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健は約束の日、高槻と築地の料亭で待ち合わせをしていた。
時間になると、高槻は健の前に現れた。
「こんな高級な場所とは思わず、場所を間違えたかと思いましたよ」
いくら大手不動産会社に勤務しているとは言え、若者が選ぶには敷居が高い場所ではある。
「人の目を気にせず、ゆっくりお話を伺える場所を父に押さえてもらったので。堅苦しい場所ですみません」
「そうでしたか。楜沢さんのチョイスでなくて少しホッとしました」
あはは。と2人は和やかに笑った。
自分が思っている以上に、健が普通の若者ではないと高槻は改めて知った。
食事は健が決めていたので、その場では飲み物を頼むと仲居は座敷を後にした。
「早速ですが、お電話でお話しした……」
健が麗花の生い立ちから現在までを、知り得ることを全て話した。
高槻は最後まで聞いてから、やっと口を開いた。
「確かに、夢遊病や夜驚症と判断する場合もあります。ただどちらも小児に多い病気で、大人になってまで続くのは、他の原因も考えられますね」
「夜驚症とは?」
「睡眠時に突然パニックを起こし泣き叫ぶ感じです」
高槻の説明を聞いても、麗花の症状が何故か健にはピンと来なかった。
「大人になってまで続く場合、他の原因とは?」
「それは診察してみないと明確な事はお答えできません」
不確かな事は、当人でもないのに伝えられないのは当然だと健も思った。
「そうですよね。ただ、私が見た感じでは、夢遊病や夜驚症とは違うものの様に思えます。何と言うか、まるで別人になっていた様な感じなのです」
あの夜の麗花は、麗花であって麗花でなかった。
本当に子供のように健の目に映ったのだ。
時間になると、高槻は健の前に現れた。
「こんな高級な場所とは思わず、場所を間違えたかと思いましたよ」
いくら大手不動産会社に勤務しているとは言え、若者が選ぶには敷居が高い場所ではある。
「人の目を気にせず、ゆっくりお話を伺える場所を父に押さえてもらったので。堅苦しい場所ですみません」
「そうでしたか。楜沢さんのチョイスでなくて少しホッとしました」
あはは。と2人は和やかに笑った。
自分が思っている以上に、健が普通の若者ではないと高槻は改めて知った。
食事は健が決めていたので、その場では飲み物を頼むと仲居は座敷を後にした。
「早速ですが、お電話でお話しした……」
健が麗花の生い立ちから現在までを、知り得ることを全て話した。
高槻は最後まで聞いてから、やっと口を開いた。
「確かに、夢遊病や夜驚症と判断する場合もあります。ただどちらも小児に多い病気で、大人になってまで続くのは、他の原因も考えられますね」
「夜驚症とは?」
「睡眠時に突然パニックを起こし泣き叫ぶ感じです」
高槻の説明を聞いても、麗花の症状が何故か健にはピンと来なかった。
「大人になってまで続く場合、他の原因とは?」
「それは診察してみないと明確な事はお答えできません」
不確かな事は、当人でもないのに伝えられないのは当然だと健も思った。
「そうですよね。ただ、私が見た感じでは、夢遊病や夜驚症とは違うものの様に思えます。何と言うか、まるで別人になっていた様な感じなのです」
あの夜の麗花は、麗花であって麗花でなかった。
本当に子供のように健の目に映ったのだ。
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