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第一章 人外の冒険者。
07 俺とローゼンにフローレンス。
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「要はね、ローゼンのお守り? それをカテルくんとカテネちゃんにお願いしたいのよ。直ぐそこのトナリ街までなんだけれど」
執務机に積まれた資料を捌きつつ、面倒くさそうに仰るアーネさん。
俺をわざわざ名指しで呼びつけるもんだから、例の如くな面倒くさい案件を有無を言わさず押しつけ――ゲフン。振られるもんだとばかりに思っていた。
だがしかし。それはどうやら俺の思い過ごしだったようだ。
実を言うと、いつも俺に振られる案件ってのは、内容からしても守秘義務に秘匿性が非常に高く他言無用なものばかり。そんなだからつい勘繰ってしまった。
実際、内容にしても蓋を開けてみれば拍子抜けだしな。
「お守り? ――なるほどな」
「何がなるほどなんだ?」
今回は依頼を振るための単なる形式上に過ぎず、あくまでも体裁や名目上ってやつだ。
単に中等級に上がったカテルとカテネに、どう言ったものであるかを学ばせる為だけだと言っても過言ではない。
「ロゼに俺の付属品を押しつけた理由。要は安全な実習ってやつだ」
「安全な実習はわかるが……ノアも大概に酷い言いようだな」
割りに直ぐそこのトナリ街までだし、行商人が行き交うマナカ街道も通ってることだし。
そんな安全かつ近距離でロゼに護衛? どっちかと言えば文字通りの意味でも逆の意味でもお守りだな。
なんせ俺とフロウに肩を並べる、腐っても元冒険者なわけだから、護衛なんてものはそもそも一切必要ない。
まぁ、それ以前にだ。部位欠損するような大怪我を負おうとも全く無問題で、例え頭が吹っ飛ぼうとも腕が捥げようとも、土手っ腹に大穴が開いて臓物が垂れ下がると言った大怪我でも、死にさえしなければどうとでもなるケッタイな奴なんだから、うん。
実際そんな状況に堕ちってるのを目の当たりにもしてることだしな。
俺の知る限りロゼはフロウ同様、純粋な人族の筈なんだが……蜥蜴姿の俺以上に未だ謎だ。
そうは言うも軍は勿論のこと、冒険者や騎士団総出で迎え討たねばならないような厄災級を単身で相手にするとかなら、流石のロゼでも少々分が悪いだろう。そんな状況下でも少々だけどな。
つまりだ。そこらに蔓延る程度の凶暴な野獣や魔物、野盗らに遅れを取るロゼではないってこと。
徒党を組んで襲ってこようがロゼに敵う筈もなく、確実に返り討ちにされる未来が訪れること必至。間違いなく蹂躙され一蹴されると言い切れる。
それはつまり。警護につく奴がよっぽどの手練れだとしても足手纏い――否。重石となり足枷にもなるな。
まだまだ未熟者のカテルと論外のカテネだと尚更になるだろうが……学ばせるには丁度良い。
「いやな? カテルにはかなりの素質がある。身内贔屓で言うわけではないが、今後大成する見込みもある。だがしかし現状では圧倒的に経験が足りてない」
カテルの頭をワシャワシャと撫でつつそう口にすると。
「ほ、褒めてくれるのは嬉しいけども……ぼ、僕なんてまだまだ……」
俯き加減に顔を伏せ、耳が真っ赤になるほど照れてやがる。
「そしてカテネは論外」
未だ膝の上に居座るカテネには軽くデコピン。
「あ痛っ⁉︎ ――ちょ、酷っ⁉︎」
額を抑えつつ、頬っぺたを膨らましてのおこ。
「事実だろうが。目を瞑って剣を振り回すお馬鹿さんだと、自ら既に認めてるだろ」
「ぷぷぷ。そう言えばノワールに『ここに居るよ!』とか胸張って言ってたもんね? 僕も聞いてたし激しく同意」
「ぶーぶー」
