35 / 76
第陸章 混沌の発露――壊れた虚構世界編。
佰玖拾参話 異端、其の伍。
しおりを挟む
「――さて、小鬼共。死ぬ準備はできているか。目にモノ見せてやんよ」
飛んで来る矢を危なげにも躱しつつ、しれっと腰に巻きつけ身に着ける俺的玩具を素早く起動させる俺。
昭和時代は“ 光る・回る・音が鳴る ”のキャッチフレーズだった――某変身ベルトだ。
平成以降は変身ドライバーとか変身フォルダー何ぞと色々名称が変わっていくのだが、総じて変身ベルトには違いないのだよ。
「さて……今週じゃねーけど、俺的ビックリドッキリ玩具、レディだ」
不適切極まりない表情のまま、何ぞ宣いつつコント的探検衣装の隠されてもいないポケットから、素早くガラケーっぽい形を模した専用フォンを取り出して、パカッと開く。
すかさず専用フォンのテンキーで専用のアクセスコードを入力しエンターボタンを押した。
「connectioning――」
専用フォンのスピーカーから独特のピロ、ピロピロ、ピロピロピロっつー呼び出し音が鳴り響き、直ぐにガチャリという音が鳴って、玩具に元から設定されていたここじゃない何処かの謎の場所へと繋がったと言うアナウンスが響いた。
「Standing dy――」
そして、劇中通りの謎の素敵ボイスが準備完了のアナウンスを告げた途端、キュイーンキュイーンキュイーン――やっぱり劇中通りの待機音が辺りに響き渡った。
平成以降の最近では特に鉄板中の鉄板。
劇中で喋る変身ベルト何ぞは、最早、お約束なのな?
良い歳したお子様向けだけあって、劇中そっくりな音声や効果音が抜かりなく元から実装済みだったりだ。
そいつを響き渡るほどの大音量で再生できるようにアンプに繋げて内蔵しただけな?
ちなみに今回はやらんけども、劇中のクライマックスシーンで流れる香ばしい挿入歌やBGM何ぞも再生できたりする素敵玩具だぞ?
俺の電波脳内では、今、香ばしくちゃっかり再生されているんだけどな?
「俺の夢が遂ぞ叶う時。――変身っ」
劇中通りの香ばしいポーズを決めて、良い歳したおやぢがそんなでどーするよ的ドヤ顔に伊達メガネ、キラッキラな表情で抑揚なく言い放つ。
――今の外見は高校生だから別に良いんだよ! 変身ヒーローは俺の憧れだからな。
そして、腰に巻いた俺的トランスフォルダーに専用フォンをキザったらしく格好付けてセットした!
直後、碧い液状の膜が噴き出して、俺を覆い包み収束する!
「Complete――」
プロセスが完了したとのアナウンスを抑揚なく告げる腰のトランスフォルダー。
同時に、そこに立っていたのは――。
「俺的超お至宝は世界にただ一つ! ――俺、参上!」
某数字の五が三つ並ぶ名を冠する変身ヒーローまんまな姿の俺だった!
ちなみに決め台詞は電◯の台詞だったり。
一週間もの忙殺軟禁状態の隙を見て、クモヨのアンダーリムな伊達メガネを注文するついでに一緒に買っておいた、単なる玩具……違うな。良い歳したお子様向けの趣味玩具だよ。
実は俺的玩具をせっせと修復してる時に、迂闊にも転寝しちまった際に、ケッタイな夢を見たのが切っ掛けなのな?
