上 下
497 / 520
第9章 冬の……アナタ、どなた?

エピソード56-55

しおりを挟む
保養施設内 宿泊棟 『デルフィニウムの間』

 シズルーによるオイルマッサージは、正に佳境に差し掛かっていた。
 8人の全裸の女性を相手に、シズルーは構えた。

「【ヒーリング・バイブレーション】(気持ちよくなぁれ!)」ポゥ

 シズルーたちはそう唱えて、オーラをまとった両手をお腹にあて、ゆっくりと胸に向かって動かした。


「「「「あ゙あ゙あ゙、 あ゙あ゙あ゙あ゙~!」」」」


 シズルーたちの手が胸に触れた瞬間、全裸の女性たちがほぼ同時にビクンと反応し、部屋中に響かんばかりの奇声を上げた。
 ダブルベッドで施術を受けている、魔族の年齢で『熟年』の域に達するかどうかの二人が、シズルーの施術に顔をゆがめている。
 
「何これ!? 乳揉まれただけでこんなに感じてるっ!? あんっ♡」

 キャリーは身体を弓の様にしならせ、甘い吐息を漏らした。
 その状況でもシズルーのオイルまみれの手は、休む事無く胸の周囲を撫でまわし続けた。

「手が……ナメクジみたいに這いまわってる……あぁ……体が熱い、 熱いのぉ~♡」

 同時に施術を受けているフジ子が、隣にいるキャリーの乱れっぷりを見て悶えながら言った。

「ウフ。 キャリーったら……ウブな小娘みたいにカワイイ声で喘いでるわよ? あふっ♡」
「私が!? そんなワケない……けど、自然に声が出ちゃう……あはぁ♡」

 別のベッドでは、男の悦ばせ方を覚え始めてさほど経っていない二人が、シズルーの施術にされるがままになっていた。
 豊満な胸に円を描く様に手を動かすと、感じているのか乳首が硬くなっている事がよくわかった。

「ぜ、全身が性感帯になったみたぁい……あふぅん♡」
「あぁ……体の芯が……ジンジンするぅ……はひぃ♡」

 カミラとジョアンヌもまた、身体を弓の様にしならせて甘い吐息を漏らした。

「「こんなの、 初めてぇぇぇ♡♡」」

 その隣のベッドでは、この中では一番若い二人が、シズルーの施術に歓喜の声を上げた。

「ああっ♡ そうよ! もっとお姉さんを悦ばせて頂戴?……くぅん♡」
「おほっ♡ 全身ヌメヌメ……シズルーに汚されてる……嬉しい……はぅん♡」

 キングサイズのベッドで施術を受けている、『未経験の熟年』と『初老』の二人が、シズルーの施術に身をゆだねていた。

「あぁ……『魔素』が活性化しているのがひしひしと伝わって来るね……実に心地よい……ふぅ♡」
「らっ!? らめぇ……気持ちイイの……らめぇっ♡」

 各々の様子を施術しながら観察し、手ごたえを感じているシズルー。

(よしっ! イイぞ。 この調子ならもうじきイクかな?)

 調子に乗ったシズルーは、両手に宿した薄紫色のオーラを輝きを強めた。
 すると、手の刺激を受け続けた者たちが気刻みに痙攣し出し、間もなく昇天した。


「「「「あっぴょおーん♡♡♡」」」」


 全員ほぼ同時にエビぞりになり、数秒フリーズしたあと、ゆっくりとベッドに沈みこんだ。
 その様子を見て、シズルーは満足げに頷いた。

「終わったか……」
(よしっ! これでやっと解放される……)

 そんな時、シズルーの手をガシッと掴む者がいた。

「もっとよ……もっと頂戴!」
(うへ? 会心の一撃だと思ったんだけど……まさか『淫乱』ってヤツか?)

 潤んだ目で懇願しているのは、キャリーだった。

「ココ、 ココも責めてぇ~ん♡」

 淫靡な表情のキャリーは、シズルーのオイルまみれの手を自らの股に誘った。

(え!? 局部だよ? 流石にマズいよな……)

 そう思ったシズルーは、手に力を入れて抵抗した。

「お客様、 そこから先はオプションでございます……」
(この人、 こんなんで諦めてくれないよな……)

 平静を装ってはいるが、内心はそうではなかった。

「オプション? お金なら出すわ。 いくらなの?」

 キャリーはやはり食い下がった。

(ほれ、 そうきたか……)
「仕方ないですね。 ではサービスと言う事で……」

 シズルーは抵抗を止め、キャリーの恥部に向かってゆっくりと右手を滑らせた。

「そう……それでイイの……もうちょっと下……」
(薄い本だったら、先ずココを責めるよな……)

 シズルーは中指に魔力を集中させ、茂みに到達した直後に心の中で唱えた。

(震えろ、 汝のリビドーよ……【テクノ・ブレイカー】!)

 シズルーの手が女性特有の敏感な器官に触れた瞬間、キャリーはのたうち回った。

「あ゙ぐっ!? あ゙ががぁぁぁあぁ!!」

 奇声を上げたキャリーは悶絶し、白目をむいて小刻みに痙攣している。

(へぇ……これが薄い本で見た『アヘ顔』ってやつか。 技名に関しては、 素子先輩に感謝しないとな……)

 すると、シズルーの手に桃色のオーラが一瞬輝き、シズルーの体内に吸収されていった。
 シズルーはその様を黙って見つめていた。

 すると、シズルーの身体に若干の異変が生じた。

(温かい?……何だろう、 今のオーラは……)

 自分の身体に起こっている異変に、シズルーは暫くフリーズしていた。
 するとまた、シズルーの手を強引に掴む感触があり、はっと我に返ったシズルー。

「ズルいですキャリーばかり! 私の蜜壺も責めて下さい……さぁ!」

 何故だか少し怒っているフジ子が、キャリー同様に自分の股にシズルーの手を誘った。

「蜜壺……この蜜壺がアナタを欲しがっているのです……お願い触って♡ あぁん♡」
「…………」
(困ったな……しょうがない、 やるか……)

 潤んだ瞳で見つめながら、ゆっくりとシズルーの手を股の方にもっていくフジ子。

「あぁ……アナタがいけないんですよ? 私の理性の扉を無理矢理こじ開けたアナタが! ああっ♡」

 シズルーは先ほどと同様に、中指に魔力を集中させた。
 フジ子はシズルーの中指に手を添え、自分の恥部に押しあてた。

(震えろ、 汝のリビドーよ……【テクノ・ブレイカー】!)

「おあ゙う、 あ゙ぐうぅぅぅぅ~~~っ♡♡♡♡」

 するとフジ子は、舌をだらしなく出して虚ろな瞳を上に向けながら、腹の奥底から響くような低いうなり声を上げ、悶絶した。
 フジ子は両目をハートマークにして、満足げに薄笑いを浮かべていた。
 やはりほぼ同時に、シズルーの手に桃色のオーラが一瞬輝き、シズルーの体内に吸収されていった。

(ふぅ。 何か、 優しいオーラだったなぁ……)

 全員を悶絶させ、満足げに頷き、余韻に浸っていたシズルー。

「……終わったか……」

 プルルル……

 静寂を破るように突然内線が鳴り、シズルーが受話器を取った。

「……はい」
「あのぉ、 壁の設置に伺いたいんスが、 大丈夫っすかぁ?」

 管理部のスタッフからだった。
 シズルーは『しめたっ♪』とばかりにスタッフに言った。

「直ぐに来てくれ。 あと、マッサージ中に眠ってしまった客をなんとかしたい。 担架の用意を頼む……」
「わ、 わかりましたっ! 直ぐに手配いたしますっ!」
「頼むぞ!」

 スタッフが妙にかしこまった口調になった事に、シズルーは必死に笑いをこらえていた。



              ◆ ◆ ◆ ◆



保養施設 ラウンジ

 黄金風呂を堪能したニナたちは、フロントの計らいでロビーのラウンジにいた。

「いやぁ、ちょっとはしゃぎすぎだったかなぁ?」
「防犯カメラに私たちの行為が残っていたら……顔認証で軍のデータベースを調べれば直ぐバレるし、 ガクブルものですよぉ……」

 ニナが後頭部を搔きながらはにかむと、ルリは顔を青くして憔悴しきっていた。

「ほら先輩! クヨクヨしたってしょうがないよ♪」ポンポン

 小さくなっているルリに、ニナは笑いながらルリの肩を叩いた。

「アレに傷付けたとかじゃないし、 大目に見てくれるでしょ?」
「そ、そうですよね? きっと施設で何とかしてくれますよね? 偽造とか?」

 ルリは自分に言い聞かせるように何度も頷き、何とか自我を保っていた。
 すると、意外な珍客が三人、ラウンジに入って来た。

「酔い覚ましに何か軽いもの頂戴……あ、 ジン様だ!」
「朔也!? 朔也がいるのですか?」

 入口に入るなり、こちらを指さして声を上げたカチュアにジルが反応した。
 三人を確認したニナたちが、咄嗟の事で驚いた。

「先生と神父様!?」
「それと……『元』奥さん?」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

クジを引いたら幼馴染と異世界に来て能力身につけた

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:61

斎王君は亡命中

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:2

愚者の狂想曲☆

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:63pt お気に入り:311

召喚勇者の餌として転生させられました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:6,462pt お気に入り:2,248

イートターンセックス 食事と性的な事が入れ替わった世界

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:63pt お気に入り:47

さようなら旦那様

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:47,874pt お気に入り:449

処理中です...