「なるほどねぇ。私に護衛は不要と申し出たんだが……頑なにつけるの一点張りはそう言う意図もあったのか」
ロゼが合点がいったとウンウン頷く。
「一応はご明察にご名答と言っておくわね。それに加えて色々と面倒くさい、そこな問題人物の厄介払いも多分に含むんだけれど」
執務机でひたすら資料を紐解くアーネさんが、やはり面倒くさそうにそう告げる。
「ロゼの病気ね」「ああ、あれか。なるほどな」
フロウと俺は病気がなんなのか知っている。
「病気で厄介払い?」
「何それ? なんでノワールとフローレンスさんは納得顔?」
だがしかし。カテルとカテネには意味不明だろうな。
「ロゼはタダヒトを神の如く敬う狂信者なのよ。別件で不在だと知って、自分も現地まで追いかけるって喧しいくらい煩いの」
資料からは目を離さずそう言って、片手でお手上げと言わんばかりにしっしと手で払う。
「出たよ、至高の御方!」「――くっ、事実だろうがっ!」
あまりにもうんざりな態度を取るアーネさんに、俺も長い舌を出したり引っ込めたりしつつ小馬鹿にしておく。
「タダヒトさん? 誰それ?」
「僕は知ってる。万年初等級の冒険者と有名な人族の青年で、兎人族たるアーネさんの義理の弟さんだよ」
「否っ! 断じて否っ! 間違った風評を鵜呑みにしてはなりませんっ! 僭越ながらこの私が正しくお伝えしておきましょうっ! 我が君は決して無能ではなく、意図的に初等級に甘んじておられるだけですっ! 我が君はそれはもう――」
延々と語るロゼ。どんだけ崇拝してんのよ……。
「――そうだな、その点だけはロゼの言う通りだ。単なる無能じゃないと俺も知ってるし実際認めてる。間違っても実力が評価されずに万年初等級ってわけじゃない。その理由も俺の立場上、まぁ知らされてはいるが……」
俺も言葉は濁しつつ、一部は訂正を入れておく。
「そうなんだ」
「つまり誰にも他言できない特殊な事情だ」
この件の詳しい事情を知る者は、今のところ組合長とアーネさん。そしてアーネさん直属の配下であるカゲヨだけだしな。
ちょいと面倒な立ち位置と言うか立場に置かれる俺にしても、組合長から有無を言わさず事情を知らされたうえ、その事実を目の当たりにした関係者のひとり――当事者として、より面倒くさいことに今現在進行形で巻き込まれてんだがな。言えないって意外に面倒くさい。
「もしもこの事情を探るなり知るなりすれば、永遠に明日はこない。つまり死ぬ――と言うか、確実に抹消される極秘案件だ」
なので。長い舌を出したり引っ込めたりしつつ、凄みを出して小声で呟いておく。
「ええ。そこは間違いなくね。あくまでも普通なら、だけれど。あなたの知らない世界って何処にでもあるものよ。知らない方が幸せってね?」
同じくアーネさんも目力だけ強く肯く……って、怖ぇよ。
「カテル君やカテネちゃんの二人なら、もしも意図せず知ってしまっても処分はしないわよ? ただ……そうね。知らなければ良かったと後悔するくらいには、ちょっとだけ色々としちゃうかもだけれども」
そして口端だけを吊り上げた冷たい薄ら笑いを向け、二人に不穏当なことをしれっと告げるアーネさん。
つまり『興味を持つな、勘繰るな、関わるな』である。
極めて薄い殺気を纏った冷笑で、そう釘を刺しているわけで……やっぱ怖っ。
「まぁ、あれこれと色々されたとしても、それ自体を全く覚えちゃいないだろうがな」
双子が関わるには荷が重過ぎる案件なので俺も賛成。追加で更に釘を刺しておく。
「「――怖っ⁉︎」」
◇◇◇
日を改めて出発の当日。各々が旅の身支度を済ませ、一階の酒場兼待合所へと集合する。
護衛対象であるロゼに加え、依頼を振られたカテルにカテネ。そして保護者兼引率らしい立場の俺。この4人でトナリ街へと向かうことになる……筈なんだけどもな。
「なぁロゼ。御者席にすっげぇ見覚えのある厳つい冒険者が居座ってるんだけども? 俺の目の錯覚か気の所為だろうか?」
「ふむ。私にも凄く見覚えのある厳つい冒険者が見えてると思うのだが……」
俺たちに同行する馬車の御者。その席に座り、手綱を引いている厳つい冒険者のことだ。
白銀の重鎧に全身を包み込み、身の丈と同じくらいの大盾に大剣を背負っている。
身体つきがわからないくらい無骨すぎる鎧に加え、兜もきっちり被って顔を覆っているので男女の見分けすら一見つかない。
だがしかし。
「――フロウ。お前、なんでついてくる?」
「私達が三人で組んで、各所を冒険していた頃の懐かしい武具まで引っ張り出して」
そう。ロゼの言う通りだからだ。
「「えっ⁉︎ この人ってフローレンスさんだったのっ⁉︎」」
当時を知らないカテルとカテネは、余りにも厳つく無骨な姿に驚いているご様子。
「フ、フロウ? だ、誰だそれは? わ、私はさすらいの冒険者……そう! 今は名を明かせぬが……ま、まぁ気にするな」
当の本人は断固否定。声色まで変えてそう仰ってますけども。
「阿呆か。その姿でバレないと思ってる時点で阿呆だ」
「確かに。頭にお花が咲き乱れてるくらいの阿呆だな」
「「――ちょっ⁉︎ 二人とも酷くないっ⁉︎」」
「くっ……存外酷い言われようだが……。まぁ昔を知ってる二人は騙せないわよね」
兜の面当てを上にずらし、素顔を晒すフロウ。
真っ黒な目隠しで目元を覆って正体を隠す念の入りよう。無駄な足掻き以外の何ものでもないな。
「当たり前だ」
「当時の私を知らない人には有効って立証できたし」
「そこまでして一緒にくる気か?」
「行くわよ。溜まった有給の消化も兼ねてバカンスよ。職務は部下に丸投げしてきたし一切問題なし」
「なぁ? こんなのが副団長で本当に大丈夫か? エロイース騎士団」
「さぁ? フラスコ氏の苦労が垣間見えるな」
「い、良いのよ」
----------
執務机に積まれた資料を捌きつつ、面倒くさそうに仰るアーネさん。
俺をわざわざ名指しで呼びつけるもんだから、例の如くな面倒くさい案件を有無を言わさず押しつけ――ゲフン。振られるもんだとばかりに思っていた。
だがしかし。それはどうやら俺の思い過ごしだったようだ。
実を言うと、いつも俺に振られる案件ってのは、内容からしても守秘義務に秘匿性が非常に高く他言無用なものばかり。そんなだからつい勘繰ってしまった。
実際、内容にしても蓋を開けてみれば拍子抜けだしな。
「お守り? ――なるほどな」
「何がなるほどなんだ?」
今回は依頼を振るための単なる形式上に過ぎず、あくまでも体裁や名目上ってやつだ。
単に中等級に上がったカテルとカテネに、どう言ったものであるかを学ばせる為だけだと言っても過言ではない。
「ロゼに俺の付属品を押しつけた理由。要は安全な実習ってやつだ」
「安全な実習はわかるが……ノアも大概に酷い言いようだな」
割りに直ぐそこのトナリ街までだし、行商人が行き交うマナカ街道も通ってることだし。
そんな安全かつ近距離でロゼに護衛? どっちかと言えば文字通りの意味でも逆の意味でもお守りだな。
なんせ俺とフロウに肩を並べる、腐っても元冒険者なわけだから、護衛なんてものはそもそも一切必要ない。
まぁ、それ以前にだ。部位欠損するような大怪我を負おうとも全く無問題で、例え頭が吹っ飛ぼうとも腕が捥げようとも、土手っ腹に大穴が開いて臓物が垂れ下がると言った大怪我でも、死にさえしなければどうとでもなるケッタイな奴なんだから、うん。
実際そんな状況に堕ちってるのを目の当たりにもしてることだしな。
俺の知る限りロゼはフロウ同様、純粋な人族の筈なんだが……蜥蜴姿の俺以上に未だ謎だ。
