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ひとつの終わりと始まり
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暁の空の下、遥か遠くに見える王都は炎上していた。
黒煙が尋常ではないくらいに上がっている。既に焦土と化しているのであろう。
それを見つめる少女の両眼からは涙が溢れ止まらない。
母上!
声なき叫びを上げながら泣き崩れる少女は、王都を襲撃した<未知なるモノたち>から唯一逃れた、戴冠して間もない最後の女王だった。
* * *
女王の執務室に少女の怒りの声が響き渡る。しかし人払いをされているため、その声を聞くのは女王のみだったが。
「母上、何故急に妹を隣国へ行かせたのです? しかも平民に紛れさせてだなんて!」
「先見で見えた中で一番悪い結果が出たのです」
「<あれ>はまだ先ではなかったのですか?」
「向こうも先見出来る者がいるのでしょう。本来の正式な戴冠前を狙うとは。民を逃がしきる事も出来ぬうちに」
女王は悔しげにひとつため息をつき、それから世継ぎの王女たる娘に着いてくるように促す。
「臣下や民に見せる戴冠式は表向きのもの。真の王位継承は地下にある隠された聖堂にて二人だけで行うのです
本来ならばそなたが成人する時に行う予定でしたが、非常時故に神々もお許し下さるでしょう」
女王は王女の手を引き地下まで向かい、地下の壁をいくつかすり抜け、とある扉の前に立つ。
「ここがその聖堂です。そして旅支度もしてあります。ここの魔方陣が使えるのは女王だけ。ここから出て生き延びなさい」
* * *
王都の方向からおぞましい気配を感じる。
泣き崩れていた少女は涙をふき、立ち上がる。
行かなきゃ
<あれ>の正体を知り、戦える力を探すために
母を、国を、民を失った亡国の最後の女王の長い放浪が始まる。
黒煙が尋常ではないくらいに上がっている。既に焦土と化しているのであろう。
それを見つめる少女の両眼からは涙が溢れ止まらない。
母上!
声なき叫びを上げながら泣き崩れる少女は、王都を襲撃した<未知なるモノたち>から唯一逃れた、戴冠して間もない最後の女王だった。
* * *
女王の執務室に少女の怒りの声が響き渡る。しかし人払いをされているため、その声を聞くのは女王のみだったが。
「母上、何故急に妹を隣国へ行かせたのです? しかも平民に紛れさせてだなんて!」
「先見で見えた中で一番悪い結果が出たのです」
「<あれ>はまだ先ではなかったのですか?」
「向こうも先見出来る者がいるのでしょう。本来の正式な戴冠前を狙うとは。民を逃がしきる事も出来ぬうちに」
女王は悔しげにひとつため息をつき、それから世継ぎの王女たる娘に着いてくるように促す。
「臣下や民に見せる戴冠式は表向きのもの。真の王位継承は地下にある隠された聖堂にて二人だけで行うのです
本来ならばそなたが成人する時に行う予定でしたが、非常時故に神々もお許し下さるでしょう」
女王は王女の手を引き地下まで向かい、地下の壁をいくつかすり抜け、とある扉の前に立つ。
「ここがその聖堂です。そして旅支度もしてあります。ここの魔方陣が使えるのは女王だけ。ここから出て生き延びなさい」
* * *
王都の方向からおぞましい気配を感じる。
泣き崩れていた少女は涙をふき、立ち上がる。
行かなきゃ
<あれ>の正体を知り、戦える力を探すために
母を、国を、民を失った亡国の最後の女王の長い放浪が始まる。
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