――ある日、未来がノウに襲われてて、あわやと言うピンチに何故か俺がアイに跨る鬼畜ぶりで颯爽と登場し、闇に蠢く這い寄る混沌、通称Gを模した姿の異形なるモノに変態して、未来に迫るノウを蹂躙するって内容の夢だ。
リアルで変態するファンタジー現象何ぞあってたまるかっつーの……夢以外のナニモノでもないわ。
その後、婆ちゃんが施したクモヨの擬態姿を見てて、不意にその夢を思い出したんだけども。
この仮称、擬態膜を使えば俺もまぢで変身できちまうんじゃね? って考えに辿り着いたってわけ。
変身ヒーローは、良い歳したお子様全ての浪漫かつ憧れだからな。
そこで、婆ちゃんに用途は内緒で頼み込んで、不適切な取引の末によーやっと分けて貰えた。
入手した玩具にちょこちょこっと手を加えて、その仮称、擬態膜を仕込んでおいた。
起動に合言葉は俺の主義に方針でお約束。
そこは抜かりな、きっちりと追加実装してあったりだ。
とは言うモノの、変身と言うワードを瞬時に声紋照合したあとに、婆ちゃんの仮称、擬態膜が収納してあるボックス部分がパカっと開いて、仮称、擬態膜が瞬時に俺を覆う仕掛けになっているだけなのな。
合言葉については、双丘万歳にしようかと真剣に悩んだ挙句、結局は極普通に変身と言う単語にして、念の為に声紋認証機能を取付けてみたり。
クソ爺いの時みたく、奪われて使われた日には最悪だからな、うん。
手が混んでいるようでその実、婆ちゃんの仮称、擬態膜に元から備わってる防御能力以外は全く元の俺のまま。
身体能力が上がったりチートされる便利で有り難いファンタジーさは当然の如く皆無だったりだよ。
なので、外面の見た目だけが変わるだけの俺的趣味玩具だな。
それでも少しは直接戦闘に参加できる程度には使えるんで、結果オーライってヤツだ。
態々、俺的趣味玩具に仕込まずとも直接婆ちゃんに仮称、擬態膜を纏わせて貰えば済む話なんだけども、あらゆる面でモチベーションを上げるっつーのは結構、真面目で大切なことだからな!
何処ぞのヒーローショー何ぞのアトラクションスーツを纏ったスーツアクターにでもなった気分だよ。
つーわけで。
俺のテンションもヤバさテラMAX、防御面も安全安心となった。
俺的ライトセイバーを格好つけてキザったらしく振り抜いてみせ、独特の効果音を伴って起動させたあと、勢い良く駆け出して群れの中に突っ込んで行く。
走る姿は――ま、見なかったことにしておいてくれ。
―――――――――― つづく、
飛んで来る矢を危なげにも躱しつつ、しれっと腰に巻きつけ身に着ける俺的玩具を素早く起動させる俺。
昭和時代は“ 光る・回る・音が鳴る ”のキャッチフレーズだった――某変身ベルトだ。
平成以降は変身ドライバーとか変身フォルダー何ぞと色々名称が変わっていくのだが、総じて変身ベルトには違いないのだよ。
「さて……今週じゃねーけど、俺的ビックリドッキリ玩具、レディだ」
不適切極まりない表情のまま、何ぞ宣いつつコント的探検衣装の隠されてもいないポケットから、素早くガラケーっぽい形を模した専用フォンを取り出して、パカッと開く。
すかさず専用フォンのテンキーで専用のアクセスコードを入力しエンターボタンを押した。
「connectioning――」
専用フォンのスピーカーから独特のピロ、ピロピロ、ピロピロピロっつー呼び出し音が鳴り響き、直ぐにガチャリという音が鳴って、玩具に元から設定されていたここじゃない何処かの謎の場所へと繋がったと言うアナウンスが響いた。
「Standing dy――」
そして、劇中通りの謎の素敵ボイスが準備完了のアナウンスを告げた途端、キュイーンキュイーンキュイーン――やっぱり劇中通りの待機音が辺りに響き渡った。
平成以降の最近では特に鉄板中の鉄板。
劇中で喋る変身ベルト何ぞは、最早、お約束なのな?
良い歳したお子様向けだけあって、劇中そっくりな音声や効果音が抜かりなく元から実装済みだったりだ。
そいつを響き渡るほどの大音量で再生できるようにアンプに繋げて内蔵しただけな?
ちなみに今回はやらんけども、劇中のクライマックスシーンで流れる香ばしい挿入歌やBGM何ぞも再生できたりする素敵玩具だぞ?
俺の電波脳内では、今、香ばしくちゃっかり再生されているんだけどな?
「俺の夢が遂ぞ叶う時。――変身っ」
劇中通りの香ばしいポーズを決めて、良い歳したおやぢがそんなでどーするよ的ドヤ顔に伊達メガネ、キラッキラな表情で抑揚なく言い放つ。
――今の外見は高校生だから別に良いんだよ! 変身ヒーローは俺の憧れだからな。
そして、腰に巻いた俺的トランスフォルダーに専用フォンをキザったらしく格好付けてセットした!
直後、碧い液状の膜が噴き出して、俺を覆い包み収束する!
「Complete――」
プロセスが完了したとのアナウンスを抑揚なく告げる腰のトランスフォルダー。
同時に、そこに立っていたのは――。
「俺的超お至宝は世界にただ一つ! ――俺、参上!」
某数字の五が三つ並ぶ名を冠する変身ヒーローまんまな姿の俺だった!
ちなみに決め台詞は電◯の台詞だったり。
一週間もの忙殺軟禁状態の隙を見て、クモヨのアンダーリムな伊達メガネを注文するついでに一緒に買っておいた、単なる玩具……違うな。良い歳したお子様向けの趣味玩具だよ。
実は俺的玩具をせっせと修復してる時に、迂闊にも転寝しちまった際に、ケッタイな夢を見たのが切っ掛けなのな?
――ある日、未来がノウに襲われてて、あわやと言うピンチに何故か俺がアイに跨る鬼畜ぶりで颯爽と登場し、闇に蠢く這い寄る混沌、通称Gを模した姿の異形なるモノに変態して、未来に迫るノウを蹂躙するって内容の夢だ。
リアルで変態するファンタジー現象何ぞあってたまるかっつーの……夢以外のナニモノでもないわ。
その後、婆ちゃんが施したクモヨの擬態姿を見てて、不意にその夢を思い出したんだけども。
この仮称、擬態膜を使えば俺もまぢで変身できちまうんじゃね? って考えに辿り着いたってわけ。
変身ヒーローは、良い歳したお子様全ての浪漫かつ憧れだからな。
そこで、婆ちゃんに用途は内緒で頼み込んで、不適切な取引の末によーやっと分けて貰えた。
入手した玩具にちょこちょこっと手を加えて、その仮称、擬態膜を仕込んでおいた。
起動に合言葉は俺の主義に方針でお約束。
そこは抜かりな、きっちりと追加実装してあったりだ。
とは言うモノの、変身と言うワードを瞬時に声紋照合したあとに、婆ちゃんの仮称、擬態膜が収納してあるボックス部分がパカっと開いて、仮称、擬態膜が瞬時に俺を覆う仕掛けになっているだけなのな。
合言葉については、双丘万歳にしようかと真剣に悩んだ挙句、結局は極普通に変身と言う単語にして、念の為に声紋認証機能を取付けてみたり。
クソ爺いの時みたく、奪われて使われた日には最悪だからな、うん。
手が混んでいるようでその実、婆ちゃんの仮称、擬態膜に元から備わってる防御能力以外は全く元の俺のまま。
身体能力が上がったりチートされる便利で有り難いファンタジーさは当然の如く皆無だったりだよ。
なので、外面の見た目だけが変わるだけの俺的趣味玩具だな。
それでも少しは直接戦闘に参加できる程度には使えるんで、結果オーライってヤツだ。
態々、俺的趣味玩具に仕込まずとも直接婆ちゃんに仮称、擬態膜を纏わせて貰えば済む話なんだけども、あらゆる面でモチベーションを上げるっつーのは結構、真面目で大切なことだからな!
