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こんな所でも過保護っぷりを発揮するなんて、恥ずかしいけれど、慣れてきた。
「終わったの?」
「よく言うわよ。待ち伏せしてたくせに」
「早く終わらせたかったからね。では、帰ろう」
「今度から、待ち伏せ禁止。じゃないと口聞かないからね」
「それは・・・困る。分かったよ。今度から私も参加するよ」
「それ、お茶会にならない。私が気を遣うよ」
大きな溜息で言う私に、可笑しそうに笑うアトラスがそっと手を差し出してきたので、それを掴み馬車に乗り込むと、ゆっくりと動き出した。
いつの間にか、アトラスが横に座る事と、ずっと手を繋ぐ事が当たり前になったな、とアトラスの横顔を見ながら思った。
「楽しかったようだね」
「うん。あ、薔薇の花とお菓子ありがとう。皆様、とても喜んでいたよ」
「それは、良かった。あの程度の品物でも、あの人らにとってはかなり高価だろう。せいぜい、ルミナと自分らの立場がどれだけ違うか分かれば良いんだ」
「私じゃなくて、アトラス、でしょ。だから、その言い方良くないよ」
「ルミナが困らないよう、分かってもらう為には良いんだよ」
「もう、私まで怖がられたら困るじゃない」
「それはいいね。そうしたら、虫が寄って来ないから、私としては嬉しい」
「もう、どうしてそうなるのよ」
「ルミナが可愛いから、誰にも見せたくない」
「また、そんな事言う」
優しく私を見つめるアトラスに、胸が高鳴るが、辛くなる。
可愛い。
その言葉を聞く度に、嬉しい反面悲しくなる。
アトラスは私を幼なじみだから優しく接してくれる。
それを勘違いをしていると、痛い目を見るのは自分だ。
だから蓋をし、心にしっかりと鍵をかけ、漏らしてはならない。
「ルミナ」
優しく包み込む声に、身体の芯がぐずぐずに蕩けそうになる。
だが今はただ側にいるだけで良いのだ。それ以上を望んではならない。
アトラスとのこの時間は貴重だ。
私は贅沢で、我儘だ。
自分に言い聞かせる私に、優しくアトラスの指が伸びてきて頬に触れたと思ったら、そっと包み込まれ、上を向かされた。
真正面にアトラスの美しい顔があった。
そんな顔で見詰められたら・・・勘違いしてしまうじゃない。
「ルミナ・・・その顔は、駄目だよ」
そう言うと、アトラスは私を引き寄せ、優しく頬に手を添えると、口付けをしてきて、思わず私は目を閉じてしまった。
アトラスの唇が私の唇に軽く触れ、舌で唇をなぞられ、私が思わず口を開くと、そこから熱い舌が入り込み、歯列をゆっくりと舐め上げた後、舌を絡めてきた。
優しく撫で回されるともう駄目だった。
全身から力が抜けてアトラスにしなだれかかってしまう。
それを支えるように抱き寄せてくれる。
アトラスの唾液が口の中へ入ってくるので、喉を鳴らして飲み込んでしまった。
「っ・・・ふぅ・・・」
やがて唇が離れ、互いの唇から涎が溢れてしまう。
それを拭いもせず私はアトラスの胸にしがみつくように抱きついていた。
もっと・・・したい。
アトラスと触れ合っていたい。
そんな思いでいっぱいになってしまう。
顔が熱くて仕方がないけれど、この熱を発散させる術を知らない。
また、下部が鳴く。
まるで、その熱を放出させろと催促するように。

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