そうは言うも軍は勿論のこと、冒険者や騎士団総出で迎え討たねばならないような厄災級を単身で相手にするとかなら、流石のロゼでも少々分が悪いだろう。そんな状況下でも少々だけどな。
つまりだ。そこらに蔓延る程度の凶暴な野獣や魔物、野盗らに遅れを取るロゼではないってこと。
徒党を組んで襲ってこようがロゼに敵う筈もなく、確実に返り討ちにされる未来が訪れること必至。間違いなく蹂躙され一蹴されると言い切れる。
それはつまり。警護につく奴がよっぽどの手練れだとしても足手纏い――否。重石となり足枷にもなるな。
まだまだ未熟者のカテルと論外のカテネだと尚更になるだろうが……学ばせるには丁度良い。
「いやな? カテルにはかなりの素質がある。身内贔屓で言うわけではないが、今後大成する見込みもある。だがしかし現状では圧倒的に経験が足りてない」
カテルの頭をワシャワシャと撫でつつそう口にすると。
「ほ、褒めてくれるのは嬉しいけども……ぼ、僕なんてまだまだ……」
俯き加減に顔を伏せ、耳が真っ赤になるほど照れてやがる。
「そしてカテネは論外」
未だ膝の上に居座るカテネには軽くデコピン。
「あ痛っ⁉︎ ――ちょ、酷っ⁉︎」
額を抑えつつ、頬っぺたを膨らましてのおこ。
「事実だろうが。目を瞑って剣を振り回すお馬鹿さんだと、自ら既に認めてるだろ」
「ぷぷぷ。そう言えばノワールに『ここに居るよ!』とか胸張って言ってたもんね? 僕も聞いてたし激しく同意」
「ぶーぶー」
「なるほどねぇ。私に護衛は不要と申し出たんだが……頑なにつけるの一点張りはそう言う意図もあったのか」
ロゼが合点がいったとウンウン頷く。
「一応はご明察にご名答と言っておくわね。それに加えて色々と面倒くさい、そこな問題人物の厄介払いも多分に含むんだけれど」
執務机でひたすら資料を紐解くアーネさんが、やはり面倒くさそうにそう告げる。
「ロゼの病気ね」「ああ、あれか。なるほどな」
フロウと俺は病気がなんなのか知っている。
「病気で厄介払い?」
「何それ? なんでノワールとフローレンスさんは納得顔?」
だがしかし。カテルとカテネには意味不明だろうな。
「ロゼはタダヒトを神の如く敬う狂信者なのよ。別件で不在だと知って、自分も現地まで追いかけるって喧しいくらい煩いの」
資料からは目を離さずそう言って、片手でお手上げと言わんばかりにしっしと手で払う。
「出たよ、至高の御方!」「――くっ、事実だろうがっ!」
あまりにもうんざりな態度を取るアーネさんに、俺も長い舌を出したり引っ込めたりしつつ小馬鹿にしておく。
「タダヒトさん? 誰それ?」
「僕は知ってる。万年初等級の冒険者と有名な人族の青年で、兎人族たるアーネさんの義理の弟さんだよ」
「否っ! 断じて否っ! 間違った風評を鵜呑みにしてはなりませんっ! 僭越ながらこの私が正しくお伝えしておきましょうっ! 我が君は決して無能ではなく、意図的に初等級に甘んじておられるだけですっ! 我が君はそれはもう――」
延々と語るロゼ。どんだけ崇拝してんのよ……。
「――そうだな、その点だけはロゼの言う通りだ。単なる無能じゃないと俺も知ってるし実際認めてる。間違っても実力が評価されずに万年初等級ってわけじゃない。その理由も俺の立場上、まぁ知らされてはいるが……」
俺も言葉は濁しつつ、一部は訂正を入れておく。
「そうなんだ」
「つまり誰にも他言できない特殊な事情だ」
この件の詳しい事情を知る者は、今のところ組合長とアーネさん。そしてアーネさん直属の配下であるカゲヨだけだしな。
ちょいと面倒な立ち位置と言うか立場に置かれる俺にしても、組合長から有無を言わさず事情を知らされたうえ、その事実を目の当たりにした関係者のひとり――当事者として、より面倒くさいことに今現在進行形で巻き込まれてんだがな。言えないって意外に面倒くさい。
「もしもこの事情を探るなり知るなりすれば、永遠に明日はこない。つまり死ぬ――と言うか、確実に抹消される極秘案件だ」
なので。長い舌を出したり引っ込めたりしつつ、凄みを出して小声で呟いておく。
「ええ。そこは間違いなくね。あくまでも普通なら、だけれど。あなたの知らない世界って何処にでもあるものよ。知らない方が幸せってね?」
同じくアーネさんも目力だけ強く肯く……って、怖ぇよ。
「カテル君やカテネちゃんの二人なら、もしも意図せず知ってしまっても処分はしないわよ? ただ……そうね。知らなければ良かったと後悔するくらいには、ちょっとだけ色々としちゃうかもだけれども」
そして口端だけを吊り上げた冷たい薄ら笑いを向け、二人に不穏当なことをしれっと告げるアーネさん。
つまり『興味を持つな、勘繰るな、関わるな』である。
極めて薄い殺気を纏った冷笑で、そう釘を刺しているわけで……やっぱ怖っ。
「まぁ、あれこれと色々されたとしても、それ自体を全く覚えちゃいないだろうがな」
双子が関わるには荷が重過ぎる案件なので俺も賛成。追加で更に釘を刺しておく。
「「――怖っ⁉︎」」
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日を改めて出発の当日。各々が旅の身支度を済ませ、一階の酒場兼待合所へと集合する。
護衛対象であるロゼに加え、依頼を振られたカテルにカテネ。そして保護者兼引率らしい立場の俺。この4人でトナリ街へと向かうことになる……筈なんだけどもな。
「なぁロゼ。御者席にすっげぇ見覚えのある厳つい冒険者が居座ってるんだけども? 俺の目の錯覚か気の所為だろうか?」
「ふむ。私にも凄く見覚えのある厳つい冒険者が見えてると思うのだが……」
俺たちに同行する馬車の御者。その席に座り、手綱を引いている厳つい冒険者のことだ。
白銀の重鎧に全身を包み込み、身の丈と同じくらいの大盾に大剣を背負っている。
身体つきがわからないくらい無骨すぎる鎧に加え、兜もきっちり被って顔を覆っているので男女の見分けすら一見つかない。
だがしかし。
「――フロウ。お前、なんでついてくる?」
「私達が三人で組んで、各所を冒険していた頃の懐かしい武具まで引っ張り出して」
そう。ロゼの言う通りだからだ。
「「えっ⁉︎ この人ってフローレンスさんだったのっ⁉︎」」
当時を知らないカテルとカテネは、余りにも厳つく無骨な姿に驚いているご様子。
「フ、フロウ? だ、誰だそれは? わ、私はさすらいの冒険者……そう! 今は名を明かせぬが……ま、まぁ気にするな」
当の本人は断固否定。声色まで変えてそう仰ってますけども。
「阿呆か。その姿でバレないと思ってる時点で阿呆だ」
「確かに。頭にお花が咲き乱れてるくらいの阿呆だな」
「「――ちょっ⁉︎ 二人とも酷くないっ⁉︎」」
「くっ……存外酷い言われようだが……。まぁ昔を知ってる二人は騙せないわよね」
兜の面当てを上にずらし、素顔を晒すフロウ。
真っ黒な目隠しで目元を覆って正体を隠す念の入りよう。無駄な足掻き以外の何ものでもないな。
「当たり前だ」
「当時の私を知らない人には有効って立証できたし」
「そこまでして一緒にくる気か?」
「行くわよ。溜まった有給の消化も兼ねてバカンスよ。職務は部下に丸投げしてきたし一切問題なし」
「なぁ? こんなのが副団長で本当に大丈夫か? エロイース騎士団」
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「い、良いのよ」
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