こちら、あやかしも診れる診療所。

五嶋樒榴

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番外編

銀狼のある1日(1)

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我が家の湊家の一員、あやかしの世界の住人だった半妖の銀狼は、今では誠竜会会長伊丹悠介の私兵になり、私兵の中ではトップの成城魁斗と共に、伊丹のボディガードになっていた。
ただ、着慣れないスーツには毎日肩が凝るようだ。


伊丹が事務所で仕事をしているので、成城と銀狼は伊丹の部屋の前室のソファに座っていた。

「ボディガードってのになって、もうだいぶ経ったよなー。って本当に俺って必要なの?」

毎日ただ成城と一緒に、伊丹に引っ付いてるだけの日々に銀狼は疑問を投げかける。

「油断はするな。敵対組織が多いと言っているだろ?政龍組の中でも、危ない橋を一番渡ってるのは伊丹会長だ。特に松下組とは、下位団体の尾上組との絡みで一触即発だ。何が起きても会長を守れ」

銀狼は成城が言ってることがチンプンカンプンである。
年齢は人間の歳で25歳ではあるが、義務教育も出ておらず、仕事に就いたのも今回が初めてだった。

「成城サンが言ってることほとんどわからねーよ。危ない橋?橋に危ないも安全もあるのか?カイダンタイ?それって階段の魚?イッショクソクソク?」

銀狼の言葉こそ、成城にはチンプンカンプンである。

「階段の魚ってなんだよ!イッショクソクソクじゃなくてぇ、もう良いわッ!」

「えー。カイダンタイって言ったじゃん。魚の鯛の仲間かと思って」

見つめ合って無言になる銀狼と成城。

「お前、本当に義務教育受けてねぇんだな。俺も高校には行ってねーが、お前より利口だってしみじみ思うぜ」

小馬鹿にしたような成城に銀狼はムッとする。

「しょうがねーだろッ!色々あんだよッ!でも字も書けるし、足し算とかもできるぞ!広大先生が教えてくれたからなッ!」

「ああ、悠仁先生の父親か。全く、お前は謎だな」

本当に何者なんだと成城は銀狼を見た。
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