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第四九幕。
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明らかに人工物と解る石畳で造られた、通路を奥へと進んでいく。
通路の所々に魔法の照明が設置されているお陰で見通しも良く、周囲の警戒もし易かった。
懸念していた襲撃、或いは待ち伏せ、罠に至る妨害などもなく、すんなりと奥のだだっ広い広間へと辿り着いた――。
「なんと。山脈の中に地底湖とはの。それにこの異様に濃過ぎる魔素は何ぞ? ――流石の儂も驚きだの」
広間を目にした紅が、言葉通りに驚いていた。
「ここにも魔結晶⁉︎ しかも壁一面の全てって……」
紅同様に広間の様子を目にした瞬間、驚きの声を上げた少年。
辿り着いた場所は、だだっ広い巨大な空洞で、これまた巨大な地底湖が広がっていた。
壁一面は魔結晶で覆われ、自発光だろうか……淡い紫色で周囲を照らしており、幻想的に揺れる水面を演出していた。
「紅、念の為に私の宝剣を預ける。少年を護ってやってくれ」
腰の宝剣を取り外し、紅に手渡す私。
幻想的に揺れる水面を注視したままに、直ぐに槍と盾を準備して備える。
巨大な地底湖の中に、動く影が見えたからだ。
「何かおるの……少年、儂の側を離れるでないぞ」
「は、はい」
私から宝剣を預かって少年の手を引き、入口まで後退する。
水面が大きく揺れて迫り上がり、巨大な何かが姿を曝け出した――。
「あ、あれは……ス、スキュラ⁉︎」
「スキュラとな? 何だそれは?」
姿を目にした少年が驚きの声で告げ、少年の前で盾となる紅が、眉根を寄せてそれを注視する――。
「まるでキメラとか言う魔物だな……」
上半身は見目麗しい正しく女性なのだが、些か肌の色が不健康に青白く、下半身はどう見ても何かの魚の尾。
鋭い牙を生やした判別不能な魔物の頭が六つに、鋭い爪を生やした魔物の足が十二本の、今まで聴いたことも見たこともない、不気味で奇妙な姿をしていたのだった。
「会話できるほどの知性は――持ち合わせていないって感じだ」
警告も何もなく、問答無用で六つの頭と十二本の足が一斉に動き、襲い掛かってきた!
話し合いは無理と判断し、私は敵と見なし対処に動いた!
咄嗟に突き出すように翳した右手の盾で迫り来る頭を受け止めつつ、左手の槍で追撃の足を薙ぎ払うように払い除ける!
「圧倒的な手数……全方位の多重攻撃は流石に厳しい」
こちらは腕二本、向こうは頭六つに足十二本――更に人型の上半身には、腕二本も残っている。
次から次へと襲いくる触手に等しい足を懸命に払い退け、噛みつこうとする六つの頭をなんとか躱していく私!
「まずいぞ、主人! 何ぞ詠唱しておるようだ!」
必死に躱す私の後ろから、紅の警告が飛ぶ!
「なんだと⁉︎ 知性がなさそうなのに魔法を使うのか⁉︎」
『Ahaaaaa――!』
聴き取れない高周波な音が洞窟内に響き渡り、周囲一帯を震わせる!
壁が揺れパラパラと崩れ出し、水面が大きく荒れた!
盾に伸し掛かる凄まじいまでの衝撃!
試練の間で戦った番人に匹敵するほどの、威力が伸し掛かるのだった!
万全の体勢ではなかった為に流石に抑えきれず、身体ごと吹っ飛ばされて、壁に打ち付けられた私だったが、身に付けている鎧のお陰で怪我はない。
だが、戦いが長引くと、ここら一帯の崩落の恐れもある――。
「一気に行くしかないようだ!」
突進の構えに体勢を取ると、踏み抜く勢いで地面を蹴り抜いて跳躍!
巨大な槍をスキュラ本体目掛けて突き出した!
しかし――。
「なんだと⁉︎ ――グハァ!」
十二本もある足に威力を殺され、本体に届く前に捕まってしまった!
更に六つある頭が私に喰らい付いた!
「あ、主人⁉︎ ――今助ける! 邪魔立てするなぁ!」
「竜巫女様⁉︎」
少年を突き飛ばし宝剣を抜き放った紅が、触手に等しい足に斬りかかり、私を助け出そうと試みる!
だが、剣先が届く前に宝剣の柄を叩き、最も簡単に弾き返したスキュラ!
「ぬぅ、忌々しい! 儂は人の剣術など知らぬ! 児戯に等しいが、それでもこうも容易く遇らわれるとは……」
宙返りで体勢を整えて、地面に舞い降りる紅は、唇を噛みしめ睨みつける!
「大丈夫だ! 紅、下がってろ!」
運が良いことに、噛みつかれた部位が鎧と義手だった私。
そう、辛うじて鋭い牙は通っていないのだ!
「主人、しかし……」「――騎士様⁉︎」
噛み付いたままに間髪入れず、私を水中に引き摺り込もうとするスキュラ!
「させんよ、魔物! 番人の槍よ、奴を貫いてくれ!」
そう叫ぶ私! それに応える番人の槍!
神々しい輝きを放ち、番人が持っていた時と同じ大きさに戻った槍は、巨大な切っ先でスキュラを貫いた!
お陰で拘束から解かれた私は、巨大な槍の上を走っていき、人の身と同じ女性の姿をしたスキュラに取り付いた!
「終わりだ――」
鍛治師の所で入手した剣を抜き放った私は、逆手に持って頭から突き刺した!
『Ahaaaa――!』
断末魔の悲鳴と共に噴き上がる体液が、私と水面を染め上げる!
地面と壁を叩きつけて暴れ狂う、触手のような足と頭!
「――ヒィ!」
「何をしておるか! 入口から外に出るぞ!」
少年を抱え込んで、崩れる瓦礫を巧みに躱しながら入口へと引き返す紅!
番人の盾を頭上に翳して瓦礫を退けつつ、私も入口へと引き返す!
『Aha……A……』
散々暴れ狂った挙句、最後は打ち上げられた魚の如く水面に逆さ向きに浮いて、巨大なスキュラは活動を停止した――。
――――――――――
気になる続きはCMの後!
チャンネルは、そのまま!(笑)
通路の所々に魔法の照明が設置されているお陰で見通しも良く、周囲の警戒もし易かった。
懸念していた襲撃、或いは待ち伏せ、罠に至る妨害などもなく、すんなりと奥のだだっ広い広間へと辿り着いた――。
「なんと。山脈の中に地底湖とはの。それにこの異様に濃過ぎる魔素は何ぞ? ――流石の儂も驚きだの」
広間を目にした紅が、言葉通りに驚いていた。
「ここにも魔結晶⁉︎ しかも壁一面の全てって……」
紅同様に広間の様子を目にした瞬間、驚きの声を上げた少年。
辿り着いた場所は、だだっ広い巨大な空洞で、これまた巨大な地底湖が広がっていた。
壁一面は魔結晶で覆われ、自発光だろうか……淡い紫色で周囲を照らしており、幻想的に揺れる水面を演出していた。
「紅、念の為に私の宝剣を預ける。少年を護ってやってくれ」
腰の宝剣を取り外し、紅に手渡す私。
幻想的に揺れる水面を注視したままに、直ぐに槍と盾を準備して備える。
巨大な地底湖の中に、動く影が見えたからだ。
「何かおるの……少年、儂の側を離れるでないぞ」
「は、はい」
私から宝剣を預かって少年の手を引き、入口まで後退する。
水面が大きく揺れて迫り上がり、巨大な何かが姿を曝け出した――。
「あ、あれは……ス、スキュラ⁉︎」
「スキュラとな? 何だそれは?」
姿を目にした少年が驚きの声で告げ、少年の前で盾となる紅が、眉根を寄せてそれを注視する――。
「まるでキメラとか言う魔物だな……」
上半身は見目麗しい正しく女性なのだが、些か肌の色が不健康に青白く、下半身はどう見ても何かの魚の尾。
鋭い牙を生やした判別不能な魔物の頭が六つに、鋭い爪を生やした魔物の足が十二本の、今まで聴いたことも見たこともない、不気味で奇妙な姿をしていたのだった。
「会話できるほどの知性は――持ち合わせていないって感じだ」
警告も何もなく、問答無用で六つの頭と十二本の足が一斉に動き、襲い掛かってきた!
