く、男の色気を含んだ笑みだった。
アトラスは私の頭を撫でながら髪を1房掴み口付けすると、ゆっくりと首筋に顔を埋めた。チリっとした痛みが走ったが、それすらも快感に変わる。
アトラスの熱い手が胸に触れた時、身体がビクリと跳ねた。
「ああん」
自分でも驚くような甘い声が口から漏れた。
その事に恥ずかしくなり、手で口を押さえようとすると、その手をアトラスに掴まれ阻止された。
「前に言ったよね。恋人のその声が聞きたいんだ」
「で、でも、恥ずかしいもの」
「私は聞きたいんだ。恥ずかしくないよ。可愛い声だよ」
アトラスの大きな手が私の胸に添えられ、優しく揉まれた。
大きくて暖かな手に包まれ、その心地よさに吐息が溢れでた。
「ふっ・・・んん・・・」
大きな手の指は胸の先を優しく摘まんだり撫でたりと刺激を与えてくる。初めてされる行為に少し背中が反った。
「そう、その声だよ。もっと聞かせて」
そんな反応を楽しむかのように、今度は唇が首筋に当てられ軽く吸われたり舐め上げられる。
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