185 / 206
●100万分の1●
5-2
しおりを挟む
「やっと見つけた。こんな所に逃げてたのか」
真古登は菜々緒がいる逸郎の部屋の前で呟き笑う。
迷うことなくインターホンを鳴らし、真古登は中の様子を伺った。
「はい、どちら様……!」
インターホンの画面に真古登の顔が見えて、菜々緒は全身の血の気が引くのが分かった。
『菜々緒だろ?』
「……」
『菜々緒ちゃーん!無視するなよー!』
真古登が大声を出すので菜々緒は怯えるも、誰かに真古登の声を聞かれると思ったら怖くなり、慌てて玄関のドアを開けた。
「菜々緒、迎えにきたぜ。話は後でたっぷり聞いてやるからな」
ニヤつく真古登だが、その目は笑っていない。
菜々緒は背筋が凍りつき、無意識に体が震える。
「……私は真古登ともう行かない」
「ああ?何言ってんの?許してやるから一緒に帰ろうぜ」
何を許すのかと菜々緒は真古登を見つめる。
「お前がいないと俺は大変なんだよー。お前だって俺と暮らした方が楽しいだろ?って、この部屋誰んだよ。パパ活のオッサンに部屋与えてもらったんか?」
菜々緒は激しく首を振った。
「違う!好きな人と暮らしてるの!」
「はぁ?何言っちゃってんの?そう言う冗談は面白くねーんだよ」
真古登はムキになって菜々緒の腕を引っ張った。
「やめて!私はここから離れたくない!もう真古登と一緒に暮らしたくない!」
抵抗する菜々緒に真古登は腹が立ってくる。
「何訳わからねーこと言ってんの?お前は俺の女だろ?この部屋の住民を訴えても良いんだぜ?俺の女に手を出したんだからな」
真古登の理不尽な言葉に菜々緒は首を振る。
だが、実際監禁されていたことを思えば、騒ぎになれば逸郎に迷惑がかかる。
「違う!私は自分の意思でここに住んでるのよ!私は、真古登とはもう終わったのッ!」
昼間はほとんどマンションの住民がいないせいか、菜々緒と真古登の声を聞いても誰も出ては来ない。
「そっか、じゃあ警察に通報するわ。ここの住民がお前を拉致ったってな」
「辞めて!そんな嘘、誰も信じないわッ!」
真古登は無言でスマホを操作する。
そして写真の画面を菜々緒に見せた。
「お前は俺の女なんだよ。この画像をここの住民に見せて、お前が誰の所有物か教えてやるわ」
真古登にいつも、脅迫に使われる画像を見せられて菜々緒は何も言い返せない。
これ以上下手に抵抗すれば、真古登が逸郎にも何をするかと不安になる。
「お前は俺のために、これからもその体で稼ぐんだよ。売れる間、俺が付き合ってやる」
真古登との問題を解決しない限り、逸郎と幸せになる事は出来ないんだと、菜々緒は自分の無力を感じながら逸郎の部屋を後にした。
真古登は菜々緒がいる逸郎の部屋の前で呟き笑う。
迷うことなくインターホンを鳴らし、真古登は中の様子を伺った。
「はい、どちら様……!」
インターホンの画面に真古登の顔が見えて、菜々緒は全身の血の気が引くのが分かった。
『菜々緒だろ?』
「……」
『菜々緒ちゃーん!無視するなよー!』
真古登が大声を出すので菜々緒は怯えるも、誰かに真古登の声を聞かれると思ったら怖くなり、慌てて玄関のドアを開けた。
「菜々緒、迎えにきたぜ。話は後でたっぷり聞いてやるからな」
ニヤつく真古登だが、その目は笑っていない。
菜々緒は背筋が凍りつき、無意識に体が震える。
「……私は真古登ともう行かない」
「ああ?何言ってんの?許してやるから一緒に帰ろうぜ」
何を許すのかと菜々緒は真古登を見つめる。
「お前がいないと俺は大変なんだよー。お前だって俺と暮らした方が楽しいだろ?って、この部屋誰んだよ。パパ活のオッサンに部屋与えてもらったんか?」
菜々緒は激しく首を振った。
「違う!好きな人と暮らしてるの!」
「はぁ?何言っちゃってんの?そう言う冗談は面白くねーんだよ」
真古登はムキになって菜々緒の腕を引っ張った。
「やめて!私はここから離れたくない!もう真古登と一緒に暮らしたくない!」
抵抗する菜々緒に真古登は腹が立ってくる。
「何訳わからねーこと言ってんの?お前は俺の女だろ?この部屋の住民を訴えても良いんだぜ?俺の女に手を出したんだからな」
真古登の理不尽な言葉に菜々緒は首を振る。
だが、実際監禁されていたことを思えば、騒ぎになれば逸郎に迷惑がかかる。
「違う!私は自分の意思でここに住んでるのよ!私は、真古登とはもう終わったのッ!」
昼間はほとんどマンションの住民がいないせいか、菜々緒と真古登の声を聞いても誰も出ては来ない。
「そっか、じゃあ警察に通報するわ。ここの住民がお前を拉致ったってな」
「辞めて!そんな嘘、誰も信じないわッ!」
真古登は無言でスマホを操作する。
そして写真の画面を菜々緒に見せた。
「お前は俺の女なんだよ。この画像をここの住民に見せて、お前が誰の所有物か教えてやるわ」
真古登にいつも、脅迫に使われる画像を見せられて菜々緒は何も言い返せない。
これ以上下手に抵抗すれば、真古登が逸郎にも何をするかと不安になる。
「お前は俺のために、これからもその体で稼ぐんだよ。売れる間、俺が付き合ってやる」
真古登との問題を解決しない限り、逸郎と幸せになる事は出来ないんだと、菜々緒は自分の無力を感じながら逸郎の部屋を後にした。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
魔女の虚像
睦月
ミステリー
大学生の星井優は、ある日下北沢で小さな出版社を経営しているという女性に声をかけられる。
彼女に頼まれて、星井は13年前に裕福な一家が焼死した事件を調べることに。
事件の起こった村で、当時働いていたというメイドの日記を入手する星井だが、そこで知ったのは思いもかけない事実だった。
●エブリスタにも掲載しています
ARIA(アリア)
残念パパいのっち
ミステリー
山内亮(やまうちとおる)は内見に出かけたアパートでAR越しに不思議な少女、西園寺雫(さいおんじしずく)と出会う。彼女は自分がAIでこのアパートに閉じ込められていると言うが……
パラダイス・ロスト
真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。
※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。

【完結】共生
ひなこ
ミステリー
高校生の少女・三崎有紗(みさき・ありさ)はアナウンサーである母・優子(ゆうこ)が若い頃に歌手だったことを封印し、また歌うことも嫌うのを不審に思っていた。
ある日有紗の歌声のせいで、優子に異変が起こる。
隠された母の過去が、二十年の時を経て明らかになる?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
泉田高校放課後事件禄
野村だんだら
ミステリー
連作短編形式の長編小説。人の死なないミステリです。
田舎にある泉田高校を舞台に、ちょっとした事件や謎を主人公の稲富くんが解き明かしていきます。
【第32回前期ファンタジア大賞一次選考通過作品を手直しした物になります】
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる