したたる愛欲 完全版

五嶋樒榴

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ふたりは安いモーテルに身を寄せた。
美加子はずっと小鳩から離れなかった。
小鳩は美加子が、自分に対して恐怖心はないのだともう分かっているが、美加子をそばから離せなかった。
とりあえず、いつまでもこんな生活ができるほどの金はなかったので、明日から日雇いの仕事を探して金を稼ぎ、そしてもっと遠くへ逃げなくてはと思った。
そう思いながらも、小鳩は河合のことを考えた。
恐らく生きてはいない。
今の小鳩は、人殺しをしてしまった恐怖よりも、警察に捕まって美加子と離される方が恐怖だった。
美加子は小鳩を見つめている。
どうして今、小鳩と自分がこの場にいるのか美加子は分かっていなかった。
ただ、やっと自由になれたと言うことはなんとなく理解できたのか、美加子は小鳩の背中に抱きついた。
小鳩は背中に感じる美加子の熱と存在感に、自分のした事は悪いことでは無かったと言い聞かせる。

「美加子さん。ごめんなさい。俺の勝手な感情で、あなたまで巻き込んでしまった」

小鳩は呟くが、美加子はただ小鳩の背にすがる。
背中から伝わる美加子の体温に小鳩は胸がときめく。自分も美加子を抱きしめて温めたいと思った。
小鳩は美加子に振り返ると、美加子を抱きしめた。
美加子の暖かな温もりに、蕩けていくようで気持ちが良かった。

「ごめんなさい。ごめんなさい」

そう呟きながら美加子を抱きしめ、美加子の長い髪を優しく撫でた。
美加子はそれを、無邪気な顔をして受け入れた。
小鳩に撫でられるのがとても気持ちが良かった。
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