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第肆章 終りゆく、日常――メフィスト編。

佰参拾参話 激戦、其の伍。

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 一方、ファーストの防御壁を援護に、未来とアイにベロの前衛組、アリサとクモヨにスゥの移動砲台組は、黒騎士と一進一退の死闘を繰り広げていた――。


「黒騎士、半端ねぇな……やはり俺のコイツが必要だな」

 腰に下げた俺的玩具に手を伸ばし呟く俺。

 外見は有名な某映画、宇宙戦争とまんまなタイトルの洋画に登場する暗黒面に堕ちた父と相対する息子が武器として使っていたアレに模してある……つーか、例によってそのまんまな外見だけどな?
 映画のブロップ以上の出来栄えが自慢の俺的玩具だよ。
 コイツに搭載のギミックが黒騎士にも通用すれば良いけどな……。

「ウォン!」

 隣のケルも、黒騎士と奥の確定、大好の偽モノなノウを金眼に捉えると、纏っている気配がガラリと変わる。

「ケル?」

 ケルのこんな敵意剥き出しで余裕なさげな姿は、お風呂に連行される時以外で初めて見る。

 それほどまでにヤバいヤツなのな。
 黒騎士の動きからして見てれば解るけども。
 改めて肯定されると、本当に勝てるのかと不安になるわ。

 俺娘達の脅威的な怒濤の攻めに、たったの一騎で往なし続けている黒騎士って、ナニ?
 出会した中でも間違いなく最強最悪の部類に入る俺的敵だよ。

 更に奥のアイツ――確定、大好の偽モノなノウは、未だ動きを見せてはいない。
 どれほどの脅威なのか全く見当もつかない未知な存在だしな。

「だがしかし、限りなく無理だとしても……俺は引くわけにはいかんのだよ」

 覚悟を決めて、最後の切り札である俺的玩具を握り締め、飛び込もうとした瞬間、更に驚くべき事態に陥られ、覚悟と歩みを阻まれるのだった――。


『――貴様に命ずる。珠玉を我に差し出せ』

 そんな地獄の底から響く野太くも重低音な声が、俺の頭に響いた。

 俺的に大ファンな渋い悪役にピッタリな声優さん、中◯譲治氏の声で直接問い掛けて――?


 な⁉︎ 問い掛けてきただと⁉︎


「――は?」

 思わず目が点になって固まってしまった。

『そこのオス――我の命令、よもや聴こえなかったか?』

 今、何ぞ有り得ない事態が起きた……。
 超絶素敵ボイスで命令何ぞを宣ってくれやがりましたか、ヤツは?

 そもそも……念話で命令する、意思疎通を図ってくる何ぞ、自称、キテる超能力者もビックリなほどに想定外の事態だぞ!
 更に俺が大ファンな声優さんの声って、ナニ⁉︎
 俺の電波脳にも干渉してきてんのか⁉︎

「あ? 聴こえてるっつーかな……頭に響いてるけども――お前は、ナニ?」

 睨みつけるように視線を飛ばし、ヤンキーの兄ちゃんヨロシクな不遜な態度で返事をする。
 そんな俺には意にも介さず、念話を飛ばしてくる目の前の確定、大好の偽モノなノウ。


 そして。
 想定もしていなかった知らされる驚愕の事実が、俺の頭へと返ってきた――。


『我か? ――我は貴様等の言葉で「神」……などと呼ばれている』


 相変わらず素敵ボイスで頭に直接響いてんだけども、口端らしき部分を吊り上げニヤリと笑ったのを、俺的ナイトヴィジョンは見逃さなかった。


「――は?」

 余りにも理解不能な返答に、俺は再び目が点になる――って、なるしかないわ!

「あ? その姿で言うに事欠いて神だと⁉︎ ナニをほざいてくれやがんの⁉︎ 誰が信じるかつーの⁉︎」

『貴方……哀しいけどある意味で事実よ。何故か穢れてしまっているけども、元はアタシらと同じ複製体……貴方が黒曜石のようなモノと呼称する、漆黒の珠玉がヤツ正体よ』

 思わず叫んだ俺の頭に響くファーストの声は、無情にも肯定を告げた。
 更に正体まで暴露しやがった。


 知ってたんなら隠さず早よ言っとけよ!


「なん……だと⁉︎」

 相対する確定、大好の偽モノなノウ――その正体は黒曜石のようなモノ。
 正式名称は、漆黒の珠玉?
 何ぞ中二病を拗らした響きのモノだってか⁉︎
 つまり、内臓剥き出しのあの悍しいナリで、ファーストと同じ未知なる友人の複製体だと言うのか⁉︎


 なんの冗談だよ?


『久しいな……黄昏たそがれの珠玉。相変わらず下劣極まりない手段を好む』

『貴方……』

 奥から一歩も動いていない漆黒の珠玉。
 相対するファーストの表情が、苦虫を噛み潰した辛い表情に変わる。

 益々混沌としていく状況に、俺的電波脳でも流石に処理が追いつかないでいた――。

 ただ……俺的には黄昏の珠玉。
 それがファーストの正式痛名称って解った方が、カルチャーショックだったり。



 ―――――――――― つづく。
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