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第9章 冬の……アナタ、どなた?
エピソード52-23
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インベントリ内 休憩スペース VIP席 14:00時――
大画面モニターの正面にある三人掛けソファーには、中央に真琴とシズムが座っている。
両隣に置いてある一人掛けソファーには雪乃とリナが座り、コの字型に置いた二人掛けソファーには、素子とリリィが座っている。
モニターでは『ニャンニャン動画』の『ポケクリバトル個人戦』の生中継を受信している。
素子が目を輝かせながら、リナに話しかけた。
「蘭ちゃん、 ここまでは順当に進みましたね? リナお姉様♪」
「素子? あれが順当だと思うか? 蘭子の奴、 感情に支配されてたじゃんかよ?」
「イイのです! 怒りは時に、修羅と化すものです!」ビシィ!
「何だそりゃ、 意味わかんねぇ……」
素子は決めポーズをしながら言った。
「でも、あんな乱暴な戦い方をして、静流サンが付いていながらどうして……?」
雪乃は縦ロールの髪をいじりながら、神妙な顔つきでそう言った。
「とにかく! 圧倒的勝利だったんですから良しとしましょうよ!」
重くなった場を何とかしようと、素子は声を張り上げた。
「確かにさっきの試合は凄まじい殺気を感じたね。 静流クンと喧嘩でもしたのかな?」
「それは無いと思いますよ? 静流のヤツ、 鈍感過ぎてイラつく事はあるけど」
「確かに。 何となくわかるな……」
リリィと真琴の推測は、あたらずとも遠からずだった。
◆ ◆ ◆ ◆
ポケクリバトル会場 蘭子の控室 14:10時――
先ほど蘭子がADに呼ばれ、控室を出て行ったあとは、静流とソロ充が残っていた。
セコンドといえど、同伴出来るのは控室までと言う決まりだった。
「行っちゃったね、ツンギレさん」
「お蘭さん、大丈夫かなぁ……」
「信じてあげなさいよ。 パートナーなんでしょ?」
「パートナーって、リア充じゃないですよ? でも気になるな……」
静流は心配そうに備え付けのPCを眺めた。
「ソロ充さん、このやり取り、どう思います?」
「大体考える事は同じね。私も使ったのよDM」
画面にはメールソフトが立ち上がっており、何かやりとりをしているようだった。
それは業務用に入れてあるメールソフトで、準決勝でソロ充が使ったDMも同じソフトだった。
やり取りの内容は以下の様だった。
(ツンデレ、 お前太刀川の『モナカ』でリナたちとたむろってたヤツだろ?)
(それが何か?)
(俺にはわかる。 ココにいるんだろ? リナがよ)
(いねぇよ。 数年前からアネキは行方不明だ)
(しらばっくれんじゃねぇ! わかるんだよ、俺にはな)
(勝手に勘繰るのは自由だが、面倒だけは起こすなよ?)
(もういい。 俺の好きにさせてもらう)
(何をするつもりだ?)
メールのやりとりはここで終わっていた。
「リナ姉がいるって、 どうしてわかったんだろう?」
「さぁね。 さっきの話だと、 相当入れ込んでるみたいじゃない」
◆ ◆ ◆ ◆
ポケクリバトル会場 14:15時――
決勝の開始時刻となり、蘭子はADに誘導され、対戦用ボックスに入った。
「では、次の指示をお待ち下さい」
「うす」
特設ステージでは、司会進行のシロミとクロミが実況席で話し始めた。
「えー、 クロミさん、 いよいよ決勝戦ですが、 見どころはどの辺りでしょう?」
「うーん、 そうですねぇ。 準決勝までのお互いの戦い方がヒントになるのではないでしょうか?」
「と、 言いますと?」
「ここまでは極力ノーマル技を駆使し、 相手に手の内を明かさぬよう戦っていましたが、決勝では何でもアリのガチバトルが見れるでしょう!」
「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」
「間もなく始まります最終決戦、勝利の女神はどちらに微笑むか?」
カンペが出され、シロミからアナウンスが入った。
「それでは、『ポケットクリーチャー・ギルガメッシュ』制作決定記念企画」
『ポケクリバトルトーナメント個人戦IN膜張』決勝戦を行います!」
「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」
大型スクリーンに二体のアバターが表示され、会場が一層沸いた。
『ツンギレ』と表示された蘭子のスケバン風アバターと、『オリジナル笑顔』と表示されている、片桐のパンク系アバターが睨み合っている。
スケバン対パンク小僧のアバターが睨み合っていると、観客から笑いが漏れた。
「何か中二病同士のタイマンみたいじゃね?」
「それ、 受けるぅ~」
場があったまったのを確認し、シロミが進行を続けた。
「では、互いのポケクリを表示し、30秒以内に三体選んでて下さい!」
「演出上申し訳ありませんが、ここでCMを挟みまーすっ!」
『提供は、 100人乗っても大丈夫! でおなじみのジュンテンドースイッチ』
『スカッとさわやか デュアルゴールド』
『やめられない、とまらないの でっぱえびせん でお送りしまーすっ』
クロミたちが提供を読み上げている間に、両者ともポケクリの選択が終わったようだ。
「それでは発表です! オープン!!」
二人の持ってきたポケモンが、一斉に開示された。
「「「「わぁぁぁぁ!!」」」」
ツンギレ ギシアン(フェアリー/毒) ブルーアイズレッドドラゴン(炎/エスパー/ドラゴン) ブラッカラム(きょうあく/毒/ドラゴン)
オリジナル笑顔 バキ(格闘/鋼) ガイアギアー(エスパー/地面/ドラゴン) ヒロポン(フェアリー/虫)
「おっとツンギレ選手、いよいよラスボス『ブラッカラム』を出して来ました!」
「オリジナル笑顔選手は、今回初のフェアリーを起用、『ヒロポン』です!」
「ふぅむ。 セオリー通り、 ドラゴン対策を講じて来ましたか」
シロミは片桐にコメントを求めた。
「それではオリジナル笑顔選手、一言お願いします!」
プレイヤーはインカムを装着開いており、プレイヤーの声に合わせてアバターが動くようになっている。
オリジナル笑顔がドヤ顔でツンギレを指さし、機械音声っぽい声で言い放った。
『おいツンギレ! てめぇは初顔合わせだと思ってんだろうが、 俺はお前を知ってる。 ココで会ったが100年目、 覚悟しやがれ!』
次にクロミが蘭子にコメントを求めた。
「続いてツンギレ選手、一言どうぞ!」
『ああ。 忘れるかよ、そのツラ。 返り討ちにしてやるぜ!』
スクリーンに対決する二人のアバターが映し出された。
「「「「わぁぁぁぁ!!」」」」
シロミが試合開始を宣言した。
「それでは個人戦決勝、スタートします!」
懐かしいBGMと共に巨大スクリーンに『START!』の文字が映し出された。
「「「「うぉぉぉー!!」」」」
大画面モニターの正面にある三人掛けソファーには、中央に真琴とシズムが座っている。
両隣に置いてある一人掛けソファーには雪乃とリナが座り、コの字型に置いた二人掛けソファーには、素子とリリィが座っている。
モニターでは『ニャンニャン動画』の『ポケクリバトル個人戦』の生中継を受信している。
素子が目を輝かせながら、リナに話しかけた。
「蘭ちゃん、 ここまでは順当に進みましたね? リナお姉様♪」
「素子? あれが順当だと思うか? 蘭子の奴、 感情に支配されてたじゃんかよ?」
「イイのです! 怒りは時に、修羅と化すものです!」ビシィ!
「何だそりゃ、 意味わかんねぇ……」
素子は決めポーズをしながら言った。
「でも、あんな乱暴な戦い方をして、静流サンが付いていながらどうして……?」
雪乃は縦ロールの髪をいじりながら、神妙な顔つきでそう言った。
「とにかく! 圧倒的勝利だったんですから良しとしましょうよ!」
重くなった場を何とかしようと、素子は声を張り上げた。
「確かにさっきの試合は凄まじい殺気を感じたね。 静流クンと喧嘩でもしたのかな?」
「それは無いと思いますよ? 静流のヤツ、 鈍感過ぎてイラつく事はあるけど」
「確かに。 何となくわかるな……」
リリィと真琴の推測は、あたらずとも遠からずだった。
◆ ◆ ◆ ◆
ポケクリバトル会場 蘭子の控室 14:10時――
先ほど蘭子がADに呼ばれ、控室を出て行ったあとは、静流とソロ充が残っていた。
セコンドといえど、同伴出来るのは控室までと言う決まりだった。
「行っちゃったね、ツンギレさん」
「お蘭さん、大丈夫かなぁ……」
「信じてあげなさいよ。 パートナーなんでしょ?」
「パートナーって、リア充じゃないですよ? でも気になるな……」
静流は心配そうに備え付けのPCを眺めた。
「ソロ充さん、このやり取り、どう思います?」
「大体考える事は同じね。私も使ったのよDM」
画面にはメールソフトが立ち上がっており、何かやりとりをしているようだった。
それは業務用に入れてあるメールソフトで、準決勝でソロ充が使ったDMも同じソフトだった。
やり取りの内容は以下の様だった。
(ツンデレ、 お前太刀川の『モナカ』でリナたちとたむろってたヤツだろ?)
(それが何か?)
(俺にはわかる。 ココにいるんだろ? リナがよ)
(いねぇよ。 数年前からアネキは行方不明だ)
(しらばっくれんじゃねぇ! わかるんだよ、俺にはな)
(勝手に勘繰るのは自由だが、面倒だけは起こすなよ?)
(もういい。 俺の好きにさせてもらう)
(何をするつもりだ?)
メールのやりとりはここで終わっていた。
「リナ姉がいるって、 どうしてわかったんだろう?」
「さぁね。 さっきの話だと、 相当入れ込んでるみたいじゃない」
◆ ◆ ◆ ◆
ポケクリバトル会場 14:15時――
決勝の開始時刻となり、蘭子はADに誘導され、対戦用ボックスに入った。
「では、次の指示をお待ち下さい」
「うす」
特設ステージでは、司会進行のシロミとクロミが実況席で話し始めた。
「えー、 クロミさん、 いよいよ決勝戦ですが、 見どころはどの辺りでしょう?」
「うーん、 そうですねぇ。 準決勝までのお互いの戦い方がヒントになるのではないでしょうか?」
「と、 言いますと?」
「ここまでは極力ノーマル技を駆使し、 相手に手の内を明かさぬよう戦っていましたが、決勝では何でもアリのガチバトルが見れるでしょう!」
「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」
「間もなく始まります最終決戦、勝利の女神はどちらに微笑むか?」
カンペが出され、シロミからアナウンスが入った。
「それでは、『ポケットクリーチャー・ギルガメッシュ』制作決定記念企画」
『ポケクリバトルトーナメント個人戦IN膜張』決勝戦を行います!」
「「「「わぁぁぁぁー!!」」」」
大型スクリーンに二体のアバターが表示され、会場が一層沸いた。
『ツンギレ』と表示された蘭子のスケバン風アバターと、『オリジナル笑顔』と表示されている、片桐のパンク系アバターが睨み合っている。
スケバン対パンク小僧のアバターが睨み合っていると、観客から笑いが漏れた。
「何か中二病同士のタイマンみたいじゃね?」
「それ、 受けるぅ~」
場があったまったのを確認し、シロミが進行を続けた。
「では、互いのポケクリを表示し、30秒以内に三体選んでて下さい!」
「演出上申し訳ありませんが、ここでCMを挟みまーすっ!」
『提供は、 100人乗っても大丈夫! でおなじみのジュンテンドースイッチ』
『スカッとさわやか デュアルゴールド』
『やめられない、とまらないの でっぱえびせん でお送りしまーすっ』
クロミたちが提供を読み上げている間に、両者ともポケクリの選択が終わったようだ。
「それでは発表です! オープン!!」
二人の持ってきたポケモンが、一斉に開示された。
「「「「わぁぁぁぁ!!」」」」
ツンギレ ギシアン(フェアリー/毒) ブルーアイズレッドドラゴン(炎/エスパー/ドラゴン) ブラッカラム(きょうあく/毒/ドラゴン)
オリジナル笑顔 バキ(格闘/鋼) ガイアギアー(エスパー/地面/ドラゴン) ヒロポン(フェアリー/虫)
「おっとツンギレ選手、いよいよラスボス『ブラッカラム』を出して来ました!」
「オリジナル笑顔選手は、今回初のフェアリーを起用、『ヒロポン』です!」
「ふぅむ。 セオリー通り、 ドラゴン対策を講じて来ましたか」
シロミは片桐にコメントを求めた。
「それではオリジナル笑顔選手、一言お願いします!」
プレイヤーはインカムを装着開いており、プレイヤーの声に合わせてアバターが動くようになっている。
オリジナル笑顔がドヤ顔でツンギレを指さし、機械音声っぽい声で言い放った。
『おいツンギレ! てめぇは初顔合わせだと思ってんだろうが、 俺はお前を知ってる。 ココで会ったが100年目、 覚悟しやがれ!』
次にクロミが蘭子にコメントを求めた。
「続いてツンギレ選手、一言どうぞ!」
『ああ。 忘れるかよ、そのツラ。 返り討ちにしてやるぜ!』
スクリーンに対決する二人のアバターが映し出された。
「「「「わぁぁぁぁ!!」」」」
シロミが試合開始を宣言した。
「それでは個人戦決勝、スタートします!」
懐かしいBGMと共に巨大スクリーンに『START!』の文字が映し出された。
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