インシデント~楜沢健の非日常〜

五嶋樒榴

文字の大きさ
187 / 206
●100万分の1●

5-4

しおりを挟む
菜々緒が居なくなってもうだいぶ経つと思いながらも、健はたまに静真に真古登の様子を聞き続けていた。

『最近、品川さんの様子が変わったんだけど』

静真からの電話に健はどんな様子なのかと尋ねる。

『ワイシャツなんかもヨレヨレじゃなくなったし、昼に弁当を持ってくるようになったんだよ』

突然生活が変わった事で、静真は真古登に彼女が出来たのではと言う。
しかし健は何か引っ掛かり、ちょうど夏休みの蓮司に連絡を取ると、真古登のアパートに行って様子を伺ってほしいと再び依頼した。
蓮司は健から車を借りて、真古登のアパートの近くの駐車場に停車して見張る事にする。

『朝から品川のアパートの近くで見張ってるけど、品川は仕事だし、部屋からも誰も出てこない』

たまにトイレ休憩に、アパート近くのコンビニに蓮司は行くので、ずっと見張っているわけでもないのは健も承知している。

「そうか。誰も出入りが無い感じだな」

『うん。品川が帰ってきたら誰かが来るのかもしれないね』

蓮司はそう言うが、真古登が弁当を持ってくると言う事は、一緒に住んでいる相手が居るはずだと健は考えている。

『あ!待って、誰か出てきた!』

車の中から蓮司がアパートを見つめる。
真古登の部屋から出て来たのはもちろん菜々緒だが、菜々緒の顔を知らない蓮司は、部屋から出て来た女性が誰か分からない。

「写真撮れるか?」

『ちょっと待ってて』

蓮司はスマホのカメラで菜々緒を撮る。
タイミング良く、何とか顔が分かる写真が撮れた。
蓮司は直ぐに健に写真を送った。
届いた写真を見て、健はやっぱり菜々緒が真古登の元に戻って来たんだとわかった。

「蓮司、その女性が探していた山内さんだ!彼女を探ってくれ!」

蓮司は慌てて車から降りると、菜々緒と一定の距離を保ち尾行を開始した。
菜々緒は駅までやって来て、切符を買って改札に入る。蓮司はスマホで改札を抜けると菜々緒の背後にピッタリと並んだ。
電車に乗って菜々緒は渋谷へと出る。
蓮司は見失わない距離を保っている。
菜々緒が待ち合わせをしていると分かり、誰と会うのかと蓮司は菜々緒を見つめ続ける。
しばらくして、30歳前後の男が菜々緒の前に現れた。
男は馴れ馴れしく菜々緒の肩を抱く。
蓮司は、菜々緒が真古登以外の男と会うことに違和感を感じながら、2人が行く先へと尾行を続ける。

「あちゃあ。マジかよ」

菜々緒が男と入って行った先は一軒のラブホだった。
蓮司はもうそれ以上は尾行をすることはできないので、一先ず見た事と二人がホテルに入る姿を撮った写真を健に報告した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

放課後の約束と秘密 ~温もり重ねる二人の時間~

楠富 つかさ
恋愛
 中学二年生の佑奈は、母子家庭で家事をこなしながら日々を過ごしていた。友達はいるが、特別に誰かと深く関わることはなく、学校と家を行き来するだけの平凡な毎日。そんな佑奈に、同じクラスの大波多佳子が積極的に距離を縮めてくる。  佳子は華やかで、成績も良く、家は裕福。けれど両親は海外赴任中で、一人暮らしをしている。人懐っこい笑顔の裏で、彼女が抱えているのは、誰にも言えない「寂しさ」だった。  「ねぇ、明日から私の部屋で勉強しない?」  放課後、二人は図書室ではなく、佳子の部屋で過ごすようになる。最初は勉強のためだったはずが、いつの間にか、それはただ一緒にいる時間になり、互いにとってかけがえのないものになっていく。  ――けれど、佑奈は思う。 「私なんかが、佳子ちゃんの隣にいていいの?」  特別になりたい。でも、特別になるのが怖い。  放課後、少しずつ距離を縮める二人の、静かであたたかな日々の物語。 4/6以降、8/31の完結まで毎週日曜日更新です。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

処理中です...