話し合いは無理と判断し、私は敵と見なし対処に動いた!
咄嗟に突き出すように翳した右手の盾で迫り来る頭を受け止めつつ、左手の槍で追撃の足を薙ぎ払うように払い除ける!
「圧倒的な手数……全方位の多重攻撃は流石に厳しい」
こちらは腕二本、向こうは頭六つに足十二本――更に人型の上半身には、腕二本も残っている。
次から次へと襲いくる触手に等しい足を懸命に払い退け、噛みつこうとする六つの頭をなんとか躱していく私!
「まずいぞ、主人! 何ぞ詠唱しておるようだ!」
必死に躱す私の後ろから、紅の警告が飛ぶ!
「なんだと⁉︎ 知性がなさそうなのに魔法を使うのか⁉︎」
『Ahaaaaa――!』
聴き取れない高周波な音が洞窟内に響き渡り、周囲一帯を震わせる!
壁が揺れパラパラと崩れ出し、水面が大きく荒れた!
盾に伸し掛かる凄まじいまでの衝撃!
試練の間で戦った番人に匹敵するほどの、威力が伸し掛かるのだった!
万全の体勢ではなかった為に流石に抑えきれず、身体ごと吹っ飛ばされて、壁に打ち付けられた私だったが、身に付けている鎧のお陰で怪我はない。
だが、戦いが長引くと、ここら一帯の崩落の恐れもある――。
「一気に行くしかないようだ!」
突進の構えに体勢を取ると、踏み抜く勢いで地面を蹴り抜いて跳躍!
巨大な槍をスキュラ本体目掛けて突き出した!
しかし――。
「なんだと⁉︎ ――グハァ!」
十二本もある足に威力を殺され、本体に届く前に捕まってしまった!
更に六つある頭が私に喰らい付いた!
「あ、主人⁉︎ ――今助ける! 邪魔立てするなぁ!」
「竜巫女様⁉︎」
少年を突き飛ばし宝剣を抜き放った紅が、触手に等しい足に斬りかかり、私を助け出そうと試みる!
だが、剣先が届く前に宝剣の柄を叩き、最も簡単に弾き返したスキュラ!
「ぬぅ、忌々しい! 儂は人の剣術など知らぬ! 児戯に等しいが、それでもこうも容易く遇らわれるとは……」
宙返りで体勢を整えて、地面に舞い降りる紅は、唇を噛みしめ睨みつける!
「大丈夫だ! 紅、下がってろ!」
運が良いことに、噛みつかれた部位が鎧と義手だった私。
そう、辛うじて鋭い牙は通っていないのだ!
「主人、しかし……」「――騎士様⁉︎」
噛み付いたままに間髪入れず、私を水中に引き摺り込もうとするスキュラ!
「させんよ、魔物! 番人の槍よ、奴を貫いてくれ!」
そう叫ぶ私! それに応える番人の槍!
神々しい輝きを放ち、番人が持っていた時と同じ大きさに戻った槍は、巨大な切っ先でスキュラを貫いた!
お陰で拘束から解かれた私は、巨大な槍の上を走っていき、人の身と同じ女性の姿をしたスキュラに取り付いた!
「終わりだ――」
鍛治師の所で入手した剣を抜き放った私は、逆手に持って頭から突き刺した!
『Ahaaaa――!』
断末魔の悲鳴と共に噴き上がる体液が、私と水面を染め上げる!
地面と壁を叩きつけて暴れ狂う、触手のような足と頭!
「――ヒィ!」
「何をしておるか! 入口から外に出るぞ!」
少年を抱え込んで、崩れる瓦礫を巧みに躱しながら入口へと引き返す紅!
番人の盾を頭上に翳して瓦礫を退けつつ、私も入口へと引き返す!
『Aha……A……』
散々暴れ狂った挙句、最後は打ち上げられた魚の如く水面に逆さ向きに浮いて、巨大なスキュラは活動を停止した――。
――――――――――
気になる続きはCMの後!
チャンネルは、そのまま!(笑)
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