End of all hope

紫ノ宮風香

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【閑話】理(ことわり)を乱すもの

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そこはあまりにも昏い空間だった。
中央には檻が浮いており、その中には手足を拘束された男が収監されていた。
口枷もされていたために呻き声が漏れる程度だったが、内心では盛大に文句を喚き散らしていた。

それはかつて神の座の末端に居たものの末路。
あまりにも身勝手で傲慢で悪辣で、他の神が統べる世界をいくつも崩壊させたり、創生神を騙り世界を乗っ取り本来の創生神を滅したりと、理を乱すことばかりやっていた男神。
そのまま消滅させれば、大量の穢れを数多の世界に撒き散らす程に穢れきった存在だった。

上位神たちは罪深い男神を人間に堕とし、その上で世界の狭間にある牢獄に収容して穢れ落としを試みている。





(畜生!いつまでこんな目に合わせるつもりだ!)
(邪魔さえ入らなけりゃまた女神が喰らえたところを!)
(乗っ取った世界の信仰が薄くならなきゃ捕まる羽目にならなかった!)



人間に堕とされ幽閉された男神の成れの果ての男は、どれ程の時間が過ぎても己を省みる事なく抗い続けている。それが人間であれば幾度人生を繰り返したかという程に長い時間が過ぎていても。

(幸いに分体が一つだけ奴等に見つかっていない。あの世界の神を喰らって力を取り戻し、奴等を蹴散らしてやる)

男の濁った目線は虚空をいつまでも睨み続けていた。

しかし男は気付かない。男が人間に堕とされた時、分体を己の意思で動かす事が出来なくなっている事を。
男程のものではないが、分体が欲を持ち動くようになった事を。














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