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「弥之さんはB型。雛絵さんはA型。健はO型なんです」
突然血液型の話になり惟晴は目が点になる。
「それが何か?僕の両親もA型とB型だが、僕はO型だよ?」
大知は鞄からノートを出すと、ABO式血液型の遺伝子型の図を書き出した。
「弥之さんのご両親は共にAB型だったそうです。そして弥之さんはB型でした。母の雛絵さんはA型。2人の間に生まれる子供は……」
その図を見て惟晴も気が付いた。
弥之のBb型と雛絵のA型では、雛絵がAoだとしてもO型は生まれない。
生まれるとしたらAB型かB型の2択だからだ。
「健がO型と言うことは、雛絵さんはおそらくAo型だったと思います」
「……それで、君は僕を疑ったと言うわけだ。健君に似ている僕を。確かに僕はO型だ。雛絵さんがAo型だとしたら、健君がO型で僕を父親だと思っても不思議はないな。健君もそう思っているから君が確かめに来たのか?」
大知は首を振る。
「確かに健は自分の本当の父親を探していますが、水島さんのことはまだ知りません。健に告げる前に俺が確認したかったのです」
きちんと調べて事実だけを大知は健に伝えたかった。
「そうだったんだね。だけど僕は弥之さんと雛絵さんに誓って言う。僕は絶対に健君の父親ではない。それだけは本当に違う。どうしても信じられないなら、DNA鑑定をしても構わない」
真っ直ぐな目で惟晴は大知に言い切った。
その真っ直ぐな目に、今までの会話から大知は惟晴の言葉を信じた。
「失礼な事を言って本当にすみませんでした。俺がした事で、健の事を悪く思わないでください」
大知は深々と頭を下げる。
「あはは。思わないさ。それより、健君と静真君に会いたいな。弥之さんや雛絵さんの話を、僕が知っている限り話してあげたい。もし機会があれば時間を作ってほしいと伝えてほしい」
おおらかな惟晴の笑顔に大知はホッとした。
「はい。水島さんが健の味方になってくれる方で良かったです」
大知の言葉に、惟晴は溜息をつく。
「確かに、水島の本家は弥之さんの事を排除しているからね。だから健君達も施設になんて入れられてしまったのだろうから」
「でも2人とも色々ありましたが、今では本当に幸せですから」
まだ健も静真もそれぞれ問題は山積みだが、健が言うように少しずつ解いていくしかないのだ。
「健君達のこと、出来る限りのことは僕もしたいと思ってる」
惟晴の本心だった。
健が自分の親戚であることは間違いない事実。
弥之や雛絵の代わりに、この先良好な関係を築きたいと思っている。
「はい。健に今日のことを全て話して、連絡するように伝えます」
「ああ。よろしく頼むよ」
大知と惟晴は笑顔でその場を別れた。
突然血液型の話になり惟晴は目が点になる。
「それが何か?僕の両親もA型とB型だが、僕はO型だよ?」
大知は鞄からノートを出すと、ABO式血液型の遺伝子型の図を書き出した。
「弥之さんのご両親は共にAB型だったそうです。そして弥之さんはB型でした。母の雛絵さんはA型。2人の間に生まれる子供は……」
その図を見て惟晴も気が付いた。
弥之のBb型と雛絵のA型では、雛絵がAoだとしてもO型は生まれない。
生まれるとしたらAB型かB型の2択だからだ。
「健がO型と言うことは、雛絵さんはおそらくAo型だったと思います」
「……それで、君は僕を疑ったと言うわけだ。健君に似ている僕を。確かに僕はO型だ。雛絵さんがAo型だとしたら、健君がO型で僕を父親だと思っても不思議はないな。健君もそう思っているから君が確かめに来たのか?」
大知は首を振る。
「確かに健は自分の本当の父親を探していますが、水島さんのことはまだ知りません。健に告げる前に俺が確認したかったのです」
きちんと調べて事実だけを大知は健に伝えたかった。
「そうだったんだね。だけど僕は弥之さんと雛絵さんに誓って言う。僕は絶対に健君の父親ではない。それだけは本当に違う。どうしても信じられないなら、DNA鑑定をしても構わない」
真っ直ぐな目で惟晴は大知に言い切った。
その真っ直ぐな目に、今までの会話から大知は惟晴の言葉を信じた。
「失礼な事を言って本当にすみませんでした。俺がした事で、健の事を悪く思わないでください」
大知は深々と頭を下げる。
「あはは。思わないさ。それより、健君と静真君に会いたいな。弥之さんや雛絵さんの話を、僕が知っている限り話してあげたい。もし機会があれば時間を作ってほしいと伝えてほしい」
おおらかな惟晴の笑顔に大知はホッとした。
「はい。水島さんが健の味方になってくれる方で良かったです」
大知の言葉に、惟晴は溜息をつく。
「確かに、水島の本家は弥之さんの事を排除しているからね。だから健君達も施設になんて入れられてしまったのだろうから」
「でも2人とも色々ありましたが、今では本当に幸せですから」
まだ健も静真もそれぞれ問題は山積みだが、健が言うように少しずつ解いていくしかないのだ。
「健君達のこと、出来る限りのことは僕もしたいと思ってる」
惟晴の本心だった。
健が自分の親戚であることは間違いない事実。
弥之や雛絵の代わりに、この先良好な関係を築きたいと思っている。
「はい。健に今日のことを全て話して、連絡するように伝えます」
「ああ。よろしく頼むよ」
大知と惟晴は笑顔でその場を別れた。
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