何処ぞのヒーローショー何ぞのアトラクションスーツを纏ったスーツアクターにでもなった気分だよ。
つーわけで。
俺のテンションもヤバさテラMAX、防御面も安全安心となった。
俺的ライトセイバーを格好つけてキザったらしく振り抜いてみせ、独特の効果音を伴って起動させたあと、勢い良く駆け出して群れの中に突っ込んで行く。
走る姿は――ま、見なかったことにしておいてくれ。
―――――――――― つづく、
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
ラヂオ
雲黒斎草菜
SF
BCL好きの青年が偶然見つけた放送局。意味不明な放送時間に意味不明の番組。でもその内容はとんでもない意味を含んでいた。
それは未来の出来事を知らせるイベントコード。
知ってから続々集まるけったいな人々、そして災いの日々。
時間の流れを越えてやってくる理解不明の事件。海の無い町なのに七つの海の神様を祀った七海神社とは。
町を取り巻く不気味な空気。それはやがて俺の体にも浸透し…………。
特殊相対性理論的タイムマシンは完成しない。でもこの方法なら時間を飛べるかもしれないをテーマに、またまたムチャなことを書いています。笑ってやってください。
完結 愚王の側妃として嫁ぐはずの姉が逃げました
らむ
恋愛
とある国に食欲に色欲に娯楽に遊び呆け果てには金にもがめついと噂の、見た目も醜い王がいる。
そんな愚王の側妃として嫁ぐのは姉のはずだったのに、失踪したために代わりに嫁ぐことになった妹の私。
しかしいざ対面してみると、なんだか噂とは違うような…
完結決定済み
海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。
アシュターからの伝言
あーす。
SF
プレアデス星人アシュターに依頼を受けたアースルーリンドの面々が、地球に降り立つお話。
なんだけど、まだ出せない情報が含まれてるためと、パーラーにこっそり、メモ投稿してたのにパーラーが使えないので、それまで現実レベルで、聞いたり見たりした事のメモを書いています。
テレパシー、ビジョン等、現実に即した事柄を書き留め、どこまで合ってるかの検証となります。
その他、王様の耳はロバの耳。
そこらで言えない事をこっそりと。
あくまで小説枠なのに、検閲が入るとか理解不能。
なので届くべき人に届けばそれでいいお話。
にして置きます。
分かる人には分かる。
響く人には響く。
何かの気づきになれば幸いです。
公爵令嬢は逃げ出すことにした【完結済】
佐原香奈
恋愛
公爵家の跡取りとして厳しい教育を受けるエリー。
異母妹のアリーはエリーとは逆に甘やかされて育てられていた。
幼い頃からの婚約者であるヘンリーはアリーに惚れている。
その事実を1番隣でいつも見ていた。
一度目の人生と同じ光景をまた繰り返す。
25歳の冬、たった1人で終わらせた人生の繰り返しに嫌気がさし、エリーは逃げ出すことにした。
これからもずっと続く苦痛を知っているのに、耐えることはできなかった。
何も持たず公爵家の門をくぐるエリーが向かった先にいたのは…
完結済ですが、気が向いた時に話を追加しています。
リインカーネーション
たかひらひでひこ
SF
いく度もの転生、再びの出会いを繰り返す、えにしの者たち。
それぞれが綾なす人生は、どう移り変わっていくのか。
オレは、新しき出会いに、めまぐるしく運命を変遷させる。
タイトル未定
夜美神威
SF
「タイトル未定」
(この本にはタイトルがありません)
魔法使いが旅するファンタジー
クールな刑事と熱血刑事とのタッグドラマ
三角関係!彼氏彼女な学園恋愛物
天才外科医が怠慢な医療現場に
メスを入れる医療サスペンス
7人の侍がとある村を悪人から守る時代劇
内容は何があるのか
本を開いてみないと分かりません
タイトルはこの本を手に取った読者のあなたがお決め下さい
一人の少女が古本屋で
タイトルが無い本を手に入れる
中身は真っ白だった
そこに自分の理想の未来を描くと現実の物に
全てを手に入れた少女は何か大切な物に気づく
夜美神威SSシリーズの
ナンバリングタイトル第5弾
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる