310 / 520
第9章 冬の……アナタ、どなた?
エピソード50-11
しおりを挟む
桃魔術研究会 第二部室 睦美のオフィス兼カナメのラボ――
『コミマケ』のスケジュールについて、睦美から説明を受ける静流たち。
「では御覧頂こう。これだ!」バシッ
睦美は静流の前にA4のコピー用紙を勢いよく置いた。
「えー、どれどれ? うわぁ……」
静流は自分の前にあるコピー用紙を見て、驚きと呆れが混じった声を漏らした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
五十嵐静流殿 日程表
◎1日目
AM6:00 起床
7:00 朝食
8:45 登校
9:00 膜張到着、メイク、衣装確認
10:00~ 頒布開始
(随時マスコミ対応)
11:00~ サラ・リーマン先生とご回遊
12:00 昼食
PM13:00~ ポケクリバトル 団体戦予選開始
14:00~ 団体戦決勝
14:30 30分休憩
15:00~『PJT S4』始動
16:30 頒布終了、片付け後、撤収
◎2日目
AM6:00 起床
7:00 朝食
8:45 登校
9:00 膜張到着、メイク、衣装確認
10:00~ 頒布開始
(随時マスコミ対応)
10:30~ ポケクリバトル 個人戦予選開始
11:30~ 個人戦決勝
12:00 昼食
PM13:00~ 『PJT S4』始動
15:00~ 30分休憩
15:30~ 『PJT S4』再開
16:30 頒布終了、片付け後、撤収
17:00 収支報告
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
静流の両脇を、達也と蘭子が身を乗り出してコピー用紙を見ている。
「うわ、起床時間まで載ってる……」
「期間中はブラム氏に、第一部室と膜張とを【簡易ゲート】で接続するので、移動時間は心配しなくてイイ」
「それはそれは。至れり尽くせりですね……」
達也がある事に気付いた。
「ん? ココの時間ってつまり、サラちゃんとデートって事か?」
「何ィ!? お静! どう言うこったそりゃあ!?」
両脇から同時に責められ、気まずそうな顔の静流。
「そう言えば忘れてた……『あの絵』の件で、一緒に回る約束、してたんだっけ……」
『国尼祭』で出品した静流の『自画像』を提供する際に、一緒にコミマケを見て回る事を約束していた事を思い出した静流。
「サラ先生がな、打合せの度に念を押して来るのだよ。しつこいくらいにね……」
「うわぁ、責任重大だ……」
そう言って頭を抱えた静流。
「待てよ? サラちゃんが来るって事は……?」
「残念だがヨーコ君たちは、今回は遠慮するとの事だ」
「な、何ですとぉ?……アンナ様ぁ……うぅ」
一瞬目を輝かせた達也だったが、それ以上テンションは上がらなかった。
「私が当日の大まかなスケジュールを伝え、あまり構ってやれない旨を説明しておいたのだ」
「あのヨーコが? やけにあっさりと引いたな……」
「彼女たちなりに、気を遣っているのだろうよ」
静流はヨーコが簡単に引き下がるとは思わなかったが、それどころでは無かった為、一旦頭の隅っこに置いた。
「睦美先輩、『S4』についての具体的な活動について、説明お願いします」
「それそれ、その『S4』とやらが気になるんですが、何をやらかすんです?」
達也たちにとっては、『S4』の件は初耳だった。
「わかった。先ずは概要から説明しよう」
睦美は、達也たちの為に概要から説明した。
プロジェクト『S4』とは、
・シズムの兄である井川ユズルが静流にコスプレをする。
・他に【化装術】が使える薫子、ブラム、ロディを招き、それぞれ静流にコスプレをする。
・その結果、四人の静流が公式に降臨することとなり、その際のグループ名を『S4』とする。
「成程ね。静流を四人用意するとは、考えましたね?」
「お静が4人!? 素性がバレたりしないのか?」
「その為に井川ユズルをダシに使うんだ。『コミマケ』での静流キュンの立場は、あくまでも『二次元』でなくてはならないのでね」
「って言う事は、『コミマケ』に参加している時は、常にユズルでなきゃいけないんですね?」
「肯定だ。ウチはミフネと契約し、井川兄妹を二日間雇っている事になる。白黒ミサは当然ボランティアだがな。クックック」
「ムっちゃん、えげつないなぁ……」
すかさずツッコミを入れるカナメ。
「それで、四人の僕をガン首揃えて、何をさせようと?」
