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第5章 夏の終わりのハーモニー
エピソード35-15
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402号室 ―― 早朝
朝の陽ざしが顔にかかり、目が覚める静流。
「う、うう~ん」
両隣を見ると、美千留と真琴が可愛い寝息を立てている。
「こうしているとカワイイんだけどなぁ、二人共」
静流は二人の頭をそっと撫でた。
「うみゅう? しず兄?」
「なぁに? もう朝なのぉ、静流?」
「うん。もう朝だよ。起きる?」
そう言って静流が二人を見ると、
「え? 何で二人共、下着姿なの!?」
「んもぅ、忘れたの? しず兄」
「責任、取ってよね?」ポォォ
二人はそう言って顔を赤くした。
「うぇ!? 嘘でしょ? 何もしてないし、いつ元に戻ったか、わからないし」
静流は頭を抱え、盛大に取り乱している。すると、
「プ。ククク、バカだなぁ、しず兄は」
「まさか、真に受けるなんてね、アハハ」
動揺している静流があまりに滑稽だったのか、二人は吹き出してしまう。
「あ、お前たち、騙したな?」
「騙される静流が悪いよ」
「何かやましい事、考えてたでしょ? スケベ」
「あーもう、これだからお前たちは。さっきカワイイって思ったの、やっぱ取り消すわ」
「え? そんな事思ってたの?」
「意外。結構効果あったのかな?」
「もう、知りません!」
◆ ◆ ◆ ◆
食堂 朝
静流たちは、朝食を摂りに食堂に来た。
バイキング形式になっており、皿に好きなものを取っていく。
「おはよう、静流クン」
「おはようございます、アマンダさん」
「夕べは良く眠れた?」
「はぁ、まあ」
「あまり眠れなかったの? コッチはあの後グッスリよ」
「そうでしたか。疲れは取れたみたいですね?」
「わかる? お肌もスベスベよ? 触る?」
「い、いえ。見た目で良くわかりますから」
「そお? それは残念」
アマンダとの会話を済ませ、真琴たちのいる席に着く。とそこに、
「おはよう、静流クン!」
「おはようございます、静流様!」
澪と佳乃が挨拶をして来た。
「おはよう、ミオ姉。佳乃さんも」
「静流様、夕べ、自分は何かやらかしたのでありますか?」
「この子、何も覚えてないみたいなの。かわいそうに」
佳乃は夕べ、静流に甘えん坊MAXだった事を、完全に覚えていないようだ。
「そうですね。ちょっと酔っぱらってた位で、特に何も無かった? ですよ」
「そうでありますか。何かしっくり来ないのでありますよ」
「そりゃあ、佳乃が悪いわよ。先に寝ちゃうんだもん」
「は? 何かあったのでありますか? 静流様?」
「い、いやぁ、特にこれといった事は……」
佳乃に問い詰められ、どう胡麻化すか思考を巡らせていると、
「静流クゥン、夕べは最高だったわぁ」
「癒しの効果は抜群ね。これで商売できるかもよ?」
仁奈とリリィであった。次に、
「静流様! 素敵な夜をありがとうございました! ムフゥ」
「静流様ぁ、『朝チュン』期待してたんですよぉ? あのあと、どこに行ってたんですかぁ?」
レヴィと萌がそう言うと、
「静流、夜中に露天風呂ではしゃいでおったろう?」
「あ、イイなぁ、私たちも行きたかったぁ」
イクと工藤姉妹であった。そして、
「静流様、あのタワシ、本当に頂いても?」
「イイですよ。 あんな物で良ければ」
「最高です! アレがあれば、ほとんどの女性はイチコロでしょう。殿方にも使えるかも知れませんね、ムフゥ」
「フジ子さん、アレを悪用しないで下さいね?」
「もちろんです! アレで新たな性感帯を開発する事が、どんなに素晴らしい事か」
フジ子は頬に手をやり、クネクネと身体をひねっている。すると佳乃が、
「静流様ぁ、やっぱり何かありましたよね? 自分だけ乗り遅れているのではありませんか?」
「乗り遅れてはいない、と思いますよ? 多分」
「うわーん、自分のバカァ! 何も思い出せないでありますぅ」
頭を抱えて身もだえる佳乃の仕草は、動物園の人気者のヒグマがやるようなポーズであった。
「そう言えば少佐殿、さっき管理センターに呼び出されてたっすよね?」
「ええ。夕べの件で、少し聞かれたわ。何でも4階フロア全体に『アノ技』が発動したみたいで、あのフロアにいた女性従業員が全員『イッた』みたいよ」
「そりゃあえげつないですなぁ、で、何て答えたんすか?」
「女性をいかに癒すかの実験で、いささかやり過ぎた、って事にしておいたわ」
「そんなんで納得したんすか? 管理センターの人」
「立ち会ったドクターが、ちょっとした知り合いだったから、交換条件でフォローしてもらったの」
「条件? 何です?」
「その子も受けてみたいらしいの。夕べの技」
「はぁ。また虜になっちゃう子が増えちゃいますね。罪だなぁ、静流クンも」
アマンダとリリィは、隅っこで美千留と戯れている静流を、暖かい目で見守った。
◆ ◆ ◆ ◆
朝食後にコーヒーを飲んで談話を楽しんでいると、
「みんな聞いて。この後の予定だけど、記念写真撮ったりして10:00時にチェックアウト、その後に塔で時差調整して解散って感じでオーケー?」
「アスガルド班及びアスモニア班、問題ないと思います」
「薄木班も問題なし、だな」
「僕の方も問題ありません」
「わかったわ。じゃあ、それまで自由行動とします!」
「了解!」
食堂を後にした一同。
「さぁて、チェックアウトまで、何しよっかな」
静流は軽く伸びをして、真琴たちに聞いた。
「お土産でも見に行く?」
「そうね。朋子に何か買ってやるか」
「カナ子にはあのブロマイドでイイか。そっちのが喜ぶだろうし」
そんな話をしていると、佳乃がズイっと前に出て来て、静流に言った。
「静流様、お願いがあるのであります!」
「佳乃さん? 何でしょうか?」
佳乃は、いつになく真剣な表情で静流に懇願する。
「自分と、ツーショットで写真、撮らせて下さい……であります」
佳乃の様子がおかしいので、心配して付いて来た澪が、目を丸くした。
「ちょっと佳乃? 何を言い出すかと思ったら」
「そっか。佳乃さんは酔っぱらってて、記憶無いんでしたっけ?」
「自分にも、思い出が欲しいのであります!」
「佳乃? ホントに覚えてないの? アンタが夕べ、静流クンに何したと思ってるの?」
「へ? 気が付いたら床で寝ていた事しか記憶にありませんが?」
澪はふう、とため息をつき、佳乃に言った。
「隊長から聞いたんだけど、佳乃アンタ、静流クンを散々弄んだみたいじゃない」
「このお姉さん、しず兄の『エキス』が足りないって、フガフガとしず兄を味わってた」
ジト目の美千留が、佳乃を指差してそう言った。
「そ、そんな事が……すいません、静流様」
佳乃は動揺し、だんだん声が小さくなっていった。
「だ、大丈夫ですよ佳乃さん、あまり気にしないで下さい。これでも酔っ払いの扱いは上手いんですよ。父さんがそうでしたから」
「許して、下さるのでありますか? 静流様」
「許すも何も、相当お疲れだったんですよね? 佳乃さん」
「で、ではよろしいのでありますか? 写真、撮っても?」
「はい、全然OKですよ!」ニパァ
「はぅぅーん」
佳乃は久々にニパを食らい、軽くのけ反った。と、そこに、
「聞き捨てなりませんね、佳乃先輩?」
「軍で一番静流様との作戦時間が長い佳乃先輩は、ズルいです!」
そう言って来たのは、双子の工藤姉妹であった。
「確かにそうでありますが、それは仕事であるからでありますし……」
ぬぬぬ、と睨み合う佳乃と双子。
「ああもう、じゃあ、順番に撮りましょうよ! イイでしょ? 静流?」
「真琴?……わかりました。どうせこのあと集合写真なんですよね? それまでお相手しますよ」
真琴からの予想外の提案に、静流は少し驚いたが、感謝し、「スマン」のポーズをした。
「じゃあ、美紀さんと真紀さん、こちらに」
「うわぁい、やったぁ♡」
すかさず双子は左右に分かれ、静流の腕を抱き寄せ、密着する。
「ちょっと、近すぎませんか?」
「全然足りませんよ、この位じゃあ」
「これからも、末永く、お願いしますね? 静流様ぁ」
「は、はぁ。美千留、写真頼む!」
三人でイチャついている所に、美千留はつまらなそうにデジカメを向ける。
「撮りますよ、はい、ポーズ」カシャ
双子は満足したようで、お土産コーナーの方にスキップしながら去って行った。
朝の陽ざしが顔にかかり、目が覚める静流。
「う、うう~ん」
両隣を見ると、美千留と真琴が可愛い寝息を立てている。
「こうしているとカワイイんだけどなぁ、二人共」
静流は二人の頭をそっと撫でた。
「うみゅう? しず兄?」
「なぁに? もう朝なのぉ、静流?」
「うん。もう朝だよ。起きる?」
そう言って静流が二人を見ると、
「え? 何で二人共、下着姿なの!?」
「んもぅ、忘れたの? しず兄」
「責任、取ってよね?」ポォォ
二人はそう言って顔を赤くした。
「うぇ!? 嘘でしょ? 何もしてないし、いつ元に戻ったか、わからないし」
静流は頭を抱え、盛大に取り乱している。すると、
「プ。ククク、バカだなぁ、しず兄は」
「まさか、真に受けるなんてね、アハハ」
動揺している静流があまりに滑稽だったのか、二人は吹き出してしまう。
「あ、お前たち、騙したな?」
「騙される静流が悪いよ」
「何かやましい事、考えてたでしょ? スケベ」
「あーもう、これだからお前たちは。さっきカワイイって思ったの、やっぱ取り消すわ」
「え? そんな事思ってたの?」
「意外。結構効果あったのかな?」
「もう、知りません!」
◆ ◆ ◆ ◆
食堂 朝
静流たちは、朝食を摂りに食堂に来た。
バイキング形式になっており、皿に好きなものを取っていく。
「おはよう、静流クン」
「おはようございます、アマンダさん」
「夕べは良く眠れた?」
「はぁ、まあ」
「あまり眠れなかったの? コッチはあの後グッスリよ」
「そうでしたか。疲れは取れたみたいですね?」
「わかる? お肌もスベスベよ? 触る?」
「い、いえ。見た目で良くわかりますから」
「そお? それは残念」
アマンダとの会話を済ませ、真琴たちのいる席に着く。とそこに、
「おはよう、静流クン!」
「おはようございます、静流様!」
澪と佳乃が挨拶をして来た。
「おはよう、ミオ姉。佳乃さんも」
「静流様、夕べ、自分は何かやらかしたのでありますか?」
「この子、何も覚えてないみたいなの。かわいそうに」
佳乃は夕べ、静流に甘えん坊MAXだった事を、完全に覚えていないようだ。
「そうですね。ちょっと酔っぱらってた位で、特に何も無かった? ですよ」
「そうでありますか。何かしっくり来ないのでありますよ」
「そりゃあ、佳乃が悪いわよ。先に寝ちゃうんだもん」
「は? 何かあったのでありますか? 静流様?」
「い、いやぁ、特にこれといった事は……」
佳乃に問い詰められ、どう胡麻化すか思考を巡らせていると、
「静流クゥン、夕べは最高だったわぁ」
「癒しの効果は抜群ね。これで商売できるかもよ?」
仁奈とリリィであった。次に、
「静流様! 素敵な夜をありがとうございました! ムフゥ」
「静流様ぁ、『朝チュン』期待してたんですよぉ? あのあと、どこに行ってたんですかぁ?」
レヴィと萌がそう言うと、
「静流、夜中に露天風呂ではしゃいでおったろう?」
「あ、イイなぁ、私たちも行きたかったぁ」
イクと工藤姉妹であった。そして、
「静流様、あのタワシ、本当に頂いても?」
「イイですよ。 あんな物で良ければ」
「最高です! アレがあれば、ほとんどの女性はイチコロでしょう。殿方にも使えるかも知れませんね、ムフゥ」
「フジ子さん、アレを悪用しないで下さいね?」
「もちろんです! アレで新たな性感帯を開発する事が、どんなに素晴らしい事か」
フジ子は頬に手をやり、クネクネと身体をひねっている。すると佳乃が、
「静流様ぁ、やっぱり何かありましたよね? 自分だけ乗り遅れているのではありませんか?」
「乗り遅れてはいない、と思いますよ? 多分」
「うわーん、自分のバカァ! 何も思い出せないでありますぅ」
頭を抱えて身もだえる佳乃の仕草は、動物園の人気者のヒグマがやるようなポーズであった。
「そう言えば少佐殿、さっき管理センターに呼び出されてたっすよね?」
「ええ。夕べの件で、少し聞かれたわ。何でも4階フロア全体に『アノ技』が発動したみたいで、あのフロアにいた女性従業員が全員『イッた』みたいよ」
「そりゃあえげつないですなぁ、で、何て答えたんすか?」
「女性をいかに癒すかの実験で、いささかやり過ぎた、って事にしておいたわ」
「そんなんで納得したんすか? 管理センターの人」
「立ち会ったドクターが、ちょっとした知り合いだったから、交換条件でフォローしてもらったの」
「条件? 何です?」
「その子も受けてみたいらしいの。夕べの技」
「はぁ。また虜になっちゃう子が増えちゃいますね。罪だなぁ、静流クンも」
アマンダとリリィは、隅っこで美千留と戯れている静流を、暖かい目で見守った。
◆ ◆ ◆ ◆
朝食後にコーヒーを飲んで談話を楽しんでいると、
「みんな聞いて。この後の予定だけど、記念写真撮ったりして10:00時にチェックアウト、その後に塔で時差調整して解散って感じでオーケー?」
「アスガルド班及びアスモニア班、問題ないと思います」
「薄木班も問題なし、だな」
「僕の方も問題ありません」
「わかったわ。じゃあ、それまで自由行動とします!」
「了解!」
食堂を後にした一同。
「さぁて、チェックアウトまで、何しよっかな」
静流は軽く伸びをして、真琴たちに聞いた。
「お土産でも見に行く?」
「そうね。朋子に何か買ってやるか」
「カナ子にはあのブロマイドでイイか。そっちのが喜ぶだろうし」
そんな話をしていると、佳乃がズイっと前に出て来て、静流に言った。
「静流様、お願いがあるのであります!」
「佳乃さん? 何でしょうか?」
佳乃は、いつになく真剣な表情で静流に懇願する。
「自分と、ツーショットで写真、撮らせて下さい……であります」
佳乃の様子がおかしいので、心配して付いて来た澪が、目を丸くした。
「ちょっと佳乃? 何を言い出すかと思ったら」
「そっか。佳乃さんは酔っぱらってて、記憶無いんでしたっけ?」
「自分にも、思い出が欲しいのであります!」
「佳乃? ホントに覚えてないの? アンタが夕べ、静流クンに何したと思ってるの?」
「へ? 気が付いたら床で寝ていた事しか記憶にありませんが?」
澪はふう、とため息をつき、佳乃に言った。
「隊長から聞いたんだけど、佳乃アンタ、静流クンを散々弄んだみたいじゃない」
「このお姉さん、しず兄の『エキス』が足りないって、フガフガとしず兄を味わってた」
ジト目の美千留が、佳乃を指差してそう言った。
「そ、そんな事が……すいません、静流様」
佳乃は動揺し、だんだん声が小さくなっていった。
「だ、大丈夫ですよ佳乃さん、あまり気にしないで下さい。これでも酔っ払いの扱いは上手いんですよ。父さんがそうでしたから」
「許して、下さるのでありますか? 静流様」
「許すも何も、相当お疲れだったんですよね? 佳乃さん」
「で、ではよろしいのでありますか? 写真、撮っても?」
「はい、全然OKですよ!」ニパァ
「はぅぅーん」
佳乃は久々にニパを食らい、軽くのけ反った。と、そこに、
「聞き捨てなりませんね、佳乃先輩?」
「軍で一番静流様との作戦時間が長い佳乃先輩は、ズルいです!」
そう言って来たのは、双子の工藤姉妹であった。
「確かにそうでありますが、それは仕事であるからでありますし……」
ぬぬぬ、と睨み合う佳乃と双子。
「ああもう、じゃあ、順番に撮りましょうよ! イイでしょ? 静流?」
「真琴?……わかりました。どうせこのあと集合写真なんですよね? それまでお相手しますよ」
真琴からの予想外の提案に、静流は少し驚いたが、感謝し、「スマン」のポーズをした。
「じゃあ、美紀さんと真紀さん、こちらに」
「うわぁい、やったぁ♡」
すかさず双子は左右に分かれ、静流の腕を抱き寄せ、密着する。
「ちょっと、近すぎませんか?」
「全然足りませんよ、この位じゃあ」
「これからも、末永く、お願いしますね? 静流様ぁ」
「は、はぁ。美千留、写真頼む!」
三人でイチャついている所に、美千留はつまらなそうにデジカメを向ける。
「撮りますよ、はい、ポーズ」カシャ
双子は満足したようで、お土産コーナーの方にスキップしながら去って行った。
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