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第一難 始まりは日本昔話し?
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青い空に白い雲。見渡す限りの地平線。
真夏特有の焼けるような陽射しの下、濁りのない綺麗な碧い海と、サラサラの白い砂浜。
海側の反対に目を向ければ、未開の土地。森林豊かな大自然に覆われた陸地が続く。
現代日本において、こんな世界遺産に登録されてもおかしくない、素敵過ぎる環境は存在しない――筈。
そして何よりもおかしいのが、目の前に居るコイツだわ、うん。
「海亀が喋る……だと? 更には駄洒落で返す知性がある……だと?」
謎の亀から素早く距離を取り、納得できずにそう呟く。
「――失礼ですね、貴方。私の何処が海亀ですか?」
とかなんとか悪態を吐く亀……のような謎生物?
そうは仰るも、何処からどう見ても亀以外に例えようのない姿をしているわけで。
「いや、お前なんなの? 何処からどう見ても亀じゃね? 或いは亀の姿を借りた謎の知的生命体?」
喋る以上、亀ではない。限りなく亀の姿だったとしても。
だったら何だって話し。
「ちょっと、お前呼ばわりは酷いでしょう? 一応、うら若き乙女です。あと亀の部分は否定しませんけど。ただ陸亀ですから、私」
手と足……って言うんだろうか?
前肢と後肢をジタバタしてみせるそれは、水掻きのような鰭ではなく、確かに陸地を歩く象のような形で爪もある。
だがしかし、果たして。亀ではない。断じて違う。
「――そりゃ失礼。で、実際は何?」
「亀ですが、何か?」「見た目はな?」
「正しく“ 陸亀 ”ですけど? 千年以上生きた。つまり亀仙人ですよ」
なんだろう? ドヤ顔って言うんだろうか?
そんな風に見えるスゲー良い顔で、酷いおやぢギャグを打ちかまされるときた。
サングラスにハゲ。長い白髭でアロハ。
そんなファンキーな何処ぞで見た覚えのある、某エロ爺いを想像してしまったじゃねーか。
「チッ。とりま妖怪系かよ……って、話しが全く進まんか。何だって話しはひとまず保留。それよりもここって何処なんだ? 俺の知る日本では断じてないよな? 喋る亀もそこに居るし」
喋る亀には目を瞑り、置かれている状況、情報を仕入れにかかる――のですが。
「先ほどはそうなんですと申し上げましたけど、解り易く言うと、大渦に巻き込まれ溺死した貴方は別の世界に遭難――つまり生まれ変わったそうなんです」
とかなんとか。電波なことを、再度、駄洒落混じりに仰るときた。
「――は?」
当然、理解不能。だってさ、創作じゃねーんだぞ?
「私は貴方の老い先短い余生を健やかに過ごせるよう、神から遣わされた介護係とでも言うべき存在ですかね」
とかなんとか。更に意味不明に仰る亀。
「――は?」
当然、もっと理解不能。それもツッコミどころ満載な内容に、ただ唖然とし呆然となる。
「何を納得いかなそうに百面相してるんですか? 存分にケッタイなご自身の顔を、足元の海面に映して見てみて下さい」
やむなく亀に言われるまま、海面に映り込む自分を確認する。
海パン一丁の俺らしい人物が映り込む。だがしかし。
「――は?」
最早、完全に意味不明。
「は? しか言うことはないんですか、全く」
呆れ顔って言うんだろうか? 表情豊かにそう仰る亀。
「だって俺……十五歳だよ? なのになんで……なんでこんな……爺さんに……」
そう。黒髪だった地毛は真っ白。肉付きの良い身体は痩身痩躯。
ヨレヨレ……ではギリギリでない、書いて字の如く、結構なお年寄り姿の男性。
所謂、御年配になってしまっている俺が、足下の海面に映り込んでいたのだった。
「溺死で別の世界で生まれ変わったと、先ほど申し上げ、大事なことなので、二度、お伝え致しましたが、何か?」
人の話し――人違うわ。亀の話しを聞いてないんですか? とでも言いたげに、可哀想な者を見る目を細めたジト目で俺を見てくる。
亀のクセに表情豊か過ぎんか?
そこじゃないっ! 今ツッコむべき部分は、断じてそこじゃないんだっ!
「ちょ、ちょっと待てっ⁉︎ そこがそもそもおかしくねっ⁉︎ 生まれ変わってって言うならさ、普通、赤ちゃんとか……まぁ、そんなから始まるんじゃねっ⁉︎」
そう。数多の創作では、転生とは人生をやり直す意味で行われる。
なのに……残る余生が少ない爺さんから始まるって何? ちょいと斬新な転生過ぎん?
「私の知るところでは全くありませんが、何か? さっさと転生した現実を受け入れて下さい」
「いやいやいや、転生の意味ぃ~っ!」
何故かそうドヤる亀に、思いっきり理不尽を叫んだ俺だった――。
――――――――――
その爺い、思春期につき。(笑)
真夏特有の焼けるような陽射しの下、濁りのない綺麗な碧い海と、サラサラの白い砂浜。
海側の反対に目を向ければ、未開の土地。森林豊かな大自然に覆われた陸地が続く。
現代日本において、こんな世界遺産に登録されてもおかしくない、素敵過ぎる環境は存在しない――筈。
そして何よりもおかしいのが、目の前に居るコイツだわ、うん。
「海亀が喋る……だと? 更には駄洒落で返す知性がある……だと?」
謎の亀から素早く距離を取り、納得できずにそう呟く。
「――失礼ですね、貴方。私の何処が海亀ですか?」
とかなんとか悪態を吐く亀……のような謎生物?
そうは仰るも、何処からどう見ても亀以外に例えようのない姿をしているわけで。
「いや、お前なんなの? 何処からどう見ても亀じゃね? 或いは亀の姿を借りた謎の知的生命体?」
喋る以上、亀ではない。限りなく亀の姿だったとしても。
だったら何だって話し。
「ちょっと、お前呼ばわりは酷いでしょう? 一応、うら若き乙女です。あと亀の部分は否定しませんけど。ただ陸亀ですから、私」
手と足……って言うんだろうか?
前肢と後肢をジタバタしてみせるそれは、水掻きのような鰭ではなく、確かに陸地を歩く象のような形で爪もある。
だがしかし、果たして。亀ではない。断じて違う。
「――そりゃ失礼。で、実際は何?」
「亀ですが、何か?」「見た目はな?」
「正しく“ 陸亀 ”ですけど? 千年以上生きた。つまり亀仙人ですよ」
なんだろう? ドヤ顔って言うんだろうか?
そんな風に見えるスゲー良い顔で、酷いおやぢギャグを打ちかまされるときた。
サングラスにハゲ。長い白髭でアロハ。
そんなファンキーな何処ぞで見た覚えのある、某エロ爺いを想像してしまったじゃねーか。
「チッ。とりま妖怪系かよ……って、話しが全く進まんか。何だって話しはひとまず保留。それよりもここって何処なんだ? 俺の知る日本では断じてないよな? 喋る亀もそこに居るし」
喋る亀には目を瞑り、置かれている状況、情報を仕入れにかかる――のですが。
「先ほどはそうなんですと申し上げましたけど、解り易く言うと、大渦に巻き込まれ溺死した貴方は別の世界に遭難――つまり生まれ変わったそうなんです」
とかなんとか。電波なことを、再度、駄洒落混じりに仰るときた。
「――は?」
当然、理解不能。だってさ、創作じゃねーんだぞ?
「私は貴方の老い先短い余生を健やかに過ごせるよう、神から遣わされた介護係とでも言うべき存在ですかね」
とかなんとか。更に意味不明に仰る亀。
「――は?」
当然、もっと理解不能。それもツッコミどころ満載な内容に、ただ唖然とし呆然となる。
「何を納得いかなそうに百面相してるんですか? 存分にケッタイなご自身の顔を、足元の海面に映して見てみて下さい」
やむなく亀に言われるまま、海面に映り込む自分を確認する。
海パン一丁の俺らしい人物が映り込む。だがしかし。
「――は?」
最早、完全に意味不明。
「は? しか言うことはないんですか、全く」
呆れ顔って言うんだろうか? 表情豊かにそう仰る亀。
「だって俺……十五歳だよ? なのになんで……なんでこんな……爺さんに……」
そう。黒髪だった地毛は真っ白。肉付きの良い身体は痩身痩躯。
ヨレヨレ……ではギリギリでない、書いて字の如く、結構なお年寄り姿の男性。
所謂、御年配になってしまっている俺が、足下の海面に映り込んでいたのだった。
「溺死で別の世界で生まれ変わったと、先ほど申し上げ、大事なことなので、二度、お伝え致しましたが、何か?」
人の話し――人違うわ。亀の話しを聞いてないんですか? とでも言いたげに、可哀想な者を見る目を細めたジト目で俺を見てくる。
亀のクセに表情豊か過ぎんか?
そこじゃないっ! 今ツッコむべき部分は、断じてそこじゃないんだっ!
「ちょ、ちょっと待てっ⁉︎ そこがそもそもおかしくねっ⁉︎ 生まれ変わってって言うならさ、普通、赤ちゃんとか……まぁ、そんなから始まるんじゃねっ⁉︎」
そう。数多の創作では、転生とは人生をやり直す意味で行われる。
なのに……残る余生が少ない爺さんから始まるって何? ちょいと斬新な転生過ぎん?
「私の知るところでは全くありませんが、何か? さっさと転生した現実を受け入れて下さい」
「いやいやいや、転生の意味ぃ~っ!」
何故かそうドヤる亀に、思いっきり理不尽を叫んだ俺だった――。
――――――――――
その爺い、思春期につき。(笑)
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