「ユーザーたちに、『癒し』を提供するのだ!」
「癒し、ですか?」
「システムはこうだ」
ユーザーが『癒し』を得るには、下記の条件を満たす必要がある。
・『薄い本』購入時に『クーポン券』を入手する。
・クーポン券には点数があり、その点数に見合った『癒し』が提供される。
・『薄い本』一冊につき100ポイントのクーポン券が配布される。
ポイント毎の『癒し』については、
・100ポイント 寸劇鑑賞(睡眠カプセル使用。3分)
・300ポイント以上 上記に加え握手、写真撮影、リクエストボイス等
「そのシステムだと、3冊買うのがマストって事になるな」
「生身の人間には触れたくないと言う者もいるから、それはわからんよ」
睦美は説明を続けた。
「四人の静流キュンには、それぞれのキャラに扮してもらい、オーダーシートの内容で誰に担当してもらうかを決める」
「四人の内訳は?」
「今考えているキャラはこんな所だな」
・作品の七割を占める、オーソドックスな『受け』の静流。
・希少な『攻め』である『シズルー大尉』
・オールマイティーな『シズベール』
・男の娘キャラの『シズミ』
「最後の『シズミ』は、どう言うポジションなのですか?」
「女の子みたいな男の子と言うシチュで、主にショタ系にウケるキャラだね。意外と需要、あるんだぞ? 私もシズミちゃんと薫子お姉様の絡みを想像するとだな……ムフゥ」
「わ、わかりましたから、それ以上言わないでイイです」
顔を赤くして、ニヤけている睦美の言葉を遮った静流。
「あとは予備として、ダッシュ7だろうね。 アレもリクエストが多いだろうから」
「ふぅ、さいですか……」
静流は溜息をつき、肝心な事を聞いた。
「オーダーシートの内容って、無茶な事、書かれたりしません?」
「常識を逸脱するものは却下させるさ。ちゃんと担当を付けて審査させるから、安心してくれたまえ」
「担当って、どなたがやるんです?」
「予定は白黒ミサがやる事になっている」
「白黒ミサ先輩か……大丈夫かなぁ?」
「問題無いさ。キツめのオーダーは静流キュンには回さないから」
「ほんっとに、お願いしますね?」
「ああ、約束する」
眉間にしわを寄せ、静流は念を押した。
『コミマケ』のスケジュールについて、睦美から説明を受ける静流たち。
「では御覧頂こう。これだ!」バシッ
睦美は静流の前にA4のコピー用紙を勢いよく置いた。
「えー、どれどれ? うわぁ……」
静流は自分の前にあるコピー用紙を見て、驚きと呆れが混じった声を漏らした。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
五十嵐静流殿 日程表
◎1日目
AM6:00 起床
7:00 朝食
8:45 登校
9:00 膜張到着、メイク、衣装確認
10:00~ 頒布開始
(随時マスコミ対応)
11:00~ サラ・リーマン先生とご回遊
12:00 昼食
PM13:00~ ポケクリバトル 団体戦予選開始
14:00~ 団体戦決勝
14:30 30分休憩
15:00~『PJT S4』始動
16:30 頒布終了、片付け後、撤収
◎2日目
AM6:00 起床
7:00 朝食
8:45 登校
9:00 膜張到着、メイク、衣装確認
10:00~ 頒布開始
(随時マスコミ対応)
10:30~ ポケクリバトル 個人戦予選開始
11:30~ 個人戦決勝
12:00 昼食
PM13:00~ 『PJT S4』始動
15:00~ 30分休憩
15:30~ 『PJT S4』再開
16:30 頒布終了、片付け後、撤収
17:00 収支報告
――――――――――――――――――――――――――――――――――――
静流の両脇を、達也と蘭子が身を乗り出してコピー用紙を見ている。
「うわ、起床時間まで載ってる……」
「期間中はブラム氏に、第一部室と膜張とを【簡易ゲート】で接続するので、移動時間は心配しなくてイイ」
「それはそれは。至れり尽くせりですね……」
達也がある事に気付いた。
「ん? ココの時間ってつまり、サラちゃんとデートって事か?」
「何ィ!? お静! どう言うこったそりゃあ!?」
両脇から同時に責められ、気まずそうな顔の静流。
「そう言えば忘れてた……『あの絵』の件で、一緒に回る約束、してたんだっけ……」
『国尼祭』で出品した静流の『自画像』を提供する際に、一緒にコミマケを見て回る事を約束していた事を思い出した静流。
「サラ先生がな、打合せの度に念を押して来るのだよ。しつこいくらいにね……」
「うわぁ、責任重大だ……」
そう言って頭を抱えた静流。
「待てよ? サラちゃんが来るって事は……?」
「残念だがヨーコ君たちは、今回は遠慮するとの事だ」
「な、何ですとぉ?……アンナ様ぁ……うぅ」
一瞬目を輝かせた達也だったが、それ以上テンションは上がらなかった。
「私が当日の大まかなスケジュールを伝え、あまり構ってやれない旨を説明しておいたのだ」
「あのヨーコが? やけにあっさりと引いたな……」
「彼女たちなりに、気を遣っているのだろうよ」
静流はヨーコが簡単に引き下がるとは思わなかったが、それどころでは無かった為、一旦頭の隅っこに置いた。
「睦美先輩、『S4』についての具体的な活動について、説明お願いします」
「それそれ、その『S4』とやらが気になるんですが、何をやらかすんです?」
達也たちにとっては、『S4』の件は初耳だった。
「わかった。先ずは概要から説明しよう」
睦美は、達也たちの為に概要から説明した。
プロジェクト『S4』とは、
・シズムの兄である井川ユズルが静流にコスプレをする。
・他に【化装術】が使える薫子、ブラム、ロディを招き、それぞれ静流にコスプレをする。
・その結果、四人の静流が公式に降臨することとなり、その際のグループ名を『S4』とする。
「成程ね。静流を四人用意するとは、考えましたね?」
「お静が4人!? 素性がバレたりしないのか?」
「その為に井川ユズルをダシに使うんだ。『コミマケ』での静流キュンの立場は、あくまでも『二次元』でなくてはならないのでね」
「って言う事は、『コミマケ』に参加している時は、常にユズルでなきゃいけないんですね?」
「肯定だ。ウチはミフネと契約し、井川兄妹を二日間雇っている事になる。白黒ミサは当然ボランティアだがな。クックック」
「ムっちゃん、えげつないなぁ……」
すかさずツッコミを入れるカナメ。
「それで、四人の僕をガン首揃えて、何をさせようと?」
「ユーザーたちに、『癒し』を提供するのだ!」
「癒し、ですか?」
「システムはこうだ」
ユーザーが『癒し』を得るには、下記の条件を満たす必要がある。
・『薄い本』購入時に『クーポン券』を入手する。
・クーポン券には点数があり、その点数に見合った『癒し』が提供される。
・『薄い本』一冊につき100ポイントのクーポン券が配布される。
ポイント毎の『癒し』については、
・100ポイント 寸劇鑑賞(睡眠カプセル使用。3分)
・300ポイント以上 上記に加え握手、写真撮影、リクエストボイス等
「そのシステムだと、3冊買うのがマストって事になるな」
「生身の人間には触れたくないと言う者もいるから、それはわからんよ」
睦美は説明を続けた。
「四人の静流キュンには、それぞれのキャラに扮してもらい、オーダーシートの内容で誰に担当してもらうかを決める」
「四人の内訳は?」
「今考えているキャラはこんな所だな」
・作品の七割を占める、オーソドックスな『受け』の静流。
・希少な『攻め』である『シズルー大尉』
・オールマイティーな『シズベール』
・男の娘キャラの『シズミ』
「最後の『シズミ』は、どう言うポジションなのですか?」
「女の子みたいな男の子と言うシチュで、主にショタ系にウケるキャラだね。意外と需要、あるんだぞ? 私もシズミちゃんと薫子お姉様の絡みを想像するとだな……ムフゥ」
「わ、わかりましたから、それ以上言わないでイイです」
顔を赤くして、ニヤけている睦美の言葉を遮った静流。
「あとは予備として、ダッシュ7だろうね。 アレもリクエストが多いだろうから」
「ふぅ、さいですか……」
静流は溜息をつき、肝心な事を聞いた。
「オーダーシートの内容って、無茶な事、書かれたりしません?」
「常識を逸脱するものは却下させるさ。ちゃんと担当を付けて審査させるから、安心してくれたまえ」
「担当って、どなたがやるんです?」
「予定は白黒ミサがやる事になっている」
「白黒ミサ先輩か……大丈夫かなぁ?」
「問題無いさ。キツめのオーダーは静流キュンには回さないから」
「ほんっとに、お願いしますね?」
「ああ、約束する」
眉間にしわを寄せ、静流は念を押した。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
60
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる