上 下
493 / 520
第9章 冬の……アナタ、どなた?

エピソード56-51

しおりを挟む
保養施設 スパエリア 円形黄金風呂

 部屋の準備が終わるまでの間、施設からの配慮でこの『円形黄金風呂』の入浴を許可されたニナとルリ、そしてレプリカ二体。
 単なる興味本位で快諾した二人だったが、この黄金風呂が由緒ある『御下賜品』だと説明を受け、恐縮してしまう。
 説明してくれた受付が去り、脱衣所にはニナとルリ、そしてレプリカ二体となった。

「……取り敢えず、 入ろうか?」
「そ、 そうですね……」

 ニナとルリは脱衣所で浴衣を脱ぎ、備え付けのバスタオルで身体を巻いた。
 そして二人は顔を見合わせ、二体のレプリカに向き直った。

「ダッシュ7様! 湯浴みのお時間でございます! お召し物をお脱ぎ下さいまし。 ヌフ」

 ルリはてきぱきとダッシュ7の帯を緩め、浴衣を脱がせると赤いフンドシ一丁になった。

「むはぁ……たまりませんのぉ……では、 失礼おば……グフ♡」

 ルリは片膝をつき、フンドシの結び目を握りって構えをとった。

「行きます! 秘技!『越中燕返し』!」シュン

 そう言ってルリが結び目の先を瞬時に引っ張ると、はらりとフンドシがめくれた。

「決まった……フフ、 フフフフフ」

 ルリは満足げに大きく頷いた。右手にはいつの間にか脱ぎたてのフンドシがあった。
 ダッシュ7の股間には、睦美から説明があった通り『イチモツ』は付いていなかった。

「さぁ! ジン様も脱ぎ脱ぎしようね♪」

 そしてニナはジンの浴衣の帯をほどき、おもむろに引っ張った。

「一度やってみたかったの! そぉ~れっ!」 
「ア~レェェェ~ッ♡♡」

 するとジンは、バレエダンサーのようにクルクルと回転しながら浴衣をはだけさせ、赤いブーメランパンツ一丁になった。
 当然だがジンが奇声を上げる事は無く、声はニナがアテレコしていたのだった。

「うん! 上出来♪ あとはこれだけだね?」

 ニナはしゃがみ込んでジンのパンツに手をかけ、一気にずり下ろした。

「グフフ~♡ うりゃぁ!」
「いやぁ~ん♡♡」 

 またもやニナのアテレコが入った。
 当然ジンの股間にも、『イチモツ』は付いていない。

「フム。 想定内とは言え、ちょっとテンション下がるよねぇ……」
 
 二人は隅の洗い場にレプリカを座らせ、洗面器に石鹸を泡立て始めた。
 ニナは周囲を見渡し、ルリに耳打ちした。

「先輩、 防犯カメラの位置ってどの辺だと思う?」
「フム……恐らくあの辺り、 かと?」

 ルリは怪しい所を指さした。
 それを聞いたニナは、洗い場の隅に立ってカメラの想定位置を確認した。

「すると……この辺は死角になるのかな?」
「そうですね……そこはあまり重要ではないと思いますので……」

 ルリの言葉を聞き、ニナはおもむろに何かを取り出した。

「やっぱ諦められなくて、 持って来ちゃった♡」 
「コ、 コレが伝説の疑似マラ『フルンチング』ですか!? ぶっふぅ~ん♡」

 フルンチングを見た途端、ルリの顔が歓喜に満ち溢れた。



              ◆ ◆ ◆ ◆



保養施設内 宿泊棟 『デルフィニウムの間』

 エスメラルダの思惑通り、バーにいた関係者全員にオイルマッサージをする羽目になったシズルー。
 部屋には元々風呂上りだったエスメラルダとラチャナの二人だけで、他の者は体を温める為に大浴場に行っていた。 

