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終話 ミイラはマミーだが衣帯なき板な痛い遺体。

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「だからミイラでしょ?」

「いいえ、違うと言ってるでしょ」

「――ヤっべ」

 相変わらず古代エジプトのピラミッド内、ヒエログリフに等しい象形文字や壁画が所狭しと描かれた棺が納棺された玄室で、こんな意味不明な漫才を繰り広げている――、


 俺とミイラ。


 前回、散々な大惨事になったのを棚に上げて、相変わらず俗っぽくも意味不明なことを吐かしやがるので、面食らったうえにドン引いていた――。


 やっぱ∑(゚Д゚)こんな顔、で。


「いい加減にしてくんね? 喋って動くのを除けばどう見たってミイラじゃんよ?」

「だから違う言うに!」

「枯れた身体でぎこちない動きで否定されても納得できるか!」

「それよりもですね、いい加減苦しいんで包帯取っていいですか? こんなお遊び付き合ってられません!」

 言うな否や、薄汚い包帯を剥ぎ取っていく電波ミイラ嬢。

「ちょっとちょっと⁉︎ なんてことすんだ⁉︎ そんな見せられないよ! のテロップが入りそうなの姿、見せられたもんじゃないっての⁉︎」

 意味不明に喚き散らす俺をスルーして、とっとと剥ぎ取った電波ミイラ嬢。

「よいしょっと……あースッキリした!」

 そんな台詞を吐く。

「――な⁉︎」

 ヒエログリフに等しい象形文字や壁画が所狭しと描かれた棺の中から、ちっぱいを惜しげもなく晒し背伸びする姿は――。


 ヤっべ……。


「こんな時、どう言う顔をしたら良いのか解らないよ」

「笑えば――否、褒め称え崇め奉るが良いと思うよ」


 出てきたのは幼女は幼女でも、


 枯れきった幼女。


 目と口を糸で雑に縫いつけられ死化粧された痩せ細った顔。
 ドス黒くも焦茶色に変色した地肌は、瑞々しさの欠片もなくボロボロ。
 更にちっぱいの真ん中から下腹部に掛けてはしる、おそらくは内臓を抜かれた際に荒々しく縫合された傷痕。


 ――見るに痛々しい。
 こんな小さな子供が……なんて……酷い。


「残酷かよ――吐いていいかな、俺?」

「存外、酷い対応ですね!」


 とかなんとか。 


 漫才っぽいやり取りに見えるけども、真面目に我慢できずに隅っこで吐いた。


「――失礼。文献や資料でミイラっつーもんは見てたけども……即身仏以上の過酷さでドン引きだわ」

「妾がこんな仕打ちを受ける謂れはない! 大体だな、人柱として埋葬するならツタンのように豪華絢爛にしろってのね!」

 身振り手振りのみ憤慨する意思表示。
 喋る度に縫われた目と口が突っ張って……。

「あんま動かないで――うぇ……ホラー過ぎる……」

 隅っこに行って吐いた俺。

「ちょっとちょっと、酷ない⁉︎ 残酷過ぎない⁉︎ 調査員なんでしょ?」

「いいえ、俺はしがない研究員……過酷過ぎて気持ち悪い」

 あまりにもエグい大惨事で見せられないよのテロップ、或いは黒塗りに覆われること必至の電波ミイラ嬢を見ないように棺に押し込み、蓋を閉めてなかったことにした――。


 手は水筒の水で入念に洗い、アルコールで綺麗に消毒した。
 ちゃんとうがいもし、目薬も差した。


 そしてこの場をあとにした――。
 

 外に出てからまた吐いたのは言うまでもない……。



 ――――――――――
 古代の呪いはこんなもんじゃないよ?(完)



【謝辞】
 此処までお付き合い頂き、本当に有り難う御座いました。
 意図しない誤字脱字が多く、お目汚し、大変失礼致しました。_φ(・_・
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みんなの感想(1件)

ゆきうさぎ
2020.10.02 ゆきうさぎ

ギャグ作家さんの本領発揮ですね。
思いっきり吹いてしまいました。

されど電波おやぢは妄想を騙る
2020.10.02 されど電波おやぢは妄想を騙る

拙い筆者の文字の羅列的怪文書を読んで頂いたうえにご感想まで……有難う御座います。

しかし、ギャグ作家ですか。
やっぱり筆者はそっちの方が受けが良く向いてるのでしょうかね? (-.-;)y-~~~

解除

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