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第9章 冬の……アナタ、どなた?
エピソード52-28
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インベントリ内 プレイルーム
プレイルームの中は、がらんとした広めの空間に、パーテーションで区切ったAからDの四つの部屋が並んでいる。
「きゃっふぅぅん♡♡♡」
「おっふぅぅぅん♡♡♡」
「ぶっひぃぃぃん♡♡♡」
「ぱっふぅぅぅん♡♡♡」
各部屋から相変わらず悩まし気な声が響いている。
部屋から出て来た者は皆、天井の方を見ながら出口の方にフラフラと歩いていく。
「『ドリーム』が『トゥルー』になった……はぁ」
「あぁ、 ココが黄泉の国か……はぁ」
「もう、 一生お風呂には入らないぞぉ……はぁ」
「今朝、 何食べたっけ……はぁ」
出て来たユーザーに部員が例の言葉を発していた。
「こちらで後処理出来まぁーす!」
「使用済みの紙おむつは、こちらにお願いしまぁーす!」
部員が電話ボックス程の大きさの部屋が5基並んでいる所を指さした。
プレイルームから出て来たユーザーたちが次々にボックスに入り、後処理を済ませていた。
処理を済ませたユーザーの所に、部員が声をかけて来た。
「お疲れ様でしたっ。 こちらの増血剤をお飲み下さい!」
部員から丸薬の様なものを渡され、ユーザーはそれを口に放り込んだ。
「「「ぱぴぃ~!!」」」
薬を飲んだ直後、全身が黄色いオーラに包まれた。
「なんだろう? この充実感は……」
「うぉぉ! みなぎるパワー! 今夜は徹夜だー!」
薬を飲んだユーザーたちは、口々に何か言い残し、去って行く。
インベントリから献血カーを経てコミマケ会場に戻ったユーザーたち。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
場面が切り替わり、喫茶店の中が映し出された。
数人のユーザーが、お茶を飲みながら会話している。
「どぉだった? 購入特典イベ♡」
「最高だった……脳が溶けるかと思った」
「オマケ程度と侮っていたら、 とんでもなかったでござる……」
「禿同! だって自分が『薄い本』の内容とほとんど同じ事が体現できちゃったんだもん」
「驚いたのは、 あらゆるユーザーに特化したサービスよね?」
「そうそう。 下の世話まで行届いたサービスは秀悦だったわ」
「極めつけが最後にもらったクスリね。 アレでアノあとあんまり引きずらなくて正気でいられるもんね?」
「せやな。 アレ単体でひと商売出来ると思うわ」
ユーザーたちは概ね満足したようだ。
ユーザーの一人がみんなに話しかけた。
「ねぇ、 アナタたちの『神ボイス』聞かせてよぉ?」
「イイけど。 腰ぬかすわよぉ?」
「勿体ぶらないで、 早くぅ」
そのユーザーはおもむろに携帯端末を操作した。
【お目覚めかな? 僕の子ネコちゃん?】
【朝からギンギンじゃない♡ ボクがいま楽にしてアゲル♡】
「「「きゃっふぅぅん♡」」」
「アタシのもスゴいよ?」
【この世で一番可愛いよ、お前】
【下半身は正直だな?】
【俺なしじゃ、生きられない体にしてやるよ!】
「「「おっふぅぅぅん♡」」」
「ウチのもえぐいで?」
【どや、 エエか? ココか? ココがエエんか?】
【見て見い? お前のレマン湖、 大噴水やぞ?】
「サイテー! 静流様に何てハレンチな事を言わせたの?」
「何でそうなるん!? 内容的には変わらんやろ?」
「じゃあ、私の番ね?」
【欲しけりゃ自分で股開きな!】
【お前の穴という穴を全部俺で塞いでやるぜ!】
【さっさとイケよ! 気持ちいいんだろ?】
「「「ぱっふぅぅぅん♡」」」
ユーザーたちが交互に神ボイスを聞かせ、その度に悶絶していた。
◆ ◆ ◆ ◆
インベントリ内 管理事務所――
睦美は頬杖を突きながら、モニターでプレイルーム内の各部屋の様子や、献血カー付近の映像をチェックしていた。
「ふぅむ……概ね順調のようだな……」
別のモニターを見ていたカネメが、睦美に話しかけた。
「バトルも終わったみたいやで。 蘭ちゃんが優勝した!」
「そうか。 それは何よりだ」
カナメはジト目で睦美に言った。
「ムっちゃん、 しかしえげつない構図やな……」
「何とでも言え……ムフ」
睦美の隣には、体操着姿のダッシュ6のレプリカがニコニコと微笑みながら立っている。
睦美は片方の手でダッシュ6の尻を、ブルマの上から撫でていた。
そうこうしているうちに、左京が顔を出した。
「お疲れ様です! GM」
「ご苦労。おおよその見当はつくが、言ってみろ」
「お喜び下さい! 頒布品、 完売です!!」ビシィ!
左京は親指を立ててドヤ顔でそう言った。
「よし! 直ぐに伝票のチェックを始めろ! 決算書の作成を急げ!」
「御意!」
左京は勢いよく管理事務所を出て行った。
カナメが睦美に聞いた。
「これで冬コミも終わりやな。 どや? 採算は取れたんか?」
「収支決算を出して損益を計算しないとわからんが、間違いなく黒字ではある」
「ほぉー。 えらい自信やな?」
「今の完売報告で確信したよ。 みんなよくやってくれた」
睦美は大きく頷き、カナメに言った。
「撤収後に部室で決算報告と打ち上げを行う!」
◆ ◆ ◆ ◆
ポケクリバトル会場 蘭子の控室 15:15時――
大会が終わって賞金を手にした蘭子が、控室に帰って来た。
「おう、今帰ったぞ……」
「あ、お蘭さん! 優勝おめでとう!」パァァ
ドアを開け、静流と顔を合わせた蘭子は、静流の満面の笑みに足元がぐらついた。
「ひぁっ、 ま、 眩しい……」
「びっくりしたよ。 まさか、 向こうも【P-MAX】を使って来るとはね?」
蘭子は照れくさそうに頭を下げ、静流に言った。
「お静、 その節は世話になった……ありがとよ」
静流は慌てて手をブンブンと振り、蘭子に言った。
「いやいやいや。 入手できたのはホントにラッキーだっただけだし」
「で、 ソロ充は?」
「さっき撤収した。 よろしくって言ってたよ」
「そうか。 ひと言礼が言いたかったんだがよ……」
「お礼は僕から言っといた。 勝ったのは実力だって」
「これが実力かよ……行き当たりばったりだったじゃねぇかよ……」
蘭子は残念そうにそう言った。
「『フェミ通』で特集記事作る事があったら、取材に協力してくれって言ってたよ?」
「は? アタイが?」
「そうだよ。 お蘭さんは何て言っても『チャンピオン』なんだからさ♪」パァァ
「うひゃ、 お静、 やけにご機嫌じゃねぇかよ? どうかしたか?」
「次は全国だね♪ 頑張ってよ? 応援するからさ」パァァ
そう言ってまたニパを浴びせる静流。
「うひっ、 アタイ、 何かヤバい事に片足突っ込んでるよな……」
静流にそう言われ、事の重大さに今頃気付いた蘭子であった。
「そうそう。 ソロ充さんが何か言ってたなぁ……」
「あ? アイツが何て?」
「うーんと、 『いちばんのオキニ』をゲット出来る様に頑張ってね♪ みたいな感じだったね」
「あわわわ、 何言ってんだ? アイツは……」
それを聞いた蘭子の顔が、見る見る内に赤くなった。
「新作のポケクリの話かなぁ? 発売が待ち遠しいね?」
「へ? あ、 ああそうだな……」
(うっ、 今思い出すと相当ハズい事言ったんだな……コイツが鈍感で助かったぜ)
一瞬複雑な顔をした蘭子だったが、その後安堵の表情を浮かべた。
プレイルームの中は、がらんとした広めの空間に、パーテーションで区切ったAからDの四つの部屋が並んでいる。
「きゃっふぅぅん♡♡♡」
「おっふぅぅぅん♡♡♡」
「ぶっひぃぃぃん♡♡♡」
「ぱっふぅぅぅん♡♡♡」
各部屋から相変わらず悩まし気な声が響いている。
部屋から出て来た者は皆、天井の方を見ながら出口の方にフラフラと歩いていく。
「『ドリーム』が『トゥルー』になった……はぁ」
「あぁ、 ココが黄泉の国か……はぁ」
「もう、 一生お風呂には入らないぞぉ……はぁ」
「今朝、 何食べたっけ……はぁ」
出て来たユーザーに部員が例の言葉を発していた。
「こちらで後処理出来まぁーす!」
「使用済みの紙おむつは、こちらにお願いしまぁーす!」
部員が電話ボックス程の大きさの部屋が5基並んでいる所を指さした。
プレイルームから出て来たユーザーたちが次々にボックスに入り、後処理を済ませていた。
処理を済ませたユーザーの所に、部員が声をかけて来た。
「お疲れ様でしたっ。 こちらの増血剤をお飲み下さい!」
部員から丸薬の様なものを渡され、ユーザーはそれを口に放り込んだ。
「「「ぱぴぃ~!!」」」
薬を飲んだ直後、全身が黄色いオーラに包まれた。
「なんだろう? この充実感は……」
「うぉぉ! みなぎるパワー! 今夜は徹夜だー!」
薬を飲んだユーザーたちは、口々に何か言い残し、去って行く。
インベントリから献血カーを経てコミマケ会場に戻ったユーザーたち。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
場面が切り替わり、喫茶店の中が映し出された。
数人のユーザーが、お茶を飲みながら会話している。
「どぉだった? 購入特典イベ♡」
「最高だった……脳が溶けるかと思った」
「オマケ程度と侮っていたら、 とんでもなかったでござる……」
「禿同! だって自分が『薄い本』の内容とほとんど同じ事が体現できちゃったんだもん」
「驚いたのは、 あらゆるユーザーに特化したサービスよね?」
「そうそう。 下の世話まで行届いたサービスは秀悦だったわ」
「極めつけが最後にもらったクスリね。 アレでアノあとあんまり引きずらなくて正気でいられるもんね?」
「せやな。 アレ単体でひと商売出来ると思うわ」
ユーザーたちは概ね満足したようだ。
ユーザーの一人がみんなに話しかけた。
「ねぇ、 アナタたちの『神ボイス』聞かせてよぉ?」
「イイけど。 腰ぬかすわよぉ?」
「勿体ぶらないで、 早くぅ」
そのユーザーはおもむろに携帯端末を操作した。
【お目覚めかな? 僕の子ネコちゃん?】
【朝からギンギンじゃない♡ ボクがいま楽にしてアゲル♡】
「「「きゃっふぅぅん♡」」」
「アタシのもスゴいよ?」
【この世で一番可愛いよ、お前】
【下半身は正直だな?】
【俺なしじゃ、生きられない体にしてやるよ!】
「「「おっふぅぅぅん♡」」」
「ウチのもえぐいで?」
【どや、 エエか? ココか? ココがエエんか?】
【見て見い? お前のレマン湖、 大噴水やぞ?】
「サイテー! 静流様に何てハレンチな事を言わせたの?」
「何でそうなるん!? 内容的には変わらんやろ?」
「じゃあ、私の番ね?」
【欲しけりゃ自分で股開きな!】
【お前の穴という穴を全部俺で塞いでやるぜ!】
【さっさとイケよ! 気持ちいいんだろ?】
「「「ぱっふぅぅぅん♡」」」
ユーザーたちが交互に神ボイスを聞かせ、その度に悶絶していた。
◆ ◆ ◆ ◆
インベントリ内 管理事務所――
睦美は頬杖を突きながら、モニターでプレイルーム内の各部屋の様子や、献血カー付近の映像をチェックしていた。
「ふぅむ……概ね順調のようだな……」
別のモニターを見ていたカネメが、睦美に話しかけた。
「バトルも終わったみたいやで。 蘭ちゃんが優勝した!」
「そうか。 それは何よりだ」
カナメはジト目で睦美に言った。
「ムっちゃん、 しかしえげつない構図やな……」
「何とでも言え……ムフ」
睦美の隣には、体操着姿のダッシュ6のレプリカがニコニコと微笑みながら立っている。
睦美は片方の手でダッシュ6の尻を、ブルマの上から撫でていた。
そうこうしているうちに、左京が顔を出した。
「お疲れ様です! GM」
「ご苦労。おおよその見当はつくが、言ってみろ」
「お喜び下さい! 頒布品、 完売です!!」ビシィ!
左京は親指を立ててドヤ顔でそう言った。
「よし! 直ぐに伝票のチェックを始めろ! 決算書の作成を急げ!」
「御意!」
左京は勢いよく管理事務所を出て行った。
カナメが睦美に聞いた。
「これで冬コミも終わりやな。 どや? 採算は取れたんか?」
「収支決算を出して損益を計算しないとわからんが、間違いなく黒字ではある」
「ほぉー。 えらい自信やな?」
「今の完売報告で確信したよ。 みんなよくやってくれた」
睦美は大きく頷き、カナメに言った。
「撤収後に部室で決算報告と打ち上げを行う!」
◆ ◆ ◆ ◆
ポケクリバトル会場 蘭子の控室 15:15時――
大会が終わって賞金を手にした蘭子が、控室に帰って来た。
「おう、今帰ったぞ……」
「あ、お蘭さん! 優勝おめでとう!」パァァ
ドアを開け、静流と顔を合わせた蘭子は、静流の満面の笑みに足元がぐらついた。
「ひぁっ、 ま、 眩しい……」
「びっくりしたよ。 まさか、 向こうも【P-MAX】を使って来るとはね?」
蘭子は照れくさそうに頭を下げ、静流に言った。
「お静、 その節は世話になった……ありがとよ」
静流は慌てて手をブンブンと振り、蘭子に言った。
「いやいやいや。 入手できたのはホントにラッキーだっただけだし」
「で、 ソロ充は?」
「さっき撤収した。 よろしくって言ってたよ」
「そうか。 ひと言礼が言いたかったんだがよ……」
「お礼は僕から言っといた。 勝ったのは実力だって」
「これが実力かよ……行き当たりばったりだったじゃねぇかよ……」
蘭子は残念そうにそう言った。
「『フェミ通』で特集記事作る事があったら、取材に協力してくれって言ってたよ?」
「は? アタイが?」
「そうだよ。 お蘭さんは何て言っても『チャンピオン』なんだからさ♪」パァァ
「うひゃ、 お静、 やけにご機嫌じゃねぇかよ? どうかしたか?」
「次は全国だね♪ 頑張ってよ? 応援するからさ」パァァ
そう言ってまたニパを浴びせる静流。
「うひっ、 アタイ、 何かヤバい事に片足突っ込んでるよな……」
静流にそう言われ、事の重大さに今頃気付いた蘭子であった。
「そうそう。 ソロ充さんが何か言ってたなぁ……」
「あ? アイツが何て?」
「うーんと、 『いちばんのオキニ』をゲット出来る様に頑張ってね♪ みたいな感じだったね」
「あわわわ、 何言ってんだ? アイツは……」
それを聞いた蘭子の顔が、見る見る内に赤くなった。
「新作のポケクリの話かなぁ? 発売が待ち遠しいね?」
「へ? あ、 ああそうだな……」
(うっ、 今思い出すと相当ハズい事言ったんだな……コイツが鈍感で助かったぜ)
一瞬複雑な顔をした蘭子だったが、その後安堵の表情を浮かべた。
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