「シズルー! うるさいのが来る前に早く始めとくれ!」

 エスメラルダは「準備がある」と奥に行ったシズルーに向かって、声を張り上げた。

「うう、 どうしよう……困ったなぁ……」

 ラチャナはまだ、ベッドに顔をうずめて足をパタパタさせている。

「ジタバタしてるんじゃないよ、 生娘じゃあるまいし……」

 エスメラルダは呆れてラチャナを横目で見た。
 するとラチャナは蚊の鳴くような声で呟いた。

「だって私……だもん」
「は? 何だって?」

 エスメラルダが聞き返すと、ラチャナは顔を真っ赤にして言った。

「ですから! 私は生娘・バージン・処女なんですっ!」
「そんな筈が……大体アンタ、 入隊の時に受けたろう?『開通の儀』を……」

 『開通の儀』は、女性隊員が養成所を卒業して正式に入隊する際、『国に全てを捧げる』という名目で樹齢1万年の大木から作られた身体に精霊を宿したゴーレム『プロペト』と性行為を行う儀式である。
 しかし、実際に行われていたのははるか昔であり、現在ではそう言う『フリ』をするだけであるが。

「表向きは『した』事になっていますが、 当時は『姫巫女候補』でしたから、 それは免除されています……」

 赤星家を含む陰陽師を輩出する家系では、それぞれの名家・名門から選出された巫女を競わせ、優れた能力の者を『姫巫女』とする風習がある。

「結局私は選ばれませんでしたがね。 この通り『行き遅れ』に成り下がりましたよぉ……」
「それはお前の努力が足りなかったせいもあるだろう?『家柄』のせいに出来る歳はとっくに過ぎとる」

 事情を知ったエスメラルダは、あえて冷酷に言った。

「お前、 このままじゃ『賞味期限』どころか『消費期限』まで過ぎてしまうぞ?」
「ふぇ? イヤですそんなのぉ~!」

 ラチャナの足をパタパタさせる速さが倍近くに跳ね上がった。
 その時、奥から人影がこちらに近付いて来た。

「お待たせいたしました。 お客様」

 シズルーは二人に、うやうやしく頭を下げた。 

「来た来た。 とっとと始めてくれ」
「あわわわ……来ちゃった」 

 シズルーは黒い医療用ウェアを着て、桃色の長いストレートヘアをポニーテールにしていた。
 『ケーシー』と呼ばれる、半袖の肩でボタンを留めるタイプの医療用ウェアだった。

「施術の際の作業効率の向上を図り、 助手を召喚しました」パチン

 シズルーが指パッチンすると、もう一人同じ格好のシズルーが現れた。

「完全シンクロの【レプリカ】です」「どうも」
「うわっ!? イケメンが二人!?」
「式神使いのクセに、いちいち驚くんじゃないよ!」

 シズルーは助手と共にてきぱきと用意を始める。
 ベッドに大きめのタオルを敷き、小さいタオルで枕を作る。
 完全シンクロである為、息がピッタリなのは当然だった。

「では、お二人共、 こちらにうつ伏せになって下さい」
「おう」「は、はぃぃ」
 
 エスメラルダはどうっとベッドに突っ伏した。
 ラチャナは熱に浮かされたように、フワフワとうつ伏せになった。

「「では、始めます」」

 シズルーと助手の声がシンクロした。
 二人の浴衣の帯をほどき、浴衣をゆっくりと引きはがした。

「ひゃあ!」
「大丈夫。 怖くありませんよ」

 浴衣を脱がされ、ラチャナの身体がビクンと反応した。
 シズルーはすかさずタオルを身体にかけ、ラチャナを安心させた。

「「では、 オイル塗ります……」」

 シズルーと助手はそれぞれのタオルをゆっくりとめくり、背中を露出させた。
 手にオイルをなじませ、腰上から背中全体にオイルをのばす。
 手に力を入れ、大きく円を描くように腰から肩にかけて動かしていく。

「お、 おぉ……」
「はぁー。 気持ちイイ~っ」

 二人共リラックスしているようで、初手はまずまずの手ごたえを感じたシズルーだった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

クジを引いたら幼馴染と異世界に来て能力身につけた

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:61

斎王君は亡命中

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:2

愚者の狂想曲☆

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:49pt お気に入り:311

召喚勇者の餌として転生させられました

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:6,433pt お気に入り:2,248

イートターンセックス 食事と性的な事が入れ替わった世界

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:47

さようなら旦那様

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:46,208pt お気に入り:438

処理中です...